[←↓↑→] 無難な足譜面を作る
この記事は、2014年末に個人サイトで公開したページの内容を抜粋して再構築したものです。
2年ほど前に個人サイトを縮小した際に、そちらのページも合わせてインターネット上から吹き飛ばしてしまったようなので、ローカルに残されていたデータをもとに、noteで部分的に再公開することにしました。元々7ページくらいに分けてたコンテンツなので文章量やばそう。
(※後記:12,000字を超えました…)
これに限らず、個人サイトに書いていた情報のうち、役に立ちそうな内容とか告知は、今後は随時こっちに引っ越してこようかなぁ。
足譜面とは
今回は「そもそも譜面とは何か」というところから書く必要がありそうです。ざっくり書くとこんな感じでしょうか。
本記事でいう譜面とは、音楽ゲームに関係するものです。
音楽ゲームは、画面外から画面内の判定領域に近づいてきたオブジェクトが判定領域と重なったタイミングで、プレイヤーがボタンを押し(画面をタップし)て、そのタイミング判定が得点化されるという形態である場合が多いです。このオブジェクトが、音楽の主旋律やリズムに合わせて判定領域と重なるように、並べ方を定義しているものが「譜面」と呼称されています。英語だとchartとかchart mapとか言われているのかな。
また、音楽ゲームの中には足でプレーするものがあり、その先駆けがKONAMI社のDance Dance Revolution(以下DDRとする)です。アーケード版と家庭用作品があります。
家庭用作品は、専用コントローラ(マット等)を敷いて足でプレーすることもできれば、よくあるゲームコントローラをつないで手でプレーすることもできます。最近ではPCでプレー可能なクラウド版も出て、こちらはコントローラーが無くてもキーボードでプレーできます。
このゲームに登場する「譜面」について、DDRの公式譜面はアーケード版でのプレーを前提としたものが多いので、その大半が足でのプレーを想定されています。人間の足は2本までしか無いので、どれだけ難しいものであっても、3方向以上の同時押しは公式には登場しません。(家庭用作品限定の譜面とか、海外作品とか、例外はさておき)
過去に発売されていた家庭用作品の一部にはEDITというモードがあり、プレイヤーが上下左右4方向の矢印を好きに並べて配置することができました。これは譜面を作るという行為のひとつにあたります。
EDITで作成された譜面は公式譜面と異なり、想定するプレースタイルに決まったルールはありません。いつしか、公式譜面のように両足でのプレーを想定した譜面は足譜面、コントローラーの使用など両手でのプレーを想定した譜面(3方向以上の同時押しとかあるし、難しくなりがち)は手譜面と呼ばれるようになりました。
本記事の主題
ここで話題に取り上げる足譜面とは、足でのプレーを想定した、上下左右4方向の矢印から構成される譜面のことです。本記事では、DDR公式のような足譜面を作る時に気を付けたいことを、私なりに纏めようと思います。
一番大事なことを最初に書いておきます。譜面の在り方に絶対解は存在しません。なので本記事のタイトルは"良い譜面を作る"ではなく"無難な譜面を作る"としました。
誰かにとっての"神譜面"は、同時に誰かにとっての"ク○譜面"かもしれないという意識を持つと良いでしょう。逆もまた然りで、これからここに書く内容は決して絶対的なルールではなく、全てが正しいことであるとは断言できません。
難なく踏めるもの、とても簡単でスコアを出しやすいもの、ギリギリクリアできるもの…譜面の形は様々です。これらの遊び方もまた、プレイヤーによって様々です。プレイヤーのなかには、低難易度で満点を目指す人もいれば、とても人間向けとは思えないような高難易度譜面を辛うじてクリアして喜ぶ方もいます。これらのプレイヤー全てに等しく受け入れられる譜面というのは、そうそう存在しないと思います。
そして今回、ひとつの目標・ゴールとして「DDR公式のような譜面」を掲げることとしますが、DDR公式の譜面のクオリティも正直なところピンキリで、必ずしも全ての譜面が良い例であるとは言えません。
本記事は、(DDRに関する経験や知識が乏しい状態で足譜面を作り始めるくらいなら)参考程度に見て欲しいな、というものです。
前提条件など
使用する矢印の種類について
今回はDDRに登場する、踏めるものに限定します。具体的には通常の矢印と、フリーズアロー(始点から終点まで踏みっぱなしにする長い矢印)の2種類のみにフォーカスを当てます。
