5分でわかるかもしれない西洋美術Ⅵ

電車の乗り継ぎが暇でしょうがない人向け。今回は読み飛ばしてもいいです。

初期中世美術

 「ゲルマン民族の大移動」を聞いたことがある人は多いでしょう。東からの蛮族に追われ、ゲルマン系の民族がローマ帝国に侵入してくるのですが、彼らの文化とキリスト教の融合が初期中世美術を形成しています。
 最初にローマ帝国に侵入したのは「西ゴート族」と呼ばれる民族です。彼らは今のスペインやフランスに当たる地域を「西ゴート王国」としました。その後、476年に西ローマ帝国が滅びた後には「東ゴート王国」が興り、これはイタリア半島全域を支配地域としました。つまりローマ帝国からローマが失われている。また、今のフランス北部に当たる地域では、同じくゲルマン民族が「フランク王国」を建国しています。
 西ローマ帝国が滅んだ476年から、ルネサンスが始まる14世紀までの約1000年間を中世と呼びます。この中世の先駆けである初期中世美術が、ゲルマン民族由来のものであることはおわかり頂けたでしょう。

 ゲルマン民族は、人物を像として描く美術とは無縁でした。彼らは装備などに細かく豪華な意匠を施すことを得意としており、様式化されたシンプルな人物とそれを装飾する規則的な図形が初期中世美術の特徴の1つです。

Cristo in gloria, dall’Altare del duca Ratchis(Museo Cristiano e Tesoro del Duomo)
イタリア、チヴィダーレ・デル・フリウーリにある博物館蔵の祭壇に彫られた”Cristo in gloria”
日本語に訳すなら、「栄光のキリスト」

 前述のフランク王国の最初の王朝はメロヴィング朝と言います。フランク王国メロヴィング朝はローマの文化を積極的に取り入れ、早くからキリスト教を完全に受け入れました。布教に必要なものは聖書ですが、当時は印刷技術は存在していませんので全て手書きの写本です。この写本の装飾に、金細工などのゲルマン民族由来の豪華な装飾が用いられました。

 ヨーロッパ史の話になってしまって申し訳ないんですが。次のロマネスクとかゴシックとも関連してくるのでなんとか許してください。何かあればTwitterまで。

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