令和にまだ蔓延るパワハラ
私は今、とある有名な自動車販売店で受付の仕事をしている。
パートとして、お小遣い程度で稼げたらいいなと軽い気持ちで入社した。
初めの頃は、右も左も分からず必死で先輩方の後ろをついて一日でも早く仕事を覚えようと努力していた。
アテンダントとしての仕事は、主に受付業務、事務業務、営業マンのサポート。
軽い気持ちでは到底務まらない仕事量だ。
私が入社したころ、アテンダントが自分合わせて6名。
1ヶ月で1人のアテンダントが辞めた。
3ヶ月後にもう1人、半年後にまた1人と辞めていった。
その間にも営業マンが飛んだり、月日が経つにつれ人が減っていった…
残ったアテンダント3人のうち1人は、他店からの応援で来ていたため期間が経ち、その人も去っていった。
残ったのは、古株の30代と私だけ。
ここから地獄の始まりだった…
古株さんと私は正直、仲のいい方ではなかった。
かといって、揉めることも特になく一定の距離を保ってそれぞれ協力しながら仕事をしていた。
ある日、古株さんからランチのお誘いがあった。
私は会社で特に仲良い人がいなかったため、その誘いがとても嬉しく感謝したぐらいだった。
いわゆるOLのランチというものは初めてのことだったため、どういう話をするのだろうかワクワクだったが、古株さんはほとんど話をしなかった。場を盛り上げるため、後輩として気を張りながら話題をだしては1人で喋り続けた。
せっかくお誘い頂いたのに、こんな空回りした会話で申し訳ない気持ちになったが、その日のランチはそれで終わった。
その日からほぼ毎日、ランチに誘われるようになった。
あんなにつまらないランチだったのになぜ誘ってくれるのだろうか疑問にはあったものの、古株さんの優しさなのかもと誘いを断ることは無かった。
ある日、古株さんが口を開いた。
「○○ちゃんってこの会社楽しい?」
正直、なんて言うのが正しいのか考えたが、私も古株さんと仲良くなりたかったため本音で話した。
「しんどいです。人も少ない上仕事量が半端ないですよ。」
会社の愚痴を次々と言った途端、古株さんはとても興味津々で共感すらしだした。
今回のランチは成功だ。
少しは距離が縮まったはずだろう、その時の私は本当に馬鹿だった。
後日、店長からの指導が厳しくなった。
指導というより、嫌味の方があっている。
店長からの質問に自分なりの考えを伝えた際には、バカにしたような笑いで見下してきた。
あれやっといて、これやっといて、が増える中、
言われる前に動こうと努力していた時、
店長「あれやっといて。」
私「もうやっております。」
店長「あ、了解。」
去っていった後、私にも聞こえる声で「あ''ーぁ!」と深いため息を漏らしていた。
何が気に食わなかったのか、これは嫌がらせなのか、
次の日、休日を貰っていた私は息子と公園に遊びに行っていた。
LINEの通知が来たので、内容を確認すると古株さんからだった。
''ファイリングの順番が正しくない。''
という指摘。
私の本音は、休みの日ぐらい注意してこないで欲しい。
仕事に支障が出るミスを私がしていたならわかるが、ファイリング如きで…と正直思ってしまった。
「かしこまりました。以後気をつけます。」
と文を送信し、その日はどんよりとした休日を過ごした。
次の日古株さんはお休みだったため、私1人だった。
朝礼の際に、店長が「最近思うことがあるんだけど、先輩や上司から指導されたことに対して、不貞腐れる奴いるじゃん。なんなのあれ。ガキなの?この会社には大人しかいないと思ってるんだけど。」
皆がいる中で、名だしはないものの私の方を見て、それは私に向けて言っているように思えた。
私は気づいてしまった。
古株さんと店長は繋がっている。
私の話は全て店長に筒抜けだったのだ。
その日から、私に対して集中的に2人からの''指導''が入る。
休みの日なんかお構いなく、同じタイミングでLINEの通知音が。
そこまで気にしてはいなかったが、嫌なことには変わりわない。
最近の話ではあるが、営業マンの上司2人に飲みに誘われ流れで参加した。
その間に、色んな話を聞いた。
「今年の夏終わりに辞めた整備士が、店長に辞める旨を伝えた時、『お前なんか元々要らなかったんだよ。』って言われたらしいぞ。」
このご時世でそんなことよく言えるなと、残念な気持ちになった。
営業マンの上司2人も辞めたいと嘆いているのを見て、表向きはお客さん思いのとてもいい会社だと思っていたが、うちの店舗の店長がヤバいということをやっと気付かされた。
店長もヤバいが、古株さんはどういうつもりで立ち回りしているのだろうか…
普段お客様に笑顔を振りまいている姿を見ると、
恐ろしさを隠さずにはいられない。
時給と割に合わない仕事量、店長のパワハラ発言、陰湿な嫌がらせ。
私はここで働いて幸せなのだろうか。