
洋画「ラストナイト・イン・ソーホー」感想。怖い街
冒頭で主人公、エロイーズが新聞紙で制作した、ドレスを着て踊っているシーンがあります。
主人公の自己紹介を、簡潔に示したシーンで素敵でした。
・ドレスが似合う美人。
・よくみると、ドレスが新聞紙だぞ→服を作るのが趣味、夢なのかな…???
・新聞紙で制作ということは、お金があまりない???→裕福な家庭ではなく、田舎育ち???
・壁に貼り付けてあるポスター、BGMの曲がやたら古い→昔の文化、デザインが好きなのかな???
上記のような、印象を短い映像のみで表していておられました。
観客に映像で、印象をテンポよく伝えることが本当にお上手でした。
都会って、遠くからみるとキラキラと輝いていて綺麗ですよね。
でも、いざ近づいてみると異常なことばかりです。
人が暮らすような所ではないなと、何度も思わせてくれます。
人の波に溺れないように、自分をどう偽ってよく見せるのか。
溺れてしまうと、もうおしまい。
人が人じゃなくなる場所な気がします。
自分自身の強い芯がなきゃ、生きていけない所です。
常に虚勢を張っていなきゃ、やられそうです。
主人公もめちゃ揉まれていきます。
無理に周囲に合わせていますが、あるシーンをキッカケに自分を取り戻していきます。
そのシーンがめちゃ好きです。
ガールズバーから出てくる、お爺ちゃんを見て自分を取り戻すのです。
自分の好きなこと、周囲の目を気にしなくても良いんだって、ガールズバーから出てくる年配の男性を見て思ったのでしょうか。
ユーモアがありつつ、主人公が変化していくシーンで好きです。
光があれば、闇もあり。それを分かり伝えてくれました。
輝かしい裏には、闇があります。様々な犠牲を払い光を発しているのです。
犠牲を払い続け、壊れてしまう人も多い訳で。
壊れたまま、過去の犠牲に囚われ続け「今」を生きることができない人もいます。
ひっそりと生きていくことが幸せなのかもしれません。
それでも主人公は、最後に自分の夢を追い続ける選択をしました。
昔、夢見た輝かしい未来を叶える事を選んだのです。
強い人物に成長したなって、思わせてくれました。
でも、自分一人で辛い現実から助け出された訳じゃありません。
救ってくれる人々が近くにいたのです。
一人で戦えなくなっても、支えてくれる誰かがいればまた挑戦できます。
頼り、頼られ、この面倒で大変な世界を生きていこうと思いました。