[実録]セットバック協力金を受け取ったら確定申告は必須なのか?
昨年 6 月末に購入した注文住宅用の土地。
そのうちの一部を市にセットバックとして採納したのですが、その際、協力金が出ました。
そして今年になって、収用証明書なる書類が届き……
「確定申告にはこちらをご利用ください。詳しくは税務署へ」
とのこと。
ん!? これってどうすればいいの?!
……という疑問に向き合った記録を一応。
※2019年2月の板橋区の実録ではありますが、結局税務署の担当者によって判断は若干異なりそうな印象ですので、参考として御覧ください。
【結論】我が家のセットバック協力金は確定申告不要だった
なぜか?
から先に書くと、我が家の場合、土地の購入単価よりもセットバック協力金の方が圧倒的に安く、結局収支計算をしたら赤字だったから、というのがおおまかな理由になります。
とはいえ、結果的に提出した書類もあったので、以下、時系列を追いつつ、我が家の場合のケースをお送りします〜
そもそもセットバックで協力金が出る市町村と出ない市町村がある
注文住宅を建てる方は誰でもたいてい、まずは土地探しから始めるかと。
特に我が家のように都心で建てようと頑張る人は、土地探しが最も大変だろうと思います(我が家もそうだったので……)。
そしてこの際、都心でもあるあるなのがセットバック付きの土地。
セットバックというのは、その土地の一部を本来、道路にすべきだったので、道路として使うべきなのでそこに建物を建てないでね、という感じの意味。
なのでセットバック付きの土地の場合、実際に建物を建てていい土地面積は、購入する土地面積より小さくなるんです。
※もうご存知かと思いますが、建物というのは基本的に土地面積にその土地の種類に応じた建ぺい率や容積率が算出され、その値以内で建てていいというもの。
ですからどんなに広い土地でも、セットバック部分は建ぺい率等に含められないので、結局建物サイズが小さくなるというデメリットがあるのです。
我が家の場合、基本的にはセットバックを買うつもりは一切なかったのですが、幸い、セットバックを除いて計算しても、我が家の求める 20-22 坪のおうち (〜75m2 程度 / 駐車場が絶対ほしいと言っていたのも、結果的に 4 台駐車可能!! ) が建てられそうな土地に出会ったので、購入することになりました。
そして結果的に市に採納 ( セットバック分を寄付すること ) をすることになったのですが。
ラッキーなことに、ちょっと協力金が出ますよーというお知らせを受け取ったんですよね。
※ちなみにコレは、売主が教えてくれるかというと、たいてい教えてくれず、不動産業者も知らない場合が多いです。登記手続き関連の際に初めて、市の職員が登場して教えてくれる場合が多いみたい。我が家は登記の担当も同じ不動産会社の提携の方にしていただいたので、その筋から判明しました。
とにかくめんどくさい、セットバック手続き一連の流れ
セットバックの手続きがどういうものかというと、結局我が家は注文住宅の建物会社さんに詳しい元測量屋さんがいたので、主にはその方にしていただいたんですが、、、結構手続きがめんどくさいみたい。
(私たちでさえ、謎の郵送通知を読み解くのに苦労しましたからね。。。)
流れとしては、実際の日取りとざっくり言うと……
1. 確定測量で境界線を明確化 ( 9 月頃 )
2. 上記測量図でセットバックエリアが間違いないかを市に確認 ( 10 月上旬 )
3. 私たち側で土地の分筆登記 ( セットバック用と法的に権利を分けるコト / 11 月上旬 )
4. セットバック部分の登記完了を市に報告 ( 11 月中旬 )
5. 市から協力金の金額提示 ( 11 月中旬 )
6. 協力金に合意すると契約書にサイン ( 全部郵送でした / 11 月下旬 )
7. 協力金の入金予定通知 ( 12 月下旬 )
8. 協力金着金 ( 1 月上旬 )
9. 協力金に関する収用証明書等の公的書類を市から郵送で受領 ( 1 月下旬 )
↑今回は主にラストのココのお話
……長い。
実際にどんな書類が届いたのか
とにかく上記手続きのほとんどは、土地の登記とか数値とかが厳密に決まってるので、業者さんに頼むのが無難そう。
その後の手続きについてのみ、触れていきます。
実際に 1 月下旬に届いた書類は以下 3 点。
1. 収用証明書
2. 公共事業用資産の買取り等の申出証明書
3. 公共事業用資産の買取り等の証明書
たいていこの上記いずれかを検索キーワードにして検索しても、国税庁のわかりづらい文字だらけのサイトに出てしまって、実際、上記をどうすればいいのかわからなかったんですよね。。。
そこで我が家は(今で言えばかなりムダアシだけどw)いろいろ問い合わせてみました。
まずは我が家の管区・板橋税務署の確定申告相談窓口
真っ昼間 (= 仕事の合間 ) でないと開いてないという、働く主婦に優しくない幻の電話窓口。笑
我が家は板橋税務署が近くないので当然(日中は仕事もあるし)行けるはずもないので電話してみたのですが……
【結論】
「セットバック? んー、なんでしょうかねー? どういう分類かしら?」というおとぼけおばちゃんののんきな保留続き 10 分に耐えきれず、途中で「もう大丈夫ですー」とお断りを入れて終話
……なんか取次のおばちゃんらしいのですが、見事なまでの保留連発!
