ORβIT「OO」全曲感想文

前回の記事にて全体の感想を少し書いたので割愛して、アルバム全曲のレビュー(評論)は書けないけど、個人的な感想文を書いてみました。音楽的に詳しいとかではない、ただのいちファンの感想なので諸々ご容赦ください!

1.UNIVERSE
Lyrics by MEG.ME, JUNE
Composed by Moon Kim, CHUNGYOON
Arranged by CHUNGYOON

これを表題曲にしていいのか悩んだとメンバーが言っていて。確かに大衆的というより、不思議で挑戦的な曲だなと。でも強い印象を残す曲だと思うし、全員の歌、ラップの表現力をわかりやすく現していて、歌詞もかなり拘って作詞家の方と何度も練り直したというだけあって、完全あてがきのこれぞORβIT、という曲に仕上がっているなと思いました。全曲聴いた後からもやはりこの曲が表題に相応しいと私も思います。
この曲のラップだけ、外側に向けてでなく、自分やグループの内側に向けた内容の印象が強くて。ラップ詞を書いているJUNEの内省的な部分を少し垣間みた様な気がします。ラップ好きの方が解説してくださっているyoutubeでJUNEのラップが炎(攻めのスタイル)なら、YOONDONGのラップは水(曲に馴染む工夫)の様で、その対比がとても良いと言う様な事を言って貰えててすごく納得。

そして、一聴した時はそんなに前にでてない印象だったHEECHOだったけど、印象的なポイントで歌っているため、聴き終わった後からも彼の声が耳にすごく残るな、と思いました。(時は来たNow、ハイトーンで繰り返す It’s my universe、高音のフェイクなど)

2.Crazy Love
Lyrics by MEG.ME
Composed by Moon Kim, CHUNGYOON
Arranged by CHUNGYOON

最初から呼吸、息遣いが沢山入っていて、だんだんと明るい世界に入っていく感じが見えてくる。華やかでポップな曲調に、恋が実ったばかりの可愛くて甘い歌詞の世界が、今のファン心理ともリンクしているような気がしました。これまで、UNIVERSEとLazuriteというじっくり聴く系を繰り返し切ない気持ちで聴く日々だった場所から、手を取って連れ出してくれるような。そして、本当にデビューしたの?もう不安に思わなくていい?とか考えてしまうファン心理に、「夢じゃないよと笑ってみてよ それだけで全部 信じられそう」などの歌詞はとても響きました。デビュー最高!

特にYUGOのヴォーカルがとても映え、よりこの曲をsweetにしてくれていると思いました。これはアルバム通しての感想になりますが、個人的に一番新鮮に驚いたのがYUGOのヴォーカルでした。歌が上手いのはわかっていたつもりだったけど、日プではそこまで歌の分量がなかったので。声が可愛いくてアクセントになるってだけじゃなくて、表現力がほんと素晴らしいヴォーカリストだなと思わされました。さすが社長1pick。

3.Bloom
Lyrics by MEG.ME, JUNE
Composed by VENDORS, XLIMIT
Arranged by VENDORS, XLIMIT

この、開放感がある曲を二曲連続でアルバムあたまに持ってきてくれた事で、アルバムの印象がぐっと明るくて華やかなものになったと思うし、待っていた時間がパッと花びらになって舞っていく気分になりました。
報われた感でフワフワと浮かれられるこの流れが最高に好きです。

始まったばかりの恋の歌詞が、同じく始まったばかりのグループの姿と重なる気がしました。
「同じ空を 見上げてるかな きっと見てる 会いたいと願ってみた 叶うような気がした」
ここは特に、日韓で会うことが出来ていないけど、お互いを思うメンバーの姿がつい浮かんでしまいます。
この曲もサビ以外はわりと優しく、咲き始めた花のような感じなのに、サビになると咲き乱れる花びらが風に大量に舞っている、パーティーみたいな気持ちになるアレンジがとても気持ちいい。ライブでサビの部分から踊り出す絵が浮かんでくるようです。少しフリーな感じなのも合いそう。どんなダンスになるのかすごく楽しみだな。

4.MOONCRYSTALPOWER
【by YOUNGHOON】
Lyrics by YOUNGHOON
Composed by 1Hz, Woo Seongjun
Arranged by 1Hz

