社会人が教員免許を取得する方法
こんにちは。
私は、新卒では大手個別指導塾で働いていました。
その仕事をするきっかけになったのは、大学生時代にその塾で講師のアルバイトをしていて、それで内部リクルートという形で社員になったという流れでした。
教室長になる前は、社員講師という形で勤務しながら、同時進行で大学に通い教職課程を履修し教員免許を取得しました。
私は大学卒業後に会社に勤務しながら、同時進行で大学に通い一から教職課程を履修し教員免許を取得しました。
社会人でこれから教員免許の取得を検討している方の参考になればと思い、自分が経験したその方法と注意点をまとめてみました。
なんの教員免許を取るのか
まずは、なんの教員免許を取得するかですね。
自分は卒業した学科が文学系で国語が好きだったので中高の国語の教員免許にしました。
これは純粋に自分がどの学校で子供たちに何を教えたいかでいいと思います。
大学時代の専攻に寄せるのがやりやすいんじゃないかなと。
小学校は教科は分かれませんが、特別支援学校の教員免許は細かく種類が分かれているので注意が必要です。
保健体育や技術家庭、音楽、美術などの実技系教科の教員免許は、通信制大学で取得できるところが少ないので、社会人にとっては少し厳しいかもしれません。
また、教員採用試験まで見据えるならば倍率が低い教科をを選ぶのも一つの手です。
実際、教員採用試験は今も昔も倍率が高いので、社会人で教員免許を取得する場合は何が何でも教壇に立ちたいという方がほとんどだと思うので、教員免許取得だけでなく教員採用試験突破まで見据えておいたほうがいいでしょう。
これまでの自分が勉強してきた専攻にかかわらず、自分が楽しい好きだと思えるなら、ここから新しい教科にチャレンジしてみるのもいいと思います。
これは学習塾での経験になりますが、「その教科の知識がある=教えるのがうまい」とは限りません、というかむしろその教科が苦手だった人のほうがわからない人の気持ちがわかるのでいい先生になれるはずです。
教員採用試験に話を戻しますと、中学校を例にとっても、社会はかなりの高倍率である一方、英語や数学、国語は比較的低かったりします。
教科が決まっていなければ、受験する都道府県の教員採用試験の倍率を参考にしてみることをオススメします。
どこで取るのか
基本的には、大学に通って教職の授業を受け、単位を取り教員免許の取得を目指します。
一番手っ取り早いのは、もう一回大学に4年間通って大学生活をやり直すことですが、社会人になるとそうもいきません。
社会人が教職をとるパターンとしては、大きく分けて以下の3つかなと思います。
大学に編入する
通信制大学に申し込む
科目等履修生になる
それぞれ内容とメリットとデメリットを説明しますね。
①大学に3年時編入をする
3年生から2年間もう一度普通に大学生をやるイメージです。
編入には、試験がある場合がほとんどなのでそれなりに対策が必要です。
割り切ってもう一度大学生をやれるならいいですが、仕事をしながらだとあまり現実的ではありません。
メリット:大学生なので、大学側からのサポートが万全。
デメリット:昼間に大学に行くため仕事との両立が難しい。学費が高い。
②通信制大学に申し込む
通信制大学というのは、大学に直接通わずに、送られてくるテキストやネットなどの映像授業で単位を取得する大学です。放送大学とかが有名ですね。
中には、夏季や冬季に集中してスクーリング(大学にいって授業をうけること)をして短期間に単位を取得できるところもあります。
通信制の大学のメリットは、大学に行かなくていいので働きながらでも自分のペースで単位を取得することができるという点です。(逆に自分で学習のペースを決めなければならないので、学習計画を自分で決めるのが苦手という人にはあまりオススメしません)
中には単位の認定テストなどで大学にいかなければならない場合もありますが、それも1年に数回で済む場合がほとんどです。
さらに、通信制の大学と言えど、大学生なので学割が使えるというのも地味にうれしいところですね。
一方で、デメリットは、なんと言っても費用がそれなりに高いということです。入学金や授業料、その他諸々普通の大学と同じとは言わないまでも、学費はそこそこかかってきます。
メリット:自分のペースでやれるので、仕事と両立しやすい。
デメリット:学習のペースが掴みづらい。学費が高い。
③科目等履修生として大学に通う
①と②は、形式は違えど、大学生になるという形ですが、大学に所属せずに純粋に授業だけをとるという方法もあります。
それが科目等履修生という制度です。私はこの仕組みを利用して教員免許を取得しました。
あまり聞きなれない言葉だと思うので、詳しく説明しますね。
科目等履修生というのは、自分が取得したい授業単位でその分の授業料のみを払い、単位を取得していくというものです。
学部時代に取得した単位の中に教員免許に必要な単位がすでにある場合は、それ以外に必要なものだけを選んでとれば大丈夫です(結構一般教養の中には教職に認められるものがあるので確認しましょう)。