方向は←↓↑→のみ
DDRではこの4つの矢印を使用します。本記事で扱うのはこの4方向のみとします。
斜め矢印が登場するSOLOモードや、PS3版DDRに登場する8方向譜面などに関しては省略します。ですが、方向が増えても基本的な考え方は変わらないはずです。
また、当時の記事ではSINGLE(パネル4枚を使用するモード)の話しか書いていなかったので、今回もそうします。余力があればDOUBLE(パネル8枚を使用するモード)についても少し触れようかなと思ったんですが、余力ありませんでした。すんません、またの機会に…。
プレイヤーの脚は2本とする
人間の脚は2本までしかありません。本記事でも当然ながらこのルールに従います。具体的には、1本の足で踏むことができるパネルは1方向分のみとし、3方向以上の同時押しは登場させない方針とします。
速度変化は考慮しない
目まぐるしい速度変化を含むものや、まるで観賞用のような譜面は、今回全て論外とします。 初級者中級者でも難なく楽しめる、親切な譜面の製作を想定します。
矢印の置き方のみ記載
ここでは、譜面の制作環境に関する話題はしません。
[おことわり] 参考動画について
本記事中では、例としての足譜面がわかる動画あるいはDDRのプレー動画を数点、YouTubeの埋め込みという形で引用掲載しています。各動画のアップロード者と本記事の書き手は関係ありません。
動画の掲載について何か問題がありましたら、アップロード者から直接ご一報いただければ対応いたします。
また、本記事は収益化を目的として記載したものではなく、今後そのような用途に転用する計画も一切無いことを、念のため明記しておきます。
参考の譜面を動画ではなく画像でじっくり見たいという方は、曲名の情報をもとにご自身で検索してみてください。
基本 ~はじめて譜面を作るときに意識すること~
お待たせしました。ここからが本編です。
慣れるまではひたすら「交互踏み譜面」を作ろう
足譜面を作る方法、それは
"曲に合わせて矢印を配置する"
これだけです。とても簡単でしょう?
矢印を適当に並べただけの足譜面なら誰だって作れるでしょう。音楽に合わせるのもそこまで難しくないかもしれません。
ただし、果たしてその譜面は誰もが「遊んでみたい」と思ってくれる譜面になりえるのだろうか?と考えれば、足譜面を作ることの難しさは変わってくるかもしれません。
DDRを足でプレイした事がある方ならおわかりいただけるかと思いますが、難易度が上がってくると、正面の画面を見ながら、素早くかつ正確なリズムで矢印を処理する必要が出てきます。 その際、右足・左足・右足・……と、両足を交互に使って矢印を処理する(ビジステップ)のが効率的で一般的です。
足譜面では、このように正面を向かせたまま交互の足で順番に踏ませるような構成が基本となります。
交互で踏まなくてはいけない、というルールが存在するわけではありませんが、途切れなく交互に踏むことができた時の達成感は凄いのではないでしょうか。達成感が大きければ大きいほど、プレイヤーのモチベーションもより長く持続するでしょうね。
ところで、流れてくる矢印を左右どちらの足で対処するか、それはその都度プレイヤーが即座に考えて判断する必要があります。時には、交互に踏めない配置を即座に対処する必要が発生することもあります。
次の動画のような譜面はどうでしょうか。
この譜面を、正面を向いたまま交互の足で順番に踏もうとすると、結構大変なことになるかと思います。サムネの時点でうわ~ってなりますね。
交互に踏むことを諦める(←と↓は全て左足で処理して、その他は全て右足で処理する)とか、正面を向き続けることを諦める(回ることで交互に踏み続ける)とか…。
次の動作をどのようにするのが最適なのかをプレイヤーに考えさせることによって、難易度が上昇し、その譜面の攻略のし甲斐やゲームらしさが増します。そのため、難易度調整の手段として、交互に踏むことが困難なステップを作ることは、制作時の選択肢に含めて良いと思います。しかし、交互ではない配置を良い塩梅で譜面に含めるのは結構難しいです。
しかも、このような譜面はプレイヤーによって得手不得手や評価が極端に分かれてしまいます。ひとたび匙加減を間違えれば○ソ譜面と一蹴されてしまう可能性も…。
これから初めて譜面を作ろうとしている方には是非とも(変な表現かもしれませんが)一般ウケする譜面を作っていただきたいので、この方法でむやみに難易度を上げずに、まずは正直に交互に踏める譜面を多く作ることから始めることを、強くおすすめします。
