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ドームに返り咲いたキスマイのライブ、キャリアの重み感じて良かった。

「もっと大きな会場でライブしませんか?新生キスマイの多面的な魅力がゴロゴロ出るような会場です」

ハリソン山中

6人体制になったKis-My-Ft2の【For dear life】ツアーに入ったとき、グループとして醸している雰囲気もすこし変わったし、最近は大人っぽいグルーブの曲も増えてきていて、ここからさらに進化するならめちゃくちゃいいなという期待感で、やはりドームに返り咲いてほしいという感情が湧きあがった。それを今のムーブで表現するとこれ(地面師たち観た)。
13年間のキャリアのなかで、平成のキスマイはなかなかに景気が良くてドーム常連で特効打ちまくりなライブを重ねてきた。ドームでのライブ敢行は、やはり売り上げに左右される面が大きくて近頃のキスマイだとなかなか難しいかなと感じるところも正直あったし、事務所内で割り振りがあるとしたら、勢いのある若手グループがやるべきだとも思っていた。
それでも!!やっぱりドームが似合うキスマイが観たい!!
この葛藤のなか、ニューアルバム「Synopsis」を引っ提げてドームに帰ってきてくれたわけですありがとう泣
大阪初日と名古屋1日目に入ってみて感じた。やっぱりこのひとたち一筋縄じゃいかないというか、平成のあの事務所を駆け抜けてきただけあって安定感、精神力半端ない。っていうか、キスマイに限らずこの事務所で育ってきたひとたちのエンターテインメントに共通している芯や核のようなものがあって、なにがあったとしてもそこが揺らいでいないのがすごい。
オーラス入っていないので、二階堂くんが体調不良で出演しなかったことについては心配ではありますが言及せずにライブそのものの感想を書きます。ただ、名古屋1日目に関しては途中から二階堂くんに異変があったのもわかったし、それを全力フォローしようとしたことで5人にべつの力が乗っかっていたかもということは感じました。

まずびっくりしたのは、大阪も名古屋も歓声がすごかった。キスマイ担元気すぎて良かった。その歓声に押されて自分もかなりテンションがあがったところもあり、生の熱量がもたらす今ここにしかない空間の尊さを再認識。
大歓声のなか「Synopsis」リード曲「Loved One」で開幕。この曲ははじまりの予感に満ち満ちた祝福のイメージが強くてオープニングにぴったりだった。
まずもって、ここ数年のキスマイのライブ衣装は天才がすぎる。インスタでも堪能できるファッショニスタ玉森裕太による渾身のディレクション。
オープニングの衣装は玉森くんと千賀くんのシャツがバレンチノだったので、オリジナルではなくおそらく6人ともハイブランドで統一しているのかな。【HOME】のライブのオープニングでもGUCCIやDOLCE&GABBANAで纏めていたので、ここ最近はそういう流れもあるかも。
キスマイらしさは存在しつつ確実にあたらしくかっこいい千賀くんプロデュース曲「Keep it 100」、そこからいつかジュニアが取り合ったと言う噂の「A.D.D.I.C.T.」になだれ込み、まさかのフル尺で完全に空間とオタクの心を掌握しつつ、懐かしいシングルメドレーに入る。前回のツアーでもこの流れはあって、おそらくシングルや人気曲に関して歌割りをし直して6人で新たに構築したものを意図的に披露しているのではないかと思う(「CHUDOKU」とかもそれ)。
懐かしくも歴史を彩ってきたキャッチーなキスマイPOPの数々から最新アルバム「Connecting!!」へ。セットが家電になってて可愛い。洗濯機の上には玉森くん出演CMラボンのデザインを模したような洗剤とかもあって愛を感じた。
二階堂くんプロデュースのこの曲はAメロの玉森くんの気だるげなラップがたまらん。2番Aメロの宮田くんのラップも良い。サビ前の藤ヶ谷くん(2番は千ちゃん)の難メロからサビの♪Connecting~~~は勢いとニュアンスを出すのがかなり難しい難曲だと思うのですが、新しいものどんどん見せてくれるなという感動すらあってBIGLOVE感じていたら、本気で懐かしい「3D Girl」がセグウェイに乗って始まったので横転。でも、このアルバムとライブはゲームがコンセプトになってるので「3D Girl」というのはあーそゆことね感はあったしらんけど。
ここからの衣装も最高に可愛い!ノーカラーのショートジャケットには色とりどりのストーンが敷き詰められてて8キロにも及ぶらしい。ワイドデニムにスニーカー。踊るたび、動くたびにライトに反射してキラキラして存在が眩しかった。この衣装をイメージしたアクスタケースかうちわを作りたい!
横尾さんがプロデュースした「ほしゆい」は和テイストなのだけれど、正直、うちの(うちの?)事務所ってアイドル×和においては専売特許というか、ジュニアからデビュー組に至るまで一度は通る表現とでも言いますか、突然ライブのセットリストにぶち込まれても対応可能だし、板についていて魅せてくれるのであまり違和感がない。
センターステージにパネルが現れ、映す映像とコラボするような演出で「I Miss You」チルい。最高。俺が観たい聴きたいキスマイってこれこれこれこういうことなんだよと言えるくらい好きなテイストの楽曲。愛してる。
【WE ARE】のグループ登場でも歌った「C‘monova」はあたらしいキスマイの名刺みたいな曲で良いし「HEART BREAKER」はカッティングギターとグルーブが気持ちよくて、最近のキスマイの楽曲、個人的に刺さる曲が多くてうれしい。各時代も刺さってきた曲が多かったからこそ、10年超えて好きでいられた部分は大きいのだけれど、中堅になってきた今、音楽性でもさらに進化してくれるのは非常に追いかけていて楽しいところではある。
ただ「HEART BREAKER」はリフターに乗っていたので踊っているところもライブで観たいです(強欲)
懐かしの「WANNA BEEEE!!!」、パーティーロッキン!!な「KISS魂」でチルな雰囲気をもう一度アゲてからMCへ。

