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リモートネイティブ時代の新卒エンジニアOnboardingとこれから

この記事では、私が勤めているRetty株式会社で、コロナ禍でリモート主体になった状況で新卒エンジニアのOnboardingを行った話と、そこから見えてきた課題の話になります。

リモートネイティブ時代の到来

2020年はじめに、日本だけでなく世界が新型コロナウイルス感染により、色んな変化を強いられました。
今までの常識や習慣は否定され、新しい常識や習慣についていかなければいけなくなりました。「New Normal」と呼ばれる流れです。
我々の仕事の現場にも大きな影響を与えているのはみなさんも経験されてることだと思います。

2020年の新入社員は入社式からリモートだった

そんな中、2020年に新社会人として入社した新卒メンバー達は、どう変わるか分からない社会を目の当たりにしていました。
不確定要素が多いため、入社式から完全リモート開催でした。そこから約8ヶ月間、リモートを中心に世の中の働き方は変わってきて、普段の作業が会議はもちろん、イベントや飲み会までもがリモートに変わりました。
新卒メンバー達はその変化を最初から経験していて、リモートが普通の働き方の初めての世代になりました。
その20卒を私は勝手にリモートネイティブと呼んでいます。
今年、このリモートネイティブ世代のエンジニアのOnboardingを行いながら見えたことをみなさんと共有し、彼らにとっても社会にとってもよりよい働き方と成長に結び付けられるようになると嬉しいと思い、今回の記事を書くことになりました。

リモートネイティブ時代のOnboarding

Rettyのエンジニアはリモート慣れしていたので適応は早かった

このコロナ禍の前から、Rettyではリモート勤務は珍しくなく、特にエンジニアは必要であればリモート勤務をある程度認めていました。
そのため、リモート時のコミュニケーションや業務遂行における作法が少しずつ共有されていたり、リモートする側とリモートする人がいるチーム側の心得などが共有されていました。
また、去年からは一部のチームではエンジニアを中心にリモート勤務が必要な場面を想定し、リモート勤務の質を上げるためにリモート推奨日を設定しメリット・デメリットを体験してノウハウの蓄積も始めていました。

そんな中コロナ感染の拡大し、本格的に全員フルリモート勤務が始まりました。最初はリモート慣れしている人と慣れてない人でうまく噛み合わないことも少しありました。今まではリモートする人は一部で、オフィスにいるメンバーを中心に考え、リモートメンバーをどうオフィスにつなげるかがリモート勤務のコツでしたが、全員リモートとなると今までのコツが通用しないことも多かったのを覚えています。
そのため、コミュニケーション問題は「リモートワークを前提としたコミュニケーションルール」を有志で整備、明文化・配布を行い合意形成努力を行いました。
何より、既に構築されている社員同士の関係性をもとにリモート勤務は実際隣での肉声ではないテキストだとしてもニュアンスや意図の推測もある程度できるため、大きな問題は生じませんでした。
相手との間でできた信頼貯金がその真価を見せてくれた場面でもあったと思います。

コロナ禍、新卒のOnboardingは臨機応変に

しかし、コロナ禍前から計画していた20卒Onboardingは計画通り実行できませんでした。緊急事態宣言まで出される明日はどうなるのか全く読めない中、事業的にも緊急な事案が次々と出てきてその対応に全社的に集中して行く必要がありましたので、リモートを前提にしていないOnboardingの遂行は難しかったのと、その見直しが出来るほどの余裕もなかったからです。
彼らはすぐチームに配属され、黙々と仕事をし始めました。

それでも新卒メンバーはまだまだ社内に知ってる人も少なく、入社したのに歓迎される雰囲気もなかなか感じられないのでサポートをすべきだと思い、様々な施策を実行しました。

・リモート飲み会
・チーム外のメンバーとのリモートランチ
・discordでの常時繋がり
・雑談時間の導入

リモート飲み会は自由参加で行いましたが、新卒・既存問わず参加率が良くなく、2−3回で定期開催は終わりました。
チーム外ランチは、大きな影響があるより今まで話したことない人と話す機会を与え、いろんな人が社内にいる、共通の話題が出来た人との関係性構築に少しは貢献できたのではないかと思います。
他の施策一定期間続いていましたがリモート勤務にみんな慣れてきてからは習慣化して意識して行わなくなっていきました。

メンター制度の強化で関係性の砦を構築した

Rettyでは以前からメンター制度を実施していました。
新卒メンバーと同じチームの先輩が近くで1年間、業務の作法や文化、振る舞い方や考え方などを教えていく制度です。
そのメンターと新卒メンバーの間で「Onboarding目標」という、適応と成長のための裏目標のようなものを設定、定期的に達成判定を含む振り返りを実施することで、成長への意識を維持すると共に強み・課題の発見とその後のアクションにより強化・解消に取り組んでいます。
臨機応変に対応していく中でも、メンター制度はそのまま実施しました。
新卒の成長をサポートするのに必須であることをVPoEとEM陣で再確認したためで、いつ、どんな内容で話しかけでも大丈夫な存在として新卒メンバーと社員との関係性の砦になるのがこのメンター制度でした。

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リモートならではのメンタリングの課題とその対策

そのメンタリングに、リモートならではの課題が発生しました。

・わざわざ意識して声をかけなければいけない
・違う業務をしている場合は普段の行動が見えなく、課題発見しづらい
・メンタリングがチャットや音声で行われるので、周りから見えづらい

