【ネタバレ感想と宣伝】2020年のシャニマスイベントコミュ個人的ランキングBEST5
2020年、世界はコ○ナの炎に包まれた!(※可燃物ではありません)
海は割れ、地は裂け、あらゆる生命が死滅したかに見えた!(※流石にそこまでではありません)
だが、シャニマスのコミュは面白くなっていった!!
***
はいどうも稜乃です。
2021年始まりました! 今年もミリオンライブを布教していこうと思います。そういう男として生まれたからね。
去年一年、様々な形で振り回されたような記憶がありますが、今年も正直な所暫くは自粛ムードが続きそうで今から不機嫌になります。
しかし、この騒ぎにまるで比例するかのように2020年のシャイニーカラーズのコミュが面白かった!!
前回投稿させて頂いたG.R.A.D.の話でもそうだったのですが、今年のイベコミュに対する力の入れようが凄い。ノクチルという満を持して投入したユニットは勿論なのですが、彼女達の登場によってかシャイニーカラーズのシナリオ全体にバフがかかったかのような印象を受けました。
必ずしも関係性があるというわけではないのでしょうけれども、そのように感じられてしまうぐらいに2020年のコミュは面白かったのです。
その中でも凄かったのがイベントコミュ!
イベコミュはちょっとプレイするだけで誰でも見られるお手軽コミュという印象がありますが、シャイニーカラーズは違います。
PSSRはプロデューサーとアイドルの信頼を高める物語が殆ど故に、むしろイベントコミュがユニットたちを語る上での本懐。シャニマスが箱推しを勧める最大の要因はイベコミュにこそ存在する、と言っても過言ではないでしょう。
時として涙を流し、時として怒りを露わに。互いに互いを高め合う283プロのユニット制度が一番生きるもの、それがイベントコミュなのです。
そんな2020年イベントコミュ、まさに珠玉の出来でした。
今までのイベントコミュが決して悪かった、というわけではありません。ただこの2020年のイベントコミュ、完成度が段違いに高かった。
シャニのシナリオは良いと散々に言われていましたが、今回の出来は10年に1度の出来、といっても良いでしょう。
そこ、誰だボジョレーヌーボーの宣伝文句みたいだって思ったのは。
そんなイベントコミュ、なんとこの正月期間で1月12日まで無料で見ることが出来る! 何てお得な!
そうであれば、私は是非この2020年のイベントコミュを見てほしい!
多くの方に、2020年イベントコミュの出来をお伝えしたい!
そう思って筆を執らせて頂いた次第です。
ただ流石に全部やっちゃうのはすごーくしんどいので、とりあえず僕が本当におすすめしたい、と思う5つのイベントコミュをランキング形式で紹介させて頂ければ、と思います。ゆるせ!!!
今回の記事は一応ネタバレ記事にはなっておりますが、可能な限り核心に至るネタバレを避けつつ、実際にイベントコミュを見て頂いて楽しんでもらいたい、という目的があります。
そのため、2020年のイベントコミュを見ていない方にこそ読んで頂きたい!
勿論読んだ方は、私の感想に対して様々に思いを馳せてほしい!