我らがセンターYOUNGHOONによるソロ曲。作詞も自ら手掛けていて、このアルバム唯一の韓国語メイン曲。一番書きやすい母国語で、しっかり気持ちをこめた歌詞なのでしょうね。言語が変わる&切ない曲調になることで、アルバムの転換ポイントになっていると思います。

YOUNGHOONはレコーディング前後に喉の手術を行なったと言っていたのですが、おそらくこれは良くなってからなのかな?とても美しく、力強い歌声に聞き惚れてしまいました。ソロってやっぱりいいですね。MVを見た時にもハッとしたのですが、普段どんなにふざけていても、やっぱりさすがセンターだなと思わずにいられませんでした。

歌詞カードに和訳が載っていて、切ない大人の恋愛の曲なのかなと思うのですが。最後の、超印象的な唯一の日本語のフレーズ「勇者の叫び」。この意味を考えると、「僕らを切り離した世界を超えて」「叶うのだろうか 手を合わせて祈る」などの歌詞が、ORβITの状況や、YOUNGHOON自身の不安や希望のことも言っているのかもしれない、などと思えてきます。このアルバム自体が「勇者の叫び」だと言っても過言ではないような気もしてきます。どうなんでしょうね、一度YOUNGHOONに聴いてみたいです。

5.Show Off
Lyrics by JUNE
Composed by VO3E, Tiyon “TC” Mack
Arranged by VO3E, Tiyon “TC” Mack

ハイライトメドレーを聴いた時から、この曲がすごく楽しみでした!トラックも好みで、YOONDONGのラップがとてもかっこよくて…こういうのが聴きたかったのよ!と嬉しくなりました。潤潤の曲のファンだったので、2人のユニット曲が今回は入っていなくて残念だったのですが、Show Offを聴いてその気持ちが報われた様な気がしました。

そしてYUGO、きみはラップも出来るね!可愛い曲だけじゃなく、こういう曲も似合うなと思いました。SHUNYAのラップも新鮮だった、これからもぜひやってほしいな。

全編 JUNEによる作詞で、歌詞がほぼ英語なのですが。スラングが多くて理解に困っていたら、この方がリリック解説してくれていました。感謝!!!


戦わないで、音楽で魅せる。めちゃくちゃかっこいいです。いろいろ言い返したいこともあったと思うのですが。言いたいことはあくまで音楽で昇華する姿勢。こういうところなんですよね。JUNEは心底ラッパーだなあと思います。うるせえ声は無視!

6.Serenade
Lyrics by MEG.ME
Composed by Moon Kim, CHUNGYOON
Arranged by CHUNGYOON

Show OffでHOTになったところで、一気にクールダウン。切ないファルセットが胸に沁みるバラード。全員歌心が大爆発しておりますね。泣いちゃいます。彼らは本物の歌手なのだなあとしみじみします。
「この手から落ちるひとしずく」のあとに、水滴がポチャンと落ちる音が入っているなど、歌詞の内容と音の合わせ方へのこだわりのおかげで、この1曲づつがらっと変わる世界観にもスッと入って行けるのかもしれません。

切なく美しい世界観に、HEECHOの語尾に泣きの入る歌い方がとてもぴったり合っていると思いました。裏声にならない強い高音の部分とか、ほんとすごい。TOMOのファルセット、めちゃくちゃ綺麗。力強い歌声のイメージが強かった日プの時と思うと、表現の幅の広さに本当に驚かされます。YOUNGHOONとTOMOの2人の声が混ざり合うサビは贅沢すぎて。ライブで聴いたら鳥肌ものだろうなと期待が膨らみます。

7.みずたまり。
【by YOONDONG/SHUNYA/YUGO】
Lyrics by YUGO
Composed by Moon Kim, CHUNGYOON
Arranged by CHUNGYOON

YUGOによる作詞の、 YOONDONG、SHUNYA、YUGOのユニット曲。ユニット曲が聴けるってすごく嬉しかったです。YOONDONGがしばらく日本に居たからこその3人の関係性が出る様なハーモニーを感じました。レコーディング時は既に韓国で、YOONDONGが先に別録りだったようだけど、フェイクをたくさん入れていて、それを聴いて2人が刺激になったと言っていたのが印象的でした。

最初、雨音みたいなリズムのビートが使われていて、クラップも水がはねた音みたいにも聴こえて。韓国で、日本語を理解していないはずの方がアレンジを担当されているのですが、本当に歌詞を理解したアレンジだな!と感心しました。HEECHOによるディレクション力なのだろうなと思います。