ドラマや映画など俳優業はもちろん、声優、化粧品アンバサダー、個展、YouTube…と10数年走りつづけて個々の個性が獲得してきたものの幅広さを実感するお仕事紹介から「Chillax‘」「Forever girl」で後半へ。「Forever girl」はマネージャーチームが選曲したらしいけどその理由が「最近キスマイ失恋多くないですか?」なの笑う。ほんとそれ。自分も身内に同じこと言った記憶がある。

バレエコアなテイストがたっぷり詰まった白の衣装がもうほんとうにほんとうに玉森裕太天才…!!なのですがこの衣装で魅せたセクションが最上。
3塁側に入った大阪ではまったく見えなかった「Luv Bias」の藤ヶ谷くん。名古屋では1塁側で大勝利。指の先まで行き届いたダンスで儚いのに力強くわけがわからないくらい美しかった。こういう瞬間のために生きている。好きじゃないひとにとってはなんの価値もないであろうこの瞬間にわたしの人生がある。
「Jenga Love」はキスマイにありがちな良曲すぎるカップリング曲でこれもまた大人ぽくて好き。白い衣装にピンクや紫の照明が抜けていくのが綺麗だった。「With…」自担プロデュース曲。バッハの「G線上のアリア」をサンプリングしたこの曲、アルバムを聴いたときから1,2を争うくらい気に入っていた。ほんとうはファイナルファンタジーあたりをサンプリングに使いたかったのかなと思ったけど。これもまあ歌いこなすのが難しい曲だろうに、挑戦する気概も感じられた。
大阪のときはアリーナBブロだったのもあり、なにやっているのかほんとわからなくて、マイクが伸びてる…?動いてる…?え…?状態。名古屋できちんと見ることができた。おきあがりこぼしみたいなマイクスタンドを操りながら、スモークが焚かれた幻想的な空間で踊っているというか舞っているようなたいぴ。もう天女だろ…
ラブバイでもそうだったけれど、所作が美しすぎる。見惚れてしまい目が離せなかった文字通り双眼鏡からも目が離せなかった。まーじーで、天つ風 雲の通ひ路吹きとぢよ…って脳裏をよぎったからね。僧正遍照がこの歌を詠んだときの心境が時を超えてこの身を駆け抜けたね。
失恋の多いキスマイ、またも失恋曲「Reset」で白衣装ターンエンド。