そんな感じで楽しんで頂ければ幸いです。
5位『流れ星が消えるまでのジャーニー』
アルストロメリアの中で特に、大崎姉妹の二人に焦点を絞ったイベントコミュが第5位となりました。
このイベント、一応は「アルストロメリアのイベントコミュ」となっているのですが、あくまでも大崎姉妹の扱いがメインで千雪の出番は非常に少ないです。勿論要所要所での活躍はするのですが。まぁそれにも実は理由があるのですがそれは後ほど。
甘奈が風邪を引いてしまったことで仕事に参加できなくなってしまい、それを心配しながらも姉である甜花が自分の仕事を必死に頑張り、その最中に姉妹二人の間にあった過去の思い出を振り返る、そんな物語です。
過去の甜花のカードに存在していた「デビ太郎」の扱いに対する話題が話題に登っており、二人の間におけるこのデビ太郎のクッションの認識のすれ違い、普段から甜花を猫可愛がりしている甘奈に対する姉としての大崎甜花の感情など、二人の姉妹としての物語にしっかり焦点が当たっています
「あんな事があったね」
「そんな事もあったね」
二人の語る、懐かしい過去の物語。成長するにつれて変わっていった二人だったけれど、その仲の良さが変わったことはなくて。微妙な認識のすれ違いもあるけれど、それは二人の仲を傷つけるものではなくて。
ただただ温かい、あの日の流れ星を見上げた日に思いを馳せる、そんな優しい物語です。
いや、とにかく甜花ちゃんの印象がこの1年はガッツリ変わった感じがします。本質的に「顔の良いのび太」であることは全く変わらないのですが、姉として大崎甘奈に対する強い絆の気持ちを垣間見れる部分が多々あります。
後述するとあるイベントコミュでもそうなのですが、大崎甜花はだらしない所は非常~~~~に多いけれど、他人の力を存分に使って必要な時に最大限に踏ん張れる女である、ということが良く解ります。
甘奈が見た目に明るいギャルでありながら他人を頼るのが余りに下手であるのとは大いに違う、不思議なキャラクター造形だなあと。アイマスの双子ではっきりと方向性が違うの、大崎姉妹が初だったんじゃないかなあ。今だと久川姉妹も居るけども。
イベコミュもそれなりに重い話が多い中、この『流れ星が消えるまでのジャーニー』は非常に読みやすい、軽めのお話であるのもポイントが高いです。二人の姉妹としての絆に一歩踏み入れる、楽しいイベントコミュとなっておりますのでその点でもこの順位となりました。是非楽しんで下さいね。
では第4位です!
4位『アジェンダ283』
シャニの半期ごとに訪れるユニット越境全員登場コミュ、今年の夏頃に訪れたこのコミュが第4位となりました。
このイベントは、2020年4月登場の新ユニットであるノクチルが登場してから初めての越境コミュとなり、ノクチル自体があまりにも閉鎖的なユニットであったためにどういう絡みになるのかはイベント以前からも話題になっていたかと思います。
そして実際に他ユニットとの初めての触れ合いとなったノクチルメンバーたちの物語ですが、これがまた何とも趣深い。
この物語は越境コミュではありますが、基本的にはイルミネーションスターズの3人がメインとなって動きます。彼女達の普段のゴミ拾いの活動を283プロアイドル全員でやることになり、それぞれのユニットでゴミ拾いをしている姿をイルミネの3人が手伝いに行く、というのが基本のお話になっております。
2020年前期の物語を回収する部分が多くあり、それぞれの思い出を語ったり繋がりを描いたり、ストレイライトが周りと溶け込まずに自分たちだけで動いていたりと見どころが多いコミュです。
そしてその中でもやはり見所になるのが、イルミネーションスターズとノクチルの邂逅、互いのリーダーでもある櫻木真乃と浅倉透の出会いと会話にあります。
2020年の櫻木真乃は、今まで余り表に出てこなかった部分のキャラクター性が表に出た一年であった、と思います。
僕も結構誤解していたんですが、真乃は決して明るいタイプのキャラではありませんでした。どちらかと言えば陰キャ側の人間で、人を奮い立たせるよりは奮い立たされることで戦地に赴くタイプなのです。
多分灯織が余りにも余りだったので気づかれてなかったと言うか、灯織相手だと真乃も介護に回る側だったので知られにくかったんでしょう。でも考えてみりゃ公園で鳩と会話してる女が陽キャなわけねーよな…やってる事が伴田路子だもんな…
そんな真乃がメインにあり、パッと見で不良っぽさの溢れるノクチルに怯える所や、ついでに灯織も怯えたり、めぐるが生来の陽キャぶりを発揮したりするわけですが、実はノクチルたちも意外と似た者同士なのではないか、という雰囲気が伝わってきます。
エピローグにおける真乃と透の会話は不思議な距離感で非常に心地よい。特に透に対する印象がここで変わった、という人は多いんじゃないでしょうか。ただの不思議ちゃんではないのです。
そして浅倉透は明確に樋口円香に甘えているということが判明します。こいつほんま甘えるやつには徹底して甘えるやつやな…
ホーム画面におけるユニット会話追加で色々騒ぎになりましたが、多分このコミュを見ていた人は透と円香の会話にそんなに違和感を感じなかったんじゃないでしょうか。そういう、ノクチルの外面と内面に対する部分が会話見えるコミュです。
案外浅倉も樋口も年下に対して姉のような意識で振る舞おうとするし、ノクチルの後輩二人を守ろうとする意識が働いている感じが見え隠れします。そういう所、ちゃんとお姉ちゃんしてるんですよね、あの二人。
越境という割にそれぞれのアイドル同士が絡む時間自体は少ないのですが、むしろそれが読みやすさに繋がっている部分があります。メインがイルミネーションスターズで構成されているため、会話としては短い部分もありますがそれぞれのユニットとイルミネ達の絡みは今までの振り返りのようで楽しくなれます。
そしてそこに焦点を絞ってるからこそ、見ている側も難しく考えず、イルミネと他ユニットの距離感みたいなものをわかりやすく感じられます。
のんびりした事務所単位のゴミ拾い。そんな日に起きた些細な繋がりが物語になることが、シャイニーカラーズのイベコミュの美しさだなと思っております。故にこの順位にさせてもらいました。
ノクチルを知る上での一助になるのは間違いないので、是非読んでみて下さいね。
それではBEST3の発表です!!!