意識したいのは「上半身」
譜面を作るうえで忘れられがちになるのが上半身の存在です。
両足での踏み方を定義しているものが足譜面なので、作る際に無視されがちな気がしますが、矢印を踏んでいる時の上半身の向きも重要な要素と考えます。これがどういうことかを説明します。
次の図ではDDRのパネル及びプレイヤーを上面から見下ろしており、画像上側に画面があると仮定します。目線の関係で頭は常に正面を向いているでしょうから、今回は腰の動きを考慮します。
たとえば←と↓を踏んでいる時、体は画面に向かって斜め右前の方向を向いています。↑と→を踏んでいる時も同じです。
では↓と→を踏んでいる時ではどうでしょう。
画面に向かって斜め左前の方向ですね。
なお、場合によっては上記の向きとは180゚正反対の向きを向いていることもあります。例えば→,↑,←,↑,→を順番に踏むために体を強く捻っている時だとか、いわゆる「アフロ踏み配置」(※後述)をしている時など、←と↑を踏んでいるにも関わらず画面に向かって斜め右後ろの方向を向いていることも。
(この場合、目線は画面のほうを向いているので、体は厳密には画面に向かって右方向を向いています。)
とはいえ、←と↑を踏んでいる時に画面に向かって斜め右前や斜め左後ろを向いているパターンというのは、ほとんどありませんよね。
難易度を調整するために体の向きを利用するケースもあると考えます。例えば「どうしてもこのリズムで矢印を配置したいけれども、これでは極端に難しくなってしまう」という場合には、上半身の向きを最小限に抑えるという手法が使えます。
例を挙げてみます。GAIAという曲のSINGLE-EXPERT譜面の、最初から65歩目(下の動画では0:29の時点)まででは、どんどん矢印の数が増えていき、53歩目からは地団駄に近い形になります。ただし、上半身を画面に向かって斜め左前に向けた状態で固定してプレイすれば、足を大きく動かすことなく、体力を温存することが可能です。もしここで上半身の向きに変化が加わっていれば、この部分は更に難しい譜面になっていたことでしょう。
もちろん逆に、体の向きを利用して難しくすることも可能です。
極端な例ですが、HyperTwistという曲のSINGLE-CHALLENGE譜面の終盤手前(下の動画の1:38~1:42)では、左右の足で交互に踏めるように矢印が置かれてはいるものの、BPM190で16分音符のリズム(≒秒間12.67歩)というトンデモな速さに体が追いつかない人が大多数かと思います。曲名も相まってかなり存在感のある譜面になっていますね。
交互に踏めれば必ずしも簡単なのかといえば、そうではないのです。
この体の向きを考慮して譜面を作っている方、意外と少ないのではないかと思います。たまに公式でもこの扱いが雑な譜面が存在しますけども、そんなもの出すくらいなら代わりに自分に作らせてほしいわホント。
体の向きがずっと同じままでプレイしていると味気なさを感じるというプレイヤーも多いでしょうから、是非とも譜面制作時に考慮する要素の1つとして取り入れていただきたいものです。配置がワンパターンにならない程度に、何度も左右に向きを変えるようにすると良いかと思います。
最低限「4分」や「8分」だけあればいい
DDRはリズムを重視したゲームであるといえます。メロディよりも、音楽の裏で鳴っているリズム隊に合わせて譜面が作られている場合が多いです。
beatmaniaをはじめ、手でプレイする前提の他のタイトルは、曲の音色に合わせて細かく慌ただしくノーツやオブジェクトを処理することが多いですが、DDRの場合はそうではない譜面のほうが圧倒的に多いです。 ゲームとしてのコンセプトが演奏ではなくダンスであることや、他のゲームに比べて体力の消耗が激しいことなど、理由は多く考えられます。
曲のBPM(速さ、Beats Per Minute)が判明したら、そのBPMに合わせて矢印を配置するだけでも、ゲームとしては十分に成立します。
例えばDYNAMITE RAVE ("AIR" Special)は、最後を除いてひたすら同時押しが続くシンプルな譜面ですが、このゲームに慣れるのにも適していますし、実際にプレイしてみると結構楽しいです。
また、EXPERTよりも更に下位の難易度であるBEGINNERやBASICといった難易度の譜面は、初心者~初級者がゲームに慣れやすいように、複雑なリズムで矢印を配置せずに、4分音符のリズムだけで譜面を構成している場合がほとんどです。
