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結婚指輪の話

わたしと彼女は女性同士のカップルなので当然、法的契約としての結婚は出来ません。
しかしながら誓うことは出来るし結婚指輪を買うことも出来ます。そんなわけでわたしたちは結婚指輪を手に入れました。

仕事上、彼女はアクセサリー類を一切つけることが出来ず、わたしは制服から隠れるネックレスなら可能という形でした。
なのでわたしは指輪を買うときに一緒にネックレスを買い、彼女は買いませんでした。
そのことに少しの不安を感じたことは、彼女には言っていません。
つまり何が言いたいかと言うと、本当に彼女はプライベートでこの指輪をつけてくれるのか、ということです。

愛を誓い結婚指輪を買っても、彼女とわたしは同棲するわけでもありませんでした。もちろんいずれの目標ではあるのですが。
彼女は追われると逃げたくなる性質の持ち主で、愛が大きすぎるわたしは彼女に逃げられないように常に愛を抑えるのに必死です。好きだと言っても愛してると言っても、同等の言葉を返してくれない彼女が果たしてプライベートでこの指輪をつけてくれるのか。
甚だ疑問でした。
ネックレスを買わなかったということは、仕事中は家に置いていくということでした。必然、わたしたちの関係を言ってない人たちと彼女が会うときも指輪は家でお留守番でしょう。
でも、わたしと会うときだけにつけるための指輪なのであればそんなものは意味が無いとすら思っています。でも、付けてるのか付けてないのかそんなことも確認出来ない環境にわたしたちはいる。
そのことにどうしようもなく傷つく日々。

わたしはいつも彼女のことで彼女の与り知らぬところで不信感を抱きそして自覚無い彼女に傷つけられてきました。
今回もそんなふうに悶々としていたとき、彼女は共通の友人と東京旅行に出掛けたのです。
その共通の友人は、わたしを除けば恐らく彼女と最も仲のいい人物。どうやら毎日のようにLINEもしているようです。わたしとはしないのに。
そんなところにもイライラしながら報告を受け、でもそういう報告をしてくれることには喜び、感情のジェットコースターと戦っていると一枚の写真が。
TDLに行った写真でした。だいすきなダンボのぬいぐるみを抱えるかわいい彼女の写真。
いつもであれば髪型メイク服装至る所に散らばる彼女の魅力に虜になるのですが、わたしの目を釘付けにしたのは彼女の左薬指にはまった指輪でした。

なんと彼女は、その共通の友人にいつの間にかカミングアウトし当然のように指輪をはめ遊びに行っていたのです。マジで当然のように。

その瞬間わたしの脳内はお花畑です。
すべてが報われた気持ちでした。
何を言ってもありがとうを返す彼女の中にも、わたしへの愛は確実にあるのです。
彼女の人生に刻み込まれたいと思っていたわたしは、すでに彼女の人生の一部になれていた。

いろいろと、タイプも違うし考え方も違うわたしと彼女。
そのせいでわたしは常に苦しみ悩みそして幸せなのです。
一喜一憂するこの心でさえ、彼女を愛している証明だとして抱えて生きていけるのです。

この指輪はいつまでも私と彼女を繋ぐように。
これからもそう願うばかりなのです。

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