3位『薄桃色にこんがらがって』
2020年、シャイニーカラーズ界隈を騒がせた、驚異のコミュが3位にランクイン。
まず前提として言わせていただきますが、BEST3はほぼ横並びです。個人の好みがはっきりと出るラインで、おそらくこれが2020年のTOP1という方もかなり多くいらっしゃるかと思います。ぶっちゃけ僕も読むタイミングによっては1位になっていたかもしれません。
それを伺わせる出来ではありますが、私はこの先にある2つがこのイベントコミュよりも更に好きだった。それだけのことである、と思って頂ければ幸いです。
このコミュは簡単にあらすじを語らせてもらいます。
桑山千雪の若い頃に憧れていた「アプリコット」という雑誌が復刻することになりました。そのマスコットガールをオーディションで決めることになったのですが、283プロでも大崎甘奈に声がかかりプロデューサーも気合を入れていたのですが実はそのオーディションはある事情が…
そして千雪もまた幼い頃の憧れを捨てきれず、オーディション直前のある日に大崎家を訪れて…
先ほどお話した『流れ星が消えるまでのジャーニー』がアルストロメリアというユニットのイベコミュであるにも関わらず大崎姉妹がメインだったのは語りましたが、それには大きな理由があります。それは、この『薄桃色にこんがらがって』が桑山千雪が主人公の物語だからです。
千雪は事務所で最年長のアイドルで、283プロに存在するたった二人の成人済みの更に唯一の社会人経験アイドルです。そんな彼女は、自分より年若い二人の姉妹に対してはしっかりと大人らしく、姉らしく、時に母親らしくも振る舞うことがありますが、彼女自身は本質的に非常に若く、幼少期の頃に持っていた少女性を今なお全く無くしていない女性です。
プロデューサーとのやり取りで顕著ですが、とにかくイチャついている。ただ、個人的に見ていてこの二人のイチャつき、何というかエグみがない。
仮にも成人済みの男女の会話だと言うのに、ノリはどちらかと言えば中学生で同じ部活をしていて特別気が合うクラスメイト、ぐらいのテンションです。互いに意識してるのかしてないのかよく解らない距離感でイチャついているため、傍目には千雪が積極的な女性に見える感じですが本人的にはそこまでプロデューサーをガッツリ狙ってる感じでもないように感じます。
(ただもしプロデューサー恋愛レースに参加することになったらなりふり構わなそうでもあると勝手に思ってる)
桑山千雪は大人しそうな外見に反して、れっきとした「戦士」であるとたまに感じます。WINGやGRADの本戦前の台詞は他のアイドルに比べても「勝ち」を強く拘る部分からも見て取れるでしょう。
そんな彼女は、憧れを捨てきれなかったのです。
憧れの機会が目の前に吊り下げられた時、自分以外の誰かを傷つけることになってでも前に歩こうとし、その戦いが負けると解っていても剣を握ることを忘れなかったのです。
この物語が特別なのは、「アイドルマスターの禁忌に手を出した」事が一番に挙げられるかと思います。
アイドルマスターは特にアニメ版以降から「みんなまとめてアイドルマスター」を打ち出しており(正確にはアイマス2から?)、アイドル同士は仲良く、楽しく、みんなで切磋琢磨してトップアイドルになろう、という路線をそれなりにやって来ました。
ただ、それはアイドルマスターの原初にあった「ライバルを蹴落として自分のアイドルのトップを証明する」部分に対して否定的になっていき、段々とアイドル同士のなあなあな仲良しを許容するようになっていき、それがあたかもアイドルマスターであるかのようになっていったのです。
ですが、シャイニーカラーズは「アイドルマスター」でありました。
それ故に、同じプロダクションの、同じユニットのアイドルに対して喧嘩を売るアイドルが産まれたのです。
この物語は……それでも、アイドルの世界の中で決着が付きます。
是非、最初にイベントの一枚絵をよく見て頂いた上で、コミュを咀嚼して頂き、最後に再びイベント一枚絵が映るシーンを堪能して頂きたい。余りにも美しくも切ない物語が、そこに待っています。
このコミュでも解るんですけど、大崎甜花はマジで「肝心な時に踏ん張れる」女です。必要な時にカッコよければそれでいい、を地で行くのがマジで凄い。
そしてそれに対して甘奈の弱い所、肝心な所で踏ん張りができない所がボロボロと出てくるのが2020年でした。
2020年の大崎甘奈は、感情の横綱です。G.R.A.D.終了まで続くし、なんならG.R.A.D.優勝時のコミュの愛情の重さったらないよ!!
