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痴漢とひったくり論

世間では痴漢に対する意見は多い。毎日のように男女とも過激な論調で自説を繰り広げ、相手を猛烈批判している。

痴漢は女性が狙われやすく、犯人は主に男性で、許されざる犯罪であることに疑いはない。
しかし、女性が狙われやすい犯罪には、痴漢の他にも「ひったくり」がある。
こちらも被害者は女性が多く、犯人は主に男性だ。
ひったくりの犯人が女性で男性のバックを奪って逃げるような事例は、女性が男性に痴漢する場合並みのレアケースだろう。

しかし、ひったくりに対しての抑止意見はほとんど聞かない。世界的にそうだ。
国連が痴漢防止を啓蒙することはあっても、ひったくりを啓蒙したのは聞いたことがない。
ただし、実際に事件を扱う警察ではひったくり防止も啓蒙している。昔は自転車の前かごカバーなんかを配っていた。
最近は防止カメラが増え、ひったくりの件数は減ったが、昔は痴漢と同じぐらいのよく発生する件数だった。

だが女性も、世間一般も、ひったくりの犯罪防止には興味なさそうである。
しかし、なぜこんなに意識差があるのだろう?

ひったくりが痴漢と大きく違うのは、痴漢が女性の価値を目的とする犯罪であるのに対し、ひったくりは金品が目的だからだろう。

まず、女性は金品より自らの女性としての価値を優先する。例えば、普通の女性は財布をポケットに入れず手提げカバンなどにいれる。
女性になぜポケットを使わないのか尋ねると「服にシワがつくから」「ボディラインが乱れるから」だという。
しかし、女性がひったくりの被害に遭いやすい最大の理由が"財布を手提げカバンに入れる人が多いから"である。

「女性は財布の盗難リスクより服のシワの方をいやがる」という事実は、「女性は金よりも女性の価値を優先している」ことが裏付けられる。

そういう意識は何も女性だけではない。男性も女性には金品より女性の価値を優先している。

婚活市場において男性が一番評価されるのは年収だ。つまり金品である。
しかし、女性の場合、年収はほぼ評価されず"若さ"つまり女性の価値で評価されている。
これに対して「それはおかしい!」と個人的に思っても、今のところは社会の事実だから仕方ない。

そして、この意識差はそのまま痴漢とひったくりへの興味の差に繋がっている。

さて社会が痴漢に興味があり、ひったくりに興味がないからと言って、どちらも主に男性が女性を狙う卑劣な犯罪であることに違いはないはず。
ひったくりは無視できるほどレアケースな犯罪ではない。

世間が騒ぐから痴漢がより悪く見え、ひったくりに無関心なのは、真の問題解決から遠ざかっているように思える。