親子にとって、徳しかない!「ペアレントトレーニング」
前回は、「トライアングルプロジェクト」についての記事を執筆しました。
そこにも触れていた「ペアレントトレーニング」について、ご紹介したいと思います。
知的障害(知的発達症)やASD(自閉スペクトラム症)などの子どもをもつ家族を対象に、1960年代にアメリカで開発されたプログラムとされているのが、ペアレントトレーニングです。
ですが、私は障害の有無に関わらず、どの家庭にも浸透をしてほしいなと思っています。
というのも、障害のある子にはもちろんメリットになりますが、愛着不足であったり、自分の感情を吐き出す方法を間違えている子供も見ているので、そのような子供との関わり方に不安を持っている家族にも知ってほしいと思ったからです。
「トライアングルプロジェクト」の記事も、もし良かったら合わせてご覧ください!
1.ペアレントトレーニングとは?
前述の通り、1960年代にアメリカで開発されたプログラムです。
発達障害の子を持つ家族、または発達障害の疑いの子を持つ家族を対象に日本では行動変容を目的として、推奨されています。
このペアレントトレーニングで期待できる効果としては、以下の効果が挙げられます。
保護者側のメリット
育児スキルの向上、育児ストレスの緩和、子供との感情の共有
子ども側のメリット
問題行動の改善、良い行動の増加、親との関係の強化
2.効果的な子供への働きかけとは?
ネット上には色々と情報が出回っていますが、私が実際に研修で教えていただいた「ペアレントトレーニング」を意識した子供への大切な関わり方を今回はご紹介します。
4.5年前の研修の内容なので、もしかしたら現在はもっと良い方法が生まれているかもしれません。
①子供の行動を整理する。
子供の好ましい行動、好ましくない行動、加えて危険な行動(辞めさせたい行動)に分類をしましょう。
まずは、子供の行動を観察し大人が整理をすることで、良いアプローチの仕方が見えてくるのです。
例えば、
「好ましい行動」
・自分から片付けを始める。
・食器を片付ける。
「好ましくない行動」
・着替えをしない。
・宿題をやろうとしない。
「辞めさせたい行動」
・おもちゃを投げる。
・友達や親に噛み付く。
②正しい褒め方を実践する。
子供が良い行動をした時に、褒めることで自己肯定感が伸び、辞めさせたい行動が減る傾向になると教えてもらいました。
ただ、大切なのは、「正しい褒め方」であるかどうか。
私にとっては、目から鱗の話だったので、皆さんも共有していただけら嬉しいです。
・正しい褒め方
時:行動をはじめた、出来たそのタイミング、瞬間。
・目線:子どもと同じ目線で明るい表情であること。(立ち膝をし、大人が目線を合わせてあげる。)
・声色:明るく大げさに。めいいっぱい褒めてあげる。
★説教は追加しない(「いつもそうしてくれたらいいのに」など)
③子供が悪いことをして注目が欲しい時、正しく無視をする。
大人が辞めさせたいなと思う行動を子供が取るときには、大人から注目して欲しいという子供のメッセージが含まれている場合もあります。
ここでは、「おもちゃを投げる。」という行動を例に挙げます。
子供がおもちゃを投げて止まらないとき、酷いと大声をあげたり泣きながら投げ続ける子供もいます。
ここで、「危ないでしょ!」「辞めなさい。」と、大人がすぐに強い口調で止めに入りがちですが、しばらく様子を観察することが正しい無視になります。
おもちゃを投げている子供とはなるべく目線を合わさない方が良いのですが、この時の子供の様子を観察すると、「チラチラと大人の様子を伺っている。」「だんだん力加減が弱まってきた。」などの変化が生じ始めると思います。
おもちゃを投げる行動がだんだん穏やかになってきたところで、子供の行動を静止することが望ましい大人の行動になります。
言葉では簡単に述べる事が出来ても、実際にこの場面を正しい無視で貫くのは非常に難しいことだと私は感じます。
保育の現場で働く者としても、状況の判断と自分の行動は正しいのかの判別が難しかったのです。
それと同時に無視するだけではなく、好ましい行動をとってくれるように、方向づけていかなければいけません。
なので、一度の行動や数回の対応だけに留めることなく、半年から数年かけて継続してこの行動を定着させていくことが「ペアレントトレーニング」になると思っています。
3.まとめ
今回は簡単に「ペアレントトレーニング」の効果と具体的な働きかけをご紹介しましたが、「家庭内だけで」「保育現場の担任のみで」実践するには、非常に難しいケースがあると思います。
ましてや本やSNSの情報のみでは、子供の個々に適した働きかけなのかどうかは判別しづらいものです。
家族での働きかけの方法の統一や保育現場での複数の職員への協力が必要不可欠だと私は思います。
そして、市町村での研修の場や療育での講習の場が広がり、「ペアレントトレーニング」の方法がもっと世の中に周知していけたら嬉しいなと感じています。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました♪