2020年は正直アルストロメリアの年と言っても過言ではありません。というかアルストロメリアは毎回イベントコミュに恵まれてない?
それでは2位の発表です!
個人的に『薄桃色にこんがらがって』より更に良かったイベコミュとは…!
2位『天塵』
さよなら、透明だった僕たち。
2020年新ユニットノクチル。アイドルとしては全く華々しくない、けれど最高のデビュー戦でした。
この物語もまた、アイドルマスターに喧嘩を売った話です。
ただ、薄桃色のように『アイドルマスターのタブー』といった部分に触れたわけではありません。
ただ、連中はアイドルをアホみたいにナメてかかっている、それだけです。
アイドルマスターという作品のすごい、というかある意味で予定調和な部分が一箇所だけあります。それは、アイドルたちはみんなアイドル活動に一生懸命で努力家で口ではどうこう言ってもアイドルとして華々しく活動している、という点です。
ある意味これの原点である如月千早女史も、ある歌で「アイドルに興味ありません」とハッキリ言いながらも、必要とあれば「くちばし付けて頑張ります」なわけです。
サボらせろ、不労所得で設けさせろ、「働いたら負け」で有名な双葉杏も、何だかんだ言いつつ実力はあり仕事の場になればしっかり仕事をする、口だけは達者なもののアイドルとして一流に上り詰めました。
どんなアイドルもどんな理由があれど結果として真剣にアイドルをやっている。コレはある意味でアイドルマスターという作品の予定調和です。
ただ、このノクチルというユニット、明確にアイドルをナメている。
リーダー(?)は過去の思い出を探るためにプロデューサーを追い求めてとりあえず事務所に来ただけで、親友はそのリーダーが大人にたぶらかされてないかと目を光らせて事務所を訪れただけ。後輩1は憧れの先輩がアイドルをやると言うから自分もやるだけで、後輩2は仲間に置いていかれたくない強迫観念から特にやりたいわけでもないアイドルをやろうとしただけです。
とにかく、「キラキラした世界への憧れ」みたいなものが本当~~~にない。全員、やりたい事をやってるだけだし、それが前向きに繋がることがない連中です。
あえていうと福丸小糸だけはそういう場所への未練がないこともないんですが、それはほぼ全て「ノクチル」という繋がりにおけるものだけです。他三人が憧れないものに対しては余り興味を示しません。最近のイベコミュで若干の改善傾向にありますが、まぁ天塵内ではご愛嬌。
しかし、このイベントコミュは妙なスッキリさがあるのです。
アイドルとして前に一歩進んだわけでもない、言ってしまえば「新人アイドル共のやらかし」がメインに語られるわけなのですが、その軸にあるものに妙な爽やかさがある。
シャニマスでは特に悪役ヅラで描かれる業界人に一泡吹かせ、プロデューサーの気苦労も知らずに自分たちの好き勝手さで歩いていく姿は、一種のアウトローに対するような憧れを抱かせます。若い頃タバコに憧れるアレに近い。
自分の嫌いな奴らを自分の好きなように蹴っ飛ばし、そこから得たモノを握りしめて次の敵を探して蹴っ飛ばしにいく。これがアイドルマスターではなくメタルマックスであったなら彼女達は主役だったことでしょう。
ですが、この世界は悲しいかな、やはりアイドルマスターだったのです。
そのスッキリさと裏腹にある、アイドルとしての現実。プロデューサーのノクチルの事後処理に追われる姿など、考えても見れば現実的に彼女達のやらかしたことは「最悪」の一言に付きます。絶対にプロデュースしたくないもんこんなアイドルユニット。
