5分でわかるかもしれない西洋美術Ⅰ

友人と大阪市美術館にフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」を見に行ったときに、「一から説明してくれ(意訳)」といわれたので。
西洋美術に興味はあるけど長い文章は読みたくない人向け。

初期キリスト教美術前編

 西洋美術とキリスト教は切っても切れない太すぎる縁がありますが、その根幹には初期キリスト教、つまり313年のミラノ勅令発布以前の、ローマ帝国における信仰の自由が保障されるまでのキリスト教に遡ることが出来ます。
 当時のヨーロッパはローマ帝国の支配下で、その国教は言うまでもなくローマ神話です。ご存じの通り、ローマ神話というのは多くの神々が登場する多神教神話です。一方、ユダヤ教から派生したキリスト教は一神教。すなわち一般的に信仰されていたものとは大きく異なる宗教でした。それは迫害の対象となり、当時のキリスト教徒達は地下墓地などでひっそりとイエスを信仰していたわけです。3世紀頃のローマなどの地下墓地、カタコンベでは今でも当時の様子をうかがい知ることが出来ます。
 当時のキリスト教徒達は地下墓地などの天井や壁に羊や羊飼いを描き、それをイエスとして崇拝していました。ヨハネによる福音書10章11節に、「わたしは良い羊飼いである」とイエスが人との関係を語った節があることで、羊や羊飼いはイエスを示すアイコンとなりました。この、羊や羊飼いをイエスとして描く、というのは、当時のキリスト教で偶像崇拝が禁じられていたこと、キリスト教徒にしかそれがイエスであるとわからないようにすることが理由だとされています。推しマや伏せ字で会話するようなもの。
 偶像崇拝は、そもそも旧約聖書にあるモーセの十戒によって禁忌とされているため、イスラエルが起源のユダヤ教、イスラムの諸宗教でも同様です。

かくして西洋美術とキリスト教の深いつながりは生まれました。あくまでも西洋美術、特に絵画の話なので大分端折りました。何かあればTwitterまで。


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