科目等履修生は多くの場合、通常の大学生と同じ授業に出席することが前提となってくるので、働きながらだと時間の都合がつけづらいという欠点があります。
しかし、なんとか毎週授業に出られれば、怠けやすい人でも一定の期間で単位を取ることができます。
そして、最大のメリットは費用が安く済むということです。
私が通っていた大学の場合は、1単位5000円だったので、ゼロから教職の単位をとっても25万円程度で済みました。
中には、卒業生だと試験料などを免除してくれる大学もあるので、まず自身の母校に確認してみるとよいでしょう。
大学によっては、科目等履修生だと受けられるサポートに違いがあるところもあるので事前に確認するといいと思います。
また、大学によっては科目等履修生になるのに試験を課すところもあるみたいです。
①と②は学生になるので学生証がもらえて、学割も使えますが、この科目等履修生は学生ではないので学割は使えません。
メリット:授業料のみで安く教職を取れる。
デメリット:普通の大学生と同じ授業になるので時間の融通がきかない。また、教育実習等のサポートが充実していない場合がある。
最大の難関「教育実習」
社会人にとっての最大の難関となってくるのが「教育実習」だと思います。
私もそうでした。ただただ全てがキツかった思い出しかない(泣)
実習校決定まで
教育実習は、自分で実習校を見つけるところから始まりまるんですが、実習を希望する学校に直接連絡を取り、受け入れの交渉を行い、承諾を得て、それを大学に報告して、書類のやり取りをして、とやることがたくさんあります。
細かい手続きの仕方は、通っている大学、実習希望校の種類や自治体によって異なりますが、だいたい上記のパターンです。
私はこの段階でかなり苦労しました。
実習は、ほとんどの場合、自身の母校で行うことが多いのですが、地元の母校はどういうわけか2週間しか受け入れていないと断られてしまいなんの宛もなく探す必要がありました。
中学校で実習をやっても、免許自体は中高両方とれるのですが、できれば高校でやりたいという思いから片っ端から高校に電話して聞きました。
しかし、どこの高校も忙しいらしく、卒業生ですら実習生を受け入れたくないところをなんの縁もゆかりもないやつをそうそう受け入れてくれるところはありませんでした。
それでも教育実習をやらないことにはしょうがないので、あきらめずに電話しまくったところ、都内の高校が受け入れてくれることになりました。本当に感謝してもしきれません。
東京の場合、公立中学校で実習を希望する場合は、大学にその旨を伝え、実習先が割り振られるみたいです(実習校を指定することは出来ないようです)。
中学校だと、地域や学校によってかなり雰囲気が分かれるので、中学校でやるか高校でやるかは好みが分かれるところです。小学校も同じくです。
実習の期間
教育実習の期間ですが、取得を目指す教員免許によって期間が違うので注意が必要です。
高校のみだと2週間、中高だと3週間、小学校だと4週間と異なります。
日程は実習先の学校によって様々で、その連絡が余裕を持って事前に来る学校もあれば、直前のところもあります。
だいたい5月から6月にかけてやる場合が多いので、事前にその期間で仕事を休めるように準備しておくといいと思います。
どうしもその期間が厳しい場合は、秋に実習をできる所もあるみたいです。
仕事は休んで実習に専念する
教育実習の期間はお仕事はお休みしたほうがいいです。
実習中は学校によっては、夜遅くまで授業準備に追われることがあるので、とてもじゃないですが、教育実習期間中は他のことは出来ません。
というか、出来たとしてもしないほうがいいです。
せっかく実習に行くのですから、そっちに集中して学んだほうが有意義です!いい加減にやっては、受け入れてくれた学校や生徒に失礼ですしね。
教育実習に行くことよりも、おそらくその期間の休みをどう捻出するかが社会人にとっては難関かもしれません。
私は、もともと会社に教職をとっていること、5月に3週間教育実習で抜けることを伝えてあったので、休みをもらうことが出来ました。
当然、その1ヶ月は給料がないので、その分の生活費も事前に準備しておくことをお忘れなく!
知り合いで同じく社会人で教職をとっていた人の中には、有給で休みを捻出したり、教育実習に入るタイミングで会社を辞める方もいらっしゃいました。
社会人にとっての教育実習は、その期間の休みをしっかり確保して、前後の仕事をうまくやることが最大の難関といっても過言ではありません。
行ってしまえばやるだけですからね。
実習自体は、事前の準備(教科、生徒指導等)をしっかりしておけば大丈夫です。
不安でしたら大学の先生や教育実習を経験した人に話を聞くといいでしょう。
あとは、体調管理をしっかりして臨みましょう。
その他注意すべきこと
その他で注意すべきだと思うことを2つほど!
