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事業会社のデザイナーが限られた時間の中でいかにロゴを作りあげるか

こんにちは、カウンターワークスの駒ヶ嶺(@Koma_Studio)です。
カウンターワークスでは「SHOPCOUNTER」の運用・運営だけでなく外部の方達と一緒になって企画やイベントを取り組む機会が多くあります。

例えば、東日本旅客鉄道株式会社と共同で開催した「iplus(イプラス」というエキナカ・ネット連動ポップアップショップや、相鉄グループと㈱髙島屋の協力のもと横浜駅西口の公共空間の環境改善やエリアの活性化を目的とした「ヨコハマポップアップアベニュー」などのイベントを直近では開催をしています。

そして、こうした企画やイベントのロゴ制作は基本的には社内のデザイナーで引き受けています。しかしながら、通常はWebサービスのグロースや改善施策を進めているため、制作をするにしても使える時間は非常に限られています。

今回、そうした中でロゴ制作を社内ではどのように進めているのかを東急プラザ銀座で行われている「小さなよりみちマルシェ」のロゴを制作したときを例に出しながら紹介していきます。

 1. 要件の確認

まず最初にその企画の担当者から制作依頼が入ってきた時にざっくりですが以下の項目をヒアリングしていきます。

1. 企画の行う目的と背景は?
2. 企画名は決まっているか?
3. どこで開催するか?
4. 対象はどのような人か?
5. クリエイティブはどのような使い方をするか?
6. いつまでに必要か?

これらを担当者に一つ一つ質問していき、決まっていることと決まっていないことを見定めていきます。仮に企画名やコンセプトがない場合はそれを考えたり、決めるところから入っていきます。

小さなよりみちマルシェの場合は企画の背景から目的、コンセプトまで用意されており、場所も東急プラザ銀座で開催することから対象となる人の想像も出来たため、ここに関してはスムーズに進んでいきました。

2. イメージの共有と期待値コントロール

今回、要件の確認を進めていた中で出てきた課題はイベントを開催するためには1週間後にはロゴがないといけないということでした。そして、通常業務のことを考えると稼働できるのは週末のみというタイトなスケジュール(代休もらいました)。

時間制限的に出せるクオリティと担当者が考えている期待値を合わせないと着地が出来なくなったり、不満の元となってしまいます。そのため、出来上がるロゴのイメージのすり合わせと共に(工数のかからない)シンプルなものでという合意を取った上で制作へと入っていきました。

3. ロゴ制作

イメージの共有と期待値のコントロールが済んだら、早速制作に入っていきます。順に説明をしていきますが、実際に提案をしたときに使った資料を先にお見せしておきます。おおよそ、制作時間は資料作りを含めて8hほどでした。

3-1. 制作のポイント:コンセプトの自分ごと化

今回、イベントのコンセプトが用意されていたので改めて制作する時に自分の中で読み返しを行いました。その中で「よりみちをしていたときのワクワク感を感じてもらいたい」という想いの部分が結構コアになるだろうなというのを感じます。

そして、それを考える上で「そもそもなぜ、よりみちをした時にあんなにワクワクしたのだろうか?」ということを考えてみました。小中学校の時にどんな思いでスーパーで買い食いしてたっけ?とか、写真を撮るときになぜ計画外のルートに行ってしまうのだろう?など様々なシーンを思い出しながら、ワクワクの正体を自分の経験の中から探っていきます。

3-2. 制作のポイント:思考を言語に落とし込む

そして、ワクワクするポイントを探った結果、よりみちという行為は以下の3つの事象が発生するからそのような気持ちになるのであろうと導き出しました。

1. 認識 〜自分の普通とは違う〜
よりみちをすることで普段出会うことのないものや経験との遭遇が起こる。それを認識・認知できることが喜びに繋がる。

2. 融合 〜新しいものと繋がる〜
新しいものや経験を認識して、それが自分と繋がることで成長を感じる。新しいものとの繋がりによる成長が喜びを生み出す。

3. 拡張 〜認知や世界の広がり〜
新しいものや経験を認識することで、認知だけでなく物事を見る視点が変わったり自己の拡張が起こる。それを感じることのできる喜び。

以上のようにワクワクするという気持ちは認識・融合・拡張から起こる。もしくはそうなると期待しているため、人はワクワクするという風に定義をしたら、次は実際の形作りに入っていきます。

そして、最終的にそれぞれの要素を形に起こし、合計で3パターンのロゴを3~4hで作りあげました。思考を言語化して定義することで、形に対して理由のあるデザインができるようになるため、かなりスムーズにロゴの作成が出来たなと思っています。

3-3. 制作のポイント:寝かせる

3つのロゴが出来上がった後は一旦、一日寝かせました。どの制作物でもそうですが自分が良いと思った物でも一度寝かせることを心がけています。

そうすることにより、いい意味で制作物やアイディアに対する熱が冷めて良い距離感を持てるようになるため、修正すべき点に気付けたり、実は全然イケてなかったことに気づいたりすることができます。

今回に関しては次の日に見ても良さそうでしょうということで微調整だけして終わらせました。

3-4. 制作のポイント:提案書に時間をかけない

次に提案に向けての資料作りです。大事な資料ではあるものの、基本的に提案書の見栄えを整えることに時間を使うのは本質的ではないと思っているので時間をかけないようにしています。

そのため、思考の流れやそう考えた背景をメモしていたエディタからそのままコピペして、ちょっと修正した程度で終わらせるようにしています。今回も30min〜45minほどで終わらせたと記憶しています。

ちなみに書体は1つだけでフォントサイズは多くて3つ、ウェイトは2種類だけと決めておくと判断に迷わなくて楽なのでオススメです。

4. プレゼン

あとは提案書を用いてそれぞれのロゴのプレゼンです。どのように今回のコンセプトを捉えて、どのように解釈したかを共有した上で制作したロゴを披露しました。

経緯をきちんと説明すると仮にちょっと違うなとなっても、それは思考が間違っていたのか、思考に対してスタイルがマッチしてないのかがわかりやすくなるので、その後のリカバリーもしやすいかと思います。

今回のアウトプットに関してはロゴタイプだけちょっとかわいすぎるかもねという話になり、その場で変更をかけてFIXになりました。

↓そして、その場で修正して選ばれたロゴ

以上、簡単ではありましたがロゴ制作のプロセスを紹介しました。今までロゴを作ったことがない、ロゴ作りのスピードを上げたいと思っている方のお役に少しでも立てれば幸いです。

最後に伝えたいことまとめ

・目的・背景をきちんと把握しましょう
・期待値コントロールをしましょう
・思考を言語化して意味のないデザインをしないようにしましょう
・作ったら一度、寝かせましょう
・提案書作りに時間をかけないようにしましょう


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