こっちは調べてわからず電話してるのにそっちがそれでどうしますねん〜!という関西魂が叫びたがってたくらいには苛立ってしまった私←笑
ちなみに。
上記電話で、私にもミスがあったことがその後、税務署に行って初めて発覚。
税務署側からは、収用証明書というキーワードじゃないと、この件の取り扱い方法は把握できない模様。
(実際、板橋税務署の相談員の方も、最初にセットバックの経緯を話しても「はぁ……」という不安な感じでしたが、「それで市からこういうものが……」と書類を見せたら、「あぁ!収用証明書ですね!」と、急に話が呑み込めた様子に。
こういう必要なキーワードが市と税務署でぜんぜん違うなら、どちらかの方、教えて欲しい、、、、と思いましたねつくづく。
とはいえ、元国の人間なので、所属以外の部門との調和という言葉があの世界にはないこともよくわかるので……結局こうして、せっせと確認していくしかないんですよね。。。)
市役所では「確定申告の詳細は税務署へ」
そう!
次に電話したその書類の送り元の市役所では、書類にも書かれていた通りのテンプレ回答。
「確定申告についての詳細は、私共でもどのようにするか実際に知らないものですから、恐れ入りますが税務署にお問い合わせください」
……むむむ、、、、
とはいえ、ワタシ的にはとにかく気になっていたのはただ 1 つだけ。
というわけで、食い下がってみました。
「とりあえずうかがいたいのは、これは申告の義務があるのか、だけなんです。読んでみると、特別控除になるんだから、結局確定申告しても無税なんですよね? なら、しなくていいんじゃないんですか? そこが知りたいだけなんですが……」
すると……
「私たちどもの認識では、確定申告をすることにより無税になるという認識です。ですから、確定申告をされないと、逆に課税対象になるという認識ですが……そのあたりが税務署でないと詳しくお答えできないところなのです」
とのこと……。
……( ゚д゚)ハッ!
というわけで、結局「やるかー!」と意気込んだのが、2 月上旬の話。
実は確定申告をしたことがある私
実は、確定申告自体は初めてではない私。
なので、しょうがない、やるか……!
というわけで、国税庁の e-tax から申告書作成開始。
この段階で、各税務署がこの時期だけ、日曜に確定申告専用に開いていることは知っていました。
ただ、明らかに我が家の場合は板橋区民が押し寄せる気配……
絶対、準備無しで行ったら一日潰れてしまう……!!
せっかくの休日をこれにまるまる一日潰されるなんてヤダーーー><!
そう思った私は、事前に申告書を作って持っていき、確認してもらってそのまま受領してもらう流れで行こう! という作戦を立てたのです。
ところが……!!
なぜだ〜!?赤字だと次の画面に進めないぞーーー!!!!
そう、実際に引っかかったのは、譲渡所得の内訳書の欄を入力した時。
この内訳書には、セットバックによる譲渡の内容について、記載していくのですが……
途中でどうしてもエラーになってしまい、今回の税金控除の適用の選択ができなかったのです!!泣
(ちなみに実は最後、この書類だけが役に立ったというオチだったりしますヨ!我が家の場合……笑)
譲渡所得の内訳書とは
1 枚目 : 私の個人情報および該当の土地住所
2 枚目 : いつ購入して誰にどう譲渡 ( 売却 ) したかの詳細と概要
3 枚目 : 譲渡の実際の金額や費用
簡単に言うと上記 3 枚から構成されてる用紙です。
で!
どこがエラーになったかというと、我が家の場合は 3 枚目。
[ 4 譲渡所得の金額を計算します ] という項目。
ここには、区分・収入金額・必要経費・差引金額・特別控除額・譲渡所得金額の大きく 6 項目があります。
大事なのは上記の [ 特別控除額 ] のところに、[ 措置法第33条の4 ] という選択肢があったこと!
