見出し画像

西部警察 第75話「平尾一兵、危機一髪」ロケ地巡り・後編 ~ガゼールだけがくぐれたガード下の謎~

前回に続き「西部警察」 第75話「平尾一兵、危機一髪」のロケ地巡り後編をお届け。峰竜太さん演じる新任刑事の平尾一兵(ひらお いっぺい)が初登場する回です。「西部警察」DVDやブルーレイをお持ちの方、配信動画をご覧の方は、ぜひ本稿と併せてご覧ください。

▼前編はこちら▼

そして本当の見どころは後半にあり! 課長の日産 ガゼール オープンを駆使した、巧妙な逃走劇です。

犯人が逃走車両にわざわざ課長の駆るガゼール オープンをご指名

さて、西部警察 第75話「平尾一兵、危機一髪」もうひとつの見せ場が、犯人の逃走シーン。人質解放の条件として挙げた課長所有の派手な特注車両、日産 ガゼール(オープン)を逃走車両としてご指名したのです。

画像1

今はなき小樽・石原裕次郎記念館にて。課長、派手ですなあ。
犯人の逃走ルートは…お馴染みの芝浦ヤナセ界隈。なぜか警らのパトカー(330セドリック・ナンバー 29-87)が車列を先導し、リキが駆るマシンX(スカイラインジャパンGTターボ)が後についていくという、若干の違和感は気にしない(笑)。裏道で29-87の白黒パトカーはスピン(理由不明)し離脱。ガゼールは国鉄の小さなガード下をくぐっていきます(新浜ガード・芝浦1丁目)。

画像2

しかしその後もまたなぜか白黒パトカー(別のクルマ?)が先導しながら旧海岸通り、芝浦運河通りなどを追跡。頭上に東京モノレールが通る新幹線横の道(現「みなとパーク芝浦」前)では、230セドリックの白黒パトカー(230セドリックに差し替え、ナンバーは最初とおなじ29-87だった!)が銃撃に遭いガラスは粉々。そして派手に横転します。

画像3

銃撃のシーンと横転場所が異なるのが興味深いところ。たぶん銃撃シーンを撮った場所の先を右に曲がった、愛育病院前の通りで横転シーンを撮っています。ここ、第36話「燃える導火線」でフォード カプリが突っ込んだ場所でもありますね。そのエピソードもまたいつか。
その後のガード下のシーンが強烈過ぎて覚えていませんでしたが、改めて観るとこれもなかなかカッコいい。対向2車線の狭い道でやるのも凄ワザでした。

ガゼール オープンの低車高を活かした華麗なる逃走劇

画像4

そして犯人は、ガゼールのハンドルを鉄道のガード下トンネルに向けます(写真は「新浜町ガード」。衝突したガード下のロケ地とは異なりますが、別シーンに登場します)。

なんとその先には「トンネル内改装工事」の看板。トンネルの天地半分くらいが木組みの仮設ガードで覆われ、猛烈な高さ制限が!

その低いガードを難なく通り過ぎるガゼール。リキいわく「普通のクルマより20cmは低い」。その後を230セドリックの白黒パトカー(ナンバー20-00)が追い・・・哀れ車体上部がガードに激突!

Aピラーがガードに叩きつけられフロントガラスは粉々に破壊されます。スローモーションでもわかるくらい、車両は物凄い勢いで停止していましたね。スタントマンさん、怖かっただろうな・・・

この頃の西部警察特有な、ホイールを銀色に塗りアルミホイール風に?したセドリックの形態も興味深いところです。

それにしても、敵ながら見事な逃走劇。主犯格の阿藤快さん、ここまで緻密な計画を立てるような繊細なタイプには見えませんでしたが(笑)…。

ガゼールだけが通れたガード下のトンネルは「高輪架道橋」ではない

さてこの工事中のガード下ですが「高輪架道橋」だとする説をネットではチラホラ見かけます。

高輪架道橋1

高輪架道橋

田町~品川間の山手線・京浜東北線・東海道線・東海道新幹線、そして操車場をくぐる長い長いトンネルのような一方通行の道路です。タクシーの行灯がぶつかってしまうほど長くて低いガード下として話題を呼んだ場所です。確かに特注のガゼールオープンなら容易に通過できそうですね。

なお同ガードは操車場跡を利用した高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発に伴い、令和2年4月に自動車道路としては廃止済み。架道橋下は自動車の通行が出来なくなっています。

ただし高輪架道橋の高さ制限は1.5メートル。本編ではチラッと「高さ制限2.2メートル」の標識が映り込んでいたのを見逃してはいけません。

「平尾一兵、危機一髪」のロケ地は、拡幅工事前の浜松町「旧 川口町架道橋」だった!?

