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量子力学の基礎理論としてのEPR論文:その意義と影響
カテゴリー:科学・テクノロジー
読むのにかかる時間:約15分
導入
量子力学は、20世紀初頭に確立された物理学の理論体系であり、ミクロの世界を理解するための鍵となっています。その中で、アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼン(Einstein, Podolsky, Rosen、通称EPR)によって1935年に発表された論文「Can Quantum-Mechanical Description of Physical Reality Be Considered Complete?」は、量子力学の根本的な問題を提起し、多くの議論を巻き起こしました。本記事では、EPR論文の背景、主要なポイント、論文が引き起こした議論とその後の発展について詳しく解説します。
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EPR論文の背景
EPR論文は、量子力学の完備性に疑問を投げかけるものでした。アインシュタインらは、量子力学が物理的現実を完全に記述していないのではないかという疑問を持ちました。彼らは、量子力学が確立した不確定性原理や、波動関数の収縮など、直感に反する概念に異議を唱えました。
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量子力学の基本概念
量子力学は、物質の波動性と粒子性を説明する理論であり、シュレーディンガー方程式によって記述されます。不確定性原理は、位置と運動量のような対になる物理量を同時に正確に知ることができないことを示しています。これに対し、EPRは「実在論」と呼ばれる哲学的立場から、量子力学の記述の不完全性を示そうとしました。
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EPRパラドックスの主要なポイント
EPR論文では、「量子力学的記述は物理的実在を完全に表しているのか?」という問いを中心に議論が展開されます。以下にその主要なポイントをまとめます。
局所実在論: EPRは、物理現象は局所的に決定されるべきだと主張しました。つまり、遠く離れた物体が瞬時に影響を及ぼし合うことはないと考えました。
相関した粒子の例: EPRは、相関した粒子対の例を用いて議論を進めました。これにより、測定結果が一方の粒子の状態を決定することで、もう一方の粒子の状態が即座に決まるという「非局所性」を指摘しました。
隠れた変数理論: 彼らは、量子力学が完全な理論ではなく、まだ発見されていない「隠れた変数」によって説明されるべきだと提案しました。
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EPR論文の影響とその後の発展
EPR論文は、量子力学の基礎に対する挑戦として多くの物理学者に影響を与えました。その中でも、特にジョン・ベルの研究は重要です。
ベルの定理
1964年、ジョン・ベルは「ベルの定理」を発表し、隠れた変数理論と量子力学の間に決定的な違いが存在することを示しました。ベルの不等式を実験的に検証することで、量子力学の予測が正しいことが確認され、隠れた変数理論は支持を失いました。
アスペ実験
1980年代には、アラン・アスペらによる実験が行われ、ベルの不等式が破られることが確認されました。この結果は、EPRの提起した問題に対する一つの答えとなり、量子力学の正しさを強く裏付けました。
実践的なアドバイスや解決策
EPR論文が提起した問題は、量子情報科学や量子コンピュータの発展にも寄与しています。量子もつれを利用した量子通信や量子暗号など、実用的な技術の開発が進められています。
量子通信
量子もつれを利用した通信は、情報の盗聴を防ぐ画期的な技術として期待されています。量子ビット(qubit)を用いることで、従来の通信技術よりも高いセキュリティを実現することが可能です。
量子コンピュータ
量子コンピュータは、従来のコンピュータでは解決困難な問題を効率的に解くことができる新しい計算技術です。量子もつれや量子超越性を利用することで、計算速度や処理能力が飛躍的に向上します。
まとめ
EPR論文は、量子力学の基礎に対する重要な問いかけを行い、その後の研究に大きな影響を与えました。量子もつれや非局所性の問題は、現代の量子情報科学や量子コンピュータの発展に直結しています。EPR論文が提起した問いに対する探求は、今後も続けられ、新たな技術や理論の発展につながることでしょう。
著者プロフィール
誰もが自分に素直に、自分らしく生きられる社会を創るべく、 社会的な認知、興味、理解、受容度を高める様なプロダクトやサービス、教育、テクノロジー分野の記事を執筆しています。
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