プロの日本人は、この英語の基本的な発音が下手くそだ
私は先週からオンラインで英会話を始めた。全ては英語力をあげて今後の人生の糧(色々な意味で)にするためだ。
語学力は一朝一夕に身につくものではない。
だから今日も今日とて、DMM英会話にログインしてレッスンページに入る(英会話を始めたきっかけ等についてはこちらの記事をご覧ください)。
今回の講師はディーナだ(4日ぶり3度目)。英会話初心者は、最初に教わった講師を親と思ってついていく習性があるので、私が彼女に縋るのも無理はなかった。彼女は優しく、丁寧で、どう考えても優れた講師なのだ。
「ディーナテンテンテンテンテンテン英会話の仕方を教えてくれませんか」
私の心の中に住んでいるバウアー(CV:音読さん)がいう。
いつか言語版を理解できるようになりたい
レッスン時間が来た瞬間に、コールが鳴る。
「ハロォ↑」
ディーナが軽やかに手を振りながら微笑む。
「ハィ」
私は豪雨に遭った時の車のワイパーのように手を振りながら気色悪い笑みを返す。そして25分間のレッスンが始まる。
教材に沿って、ディーナが先行して構文を読む。私が彼女の発音を手本に読む。
「糞ビギナー勢やんけ」
「ひどい発音」
「それは良い発音ではありません」
必死に、そして辿々しく文章を読んでいる私を、もう一人の自分(CV:音読さん)が脳の隅で嗤っている。
先週は、何人かの新しい講師とフリートークをお願いした。話してみたかった。お互いの国の話や、趣味についてとか。
だから事前に聞きたいこと、聞かれそうなことをメモに書き、翻訳して問答集を作る。これなら焦ることもない。何より準備ゼロで望むのは講師に対して失礼でしかない。
「Google翻訳になるけど、まあいいか」
で、フリートーク。フィリピン在住のアシュリー(仮名)とのレッスンに臨んだ。
改めて、己のリスニング力のなさを呪った。ゆっくり喋ってもらっているのに、言葉が耳から耳を素通りしていく。
リスニングできなければスピーキングもできない。初めての英会話で泣きたくなったが、正直二度目も三度目も泣きたい。いくらでも泣けるわこんなん。
「俺はDMMの会員で一番最低の生徒だ」
めっちゃ気さくで日本の製品や食品が好きだというアシュリーは、チャットや翻訳を駆使して私の理解を助けてくれた。それでなんとか話を続けることができた。彼女がベテラン講師でなかったら、気まずい25分となっていただろう。
怒涛の自嘲が脳内を駆け巡る。
「あなたは何をしているのですか?」「私は何をしているのだろう」
「またやってしまった」
「最低だな、俺」
「会話になるわけがない」
「なるほど、難しすぎる」
「英語圏でそれをやったらチームから外れるんだよ」
「英会話には向いてないね」
「まるで英語で質問が来る度にパニックになるようなものです」
「英会話はクソビギナーのために作られたものではない」
それなりに慎重に講師を選んでいるからか、レッスンを受けた講師は皆優しく、真面目に英語を教えてくれる。特に前述のディーナとアシュリーは、教え方もトークも抜群に上手い。私は安心して鴨の雛になることができる。
「今、あなたがとても好きです」
「あなたは講師の王様です」
「喉が掠れたよ、お姉ちゃん」
キッズだったらこんなことも言えたのに。
英語に触れるたび、私はなかやまきんに君に対する畏敬の念を強めていく。本当に語学力を鍛えるのなら、いずれは留学を考えねばならないだろう。だから勉強も留学も若いうちにやるべきなんだよなあと考えながら、呑気に遊び呆けていた学生時代の自分を張り倒したくなる。
一念発起して始めた英会話だが、ここまでは苦労しかない。いかに学生時代の自分がリスニングとスピーキングを怠ってきたかが、今までの日本の英語教育がリーディングとライティングに偏重していたか。そら(英語を話せるようには)そう(ならへん)よ。おーん。
ただ、一つわかったこともある。
英語でのコミュニケーションの一つ一つに、高校で習った複雑な文法や受験期に単語帳で必死こいて覚えた小難しい単語は使わないということだ(使わないと言うより、殆ど忘れているから使えないって言った方が正しいか)。
日本語でくっちゃべる時も、わざわざ周りくどい言い方なんかそうはしない。
自分の言いたいこと、相手の興味のないことを延々と喋ったり早口で説明したりすれば、コミュ障の烙印を押されることになる。
相手に伝わるようなるだけ簡潔に話し、聞く。日本語だろうが英語だろうがヒンドゥー語だろうが、それが会話の基本であることに変わりはない。
無論、英語を理解すればより複雑な掛け合いやジョークなどを交えたトーク展開ができるのだろうし、ビジネスが絡んでくるともっと変わるのだろうが、日常や旅行程度なら基本が備わっていればある程度はやっていけるのではないか。
タブンネ。
ディーナはよく「だいじょうぶ!」と励ましてくれる。その発音はびっくりするぐらい綺麗だ。俺みたいな英会話初心者を励ますため言いまくっていたうちに、慣れてきたんだろうな……。
本当に大丈夫だろうか。続けていれば糞ビギナー勢から神ビギナー勢になれるのだろうか。
自信はない。私は本当に英語力がない。どれぐらいないかというと、中学生からやり直したくなるくらい、ない。
ここ最近、肝に銘じている言葉がある。
「ベストは尽くす。それでダメだったらしょうがない」
"I'll try my best, If that doesn't work, It can't be helped."
仕事でもなんでも、自分にできる限りの努力は全部やる。それでダメだったらもう仕方ないよね。トゥモアナ、切り替えていけ。
そんな精神で生きている。
若いとは言えなくなった自分が得た一つの悟りみたいな気持ちである。逆に、やりもしなかったり妥協で済ませたのに「運が悪かった、できなかった」とは絶対に言わない。
大事なことは「やり切る」ことだとは大抵の人がいう。
だからやり切ってみよう。そんなことを思いながら、次の予約をとる。
「タツオが奮闘しています」
心の中のバウアーがまたつぶやく。
この話が面白いと思ったら、それは"トレバー・神サイヤング勢・バウアー"のおかげです。ありがとうございます。
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