お陰でその後のイベントコミュでもまあ~~~~売れてない。ファン感謝祭とか誰に感謝するつもりだなんて冗談めかして言ってたこともあります。芸能人は話題と風評が命ですからね。実質炎上をやらかしておいて売れようなんてのが間違ってはいるんですが。
そんでもってそれに対して本人らもその後のアフターケアらしいことをしない。反省の色もない。
それを一言で言えば、「アイドルをナメてますよね」という。
そういう烙印が押されるのも已む無し、といった所。
この、現実と理想とも違う、「透明」な部分で揺蕩う、不思議なユニットである「ノクチル」を完璧に表現したイベコミュである、と思います。
極端なことを言うようであれば、この物語がもし、今回の件を反省して次こそは、と奮い立つようなユニット、イベコミュであったのなら、面白いものではなく、ただ四人の女子高生たちがアイドルの世界に呑まれた、それだけのものに終わってしまったのでしょう。
ただ、彼女達はアイドルであるより、自分達の物語を紡ぐことを選びました。それが、この世界でどれだけ過酷であるか――そんな事は知らなくていいとも言わんばかりに。
その姿を見て、僕は寧ろ「美しい」と思いました。
誰にも邪魔されない、自分達だけの青春を、自分達だけで動かそうとする姿は、この先どうなるか解らなくても、その一瞬が余りにも美しい、と。おそらくこの気持ちこそが、作中がプロデューサーが感じた、「言葉にできない美しさ」だったんじゃないか、と思っています。
これは、「ノクチル」にしか出来ない物語だったのです。
彼女達が、アイドルよりも自分達という「青春」を選んだ、その結果なのです。
――かくして、「アイドルマスター」の【破壊者】がシャイニーカラーズに生まれ落ちました。
いや、これマジで凄いイベコミュだと思います。
少なくとも今までのアイマスでは絶対に出来ない、アイドル同士のライバル関係すらも生ぬるい、「アイドルマスター」という概念に対する明確な反逆だと思ってます。
もちろん、「アイマスらしさ」なんてのは後付の概念で、ユーザーそれぞれが勝手に思っているものだとは思います。けれど、そこにある「アイドルの頑張り」「アイドルの努力」「アイドルとしての輝き」というのは誰しもが否定してはいけなかったもの、だと思うのです。
けれど彼女達は、否定しました。
そんな物よりも、自分達のやっている「今」が何よりも美しいと思い、そのように生きようとしたのです。
これから先、プロデューサーがノクチルに対してどういう答えを出すのか。
実はまだ、2021年最初のノクチルコミュを見ていません。
僕は、彼女達の次の反逆をとても、とてつもなく楽しみにしています。
もしそれが僕の期待する反逆でなかったとしても、彼女達が自ら選んだ「青春」であるのならば、その輝きはきっとここに戻ってくるのだろう、と思いました。それが、「天塵」なんです。
あとコレを見たなら絶対にMUSIC DAWNは見るべきだよ!
初日のあの四人の走る姿は間違いなく「天塵」なんだよ!!!
円盤化したら100回リピートしろ!
俺は一回見ただけであまりの眩しさに焼き尽くされてしまったのでもう無理です!!!!!!! 青春良いじゃないか!!!!!
取り乱しました。
では最後、個人的な意見としてではありますが、2020年のイベントコミュ映えある1位の発表です!!
1位『くもりガラスの銀曜日』
「君の好きなこと したいこと 何でも知りたいよ 教えてね」
2020年、個人的に一番面白かった、と断言します。
『くもりガラスの銀曜日』が、私の中で1位のコミュです…!