今までは席が近くにあり、何気ない会話やランチ、飲み会が日常でその中で自然と関係性が出来ていました。特にRettyでは社員同士で美味しいご飯を一緒に食べる文化が強く根付いているので、自然とその文化の中で新卒メンバーも周りの人を知り、自分を知ってもらう機会がありました。
その自然に出来ていたことがほぼすべてわざわざ意識して行うことになってしまいました。ツールを使って声をかけなければ会話も始まらないし、何をしているのかも分からないのにいきなり声掛けなどは難しいものです。
そのため、メンターは最初1日1回、新卒メンバーと1:1をするようにしました。毎回意識して会話をするのは無理があるので、話す場を頻繁に固定してしまえば、少なくとも一定の頻度は維持できるからです。
後々メンターと新卒メンバーの間で関係性ができ、1日1回では話すこともそんなにないとなったら徐々に間隔を広げてもらいました。今は人によって週1回、隔週に1回ぐらいになっています。

また、リモートだとメンターとはいえ隣にいるわけではないし、同じチームだとしても取り組んでいるものが異なることもあり、普段の行動があんまり見えないことが多いです。そうすると新卒メンバーが自ら気づいて発信してくれない課題にメンターが気づくことが難しいと思いました。
そのため、メンタリングの一部役割を分散させ、業務の作法は新卒メンバーと一緒に動く先輩達にお願いしました。その場でのフィードバックを得られるのとともに、その先輩達との関係性もできるので良いと思いました。
実際、先輩からアドバイスをもらって気づきが多いと新卒メンバーからもフィードバックがあり、効果的だったと思います。

そしてメンター陣へのサポートも開始しました。
開けたオフィスで声出して行っていたアドバイスが、リモートではチャットや音声で1:1の中で閉じられてしまいがちです。
メンターとしてはこのアドバイスは正しいのか不安になりますし、その気持を持ったままでは踏み込んだアドバイスはできなくなってしまいます。
そのため、メンター同士でメンタリング共有会を定期開催し、情報共有やお互いにアドバイスを交換しました。共通して出てくる課題に関しては組織的改善に持ち込んだり、経験豊富なマネージャーからアドバイス手法の伝授を受けたりと、関係性構築だけでなく育成にも本気で取り組むメンタリングを目指すようになりました。メンター自身も一回り成長出来る機会に出来たのかなと思っています。

結果として

リモートによる問題は少なく、Rettyの一員に

個人のコミュニケーションの取り方や、業務遂行スタイルによってリモート勤務に不慣れが発生することはありましたが、それは既存メンバーの中でも見られることで、リモートネイティブの新卒だから発生する問題ではなかったです。

約8ヶ月が過ぎた今、新卒エンジニア一人ひとりが今年自分の経験を書き起こしてくれました。

そして彼ら自身も、このコロナ禍で周りとの交流を止めるわけにはいかないと、様々な動きをしてくれています。

20卒エンジニアのOnboardingを担っていた身として、こういう記事と記事の中から見える彼らの自走力は感慨深いもので、成果だと思っています。

新たな課題の発見

そんな中、感染者数が減ってきた時期もあったため、全社として週2日出社推奨に切り替わって新卒メンバーも出社をし始め、そこから新たな課題が見え始めました。

・今まで画面越しで話していた人と対面で話すのに違和感がある
・出社のメリットを感じられない
・通勤は不毛だと思う
・今までの会社のカルチャーの受け継ぎは可能か

対面での会話に違和感を感じてしまうのは仕方ない部分でもあります。
入社してから今まで、彼らにはリモートで働くための作法に慣れてもらったので、違和感があって当然です。
まだ週2日の出社推奨、そして再び広がる感染でまだまだリモート主体の勤務は続くので、しばらく対面での会話には違和感が残りそうです。

出社のメリットは、多くが出社している場合得られるものが多いため、リモート主体の現状ではそう感じるのは不思議ではありませんし、
通勤が不毛であることは紛れもない事実であるのでしなくていいならしないのに越したことがないと思うのはおかしくないと思いますが、
会社のみんなが通勤して出社し、同じ空間で過ごし会社のカルチャーを体験することで得られるものは効率でもパフォーマンスでもない、連帯感と所属感からくるエンゲージメントの向上にあります。

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リモートネイティブ時代のOnboardingの真の課題

エンゲージメントの向上が課題であることは新卒に限った話ではありません。中途入社の社員はもちろん、既存メンバーのエンゲージメントの低下もリモート時代には気を配るべきだと思います。
その中でも新卒メンバーに関しては、新卒採用に一つの理由でもある、会社のカルチャーを受け継いだ「会社にフィットした人材としての成長」をどうやっていくかが大きな課題として見えました。
会社にフィットした人材はエンゲージメントが高く、強いOwnershipの発揮が期待出来る経験からRettyは新卒採用を続けていますし、どうやってRettyのカルチャーを浸透させるかは依存も今も重要な課題です。
しかし以前は様々なRettyならではのユーザさん参加のイベントや、先輩の考え方を近くで聞けるような機会が多かったので強く意識したOnboardingが必要ではなかったですが、これからは強く意識しなければいけなくなったのでその対策をこれから考えていくことになります。

終わりに

リモートネイティブ時代の新卒メンバーは、我々通勤ネイティブの人が思ってる以上にたくましく、自らの成長もしっかり意識していました。
その彼らの姿を見ながら私もメンタリング中によく言っていた言葉があります。

コロナ禍だから、リモートだからという言葉は要らない

どういう状況であれ、社会人として成長しなければいけないのは本人であり、そういう彼らの成長をサポートしてあげなければいけないのが我々EMの仕事だと思います。
時代が急激に代わり、多くの変化を求められている中で手探りや臨機応変が続くことにはなりますが、それはこれから先の時代には普通になると思います。変化が続くことこそが、この時代のNew Normalであり、その中でまた21年卒のOnboardingに向けてしっかり準備していければと思います。

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