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あたたかくて寂しい夢 セクシーボイスアンドロボ感想前半
一番好きなドラマは?
"セクシーボイスアンドロボ" です。
木皿泉、山岡真介、根本シンジ脚本で
主演は松山ケンイチと大後寿々花。
観ていた時期は、12歳の頃だった。
私は松山ケンイチファンで、そのために観ていたけれど、周りの友だちで観ている人は誰もいなかった。妹だけが一緒に観てくれていた。
思えば私のサブカルチャーとの出会いはここにあったように思う。
「私は誰がなんと言おうがこれが好きだ」「これが好きな自分が誇らしい」と思っていた。
その後に出会うたくさんの物語や音楽が、10代の不安定な自分を支える仕組みのはじまりのように思う。
とはいえ、私の人生に明らかな影響は与えつつ、繰り返し見ることができなかった(ビデオで録画できたりできなかったり)ので、
「あたたかいのに、なんだか寂しい夢」
くらいの記憶になっていた。
(それはそれで、支えになるのだが。)
2024年になり出張先で、普段は行かないくせになんとなくBOOKOFFに立ち寄った際、「セクシーボイスアンドロボ、あるかな」とふと思った。
時々思いを馳せてはいたけど、その時にこの発想になったのは驚きで、さらにドラマDVDのコーナーにDVDボックスが置いてあって、超驚きだった。
「呼ばれた」系の経験、生きてたら時々あるもんだ。
前置きが長くなった。
17年ぶりの視聴感想を残していこうと思う。
これを書き始めたのは、6話まで進んだ状況で、とりあえず前半を書きます。
1.三日坊主
家と学校が世界のすべてだったニコが世界と関わっていくことになる1話。
曲がり角を曲がって、世界が広がった日。
完璧な第一話じゃないですか。
あまりにも完成度が高くて、初手から感想を書くハードルが高すぎる。
忘れたくないことを記録するメモ帳に
三日坊主がひとり
"人の家で食べたカレー
その理由
生きてる気がした"
と書き残す。
(この時の三日坊主の目が素晴らしかった。)
その次のシーンで、ニコの父が集める牛乳の瓶を「俺の生きてきた証」と話していた。いつも通りの家の父と母の会話が、違って聞こえる。すごくうまい。
"お前には不意に明日が見える"
三日坊主が好きなこの詩もすごくいい。
最後は、ニコは生きるということは世界とどうしようもなく関わっていることを学ぶ。
物語の幕開けに、なんて美しいテーマだろう。
色々観てきたし観て行く予定だけど、この「第一話」を超えるものに出会える気がしない。
2.ごぼ蔵
…めちゃくちゃ泣いた。
愛する人に会うために、下手な強盗をした男の話。これを作った人は、人のことが好きなんだなあ・かわいいと思っているんだなあと強く思った。
よっちゃん側のストーリーでも笑わされる。
この話の最後、ごぼ蔵の自首を見送るロボが「あと3歩!」と寄り添ったところに心を打たれた。
私はこのような優しさを持つ人になりたい。
3.お歯黒女
死にたい人とニコとロボ。
「気の進まない仕事でも押し付けられたことでも
自分のやり方でやり通す。
それが自分らしく生きるということ。」
社会人には刺さりすぎるよ。
「この世界で普通に生きていく大人たち」にエールを送るような話だった。
死にたがりでモラトリアムに浸った自分を葬り、地に足つけて生きていこうぜ。
4.かんにん袋
殺してやりたいくらい憎い人がいる。
それを睨んで生きていくよりも手を離して楽になることを祝福する。
これも、この世界で普通に生きていく大人たちへのエールですか?
生きていたら、大なり小なり許せないことなんてものが生まれてしまう訳で。
どうしようもなく過去の自分を守りたくて固執してしまうけど、それを手離して自分を幸せにしてあげていいんだ。
私たちには幸せになる権利がある。
5.うしみつ様
10代の退屈さを強かに誤魔化してる女の子たちが印象的。解像度高い。
よっちゃんに思わず笑ってしまう。
6.ZI
忘れられない話になった。
頭が痛くなるまで泣いた。
家族。よくあるテーマで、呪いでもあり祈りでもあるもの。
セクロボの場合、「家族はいつかバラバラになるものである」とされていた。
家族はどこまでいっても他人であり、それは血の繋がりのある親子であっても変わらない。
だから、いつかバラバラになる。
死別、別居、結婚、離婚とさまざまな理由で。
ニコの家族、ロボと母、そしてZI一家、
よっちゃんとボスもか。
それぞれの家族にドラマが見られるのだけど、
「バラバラになる」までしか言わないことで、そのかけがえのなさが伝わってくる。
珍しく物語に触れて自分の家族のことを考えて、涙が止まらなくなった。
(家族モノってもはやありふれすぎて、もはや自分の家族のこと考えることもなくないですか?)
(ワ◯ピース読んで、家族のこと考えたことない。ワ◯ピース大好きだけど。)
とにかく、私にとってすごい回でした。
あと、りょうの美しさに目を奪われる。
さて、前半の感想はここまでにする。
えっと、つまりは色々書きましたが、
前半だけで既に、このドラマを作った人たちにとにかく感謝を述べたい、そのような熱意が湧いた。
数年ぶりにnoteを投稿するほどに心打たれてしまっているということです。
終わってしまうことが寂しくてなかなか進められてないけれど、残り半分も楽しみます。