このイベントコミュは、イルミネーションスターズの「今」と「昔」の対比を描いた、それだけの物語です。
そう、本当にそれが凄い。
他のイベントコミュ、大体何かしらの出来事に巻き込まれます。
『階段の先の君へ』では商店街を盛り上げるためのイベントに向かうためにユニット同士での物語が。
『薄桃色にこんがらがって』では自分の夢を叶えるための一人の大人の女性が企画とユニットの仲間に戦いを挑む物語が。
『WorldEndBreakDown』では、番組内で描かれるユニットの人気投票という企画を前に立ち向かう物語が。
『ストーリー・ストーリー』ではユニットという家族の絆の中で番組という外からの圧力に歪まされるものを恐れる物語が。
『天塵』では折角の努力を不意にされる瞬間を…まぁこいつらは理不尽に敵を跳ね除けてしまうのですが、そういう物語が。
『many screens』では小さな言葉に対して思い悩み、それでも一つのものを完遂させるために全員で悩む物語が。
『流れ星が消えるまでのジャーニー』では普段支えてもらっている妹を支えるために少しでも踏ん張る姉の物語が。
どれも、多かれ少なかれ、事件なり出来事なりを中心になってアイドルとプロデューサーが奔走する。それが、シャイニーカラーズのイベントコミュの定番になっていました。
ノクチルですらこの「事件性」という形から逃れてはおらず、彼女達の姿を描くために些細な事件に巻き込まれる形をとった、というものになります。
ですが、このコミュに関しては違います。
ただ、彼女達の出会いの時期と、そこから紡がれたある一つの場所と言葉に対する物語が淡々と描かれるだけです。
本当に、最後の最後まで、彼女達のなにか大きな事を揺るがす大きな事は、起きません。
それがイベントコミュなのかよ、って思わされるかもしれませんが、それがイルミネーションスターズにとっては「大事なイベント」なのです。
細かい話は本編を是非読んでほしいので避けますが、とにかくコレは「イルミネーションスターズにとってこれからもずっと続く物語」のうちの一つ、という不思議な位置づけです。
ノクチルが青春をアイドルに持ち込んだのに対し、イルミネはアイドルの中で自分達の青春を作り上げた、という印象があります。だからこそ、イルミネは青春とアイドルを両立させることが出来ている、と思っています。
櫻木真乃は、アイドルになるまで内気で自分の世界を作りがちな女の子でした。芯は強くても、それを発揮する状況もないまま、公園で鳩と共に生活の中でアイドルになり、ちょっとの無理と頑張りを胸に秘めながら必死に二人の仲間と自分を高めていきました。
風野灯織は、アイドルになるまで気難しく自分の事以外を気にかけることが出来ない少女でした。少しずつ視野が広がり、自分が相手にどういう影響を与えるか意識するようになり、自分の弱さの自覚とともに周りを信頼する心を得るようになりました。
八宮めぐるは、アイドルになるまでも非常に明るい少女でどんな人とも友達になれました。けれど、自分にしか自分は解らないという思いを胸に抱える中で、誰かを知っていく楽しさを二人と共に見つけていきました。それが寂しがりの少女の心を誰よりも照らしました。
イルミネーションスターズは不思議な三人組だと思います。
きっとアイドルにならなければ交わることもなかった人生だった筈なのに、アイドルになった彼女達はこれから先もずっとと言えるほどの分かち難い親友になったのです。
けれど、それでも。
親友だから知ってることがあるけれど。
親友でも、まだまだ知らない事がある。
それを、彼女達は「素敵だ」と思うのです。
この物語は、カフェの名前を知るという形の前に、プロデューサーが持ってきたある企画をプロデューサー自身が彼女達に「見せない」という、最後の選択肢を持つ所が大きな意味を持っていると思っています。
プロデューサーは彼女達の仕事の為でもありますが、同時に本当にそう思っているという気持ちを持って「互いに知らないことがないぐらい仲が良い」と口にして、彼女達にそういった企画を持ってきました。
けれど彼女達の会話を聞くと、「まだまだ知らない事ばかり」と笑いながら話し、まだまだ知っていきたいと、楽しそうに笑うのです。
その姿を見たプロデューサーが申し訳無さそうになる姿が、不思議と目に浮かびました。
シャニPは割とこう、「自分がちゃんとしていない」であったり、「アイドルのことを理解してやれてない」という事に対してかなり自罰的になりがちです。だから今回、こうした会話を聞いた時に一歩下がってしまった、という側面があります。それは、プロデューサーとしてはあまり役に立てていない、ということなのかもしれません。
けれど、イルミネーションスターズの3人からすれば、それもまたプロデューサーの「知らない一面」で、「これから知りたい一面」に過ぎないのです。
