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12月18日 怠惰と日々

12月18日
Transit my youthというバンドを知っているだろうか?
もし知らないのなら、是非とも聴いてほしい。アジカンのゴッチを彷彿させる気怠げな歌い方、男女のツインボーカル、パワーポップというシンプルでわかりやすい音楽性。正直言って流行りの音楽ではないと思う。でも俺はそれがかっこいいと思った。
ナードマグネットのアルバム曲"I'm Not Gonna Teach Your Boyfriend How To Dance"のコーラスをメンバーが担当している、というのを知って、そこからTransitを聴くようになった。つまり、俺がTransitを知れたのは、ナードマグネットのおかげ、須田さんのおかげなのである。(ちなみに、須田さんのSNSアカウントで紹介されたバンドはチェックするようにしている)
今日はそのTransit my youthとナードマグネットの対バンが開催される。それを目撃しないわけがない!ということで、Transit my youthのレコ発ライブ"ALTERNATIVE SPIRIT"を観るために心斎橋のLive house ANIMAに行った。最近コロナの状況が酷くなってて、ちょっと迷ったところがあったけど、行ってよかった。対バン形式で、ナードマグネットのほかにsubway daydreamが集まった。個人的に、この3バンドを一挙に観れるのはかなりレアだと思う。本人たちもMCでそう言っていた。



まず1組目はsubway daydream。俺とほぼ同世代の人たちがステージで演奏しているのを観て、めちゃくちゃ刺激を受けたし、純粋にカッコ良かった。各々が演奏を楽しんでいるようで、それが客席にも伝わってきた。特に印象に残ってるのは"FREEWAY"。美しいアルペジオおジャキジャキと激しいバッキングギターのコンビネーション、そこに乗っかる透き通るボーカル。なんといってもメロディーが抜群に良い。結成は今年でまだまだ音源の数は少ないし、これからどうなっていくのか超楽しみなバンドだ。


2組目ナードマグネット。サポートベースはYMBのいとっちさん。彼女もまた、ナードマグネットのファンだったらしく、そうやってサポートメンバーをチョイスする須田さんの愛が感じられた。ライブに関しては、正直一番盛り上がってたかもしれない。リハで数曲やった段階で客席からは拍手や歓声が起こっていた。須田さんの少年のような声に、ぶちまけられた不満や叫びが乗っかって、それに呼応するかのように観客は拳を上げて応える。今年リリースされた"爆発しそう"はまさにこのコロナ禍における現状に不満を爆発させた、そんなエネルギッシュな曲。ナードのライブを待ち望んでいたお客さんはたくさんいたと思うし、そんな感情がみんな爆発していた。終盤で演奏された"Mixtape"はナードの中でも特に名曲。ナードを一年前に観た時と社会情勢とかは色々と変わって大変な時代に今はあるけど、この曲が与えてくれる力は何一つ変わってなくて、「ライブハウスでの再会」を強く宣言してくれた。ラストは"ぼくたちの失敗"でお約束の締め。早くコロナが終わって、ギッチギチのライブハウスでナードマグネットを観たい!そう強く思った。
MCではTransitへの愛、subway daydreamへの期待を話していた。須田さんはとても人間味に溢れていて、優しい人だなと強く感じた。だからこそ、最後の「またライブハウスで会いましょう」一言には説得力があった。


ラストは今日の主役、Transit my youth。今日のメンバーは総じて楽しそうに演奏していた。ボーカルのモリノササイは、以前よりも口数も多くて心なしかテンションが高いように思えた。それは久しぶりのライブ、というのもあるだろうし、レコ発ライブということで気合が入っていたのもあるのだろう。今回リリースされたミニアルバム「怠惰と日々」のタイトルトラックにもなっている"怠惰と日々"は、こんな状況になる前に作った曲だそうだが、今では曲の持つ意味も変わってしまった、とモリノは言っていた。でもそれがマイナスな意味ではなく、プラスな意味で変化していて、「こんな怠惰な日々でも笑っていられることこそが大切だ」というポジティブなアンサーソングとも捉えられる。Weezerを彷彿とさせるポップなメロディーにキャッチーな演奏、そしてボーカルモリノの気怠げな歌い方。全てがマッチしていて超良い。今日この場でこの曲を聴くことができて良かった。俺がTransitで一番好きな"Daisy song"も以前よりもパワフルな演奏だった。


Transit my youthのパワーポップというのは、言ってしまえば流行りの音楽ではない。やっぱりトップチャートはJ-POPに席捲されているし、トレンドは刻々と移り変わっていく。そんな流行りをつまらなく感じていた俺の前に、Transitが現れた。ナードマグネットも、Transitも自分たちの音楽をライブハウスで鳴らし続けていて、それが今この時期にライブハウスで感じられるのがとても嬉しい。少し前まではやはり(今でもそうだけど)ライブハウスに対して良くないイメージを持つ人が多かったし、それゆえに音楽の評価も真っ当なものではなかったと思う。それに屈せずに、大阪のライブハウスでパワーポップが一つのシーンを作り出していて、その瞬間を観ることができてよかった。Transit my youth、どこまでも行ってくれ!

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