控えGKとベルフワインの出場機会から考える、スパーズの前線の控え選手の立場
先日、Twitter上のスペースでも少し話していた内容なのですが、備忘も兼ねて文章でもまとめてみます。あくまで、個人の一意見です
この記事で言う立場というのは、戦術的なプレースタイルなどのことではなく、もう少し広い戦略的な意味合いでのことです。
控えGKという特殊な立場
サッカーにおいて、GK(ゴールキーパー)は手でボールを扱うことが許される唯一のポジションである。
試合ではゴールを守る最後の砦であり、それゆえにGKの能力は、チームの試合結果や成績の安定に直結する。そのため、ほとんどのチームは「正GK」と「控えGK」の立場を明確にし、チームを構成している。
スパーズにおいても、約10年にわたり現主将のロリスが正GKを務めており、ロリスの安定したハイレベルなパフォーマンスが、この10年間のチーム成績の安定に繋がっていると言っても過言ではない。(スパーズの試合内容は不安定である)
一方、不動の正GKがいるということは、正GKの休養や負傷時にしか出場機会の訪れない控えGKがいるということだ。
ミシェル・フォルム
2014〜2020に在籍していたフォルムは、ロリスの控えを務めてきたGKの1人だが、彼はスパーズでの6シーズンで公式戦48試合しか出場していない。この数字からも控えGKの難しさは想像できるだろう。
加入当時のフォルムは、スウォンジーの正GKであり、W杯のオランダ代表にも選ばれるほどの実力者だった。
しかし、年齢も30代ということもあり、欧州コンペティションに出場するようなクラブへのステップアップは難しいという問題があったのだろう。
そんな中でスパーズからのオファーは千載一遇のチャンスだったと考えられる。そのため、スウォンジーの正GKの座を捨てて、スパーズの控えGKの立場を受け入れてくれた。
このフォルムの立場が、現在のスパーズの前線の控え選手にも当てはまるのではないかと考えている。
スパーズの前線の現状
現在のスパーズの前線には、ケインとソンという絶対的なコンビがスタメンに君臨している。彼らは、クラブ史・プレミア史に残るレジェンドになりうる存在であり、現状ポジション争いを免除された選手である。
GKのように言うならば「正FW」という立場である。
その影には「控えFW」がいるわけで、それがベルフワインである。
コンテ就任後のリーグ戦スタメンはわずか1試合。それもソンが欠場したチェルシー戦だ。(当時クルゼフスキは加入していない)
ベルフワインは明確にソンの控えであり、自ずと出場機会は限定されてきた。
W杯を控えている24歳のベルフワインは、クラブで継続的な出場機会を得て、自らをアピールしたいはずだが、それは叶っていない。(それでもW杯のメンバー入りは濃厚だが)
ベルフワインはこの現状に不満を抱えていると言われており、今夏の退団も現実味を帯びている。
この状況は、ベルフワイン個人の問題というよりも、2人の「正FW」を抱えているがゆえに生じるチーム全体の問題だ。
スパーズにフィットする控えFWとは
スパーズは来シーズン以降もケインとソンを正FWに据え続けると思われる。そうすると少なくも1人は控えFWの立場を受け入れる必要があるだろう。(ケインの控えとソンの控えで2人必要という意見もあるかもしれない)
私個人の考えとしては、20代前半の選手の獲得は難しいと考える。
主な理由は以下の通り。
・出場機会が保証できない
・獲得時の移籍金が高額になりやすい
出場機会問題に関してはベルフワインの現状が物語っているし、若手選手はさらなるステップアップを視野に入れている場合もある。
そのため、フォルムの例のように、"欧州コンペティションに縁がなさそうな実力派の中堅選手"が狙い目なのではないかと考える。
プレミア内で当てはまりそうな選手としては、
ラウール・ヒメネス
カラム・ウィルソン
パトリック・バンフォード
レアンドロ・トロサール
などがいるだろうか。
(条件に当てはまりそうという意味であり、欲しい選手リストではない)
控えFWと控えGKの違い
ただ、出場機会が限定されることやタイトルが他のビッグクラブほど現実的ではないことなど、そういったことも覚悟でスパーズに来てくれる選手がいるのであれば、年齢関係なくウェルカムである。
また、控えFWは控えGKと異なる点がいくつもある。
・ピッチに1人しか立てないGKに対して、ケインやソンと共存できる可能性がある
・FWは途中交代の機会が多い
・ケインやソンは負傷が少なくないため、継続的な出場機会が回ってくる可能性がある
ただ、どんな選手であれ、ケインやソンとはポジション争いすらさせてもらえないだろう。
本当に難しい立場であることには変わりない。
まとめ
ケインやソンのような選手がスパーズに所属していることは我々にとって誇れることであるが、チームにとって難しい問題の原因になっていることも事実である。
そして、この問題に明確な解決策はない。
ビッグネームを望むのも、若手有望株を望むのも、確実性の高い中堅選手を望むのも自由である。
CL出場権を獲得して、選択肢があるから。
私は、大きな投資は他のポジションに回して、今の3トップに来シーズンを託したい気持ちが強い。