先の2位、3位が「アイドルマスターへの反逆」の物語だとするのなら、この「くもりガラスの銀曜日」はまさに「アイドルマスターの体現」である物語だと思っています。
プロデューサーとアイドルと、互いに知っていって、互いに悩んで、一緒に歩いていく。そんな当たり前のアイドルマスターの姿が、ここにあるのです。
僕はこのアイドルマスターというシリーズが好きです。
それは、プロデューサーとアイドルとの関係に重きが置かれてます。
プロデューサーもアイドルも、常に「まだまだ」であって。
その「まだまだ」を、互いに支え合う姿が、美しいと思うのです。
その美しさを、イルミネーションスターズは持っている、と思いました。
イルミネーションスターズの仲の良さに対して、それを甘く見ていたプロデューサーが自罰的になっていたとしても、それを責めたり失望するようなアイドルたちではありません。それどころか、だったらそれを言ってほしいと、一緒に背負わせてほしいと、強くあろうとする彼女達です。その強くあろうとする彼女達に支えられて、プロデューサーもまた、強くあろうと立ち上がっていくのです。
彼と彼女達の、ありふれた日常が、余りにも、余りにも美しい。
僕にとってこのイベコミュが1位以外にはありえませんでした。
このコミュ、何と言っても構成が見事です。
タイトルの意味や、会話の中で流れていく言葉が、次々と積み上がって最後のエピローグで一気にかっさらっていく様子が、物語の美しさを更に文章の出来で仕上げていきます。
変な言い方ですが、僕みたいな文学に疎い人間でも「おお!」となる文章の仕込みが美味いのです。伏線は回収した瞬間から伏線になるんだって僕の師匠は言ってたので間違いありません()
手軽さ、面白さ、美しさ、暖かさ。どれをとっても一級品です。
是非、この機会に『くもりガラスの銀曜日』を読んでほしい。
そして貴方の声を聞かせてほしい。
それが私なりの、「くもりガラス」の答えです。
このコミュを読んだ後、是非イルミネーションスターズの楽曲である「トライアングル」を聞き返して下さい。
きっと、イルミネーションスターズが今よりもっと好きになります。
明日の天気教えてね(
選外『明るい部屋』
BEST5って言ったじゃんか!
はい、というわけでラストに一本。
選外にはなってしまいましたが、色々考えるとこれは紹介はしておくべきだろう、と思いこのコミュを選ばせて頂きました。
このコミュはシャニマス年末恒例の越境コミュです。
基本的にはクリスマスと正月といえば越境コミュ、と言わんばかりにこの辺りではわちゃくちゃしたコミュが流れます。
ですがこの明るい部屋は、そこに更にある二人に焦点を当てた物語となっております。シャイニーカラーズの一年の締め、という形になっており、今までのイベントコミュで話題になったものがモチーフとなってそれぞれのユニットたちを彩る、そんな形になっております。
……ただ、長いんだよなあ、コレ。
イベントコミュは基本的にOP、EDを含めた8話構成となっているのですが、他の8話構成のイベコミュに比べるとなーんか長くやってる印象。
というのも、越境コミュだから仕方ないと言わんばかりに283プロアイドル全員に登場の機会があるのがそう思わせる要因でしょう。
2020年に培ったアイドル同士のふれあいが一つのコミュにギュッと詰まっているので、それだけでも非常に濃いのですが更にそこにある人物にスポットを当ててしまっているので若干の過剰演出感が否めなくなります。
ただ、このコミュは要所要所が本当に良い。
全てのイベントコミュを楽しんだ上で見るこの「明るい部屋」は、まさに一年の集大成として相応しいものになっております。
あの日の事件も、出会いも、触れ合いも。
何もかも一つの事務所の些細な物語として収束して、人と人のつながりに戻っていく、そんな「部屋」のモチーフを語る物語の綴り方が凄くきれいなんですね。
知ってるあの人も、知らないあの人も。
部屋があって、そこに人が生きた空間が産まれて。
そこに想いが集って、光になる。
そんな優しい、一年の締め括りとなっております。
アイドル達の関係性も、この一年間で変わらないようで少しずつ変わっていって。成長して、変化して、変わらない人も居て。それでも、一年が過ぎていく。
良いことも、嫌なことも含めた、ありふれた日常の一つ一つがクリスマスという物語に収束する、優しい物語の群れが、シャイニーカラーズと触れ合ってきた時間を明るくしてくれます。
恐らく、見た人それぞれでこのコミュの好きな場所は違うと思います。それもまた、各々が作る「明るい部屋」というものなのかもしれません。
是非2020年のイベントコミュを見た上で、その総仕上げとして見て頂きたい、と思っております。
ちなみに僕がこのイベコミュで一番好きなシーンは、プロデューサーが女の人と歩いているのを目撃されたのをメッセで共有しているシーンで一言も喋らない甘奈と三峰です。
露骨すぎて笑っちまうだろこんなの!!!