もしも、メロディや歌唱のリズムが複雑で、どの音に合わせて矢印を配置すれば良いのかわからない!という状況に陥ってしまった場合は、4分音符や8分音符のリズムだけで譜面を作ると良いでしょう。良い例としてFLOWERという曲のSINGLE-EXPERT譜面の動画を載せておきます。
無理に音に合わせて矢印を敷き詰めると、難易度が高騰したり、プレイヤーと譜面の解釈が一致せず「何か違う、コレジャナイ」という印象を持たれてしまいます。
中級 ~製作に慣れてきたら考えてみてほしいこと~
ここまでで、最低限の部分は何とかなるのではないかと思います。
ここから先については、そこまで考慮して作るのかと思われてしまうかもしれません。EDITの譜面作者はおろか、本家DDRの譜面製作者にもあまり重要に考えていない方がいそうな部分です。(だいぶ失礼な推測)
しかし、プレイヤーに対して親切な譜面を設計する上では絶対に欠かせない部分であると思います。
足の移動距離で難易度は変わってくる
DDRは譜面の見た目や矢印の多さに加えて、消費する体力の加減も難易度を決める要素となってきます。足を頻繁に移動させる譜面、素早い動きを要求する譜面は、体感難易度が上がってしまいます。
ここで、次の譜面の画像を見てください。譜面①②③はすべて、矢印3つのかたまりが4回、同じリズムで来る譜面です。BPMは3譜面とも同じとします。
ぱっと見た感じ、どれも同じ難易度のように見えますが、消費する体力の面で見るとどうでしょうか。画像を交えて解説します。
3つの譜面には、足の移動距離において大きな違いがあります。次の画像は、4方向の各パネルの大体中心どうしを直線で結んだ図です。赤い線は斜めに隣あったパネルどうしを繋いでいます。青と緑の線は、それぞれ正反対の向きのパネルの中心どうしを繋いでいます。それぞれの線の長さが、赤(1辺)<青, 緑 なのが一目瞭然かと思います。
(パネルの1辺の長さを1とした時、赤の1辺の長さは√2、青と緑の長さはいずれも2)
それでは、先程の3つの譜面について考えてみましょう。
①は3つの矢印の集まりを処理する際に、2つの方向のパネルだけ踏むことになります。最初は→と↑、次は←と↓……、という感じ。このとき、足を赤や青、緑の線に沿って別のパネルのほうに動かす必要は全くありません。
②と③は各かたまりの1歩目と3歩目が異なる方向の矢印になっているため、片方の足を動かす必要があります。 ②の場合は、赤い線に沿って片足を動かすことになります。
そして③の場合では、青い線に沿って片足を動かすことになるので、②の時よりも足の移動距離が長くなります。
(その後、緑の線にも沿って動かすことになります)
足の移動距離が長くなるということは、それだけ足を持ち上げて動かす体力が余分に必要になるということです。(とはいえ、極めて早い曲でもない限りその差は微々たるものですが…)
そのため、細かく難易度をつけるとしたら①<②<③となります。
このようにして、全く同じリズムやBPMでも難易度に差を生じさせることが可能なのです。
時々「実際に踏んでみたら見た目以上に難しかった」と感じることがあれば、それはこの足の移動距離が1つの原因かもしれません。
今回は3譜面とも正面を向いて交互に踏める矢印の配置をしましたが、もしそうではない配置を作るとなれば、難易度の選択肢はとても広がります。
この「足の移動距離」に注目して、Seasonsという曲のSINGLE-EXPERT譜面を見てみましょう。序盤に何回か、左右どちらかのフリーズアローを踏ませながら「↑」や「↓」を8分のリズムで踏ませる箇所が登場します。見た目は大したこと無いかもしれませんが、実際に踏むと忙しいです。
同じようなリズムが連続する場合は、少しずつ足の移動距離を伸ばしていって徐々に難易度を上げていくことで、よりゲーム性を持たせることもできます。最近の譜面ですと、Let Me Knowという曲のSINGLE-EXPERT譜面の中盤がこれに該当します。
左右の足をバランス良く使わせる
人には利き手と同じように利き足というものがあります。サッカーボールを蹴るほうの足が利き足だ、なんて話を聞いたことがある人もいるかもしれません。真偽はさておき。
突然ですが質問です。足で一定のリズムを取るとしたら、どちらの足を使ったほうがほぼ正確に同じBPM(テンポ)をキープしやすいですか?
