箱根の麓の博物館 2

一通りの化石を見終わった。しかし物足りない。この博物館のコンセプトが現代生物に寄っている事は理解したが、不完全燃焼で帰るのも納得できない・・・
しかしそんな私の思いは一瞬で霧散した。かなりの数の昆虫標本があったからである。
美しい蝶、デカくて見たことの無い昆虫が充実している。あまりに素晴らしかったので、今回は化石ではなく昆虫を紹介しようと思う。尚、虫嫌いの諸兄はこれを閉じる事をお勧めする😅

先ずはモルフォチョウの登場だ。
キラキラと金属のように輝く青色が特徴の、美しい蝶の代名詞だ。だが青く輝くのは雄だけで、雌はとても地味な色である。

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そういえば日本のタマムシもそうだが、この金属のような光沢をどうやって出しているのか、皆さんは御存知だろうか?
実はこれ、羽自体の色ではなく雄が持つ鱗粉の影響なのだ。モルフォチョウの鱗粉は拡大すると瓦のような形をしており、表面はとてもギザギザだ。そしてそこに光が当たると細かく反射する、という仕組みなのだ。これが集まった彼の羽は、鱗粉が瓦屋根みたいになっているのである。

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こういった仕組みを構造色という。CDの裏側や貝殻の裏も構造上の結果、あのような色合いになっているのだ。自然と科学が生み出した芸術、と言っても良いだろう。

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いかにも強そうな顎、トンボのような胴体と羽。皆さんはこのような生き物を見たことがあるだろうか?
ヘビトンボ。トンボに見せかけて実はカゲロウの仲間である。孫太郎虫、と言えば分かる方もいるかもしれない。
オスは顎が長く、雌は短い。アジア圏に生息するのでヘビトンボ科は日本にもいる。噛む力は強く、河原の昆虫を餌食にする。捕まえようとしたら指を噛まれた、出血したという報告もあがっている。かなりの激痛だった事だろう。
ムカデのように毒はないが、噛まれたらすぐに病院に駆け込むべし。

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シタムラサキオオバッタ
かの有名な秘境、ギアナ高地のバッタである。紫の羽が見事だ。
ギアナ高地は※ゴンドワナ大陸が細かく分裂した際、回転軸の中心部にあったらしい。ゴンドワナ大陸の分裂が白亜紀の頃なので、つまりそこから殆ど移動していない事になる。巨大なテーブルマウンテンであり、生態系は下界と違い独特である。コナン・ドイルの「失われた世界」というタイトルが実に似合う世界だ。
大半の生き物は生態がまだ分かっておらず、それはこのバッタも同じである。今後の研究に期待したい所である。

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※約2億年前(1億8000万年前とも)にパンゲア超大陸は上下真っ二つに分裂した。その際上半分はローラシア大陸、下半分はゴンドワナ大陸と名づけられた。ゴンドワナとはサンスクリット語で「ゴンド族の森」の意味を持つ。

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この生き物を見て、ナナフシを連想できる方が何人いるだろうか?
トゲアシフトナナフシという、私達がよく見る細長いタイプとはまた別の系統のナナフシある。日本にはいないタイプで文字通り足が太く、大きくなるので海外にはファンもいるとか。
尚これよりも更に大きく、攻撃的なタイプもいるそうだ。噛まれるのは流石に勘弁してほしいところである😱

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銀の昆虫コーナー。
銀色の虫、というのはかなり珍しいのではないだろうか。普段虫が苦手な女性の方々も、この手の昆虫なら服に止まっても許してくれそうだ。
まぁカミキリムシとかになってくると、やっぱり大きいので無理かもしれないが😨

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これといって生態に特徴はないが、地元の職人が彼らをモチーフにした装飾品を作ったりしているそうだ。本物が苦手な方もそれなら楽しめるだろう。因みに東京都あきる野市のブランド企業psyche(プシュケ)の渾身の作品が上の写真である。他にもモルフォチョウのアクセサリー等も取り扱っているそうだ。作品に興味のある方は是非とも覗いてみて欲しい😊
とはいえ元々が美しい昆虫達なので、本物が混ざっても見分けがつかないかもしれない😅旅先でお店を見つけたなら、よく見分けて購入しよう。

如何だっただろうか?
このような世界の虫達を見られる博物館はそうそう無いと思う。言うまでもなく、実際はまだまだ展示されている。
博物館に行ってみた際は(くれぐれも自己責任で)是非ともご覧あれ😊

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