3人の声のちがいや表情もとても合ってて。どちらかというとメインで歌う箇所が少ないYOONDONGとSHUNYAの歌心が発揮されていて聴き所が満載です。優しく寄り添う様な2人の歌声、私はとても好きだな。

そして、YUGO!君は歌もラップも素晴らしいのに、歌詞まで詩的表現満載って、どこまで出来る子なんだ…!君には驚かされてばっかりだよ。

一聴すると、爽やかで前向きな、タイトル通りのかわいらしい世界観(みずたまりの最後の「。」は水滴を現しているとか、そういうところも感性豊かよね)なのかなとおもいきや、よく読んでみたら、これはYUGOのここまでの悲しみや葛藤を雨で表現していることがわかって、泣きそうになると同時に、心情を美しく表現するのがとても上手いなと思いました。そして、雨上がりの空の光は、HEECHOの名前の意味もそっと込められているダブルミーミングなのかなと思いました。HEECHO、喜んだかな?更には、「僕は蒼く染まっていく」。ここは、空の青と、グループカラーであるラズライトブルーのダブルミーミングですか?はじめてにしては巧すぎない?作詞家YUGO先生の次回作も期待してます!!

8.Beautiful Butterfly
Lyrics by PA-NON, JUNE
Composed by Moon Kim, CHUNGYOON, Niko Blank
Arranged by Niko Blank, CHUNGYOON

大人っぽい世界観、危険な恋の歌詞。個人的に一番K-POPっぽい曲だなと思いました。グループでのダンスが浮かんでくる。格好良さそう。
潤潤ラップパートが並んでるのが大好きです。2人のラップの対比がはっきり感じられて、なのにとても相性がよくて。あと、この曲のSHUNYA、似合ってる気がする!切ないアップテンポな曲合うのかも。Black Outとか。

この曲は比較的HEECHOとYOUNGHOONがメインヴォーカルだと思うのですが(違ったらすみません)日本語に違和感が本当にない!これはアルバム全編にも言える事ですが、なにげなくすごい事をやってのけているなと思います。韓国メンバーの日本語の歌唱調整指導をしっかりHEECHOがしたと言っていたのですが、彼自身も母国語ではないのにも関わらず。音楽的に耳がいい人って、こういう事も出来るんですね。

9.君へ
【by HEECHO】
Lyrics by キムヒ
Composed by Moon Kim, CHUNGYOON
Arranged by CHUNGYOON, Moon Kim

HEECHO作詞によるソロ。

まず吸う息遣いから始まるのがすでに世界観を作ってるなと。これは全編にも言えることだけど、息づかいをとても大切にしていますよね。呼吸1つでこんなにぐっと引き込むことが出来るんだなあと、このアルバムを通して何度も思わされます。

これは歌詞がしっかり届くことを最優先した曲、サウンドだなと感じました。HEECHOの綺麗なハイトーンや息が混ざる歌唱をしっかり味わえて耳がしあわせになります。コーラスもHEECHOかな?彼の心の中に入ってしまったような、深くて、あたたかくて、少し切なくなるような。

歌詞の内容については前記事でがっつり触れたので割愛しますが、HEECHOとJUNEは、表現方法こそ真逆にはなったけど、デビューアルバムで思いっきり「だけど話たいこと話すだけ。」をやり切ってて、根本はすごく近い二人なのかもと思いました。今の等身大をリリックにするとこ、HEECHOは概念としてのラッパー説あると思えてきています。いつかがっつりラップしてほしいです(願望)

10.Ready to burn
Lyrics by JUNE
Composed by Moon Kim, CHUNGYOON
Arranged by CHUNGYOON

JUNEによる作詞。ラップ以外の歌詞もとっても彼らしいなと思いました。
内容としてはUNIVERSEに近いメッセージなのかなと。表現こそぜんぜん違うけど。力強くて、でもどこか切なさもあって。「ただ駆け出す以外 残された道はない」「簡単な道じゃない 迷いながらもtonight」という歌詞に胸がぎゅっとなります。でも、アツい覚悟と力強い熱の印象の方が遥かに高い。かっこいいなー。

YUGOの声でこれを歌うのが意外なほど似合ってる!本人もこの曲が一番気に入ってると言っていたし、こういう感じの内面も持ち合わせているんだろうな。

ダンスブレイクっぽい箇所があるので、これはぜひステージでゴリゴリに踊って、EαRTHを全部burnしていただきたい!

