5分でわかるかもしれない西洋美術Ⅱ

友人と大阪市美術館にフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」を見に行ったときに、「一から説明してくれ(意訳)」といわれたので。
西洋美術に興味はあるけど長い文章は読みたくない人向け。

初期キリスト教美術後編

 おさらい。初期キリスト教は313年のミラノ勅令発布まで迫害されていたので地下でひっそりと偶像崇拝に引っかからないようにイエスを示唆するイエスそのものではないものを描いて崇拝していた。

 325年、ニカイア信条というキリスト教の基本的な信条、すなわち教義を民草に示すための文章が取り決められました。これには、イエスは唯一の神の唯一の子でありながら、人間を救うために下界に下って受肉し人となった、とあります。言い換えればイエスは人でもある、ということです。これの意味するところは、神の偶像をつくってそれを崇拝することを禁ずる十戒にイエスは引っかからない、という解釈が誕生したということです。このニカイア信条の採択により、アイコンとしてイエスを描くことは徐々に減っていったとされます。
 しかしながら、今まで禁忌とされていたことをいざ解禁されても人は困惑するものです。初期キリスト教美術以前のギリシアやローマの美術には精巧な美術品(e.g.サモトラケのニケ)なども多く見られたのですが、この時期の初期キリスト教美術に描かれるイエスはどれもリアリティが欠如しています。やはり人間として表現するのはまだまだ恐れ多いということなのでしょう。推しの顔面が良すぎて尊いのでFA描けないのと同じです。
 また、380年にキリスト教がローマ帝国の国教となったことで教会の建立が進み、聖書に書かれたことを文字が読めない人にも伝えるための壁画が多く描かれました。この頃の壁画はモザイクで描かれており、顔料などを用いて大がかりな壁画を完成させる絵画技法はもう少し後に発展します。モザイクというのは、石や陶磁器の欠片、ガラスなどを埋め込んで様々なものを描く手法です。その歴史は古く、シュメールで発達したウルク文化まで遡れるとされ、紀元前2600年頃と言われています。

次はビザンティン美術のお話。何かあればTwitterまで。

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