平成オカルト倶楽部

平成20年まではツチノコも河童もビッグフットも宇宙人も超能力者もこの世に存在していた。
幾重もの山河をかき分けて辿り着く集落には恐ろしい言い伝えがあり、夜の都会の路地裏にも不気味な都市伝説が蔓延していた。

全てを日のもとに引き摺り出したのはiPhoneだ。
それよりも以前にPCや携帯電話など電子機器が発達していたが、PCは家の中にあり場所が、携帯は持ち運べるがデータ量が、それぞれ制限されていた。
iPhoneとデータ通信技術が実世界をSNSに繋いだ。
記録され蓄積された膨大なデータがそんなものの存在を許可しなくなった。


古今東西の物語には現実と想像が混じり合い、物語を摂取したあとの目の前の世界からは想像の味がした。
今、私が受けとる物語は完全にフィクションである。いつのまにか想像は現実と完全に分離してしまった。
物語を読んだ後、ノンフィクションの現実が現れる。


SNSを覗いてみるとリアルばかり流れてくる。
想像上の内容(嘘松)や背伸びした内容もあるが、それらもリアルの延長線である。
受け取るだけでは想像の味がしない世界となった。
人気スポットに出かける。流行りの音楽。話題の料理。バズ動画。定型文。
これだけでは想像欠乏症になってしまう。



物語を書く、絵を描く、音楽をつくる、演奏する、スポーツをする、お笑いをする、ダンスをする、服を作る、プログラミングをする、工作をする、映像作品を撮る、花をいける、家具を作る、手芸をする、釣りをする、料理をするetc


作業ではなく常に自分自身が想像を分泌する事で、直接自分の現実に想像が流れ込んでくる。
現実と想像が混ざる世界。
その時代に、もう一度EX


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