反・マッチョイズム的公認会計士短答式試験対策(前編)


この記事の趣旨

 ここまで辿り着いた方なら既にご存知かと思いますが、公認会計士試験について、近年志願者が増加しており、また、その試験方法の独特さもあって、日本の資格試験の中でもかなりの難易度となっています。
 しかし、その有効な勉強法については、有名な合格者からのアドバイスですら「とにかく勉強時間を確保する」「鬼のように何度も周回する」「隙間時間で少しでも勉強する」という、ボディビルダーのようなマッチョさを求めるものが多いです。
 もちろん膨大な試験範囲をカバーして十分な得点を得るためにはかなりの準備時間を要することは確かですが、諸般の事情で勉強時間が確保できないあるいはそこまで勉強を詰められないという方もいると思いますし、実際そこまで根詰めなくとも、また、追加課金しまくらなくても、やることをちゃんとやっていれば短答式までなら受かる例もあると伝えたくてこの記事を書きました。

自己紹介

 高校から大学、就職まで理系畑で経理や監査とは全く関係のない人生を送ってきたアラサー。
 まだ前職に在籍していたころ、育休を3か月取得。最後の方で少し余裕ができたため、配偶者が取得予定でたまたま家にテキストがあった簿記2級を勉強し、3週間で合格したことをきっかけに会計に興味を持つ。
 育休から復帰した時は辞める気はなかったが、当面の人事配置の不運さ、将来的なキャリアの絶望感、東京で子育てをやっていくにはあまりにも足りない給与、子育ての負荷が育休中の配偶者に偏りすぎて家庭内のバランスが不安定になる等の悪条件が重なり、2024年3月末に退職&CPA会計学院に入校、以後、8か月強で約1250時間勉強し、2024年12月の短答式試験で451点(90%)得点

この試験の怖さ

 短答式試験の何が一番怖いのかというと、とにかく試験結果の不確実性が高いということだと思います。
 不確実性の中身として絶対的な不確実性と相対的な不確実性に分かれますが、以下のようなものです。

  • 絶対的な不確実性=正答率の不確かさ の要因

    • 出題内容をそもそも知らない、内容を覚えていない

    • 出題形式が見たことのない形で対応しきれない

    • 問題文の見落とし、思い込み、計算ミス、転記ミス、集計ミス

    • 途中で変に問題にひっかかった結果、時間不足

    • 時間不足等で運ゲーになった問題がたまたま当たるか否か

  • 相対的な不確実性=合格ボーダー得点率の上下 の要因

    • 受験者数の増加・減少傾向

    • 試験問題全体としての難化・易化の傾向

 この難しさを大学入試のセンター試験で例えれば、センター国語が330点満点、センター数学が170点満点の計500点の試験で、72~78%取ってください、という絶妙にイヤ~な感じだと思います。10回受ければ何回かは超えるだろうけど、数学で連鎖的に失点することも、現代文で大ゴケすることもあり、72%ならまだしも、78%を安定して超えるというのは、受験国語・数学にかなりの自負がないと難しいと思います。

 問題形式上、計算問題の多くは1問の寄与が全体の1.6%、普通の問題でも1問1%ですから、上記の絶対的不確実性を踏まえれば、同じ難易度の試験問題でも受ける回によって得点率にして5%ぐらいは平気で上下すると思うのですが、R6年12月の短答式試験でも合格ボーダー±5%の範囲内には、合格者数と同程度とみられる数の受験生が収容されています

 こうしたことから、上記不確実性が最大の敵であるという認識の下下振れしても合格ラインを超えるよう勉強を進めるとともに、途中からは不確実性の幅をコントロールするような対策が求められます。

 ※なお、こうした不確実性の大きさは試験実施者である審査会も憂慮していたのか、令和8年度からは短答式試験の問題数を増やし、試験時間も適正化の方向で修正するようです。

反マッチョイズム

 自分の場合、受験生となった一番の理由が育児との両立なことから、育児で家庭面に支障が出ないよう、基本的には3日勉強して1日育児する。勉強日でも育児オペレーションが大変な朝食までと夕食以後は家にいて、寝かしつけもするため、基本的に勉強は10時~17時半までの7時間に縛られていました。

 最速で受かるという建前があり、5月短答もお試しというよりはワンチャン受かれたら受かるという姿勢を取る必要があったことから、5月短答まではほぼ毎日7時間ずつで月200時間勉強しましたが、それ以降は多い月でも月160時間が上限でした。

 隙間時間の活用も、結局は断片的で薄っすらとした記憶しか残らないことから、ほとんど行いませんでした、それでも十分運任せでない点数が取れたと考えています。

 長くなったため、具体的にどのような勉強を行ったのか、大枠としての方針については、次の記事に持ち越します。

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