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元彼Y⑨はじめて行った彼の部屋

私は10代の頃から1人暮らしをして来たけど
自宅に男を入れるのは特定だけだった。
特別な関係で無い限り
友達といえども入れることは滅多に無かった。
彼が自宅に来ても
必ず私が下に降りて彼の車の中で会っていた。
“家に入れて”
“自宅に上がりたい”
とは、彼も言わなかったしね。
私と話しているうち悟っていたのか
彼自身がそこは越えないようにしていたのかは
まだ分からなかったけれど。

私はそんな彼を男として信用した。
私に興味が無いからだとしても
毎度車の中で話すことに不満を漏らさず
満足した顔をして帰って行く彼に
一線のマナーだけは守る人だと。
どんなにトイレに行きたくても
コンビニに車を走らせる彼を笑いながらも
根性のある奴だなと感心したりもしていた。
私も相当意地悪だったけどね笑


あの日は小雨が降っていた。
彼の仕事に付き添い外出先で一緒に食事をした後、高架下の駐車場に車を停めて話していた時
“ところでここどこか分かる?”
『会社の近くでしょ?』
『会社の駐車場じゃないの?』
“僕の駐車場ではあるけど僕の自宅でもあるんだよね”
あ、そうなんだ
近くに住んでるとは聞いてたけど
ここだったんだね
『ここってファミリータイプでしょ?』
『こんな広いとこ1人で住んでるの?』
“一応、寮として使ってるんだけどさ”
“今は僕1人しか住んでないから実質1人暮らしだよね”
“あぁちゃん招待しようと思って”
“昨日掃除したからキレイだと思うよ”
掃除したの?
わざわざ?
じゃあ昨日教えてよその計画笑

部屋に入るなり
散乱してる洋服や物を片付け出して
テーブルに折り重なってる書類をザックリ避けて、私の座るスペースを確保し出した彼に笑った。
掃除したって嘘をどこで回収しようと思ったのよ笑
招待も何もついでに連れて来ただけじゃん
別にいいけど
飾らずありのままを気にしなくて
思いつきで乱雑な部屋に私を呼ぶところはかわいいと思ったけどね

誰の評価も気にしない
平気で素を晒す彼のそういう性格の一部は
私のツボだった笑



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