11.Showersnow
【by TOMO】
Lyrics by TOMO
Composed by Moon Kim, MooF
Arranged by MooF

TOMOによるソロ、自身の作詞。

この曲、大好きです!!
TOMOのソロは、ミドルテンポのR&Bがいいなとずっと思っていたので。でも、思っていたのの数倍素敵だった。アレンジもすごくお洒落で気持ちいい。

彼の歌声は、宝石だったり、ビロードだったり、毛布だったり、ガーゼやレースだったりもして。とにかく歌い方の幅がとんでもないですね。TOMOが歌手にならない世界線が存在したかと思うと心底ぞっとします。宇宙の損失を免れて本当によかった。
歌い方の抑揚がホント独特で、「眺めてるだけなのか」で急に話す様な所や、「その儚さの鼓動 もう少し打って You You」の所、何回聴いても耳がとろけます。

歌詞の内容は、TOMOが書いたんだと思うと少し照れてしまうような、とてもストレートでスイートな片思いソングで。海とか筋トレとかのイメージがあったのが嘘みたいな、繊細で儚く美しく、ちょっとかわいらしい等身大の男の子な「Showersnow」の世界観。

高嶺の花的な存在の彼女を、薔薇や百合ではなく、「ガランサスの花」と表現してるのが素敵だなって思いました。ガランサスは、snowdropって名前のかわいい白いお花。和名は待雪草、花言葉は「恋の最初のまなざし」だそうです。Showersnowは、本当の雪そのものというより、彼女の雰囲気と、ふわりと降り積もる恋心を表現しているのかな。
「僕だけのものに なるわけないか」の歌詞が謙虚すぎるあまり自分の魅力に気付いていなそうな、TOMOらしい気がしてかわいくて好きです。なのに赤、黒のドレスが似合うってことは結構大人な女性なのかな?などと、キーワードだけで彼女像をふわっと香らせるのがとっても上手い!これまた作詞上手!なんなんだ、おるびは詩人しかおらんのか?!

12.Double20
【by JUNE】
Lyrics by JUNE
Composed by JUNE,CHUNGYOON
Arranged by CHUNGYOON

JUNEによる、JUNE作詞の、JUNEも合同作曲しているソロ。

かっっけえ!!!!!!!!!
語彙力失いました。タイトル通り2020年のことを書いているそうなのですが。最初、なかなか歌詞のスラングが理解出来ないでいたら、twitterで和訳してくださった方がいらして。それを読ませてもらってからしばらく、ちょっと自分も攻撃的に、強くなった気分になったりしました、笑。(引用失礼致します!)

いやー、fuegoが痺れましたわ。囁いてるのに全然優しくない。背後から刺されるようなサスペンス感。JUNEが言いたい事やりたい事をずっと音楽で表現していってほしいと思いました。

もちろん、HIPHOPの定番であるボースティング(リリックの中で過剰に自画自賛してアピールするスタイル)の部分も多分にあると思うし、あと、文化としてのBEEF(もめ事をあえてリリックにして表沙汰にして、リスナーもそれを楽しむ)があるのでね、そのへんは理解してよねヘイター!

「文句電話?give me a phone call」の部分を、HEECHOがスタジオにたまたまその時いたから頼んだと言っていましたが、そのわりにぴったりすぎるし、面白いアクセントになってるし、ふたりの親密さが伝わってきすぎてもう。
つか、やっぱりHEECHO、ラップ上手いじゃないかー!

13.Lazurite

Lyrics by Kanako Kato
Composed by Moon Kim, CHUNGYOON
Arranged by CHUNGYOON


あーすの実家ことラズライトまできました。ゴリゴリのDouble20の後に大団円のようなLazurite。それどんな情緒なの?!となる気持ちがあっても、イントロの叙情的なピアノを聴いたら心のBPMが落ち着いて、一章節目からもう心が洗われ、有終の美なのです。だって、to Eα RTHって言ってもらって、はじめておるびがプレゼントしてくれた楽曲なのだもの。何百回、何千回聴いてもその美しさは損なわれず、七色の美声と、おるびそのものな歌詞に涙するのです。すごいなあ、Lazurite。アルバムの全てを包み込むような包容力。ラストに相応しい曲。揺るぎない結晶になりたい気持ちを胸に、またOOの最初の曲から聴き直すのです。I'm with you forever!

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