実際に地面を踏んでみるのでも、何なら貧乏ゆすりでも構いません。
私の場合は利き足である右足のほうがリズムを取るのが得意なようです。私の知人には、左足でリズムを取ることができないという人がいました。どちらか一方の足でリズムを取ることが苦手な方というのは絶対いるのではないかと思います。
これもゲームである以上、バランスが重要だと思います。プレイヤーが得意な要素だけを詰め込んでも面白みが無いのでは?と思います。
要するに何が言いたいのかというと、右足から交互踏みを始めるタイプと左足から交互踏みを始めるタイプの2種類の矢印の配置方法を、できるだけ偏ることなく取り入れることができれば、その譜面はより楽しいものになるのではないでしょうか。
4分のリズムに片方の足だけが集中してしまった場合、得意な人にとっては楽でしょうし、不得意な人はミラーオプションをつければ難易度がグンと下がってしまう可能性があります。
画像で見ていただいたほうが早いかと思います。次の画像において、左右の譜面は同じリズムで矢印が配置されていますが、右の譜面のほうが楽しそうだな~と私は感じます。
「↓↑」同時押しの踏み方は2通りある
次のような譜面を足でプレーするとします。最初の→は右足で踏むとして、最後の「↓↑」同時、あなたならどの向きで踏みますか?
ステップゾーンの↓が中央より左側に、↑が中央より右側にあることから、下を左足、上を右足で踏む人が多いのではないかと私は考えています。
ところが実は、この譜面は次のように続きます。
もし先程、↓を右足で、↑を左足で踏んでいたら、フリーズアローの終点と同じタイミングにある→を右足で踏むことができ、それ以降も交互に踏むことができます。両足を逆にして踏んでしまった場合、↑のフリーズアローが終わるギリギリまで右足を↑に置いておき、終点が近づいたら即座にスライドして→を踏む…といった対処が必要になります。スライドが不得意な人もいれば、フリーズアローから足を離すタイミングがよくわからない人もいるでしょう。この譜面は、そういった方には悪い印象を与えてしまうものかと思います。
「↓↑」の同時押しを踏むには、右足を↑に置いて体を斜め左前に向ける方法と、左足を↑に置いて体を斜め右前に向ける方法の2種類があります。ですから「↓↑」の同時押しや↓と↑を交互に踏む配置の手前では、左右どちらの足を↓あるいは↑に置くのがベストなのか、譜面作者である貴方としては左右どちらの足を↓または↑に置かせたいと考えているのかを明示するための誘導をすべきと考えます。
誘導とは何ぞや?ということで、私が先程の譜面で例えてみます。下の画像のように「←→」の同時押しだった部分を黄枠のように変化させることで、片方の足の移動を段階的に進めていくことができました。これが誘導です。
ひととおり矢印の配置が終わったら、配慮漏れがないか見直すと良いでしょう。見落としやすいので、制作に慣れるまでは、スロー再生または静止画に書き起こしての確認がオススメです。
賛否両論ありそうな要素
ここからの項目については、この文章を書いている私個人の、譜面傾向に対する好みが無意識のうちに現れてしまう可能性があるため、別項目として纏めました。
いわゆる「アフロ踏み配置」は多用すべきか?
