あなたのD2はどこから?

10年以上前に「TV・局中法度!」という番組があった。

戦国鍋TVを知っている人なら知っているか、そうでなくても大体想像がつくかもしれない。若い俳優の男の子たちが歴史上の人物(主に新撰組)に扮して歌ったり、踊ったり、コントをしたりする番組である。この番組にメインで出演していたのが、ワタナベエンターテイメントの若手俳優ユニット「D2」だったわけである。

わたし自身は若手俳優に何も詳しくなかったが(特撮を見るようになったきっかけも局中法度の後、「今年のレッド、志尊淳なの!?」となったから)、テニミュのオタクの妹に付き合ってなんとなく見ていたら、めちゃくちゃ可愛らしい子がいるではないか。

「あ!!かわいい子がいる!!」

もとよりロザンの菅ちゃんとかゴールデンボンバーのキリショーとか、小柄でかわいらしい男性がタイプだったわたしにズドンと刺さる男の子がいた。それこそが、当時17歳の西井幸人だった。

とにかく顔が好きだった。ヒトの顔のパーツの最適解、一人で叩き出してんじゃん!と思った。「顔がとにかく好き、この顔なら薬物までなら許す」と本気で思っていた。SNSで公言もしていた。実際西井幸人は違法薬物なんかしていないので、こんな好かれ方をされても迷惑なだけだったろう。その節はすいませんでした。3歳も年下の男性に迷惑をかけるな。

そう、3歳も年下だったのだ。西井幸人はわたしの妹と同い年な程度には年下だったのだ。THEイナズマ戦隊と、あとなんかお笑い芸人をちらほら、くらいしか応援したことのない二十歳そこそこのわたしにとって、「年下の推し」というのは初めてだった。大学生と言ってもわたしも成人していたから、「わたしは成人しているのに、高校生の男の子のブロマイドを手帳に挟んでいる……」という背徳感があった。当時、D2のブロマイドは月1で1人4枚ずつ(たぶん)アニメイトで発売されていた。若手俳優界隈ガチ勢の妹は毎月アニメイトに行くから、「西井幸人の一番かわいいの買ってきて」と毎月頼んで、なにかしら買ってきてもらっていた。だから全時期の全種を持っているわけでは全くないのだけれど、それでもけっこうな枚数が溜まっている。もちろんまだ持っている。

顔だけ、みたいな言い方をしたが、西井幸人はちゃんと演技もうまい。そこも好感を持った。出演作をドラマから舞台から全部見た、というわけではないが、「告白」も「35歳の高校生」も「仮面ライダーエグゼイド」も、西井幸人の演技は安心して見ていられた。「お気に召すまま」も兵庫まで見に行った。西井幸人もけっこう大人の男性になったし女性役ってどうだろう、と思っていたが、西井幸人のシーリアはそんな不安を消し飛ばして美しかった。

10年前の熱量には足りないかもしれないが、別に嫌いになるきっかけもないから(本人のSNSは動物と遊んだり料理をしたりの様子が載せられているだけで、インターネットの使い方が危なっかしくないところも好きだ)、今に至るまでゆるゆると推させていただいている。わたしは西井幸人のことを「西井幸人」といちいちフルネームで呼ぶから、たぶんご本人のエゴサにも変なひっかかり方してるんだろうな。

そしてこの度、西井幸人が初めて大阪で単独イベントをやるという。しかもバーイベント。何をするのかは知らないが、せっかく大阪に来てくれるなら見に行きたい。ということでチケットを取ってみた。バーイベントってなんだろう、少人数でのイベントというし、西井幸人と話すタイミングなんかあったらどうしよう。こんなに浅いファンなのに。ああ、凸ノ高秀のバーイベントでもこんな無意味な緊張なかったのに。でもきっと西井幸人は、コールをしながらモエシャンを開けることなんてしないのだろうな。どんなイベントで何をするのか知らないけれど、楽しいお盆にするぞー。

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