そう、この措置法33-4 の適用が、今回の無税になるための控除なんです!
なので、私はこの選択肢を入れて保存しようとしたのですが……エラー。
(実際のエラーのスクショはもう今さらないのですが……苦笑)
「黒字になるように入力を見直してください」
みたいな文言が画面に表示されたのです!
……え?(・∀・)
……どう考えても、赤字になるよ?
んんんんーーーーーー!?!?
(このあたりから、徐々に腹が立ち始め、ボルテージが上がってきますw)
なぜだ!完璧なはずの収入金額と必要経費計算
さて、このあたりからそろそろ画面がスクショでほしいところですが……
まぁすいません、あげちゃったので税務署さんに……w
(ちなみにこのあたりの計算は、実際の書類とにらめっこするより、e-tax の画面のガイダンスに従った方が、案外わかりやすい気がします、個人的には。)
さて、では [ 4 譲渡所得の金額を計算します ] という項目について計算式を見ていきます。
我が家の土地は 1880 万円で 181m2 の購入でした。
それに対してセットバックは 26.81m2。
(ちなみに我が家としては、上記はほとんど計算に入っていて、約 150m2 の土地を 1880 万円で買う契約、と最初から思っていたくらいです。w)
上記を前提に各項目を計算すると……
収入金額 : 約 25 万円程度 ( from 市 / 私の分だけ、夫と半分ずつなので )
必要経費 : 約 139 万円程度 ( 1,392,342 = 18,800,000x26.81/181/2)
差引金額 : 約 -114 万円程度
……ほらーーー!!!!
どうしたって赤字じゃないかーーー!!
それも上記、土地の純粋な契約金額だけなんだぞー!
実際にはもっと仲介手数料とか諸々かかったんだぞー!!
でもどうせ赤字に違いはないからと計算から除外したんだぞーー!!!
(決して余分な努力をしたくない病じゃないぞーー……←w)
……憤った私は、保存できないのが腹立たしかったのでなんとかできないか! とサイトを巡ったり、e-tax の仕様を調べ始めました。すると……
概算取得費にするボタンを発見
取得費というのは、上記式で言う必要経費ですね。
我が家の場合は去年買って去年セットバック採納して、今年協力金を受け取っているので、取得費がわからないはずはないのですが……。w
どうやら、そういう取得費がわからない人向けの措置として、概算取得費として、売却金額の 5% に設定できるというルールらしい。
そして!
コレ ( 確か [ 5% にする ] みたいな表示だった気が……!)にチェックを入れると、上記 [ 33 条の 4 ] が押せる……!!
(ちなみに、法的にいえば、上記項目は結局随分前に買った土地とかの場合、取得時の金額がわからないよね?という場合の措置らしく。ただ、いろいろ検索してみると、うまい節税に使える項目でもある模様。ま、わがやにはほとんど関係ないですが……。笑 )
……というわけで、んじゃこれでいっか〜!
と楽観的にウキウキしていたのですが……最後の確認画面でストップ。
……あれ?
(・∀・)……
……区分が [ 長期譲渡 ] になっちゃってるやないかーーー><!
概算取得費を設定すると長期譲渡になってしまう苦悩
何が問題か、というと、この短期・長期が異なると、税率が変わってくるってことなんです!
この短期か長期かは、取得から 5 年を経過しているかどうかが判断ポイント。
よって我が家は明らかに短期譲渡。。。
さすがに、昨年買った土地に対して取得費がわかりません=長期になっちゃいました……なーんて無責任な申告はいかんだろうなぁ。。。
というわけで、このチェックは外すことにしました。
そして結局調べていったところ、どうしてもこの赤字になる限りはこの e-tax システム上では正しく認識されない!という結論に達し、私は [ 33 条の 4 ] を選択しないままの状態で一旦、確定申告書を埋めることにしました。
え?いい加減な申告書で申告することにしたのかって?
いえいえまさか!笑
ディズニーか!? 待ち時間 1時間半の板橋税務署!!泣
……というわけで!
先週末 2019/2/24 の午後に、源泉徴収票の印刷と、上記で作成した未完成状態の確定申告書を持って、板橋税務署へ。
作戦としては、[ ここまで書きましたがあと何が違いますか? ] を相談してから、未完成品の正しい部分は現地の手入力用見本にしちゃおう!というもの。笑←効率的なのが大好きなのでw
いや〜〜〜、見た目上はそんなに並んでないように見えたのになー。
入り口から入っていくと、特設受付窓口が奥の奥。
というわけで、建物内が長蛇の列!!