白衣装のセクション最上って言ったけれど、このあとの黒衣装も最上だったので結果ずっと最上。白から黒への衣装チェンジでキスマイの二面性を見せていく、まさにそのスイッチを果たした「B-SIDE」は宮田くんプロデュースで40mPが提供してくれたボカロ曲人間ver.のような曲。キスマイにとって異質な世界観を少しずつ持ってきてキスマイに新しい可能性を開いてくれる宮田ニキ大好き。ソロ曲だけどみんながオタ芸をすることになった「ヲタクだったってⅠt’s Al right!」や、ElementsGardenの上松さんに作ってもらった「COUNT 7EVEN」とかもそう。アニサマ出演おめでとう!
ちなみに名古屋ではお玉が中のシャツを着ないという視覚に対する美の暴力に出たおかげで悲鳴、悲鳴、悲鳴。スクリーンに映るたびに怒涛の悲鳴。腹筋だけで勝利しててバンテリンドームが玉森裕太の領域展開の中だった。
初日大阪で「NAKED」のイントロが流れたときはわたしが勝利を確信。KMと(sic)boy提供による、毎度セトリ入りしてくれても構わないくらい好きな曲。ここのところ常連だから落ちるかなと思っていたありがとう。個人的にキス担は「NAKED」好きなオタクが多いイメージなんだけどどうかな?スクリーンに映るモノクロのキスマイがかっこよすぎて良良良。
無観客の配信ライブでしか披露していなかった「catapult」もよくぞやってくれました𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬_____
そして言及したいのは「Take Over」について。𝟭𝘀𝘁アルバム収録という懐かしい曲でペンラ芸始まって!?!???!??!ってなった。待ってウィプザ???????
えっ前ってこの曲こんなに盛り上がってたっけ???ストのWHIPTHATの影響?????と思いつつ、わたしはよく訓練された順応性の高いオタクなので過去一ぐらいペンラ振った。大阪初日からこれ。キスマイにとっても良い意味で誤算というか意外だったようで、たしかに「Take Over」のようなごりごりのナンバーはキスマイの魅力を構成するもののひとつではあるにしても、こうして昔の曲が急に化けたり劇的な効果をもたらすこともあるのは面白くもあるし、長くやっていくうえでもまたあたらしい扉を開くことができる鍵にもなりえる気がした。それになんと言っても、まずここへの持っていきかたが巧みだったのだと思う。「FIRE BEAT」や「Gravity」も含めて新旧織り交ぜたハードなナンバーをたたみかけて「Take Over」というひとつの到達点。だけど「Take Over」は実は導火線に過ぎなくて、次曲「WANI-WANI」に引火し派手に爆ぜる。「WANI-WANI」は、玉森くんのセンスに引き出された、今、この令和のキスマイだからこそ出てくるダンスナンバーでもあるし、2023年、事務所の問題に晒されつづけ苦悩したであろう彼らが歌う意味を考えざるをえない歌詞をとっても、めちゃくちゃ強い楽曲であり、かといって燃えさかり、滾るように熱いのかといえばそうでなく、徹頭徹尾挑戦的かつ冷めた眼差しで展開していくにも関わらず、その眼差しの内には本当に覚悟が極まった人間の静かな静かな揺るぎない強さがあり、その青い炎をたずさえてもなおクールに会場を興奮の渦へ引きずり込んでいくような底なしの魔力を持っていた。怖かった。これだからなんだかんだ言ってもこのひとたちから離れられないのである。
ちなみに前もって特効曲と明言されていたとおり、特効打ちまくりのぶちあげ祭。景気がいい~~~~~~!!!!!!
まっじで良かった。最高だった。
アンコールはおなじみのPOPなキスマイでさくっとまとめたあと「笑って泣いて」へ。
「笑って泣いて」めっちゃいいの。これもマネチームが選んだんだっけな。楽曲制作チーム?とにかく、こういう応援ソングって若いアイドルが歌ってももちろん良いのだけれど、30代になったキスマイが歌うからこそ深みと重みが織り込まれて味わい深く、より歌詞にこめられたメッセージが立ちあがってくる。泣いた。笑って、泣いて、それだけがすべてではないけれど、ある種人生はそのくりかえしでできている。それらが連なって長い道をつくる。生きるとは。この答えのひとつとしてシンプルさに立ち返り、彼らはタフに、それでいてラフに今ここに立っている。
この曲がこれからのキスマイの新しいストーリーを表現するべく制作された”あらすじ”という意味のタイトルを冠したアルバムに収録され、ライブのラストを担ったことで、あたらしいかたちになったキスマイはもっと素敵になるという予感をもたらしてくれた。
10年以上魅せつづけるってね、そりゃ時代も流行も変わるから消費される時間と量に差はあれども、生半可な覚悟と姿勢じゃ足りないというか、けして
”お気楽な家業”ばかりで創られたものではないと本当に言いたい。

最後に、もうひとつキスマイにも言いたい。
「Two as One」のことも忘れないで…!
高嗣がボス恋好きでポイント高しだったのは知ってる。だからラブバイになっちゃうのわかるラブバイポイント高しだよね!わたしも大好き。
【逢えるdeShow】ツアーの途中で新曲として組み込んだから披露済認定かもしれないけどその会場には残念ながらいなかったので、つづいていく物語のどこかでいつか聴かせてくれたらうれしいよ。



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