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言葉にできない

今までいろんな言葉で、わたしと彼女の関係や自分の気持ちを象ってきた。
でも、満足ができる表現ができたことはない。
どんな日本語を使っても陳腐に聞こえるし、そもそも形のないものを象ろうとすること自体が間違っているのではないかとさえ思う。
それでもわたしは、こうして綴ることを辞められない。

わたしは彼女を愛しているけど、彼女が同じようにわたしを愛しているかと聞かれればそれは違う。
わたしと彼女は世間一般的に想像されるカップルとは全く違う形をしている。
わたしが愛してると言っても彼女がそれを返すことは無かったし、恐らくこれからも無いだろう。
「それでもいい」という黒く重い感情と諦念が、わたしたちの関係をつなぎとめている。
否、わたしが彼女を縛りつけている。

彼女はそもそも、あまり「人を愛す」ということが分かっていないようだ。つまり彼女からわたしが望むような愛は与えられないということと同義でもある。
わたしが求めるものは、世間一般的な愛情とさして変わりは無いと思っている。そう思いたい。でも、それは絶対に彼女から与えられるものでは無い。
そのことを分かっていて、わたしは彼女の隣に居続けたいと望んでいる。

ただ、そう事が上手く運ばないときもある。
わたしは身も心も女性なので、いわゆるホルモンバランスが乱れる時期、というのがあって、そういうときはどうしても、普段は忘れているような黒く重たい感情たちがふつふつと姿を現す。
わたしは彼女に「愛されて」はいないし、わたしが彼女の唯一無二になることはない。
そのことが、私を傷つけていることも分かってはいる。それでいいと納得したのはわたしだし、それでもいいからと縋りついたのもわたしのはずだった。
普段はなんてことない。我慢できるようなことでも、そういう時期だけは駄目だ。

言葉にできない感情がわたしを包む。
でもそんなときでも、わたしの中にある確かな感情。

彼女を愛してる。

それを自覚するたびにわたしはまた彼女を離せない。

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