1つ目は、介護等体験です。
高校の免許のみの場合は必要ありませんが、小学校と中学校の免許を取る場合は、介護福祉施設で5日間、特別支援学校で2日間必要です。
教育実習同様それぞれ丸一日かかるので、その日は仕事を休む必要があります。
日程は大学が決めることが多いみたいなので、柔軟に仕事を休めるようにしておく必要があるのがきついところ。
いっそある程度目星をつけて、その期間でお願いできないか思い切って教務課にお願いしてみるのも一つの手です。
私は、介護施設の体験を大学にお願いして、仕事が休みになるお盆の期間に5日間入れてもらっていきました。
仕事をしながらこういった実習を行おうとするとやはり日程の調整に追われて、消化することに意識がいきがちですが、無理を言って受け入れていただく訳なので、しっかりと目的をもってやらなければなりません。
私もはじめは正直、早く終わらないかなぁと思っていましたが、実際にやってみると普段の生活ではなかなかわからない貴重な体験をすることができました。
いつか教員になったときに間違いなくプラスになるであろう体験だと思います
2つ目は、勉強と仕事の両立です。
これはかなりしんどかった記憶があります。
フルタイムで仕事をして、それ以外の時間で大学で授業を受けて、テストも受け、教育実習の準備をしてと、とにかく時間がない。
仕事はあまり残業がある方ではありませんでしたが、それでもきつかった。
片手間ではできないので、教職をとっている2年間はいっそとことんそれだけをすると割り切ってやったほうがいいと思います。
ただでさえきつい思いをして、単位落として教員免許取れませんでしたじゃ笑えませんからね。
教員採用試験対策
最後に教員になるための方法を解説して終わりますね。
まず、公立学校の教員を志望する場合は、各都道府県もしくは市町村の教員採用試験を受けて合格する必要があります。
試験は、だいたい7月から8月にかけて実施しているところが多いです。
地域ごとに試験日程がかぶっている場合が多く、何個も受けられるわけではないので注意が必要です。
試験の日程がかぶっていなければいくつでも受けることが出来ますが、どこでもいいという人は少ないと思いますし、絞って対策したほうが合格す可能性も高まります。
試験は、各自治体によって異なりますが、基本は筆記(教養・専門・論文)と実技(集団討論・面接・模擬授業)です。
出題形式は、自治体によって千差万別なのでそれに特化して勉強する必要があります。
社会人経験(民間企業経験)がある場合、試験の一部を免除する自治体もあるようですのでチェックしてみてください!
対策は独学でも出来なくはないと思いますが、論文や面接がより重視される傾向があるため、専門の対策予備校などで対策をするのが確実です。
このへんはまた別に自身の体験をまとめていきたいと思います!
次に、私立学校の教員の場合です。
私立学校の場合は、大きく分けて2パターンあります。
1つ目は、各私立学校の試験を受けるというものです。
各私立学校が独自に募集しているので、一つ一つ応募して試験を受け、受かれば採用といった具合です。
ただ私立の専任教諭は狭き門のため、相当の準備と対策が必要です。
はじめは非常勤もしくは常勤講師として何年か働いた後に専任教諭になるというパターンが多いようです。
日大のように付属校をたくさん抱えている学校法人は一括で採用試験を実施しているところもあります。
2つ目は、私学教員適性検査を受験するという方法です。
これは毎年8月に各都道府県で実施されています。
そこで筆記試験(教養・専門科目)を受けると点数に応じてランクがつけられ、そのデータが各私立学校にいき、私立学校の担当者から受験者に「うちを受けませんか〜」と連絡が行くというものです。
「試験を受けに来てほしい」だったり「面接をさせてほしい」だったり、リクエストは様々なようです。
どういう基準で連絡が行くかは、明確な基準はありません。ただ、高ランクを取るにはかなり対策をする必要があります。
各学校を回る必要がないので、こちらの方法の方が効率的ですね。
ただ、いずれにせよ少子化の昨今は私立学校の教員採用は狭き門なので、公立学校の対策を第一にする方がより教員に近づくんじゃないかと思います。
最後に
以上、社会人が教員免許を取得する方法をまとめてみました。
10年近く前の体験になりますので、現在の仕組みと若干異なる部分があるかもしれませんが、大部分は同じだと思います。
仕事をしながらだとかなり大変だと思いますが、これから教員免許取得を目指す社会人の方の少しでも参考になれば幸いです。
それでは!