「COSMOS」を聴いて
まず初めに、この度はM.S.S Project 1st Mini Album「COSMOS」発売おめでとうございます。
2年振りとなった音楽ライブツアー「-COSMOS- StarLight Tour 2022 ~THE ORIGIN~」で生まれた新曲たちを再び聴けると思うと本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。
個人的な話にはなりますが、初めて新CDの発売に立ち会えた瞬間でもあったのでクロスフェードを聴いて発売までドキドキが収まらず、眠れない夜を何度も過ごしました。(何度も、は誇張表現ですね。実際は2日後の夏ライブM.S.S.Parkにて購入可能という。ありがとうございます、早速購入させていただきました。)
先に申し上げておきますと、この記事はあくまで一ファンの感想であり、そのほとんどが個人の感性に基づくものです。そのため矛盾や破綻もあることをご承知おきください。
今回のミニアルバムは「COSMOS」とあるように、それぞれに宇宙を意味する題名が与えられながらも4曲全て曲調が異なり、本当におもちゃ箱みたいだなあと感じました。
個性溢れる楽曲達はどれも輝いていて大好きなのですが、今回は表題曲でもあるCOSMOSに的を絞りCDを聴いて改めて感じたことを書いていきたいと思います。
作詞作曲はFB777さん。上記ツアーのラストを飾ったこの曲を私が初めて耳にしたのは2日目の横浜公演でのことです。当時より歌詞も曖昧なままに、あれこれ思いを馳せていましたが、その時に抱いた率直な感想の一つが「ライブを意識しすぎずに創りたいものを創ったのかな」というものでした。
と、いうのも音楽理論的な知識がないために全て感覚での話になりますが、過去のツアータイトル曲に比べて特に重厚感のある曲調だと感じたからです。展開として近いと感じるのは静かなAメロから始まり、サビで疾走感のあるメロディに移り変わるM.S.S.Phoenixですが、COSMOSではAメロとサビの音運びが似ているところもあり、サビでもなお重い雰囲気だという印象を受けました。
そしてFBさんの作られる楽曲において、しばしば登場する「崩壊した世界」ですが、その世界に対して希望を示すことはあれど曲中では安易な救済を歌うことは少ないと個人的に感じています。
そして今回の歌詞はそれが顕著に表れていると思いました。
全体的な歌詞が言い切る形よりも「~のか」といった疑問形に近い言葉が多く、未知の世界への問いかけ、あるいは自問自答にも近いのかな、と。
このことからストレートな解釈ではありますが、COSMOSは独立後の未来を手探りで切り開く4人の歌なのだろうと考えます。
この一番と二番に歌われている「暗闇」と「終点」はそれぞれPhantasiaとPeriodからの引用のように思いました。
「信じ切った旅路の果て」がこれまでの活動、「終点の先」がPeriodの先、つまり事務所を退所した後のことで、まさに再出発したこれからの活動についてを知り得ないと歌っているのでしょう。
2年前の夜が明けて「一億の星達」と歌ったKIKKUNさんにとって、後述する「キミ」だけでなく、この「光」もファンを意味してるのではないかと考えました。消えて何処か違う場所に向かったり、再び輝き始めたり、日々変わりゆく大きな意味での視聴者の動きのイメージです。
この部分は当時より課題にされていた登録者数のことだと感じました。零(=数字)を狂わせて過去を変える、やり直したことによるリセットの表現なのかな、と。
この楽曲を含め「時は戻らない」という表現は度々使われており、彼の中で時間は不可逆なものでチャンネルについても割り切ってしまっているのでしょうか。
この楽曲において数少ない言い切りの形をした歌詞の一節です。
1000年続けたい、と仰っていたようにこの先も活動を続けるという強い思いのように感じられます。
あと横アリのパンフレットに書かれていた「ステージの上で死んでくれ」という言葉を少しだけ思い出しました。
