5分でわかるかもしれない西洋美術Ⅶ
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ロマネスク
ロマネスク様式とは、中世ヨーロッパにおいて、特に11~12世紀にかけて発展した美術様式のひとつです。主にローマ・カトリック教会の教会堂や修道院の建築、彫刻、装飾美術などに見られます。厚い石造りの壁や柱、半円形のアーチ、暗い内部空間、複雑な装飾模様など、いかにも日本人がイメージする、重厚かつ精緻な中世西洋風なデザインが特徴です。
この装飾には動植物のモチーフが用いられることが多いのですが、特に聖書などに登場する動物や植物を表すことで、宗教的なメッセージを美しく表現できるというわけです。中世は戦乱の世であったことは前回の記事で述べた通りですが、これに加えて疫病、とくにペストやコレラなどの致死率が高いものの流行など、非常に不安定な時代でした(ペストは14世紀に大流行しましたが、11世紀前後にも時折流行がみられたといわれています)。そのため、ローマ・カトリック教会は民草に安心感を与えるために美しい建築を増やしたのではないかとされています。聖武天皇も大仏を建立しましたからね。同じことです。
補足しておくと、中世のヨーロッパでは、教会が権力・富・知識・教育などに大きな影響力を持っていました。そのため、教会は社会的な地位を高め、その存在感を強めるために美しい建築や装飾を求めたのでしょう。
ちなみに「Romanesque」、これはラテン語の「Romanus(ローマの)」という単語に由来しています。古代ローマ時代の建築様式を参考にしつつ、新しい建築様式を発展させいったというわけです。ローマ帝国は高い技術力を持っていましたが、加えてその権威や威信も相当な影響力があります。技術面のみならず、政治的な要因も、Romanesqueにさせた理由といえるでしょう。
ゴシック
ゴシック様式はロマネスク様式から発展しました。ロマネスク様式の特徴をさらに尖らせていったらゴシックになります。すなわち、高い尖塔、窓や屋根に施された華美な装飾、細長い柱、美しい曲線を描くアーチなどです。ロマネスク様式は古代ローマ時代の建築技術を参考にしたと述べましたが、それによって新しい技術の発展につながりました。ゴシック様式の特徴はまさしく新しい建築技術の発展とともに可能になったものであり、美しいデザインや、より複雑な構造を実現することができたのです。
また、教会の装飾もさらに複雑になっていきました。彫刻やステンドグラスなどが施され、色彩が豊かになったことでとても幻想的な印象を醸し出しています。この空想的かつ神秘的な雰囲気を持つ建築物たちは、中世ヨーロッパの芸術の中でもひときわ美しいとされ、美術的価値も高まっています。
代表例は何を差し置いてもノートルダム大聖堂でしょう。外壁にはガーゴイルが多くみられますが、これもまたゴシック様式を代表する石像です。元々は窓や屋根の出口から出る雨水を排水するための雨樋のようなものでしたが、魔除けとして怪物や悪魔の形をしたものが生まれ、外観を装飾するために精巧にデザインされるようになりました。また、ファサード(建物の正面または主要な入口部分)には多数の彫刻が施され、聖書の物語や聖人たちの姿が描かれています。内部には多数の彫刻やステンドグラスがあり、特に有名な「rose window」は、直径約13メートルの大きさで、美しく色鮮やかな花の模様が描かれています。日本ではバラ窓とも呼ばれますが、これは円形にステンドグラスを組み込んだ窓のことです。是非肉眼で見てきてください。モニター越しでは色味が違います。
要約:細かい装飾がたくさんあってすごい
次回、ルネサンス
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