おわりに
シャニマスの物語は質が良い、とは長い事言われてきました。
確かに実際に見てみて、今までのアイドルマスターと呼ばれる作品に比べるとシナリオにかなりの力を入れているのは良く解ります。
それもある意味無理からぬこと。他のアイマスでは当たり前になってしまっている3Dモデリングで美麗に踊るアイドル達が使えない以上、シャイニーカラーズに残された武器はカードイラストの構図におけるセンスと、それを最大限に生かしたシナリオだからです。
自分の戦える武器で最大限に自分自身の魅力を発揮していくシャイニーカラーズは大きく発展していったと思います。
ただ、僕自身はこのシャイニーカラーズのシナリオに適応できない時期がありました。というかシナリオが全体的に重い時期があったんやねん! 具体的に言うと2019年!
あの時期、アイドルとプロデューサーのすれ違いぶつかり合い、言葉の足りないクソみたいな業界人、そして何よりそうしたアイドルの裏表の部分にスポットを当てたアイドルユニットのストレイライトの追加などによって加速したものだと思っております。いやまあ勝手な推測ですけど。
そんなこんなで、良いシナリオだと解っていても楽しく咀嚼することが出来ない、そんな日々を送っておりました。
その中で現れた2020年イベントコミュとG.R.A.D.の出来の良さ、ですよ!
確かに今までのシャニマスらしい現実と理想の間で必死にもがいていく姿もあるのですが、それ以上に感じるのは「優しさ」です。
辛い現実、厳しい状況に置かれても、誰もが優しくある事で少しでも前に進もうとする温かさ。そして誰もが解ってくれなくても自分達だけがわかれば良いという独善にも近い強さ。
2020年の283プロは、自分達の歩きたい道を歩いたのではないか、と思っております。そしてそれをするために、仲間と共に、プロデューサーと共に、自分達を信じていけたのではないのかな、と感じました。
そしてそれを作る上での文章のセンスもまた日々上達しているように感じます。いやド素人がプロの文章に何を言うのかと思うけど。
でも実際ね、面白いんです。同じような描き方をしても、洗練されたセンスがにじみ出てくるのが見えるのが、とても楽しい。
シャニマスの売りはシナリオと共にカードイラストの構図だとよく言われておりますが、このマッチングこそが真の魅力である、と思います。
イラストだけでも、シナリオだけでも足りないものを、相互作用で埋め合わせていく。そんな武器を手にして、また一つ物語が紡がれていく。
シャイニーカラーズの全盛期は、間違いなく「今」です。
今だからこそ、シャイニーカラーズのイベコミュを読んで頂きたい。
僕のこの記事を書いた願いが多くの人に届くと嬉しいです。
ぶっちゃけ
っていうかマジで銀曜日読んで欲しくて書いたんですわ!!!
読め! 今すぐに「くもりガラスの銀曜日」を読め!!!!!!!!
いやあんなにいい話なのに話題に上がらなすぎじゃない!?
いくらコ○ナの影響でボイスの収録が遅れたとは言え、アレ程のシナリオが全く話題に上がらないのどういうこと!??!! 本当にみんなシャニのイベントコミュ全部見てる!?!?!?!?
ちなみに僕は見てない時期がありました。反省してます。
いやマジで2020年のシャニマスイベコミュは全員4番打者みたいな感じなので…今回選外になった作品も、2019年だったら間違いなくBEST3に入る出来なので…その中で更にTOP3として揺るがない天塵・薄桃色・銀曜日がトチ狂った完成度の高さなだけですから…
自分の担当アイドルの話だけ見れればいい、ってのも解るには解るのですが、実質タダで見れるコミュがあるんだから折角だから見てほしい。シャイニーカラーズをもっと好きになれると思います。
折角だからG.R.A.D.のおすすめコミュのnoteも見てね。
あとついでにしずしほ合同も買っていってね!!!!()