……早めに申告を、って思って来てみたけど、出遅れたわけでもないけど早いから空いてるってこともやっぱりないか……とがっかりw
結局、1時間半ゆっくり進む列を待ってようやく相談員さんの場所に到着!
なんとそれもイスがない、立ちモードでの書類作成ゾーン!!笑
私たちの前の高齢者二人が、「私たちじゃわかんないわよねー相続税なんて」「だから来たんじゃなのー」と言ってましたが……これからの長丁場、立ちっぱなしなんて、なんておかわいそうな。。。。(と個人的には思っていました。)
赤字の場合は申告不要ですよ!( ー`дー´)キリッ
そうしてその立ち席に立つこと待つこと 5 分弱。
よーやく担当の女性の方が登場。
私は速攻作業を済ませて帰るべく、以下のように説明。
「昨年6月に土地を買いまして。
そこの一部がセットバックの対象になっていて。
市に、採納と言って、プレゼントしたんですね昨年。
そしたら少しばかりですが、と、協力金を受け取りました、今年の上旬に。
で、先月末にこういう書類が届いて……確定申告をせよ、と。
実際に自宅で入れ込んだのがこの書類なんですが……。
譲渡取得の内訳書の取得費は、購入代金に面積割合を掛けて譲渡した土地の相当額を算出。
それをフォーマットに入れ込んでいくと、赤字になって……。
法 33 条の 4 が適用だと思ったんですが……。
そもそも今回の場合、確定申告って必要なんでしょうか?」
すると各書類を見て、数値計算を確認した後、女性担当者さん曰く。
「もし、赤字であれば確定申告自体は不要です。
土地の登記も終わってますかね?(私、頷く)
であれば、今回の情報は市町村からも届くはずですので。
住所は現住所での契約で間違いないですか?(私、頷く)
……では、一旦この譲渡所得の内訳書だけ、お預かりしても良いですか?
税務署としては、お金の流れが把握できれば問題ないですので。
赤字になる旨の状況をこの用紙で把握できるので、確定申告は不要です」
私「ちなみにこの証明書関連はどうしましょうか?
私が持っててもしょうがないので、お渡ししておこうかな?と。
あと、夫分の書類は作ってこなかったんですが、別途必要ですか?」
税務署職員「いえ、一旦証明書は提出不要です。
万が一、税務署から確認の依頼が来た際には、すいませんが提出をお願いできますか。
なお、この内訳書に旦那様との持ち分も個人情報も記載がある ( 2 枚目 ) ので、別用紙は不要です。
もし、写しや控えに印が必要であれば、お手数ですがこの相談窓口の最後にある、提出所に再度並んでいただく必要がありますが……どうされますか?」
私「あ、いえ。ではこれだけ預かっていただければ控えは結構です」
……というわけで!
会話自体は 5 分程度で完了♪
やったーーーー!おわったーーーーー!!!
……というのが、我が家の一連の本件の流れでした。
いやー。知らないなりに調べるのは大変でした。。。
でも、別に税理士さんに頼むほどのことでもないだろ、、、と思った私としては、税務署側のOKをもらえて大満足。笑
収用証明書が届いても大事なのは所得有無
総じて振り返ってみると、税務署的に大事なのは、その得たお金 ( 収入 ) は所得になりますか? という結論だけらしい。
でも、確かにそうか。
税務署は所得がある場合にそれを税金を課す対象にするわけだから。
いずれにしても、いい勉強になったなーということはいくつもあって。
1. セットバック採納は手続きが面倒
2. 協力金以外に登記の手数料負担もしてくれて、その手数料は課税対象外
3. 上記協力金は課税対象ですよーと市から連絡は来るが、確定申告がマストか?と言われるとそうじゃない
4. 税務署はお金の流れが知りたいので [ 譲渡所得の内訳書 ] を出しておけば確定申告までしなくてもよさげ。
5. 日曜の税務署はとりあえず混む。笑
……というわけで!
もし今後、同じようなケースで悩み、Yahoo 知恵袋をあさってみたけど確信が持てないし、でも税務署に何て尋ねればいいかわかんないなぁ、、でも自分でやろうと思うなー、みたいな人の参考になれば幸いです。
なお、上記から一連の流れでおわかりの通り、正直最後は [ 税務署担当者の判断次第 ] で必要書類は変わります。笑
あと。
マイホームを買う場合には、今後毎年しばらく確定申告には付き合うハメにはるので、マイナンバーとオンライン申請のための事前 IC チップの設定だとか、パスワード設定だとか、IC チップリーダーの購入とかも……オススメです〜♪
(我が家はマイナンバーの登録は完了してるので、来年以降はオンライン申請予定( ー`дー´)キリッ←笑)