多分願望込みだけれど、彼らは最後までずっとMSSPなんだろうな、そうであってほしいと心の底から思います。
いわゆる「初見バイバイ」と言われていたカオスな彼らに出会った視聴者たちのことで、着いてきてくれるのかバイバイなのかを問いかけているのかなと。
ツアー中にKIKKUNさんがMCで度々言葉にしてくださった輪を広げる、発展していく、といったような鎖国的だった活動からの脱却を示唆しているのかなあと思いました。そして退所の理由の一つとして挙げられていたファンとの向き合い方、すなわち調和も意味しているのではないでしょうか。
また、これは言わずもがな、カオス⇄調和(コスモス)で対の歌詞になっています。
THE ORIGINの副題の元、原点回帰を謳いながらも新たな挑戦をしていく彼らの意志を感じます。それはまさに「灯」のように、静かだけど確かに揺らめいている情熱にも例えられるでしょう。
先ほど「未来を切り開く4人の歌」と述べましたが、もっと言えばCOSMOSはFBさんから他の3人に向けた曲なのではないかと考えました。その理由は曲中における「キミ」の扱いです。
Phantasia以降の表題曲はMSSPからファンに向けて寄り添ってくれたり、背中を押してくれたりする曲という印象を強く感じていました。(同列に取り上げる楽曲がPhantasiaーPeriodばかりですみません。しかし、これらは音楽ツアーという確立した活動を前提とした楽曲であることから、切っても切れない関係であると個人的に感じております。)
そういった部分からも歌詞に出てくる「君」は応援してくれるファンのことを表してくださっていると考えられ、それはこのCOSMOSでも同じだと思います。
ただ、過去の表題曲と少し違うと感じたのがラスサビに「君」(とそれを連想させる表現)が出てこないところです。
Phantasia以降、それぞれの曲では
といったように「君」と君を含んでいると思われる歌詞が出てきます。
しかし、COSMOSのサビに出てくる「キミ」に対しては
と、遠くから静観するような、どことなく一線を引いて距離を保っているように感じます。
それではこの「キミ」は「僕ら」を観測するだけの存在なのか?と思えば、
この「キミ」に合わせてFBさんが会場全体を端から端へ、観客に向けて手を差し伸べるような振りがあり「手放さない」の通りその手を強く握る姿がありました。その声色はどこが切迫したような、必死そうな印象だったのを覚えています。それは他の楽曲よりも余裕のなさのようなものを感じさせました。
「君が望むのなら」と委ねることも、「一緒に居るから」「待ってるよ」と優しく受け止めることも、心として「想い願う」ことでもなく、映っただけの「キミ」を自ら引き寄せ「放さない」と歌うのは珍しいな、と。
この曲においての「キミ」は語りかける歌の対象ではなく「僕ら」と同一化して楽曲の中に融けこむ存在であり、それはむしろ今までより近い位置にいるのではないかと感じました。
そして最後になりますが、COSMOSのラスサビは
と、「キミ」ではなく「COSMOS」に対して命令形で訴えかける歌詞になっています。
今までの優しく導いてくれるような歌詞とは正反対の強い言葉に会場で初めて聴いたときも珍しく感じていました。
COSMOSが何を指し示しているのか……或いは過去の自分たちに、或いは未来に対して、はたまた今隣にいる仲間に対してなのか。
「応えろ」ということは「僕」からの何かしらの行動に反応できる存在であると仮定して、やはり他の3人に語りかけているのではないかな、というのが私の解釈です。そして自分自身にも問いかけている。
それこそ「宇宙ヤバい」4人そのものがCOSMOSなのではないでしょうか。
と、まあここまで好き勝手語りましたが、全てはただの妄想に過ぎません。何しろ宇宙は広すぎますから。こんな人間一人では到底理解には及ばないでしょう。
ですので、ここまで読んで下さった方がいらっしゃいましたら、是非貴方の感じた宇宙も聞かせて下さい。