画像6

正解は…おそらく浜松町駅近くの「旧 川口町架道橋」(港区)だと思われます。東芝ビルと芝浦シーバンスの間を抜ける道で、実際に現地で橋の銘板を見てみると「竣工:2000年2月」との記載があります。

画像11

写真は現在の川口町架道橋

現在の川口町架道橋を訪れると、撮影当時の雰囲気はほとんど残っていません。そこで旧 川口町架道橋をググってみると、JR東海・東日本共同による「新幹線川口町Bv拡幅計画」なる当時の資料を発見。「現在ある架道橋のすぐ新大阪方に片側1車線(歩道付)の道路を新設し、現在の架道橋は廃止する」との記載がありました。着工は平成7(1995)年11月。

資料には「旧道は幅3.6mの1車線」との記載もあり、映像にあった狭い架道橋と合致しますね。詳しくは下記の図を参照あれ。上側の細くてくねっている道が旧 川口町架道橋のようです。

名称未設定-8

「新幹線川口町Bv拡幅計画」資料より

ただし映像をストップしてあらためて検証してみると、周辺は道路配置も含め現在とは全く雰囲気が異なります。当初は手がかりもなく、検証は難航しました。しかし何度か映像を観返してみて、イッペイが現場で犯人の電話連絡先を伝えるシーンにヒントその1があったのです。

ガードは新設され、撮影当時の雰囲気はほぼ残っておらず…しかしヒントは隠されていた

川口町架道橋2

一兵の背景は、ちょっと見えづらいですがだいたいこんな角度。

東京モノレールと思われる特有の形状の高い橋げたと、高層の東芝ビルディング(1984年竣工。撮影のあった1981年当時は建設中)の手前にある8階建ての東芝浜松町ビルと思しき横長のビル(小さな窓が特徴、山手線の線路からも見えます)がチラッと映っていたのです。四角いTOSHIBAの看板があるビルが東芝浜松町ビルです。本体の東芝ビルよりも、古くからあるのかもしれませんが詳細は不明。

そしてヒント2。逃走した車両を追い走った大門たちが架道橋の先に出ると、右には学校っぽい壁。奥にはXXコピーセンターという茶色いビルの壁面看板がかすかに見えます…。

名称未設定-6

四角い3階建ての建物の隣、縦の白い看板が2つ連なっているのが当該ビル。
旧 川口町架道橋周辺を歩いてみると、手前の白い建物、奥のえんじ色の建物と共に茶色いビルも現存していました。2階には「カラーCOPY」などの文字も窓に貼られていてビンゴ! 既にテナントは退去済み(2022年2月現在)で、ビルの解体も時間の問題のようです。ともあれ間に合って良かった・・・。

右の学校と思しき施設は、港区立 旧・竹芝小学校。平成元(1989)年に廃校となり、平成10(1998)年に障害保健福祉センター(ヒューマンぷらざ)として建て替わっていてこちらも現存せず。周辺の整備と共に旧道の痕跡も消え去ってしまったようです。

名称未設定9

「新幹線川口町Bv拡幅計画」の資料によると、旧道の出口はヒューマンぷらざの自転車置き場とJRの線路との境目辺り。ちょっと目視するのは難しそう。反対の芝浦側入口は新道と繋がっているようで、痕跡もなさそうです。

逃走先は「横浜」だけど、ロケ地が横浜かどうかは確証を得られず

犯人の巧みな逃走にしてやられた大門軍団。しかし一兵が覚えていた045の電話番号から、犯人の逃走先は横浜市中区港南町(架空の町名)と判明。現地に急行すると、のんびり船に乗り込もうとする犯人に追いつきました。

山下公園の氷川丸など横浜の港のシーンを挿入しているので、ロケ地も横浜の山下ふ頭かなと思いつつも、船舶の前であっさりした逮捕シーン(逃げ切ったぜがっはっはっ、というシーンもなかった)だけだったので、まとめて芝浦界隈で撮った可能性も無きにしも非ず。

エンディングテーマと共に走る黒パト車列の背景遠くに、印象的な赤い橋が映っているのですが、これがどこのものか判明出来ず、ロケ地の確証も得られず…。筆者もまだまだ修業が足らないようです。ご存じの方はご教示頂けると嬉しいです(汗)。

という訳で西部警察ロケ地巡り、今回は第75話「平尾一兵、危機一髪」よりお届けしました。いかがでしたか。

不定期更新ですが、次回もお楽しみに・・・
▼前編はこちら▼


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?