体の向きに関する項目でも少し触れたアフロ踏み配置について触れたいと思います。 が、その前にそもそもアフロ踏みとは何か?という点からお話しておきましょう。
似たような配置をした譜面が4つ、全て同じリズムで配置されています。
⑥や⑦を交互に踏もうとすると、どうしてもその場で体を回転せざるを得なくなります。⑥の場合は大きく回りこむように左足を大きく動かすことで正面を向いたまま交互に踏むことが可能ですが、時間がかかるので素早い動きには適していない上に、慣れていないとバランスを崩してしまう可能性が大きいです。しかし⑧や⑨は、目線を正面の画面に向けたまま、最後まで交互に踏むことが可能です。
DDR 3rdMIXのAFRONOVAという曲のSINGLE-EXPERT譜面でこの配置が登場し、多くのプレイヤーに衝撃を与えたことから、アフロ踏みと呼ばれるようになったのではないかと思われます。
(ただし同様の配置は、AFRONOVA以前にもDDR 2ndMIXのSP-TRIP MACHINE ~JUNGLE MIX~ [SINGLE-EXPERT]等で既に登場しています。)
この配置は、部分的に難易度を上げるための手段として用いることは良いと思うのですが、1つの譜面の中の大半がこの配置…というのは、何だか微妙な気がします。低難易度では使用を避け、その他ではチョイ足しのスパイス的な使い方ができると良さそうです。
また、例えば体を右方向にひねるタイプのアフロ踏み配置(←,↓,→,←,↑,→など)を一度登場させた場合は、次は体が先程とは逆に左方向を向くような配置(←,↑,→,←,↓,→など)を繰り返すと、なんかバランスがいい感じがします。が、この辺は完全に好みの問題です。
「コピペ&ミラー譜面」はアリかナシか?
1つの楽曲の中に、全く同じフレーズが複数回出てくる時があります。
DDRでは、たとえば特定の曲中に2回全く同じフレーズが含まれている時、1回目のフレーズの譜面の左右を反転させた譜面が2回目のフレーズの譜面になっていることがあります。わかりやすい例として、Theory of Eternityという曲のSINGLE-EXPERT譜面が挙げられます。
悪く言えば手抜きのようにも感じ取れます。地道に譜面を作るのと比べて半分の作業量で済みますし、作る側としても楽でしょう。
…と、あまり良くないやり方のように書きましたが、私としてはこのコピペに近い譜面製作について、できるのであればむしろ積極的にやるべきと考えています。
「左右の足をバランスよく使わせる」で触れたこと通じるのですが、先に左向きで動いた箇所では今度は右向きに、逆に先に右向きで動いた箇所では今度は左向きに動くわけですから、これほど綺麗に左右の足の使用頻度のバランスを取る方法は無いでしょう。向きが変わっても1回目と同じように正しく対処できるかどうかを試すという意味合いでも、この手法は悪くないと考えます。
しかし、この手法が譜面製作時に活かせるかどうかは、楽曲に繰り返されている部分があるかどうか次第になってしまいますね。
曲も譜面も自分で作るような方の場合は好都合なのではないでしょうか。居るんか~そんな奴?
最後に
これから譜面を作ろうとする方に求めたいこと
仮に、不特定多数の人がプレイヤーになりうる譜面を作る機会があるのならば、ここまでに書いてきた内容を意識の片隅に置いていただきつつ、ワンパターンではない、1曲中でも様々な個性を持つ譜面を制作してほしいと思っています。
たくさん作って慣れるのもいいですが、やはり実際に足でDDRをプレイするのが最も参考になります。
できれば同じ譜面ばかりではなく、たくさんの曲・譜面をプレイしましょう。アーケード版か家庭用作品かは問いませんが、設置店舗に行くだけで手軽に体験できるアーケード版がオススメです。
しつこいですが、足で、全身でプレイして体感するということが大事です。
上手く踏めれば踏めるほど、それだけ自分がステージに立った際に選択できる譜面の幅が広がるわけですので、ある程度の技量もあると望ましいです。最低でも交互踏みくらいは難なくできてほしいところ…。
自分が作りたい譜面の難易度と、自分が足で難なくクリアできる難易度の差を、できる限りまで小さくする努力ができるといいですね。
そして、こんな譜面もあるんだという発見と経験をひたすら増やし続けることができれば最高です。
ここまでで紹介した譜面の他にも、DDRには本当に様々な譜面があります。良い譜面も悪い譜面もたくさん存在します。が、その良し悪しを判断するのは、他でもなく、プレイヤーであるあなた自身です。
追記
今回は2014年に個人サイトに掲載していた記事を部分的にリバイバルさせたわけですが、当時は他にも色々なことを書いていました。当時の熱量すげーわ。
今回はとりあえず無難な足譜面を作ることがゴールなので、ここまでの内容があれば一旦十分じゃないかな?と考えています。
今回掲載しなかった他の内容…具体的にはスイッチの是非とか譜面を曲に合わせないとか…は、余力があればちょっと攻めた足譜面を作るというテーマで別記事にしたいと思います。