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UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2023 "Ninth Peel" @東京ガーデンシアター ライブレポ

はじめに 

 2023年4月16日(日)の森のホール21公演から始まった、ユニゾンの9枚目のアルバム「Ninth Peel」のリリースツアー。3本発表された追加公演のうち、7月1日(土)に東京ガーデンシアターにて行われたライブのレポです。

本編

1 夢が覚めたら(at that river)
 SEの絵の具(r-r ver.)が不意に切られ、斎藤宏介(Vo.&Gt.)の弾き語りでライブは幕を開ける。アルバム「MODE MOOD MODE」の収録曲だがそのアルバムツアーでは披露されず、5年経って昨年の対バンツアー「fun time HOLIDAY 8」でようやく初披露となった曲。ワンマンツアーでセトリ入りするのは今回が初というレア曲だ。6/8拍子で刻む鈴木貴雄(Dr.)のタイトなビートに乗せて丁寧に風景を描写していく。

 言われてみれば「向かい風によく似たラララ」→恋する惑星、「いつかの映画みたいに」→City peelと歌詞が今回のアルバムの曲とリンクしている。「Flashback of that river」のところで後ろから青い光(=河の色?)に包まれながら演奏するユニゾンの3人はとても神秘的だった。クレシェンドするシンバルの音が拍手を煽り、「UNISON SQUARE GARDENです。」という落ち着いた挨拶から……

2 シュガーソングとビターステップ
 「ようこそ!」という斎藤の声から始まったのは間違いなく踊れるキラーチューン。この曲が2曲目に置かれるのは初めてだと思う。バラード曲で落ち着いてから慣れ親しんだヒット曲でぶちあがらせるというセットリストの天才・田淵智也(Ba.)のお得意のセトリパターン。2番Aメロの入りの通称・蓋然性ポーズ(?)は今回はなし。観客も思い思いのスタイルで自由に飛び跳ねる。

3 ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ
 ここで斎藤のギターから始まった、アルバムでも3曲目に置かれているこの曲で今ツアーがアルバム「Ninth Peel」のリリースツアーだったことを思い出す。3人の背景にある「Ninth Peel」のネオンが赤と白に光ったり、Bメロではキメのたびに照明がビカビカ光ったりとにかくド派手な演出。もちろん今ツアー初披露の曲だが謎歌詞・やたら蠢くベースライン・手数が多いのに踊れる四つ打ちドラム・耳を引くギターリフというユニゾンの十八番が詰まった曲でライブでの盛り上がりも十二分。

4 Nihil Pip Viper
 ノンストップで披露されたのは、前回のアルバムツアー(コロナ禍によりリリースから1年経って行われた)「Patrick Vegee」に際して配信リリースされたこの曲。「Make me hazyこの際」のところで手を挙げる人が多く、これはコール&レスポンス的に謳っている人も多いんだろうなとは思ったが、メンバーの歌唱を邪魔しない程度に気にならないのがユニゾンのライブのいいところ。「Ninth Peel」と「Patrick Vegee」を繋ぐ役割を持った曲だが、使い所が難しいという理由もありワンマンツアーでは2年ぶりのセトリ起用となった。曲の〆で「東京最後までよろしく!」と告げるという初のパターン。

5 City peel
 間髪入れず、鈴木によるリムショットを積極的に取り入れたジャジーな軽いドラムソロから、アルバムでも5曲目に位置するこの曲が始まる。背後のNinth Peelのネオンは青色に光るがこういう落ち着いた曲ではそこまで主張してこない。アップテンポな曲もあるなか、今回のアルバム名にこういう曲から1単語起用されているのが面白い。長尺のギターソロでは2回し目は溜めなどがかなりアレンジが効いていて、ここまでツアーを回ってきてこの曲がかなり馴染んできていることが窺える。

6 静謐甘美秋暮抒情
 続いてもユニゾン流シティ・ポップ風な曲。この曲もそういえば「MODE MOOD MODE」の由来になっているという繋がりもあった。アルバム曲ながら2020年に行われた楽曲人気投票でも16位という順位に位置付けられている人気曲である。去年のツアーも同じく秋曲の「5分後のスターダスト」がセトリ入りしていたが、今回も同様に原曲よりテンポを上げて演奏された。こういうところで音源との違いを出してくれるのは嬉しいし、間奏の変拍子を多用したキメやサビの斎藤のファルセットはライブで聴いてこそだなと思う。

7 WINDOW開ける
 少しだけ間を空けて始まったのはまさかの1stアルバム収録曲。これまでも対バンイベントやフェスでちょくちょく披露されてはいたが、ワンマンツアーのセトリに入るのは2014年の5th アルバムのリリースツアー「Catcher In The Spy」以来実に9年ぶり。生で聴くと2番以降の拍の裏表がよりわからなくて混乱する。シンプルな白の照明に照らされてユニゾンのこういう系統の曲(摂食ビジランテ、夜が揺れている等)独特の迫力が出ていた。ライブ化けがえげつない1曲。

8 シューゲイザースピーカー
 間髪入れず斎藤のギターリフから始まった黄金の繋ぎ。そう、この並びはCatcher In The Spyツアーと全く同じなのだ。重い曲の流れが続いた中で、(この曲もマイナーキーだし重低音結構強いけど)サビで開放感があるこの曲で観客は一層の盛り上がりを見せる。シューゲイザースピーカーがワンマンツアーのセトリに入るのも9年前のツアーぶりで、歌詞が音楽について歌った曲であるだけに人気も根強くライブで聴くのを待ち望んでいた人が多いと思う。「流行り物が廃れていく」→「どんなヒットソングでも救えない命がある」という文脈でも黄金の繋ぎだが……

9 アンチ・トレンディ・クラブ
 まさにシューゲイザーと言わんばかりに斎藤がアーミング奏法でギターをぎゅんぎゅん言わせるソロが1分くらい続いた後に「流行り物=トレンディ」について歌った曲が始まるという完璧な流れ。9thアルバムの9曲だがライブでも9曲目に演奏されるという偶然?必然?イントロが始まっていきなり3人の「Foo〜」の声があって驚いた。間奏でもあったけど斎藤までこういうコーラスをするのは珍しい気がする。サビではピンクの照明が左右から交互にステージを照らす。

 歌詞からしても彼らの売れること、キャリアのことについてのスタンスがよくわかる曲。シラバスの言う通りにコツを押さえれば順当に幸せになれる。本当に?と君(=物好き)を忘れちゃわないかしっかり疑問に思ってくれるのがユニゾンらしい。田淵は歌詞にそんな意味はないと言うだろうけど。さらに「一緒にいようぜ できるだけ短い時間」というのは最近のライブの時間が短くなってきていることともリンクする。「多数が正義じゃないのでは?」という今アルバムの帯コメントがこの曲から取られていることは言うまでもないが、やはり「フレーズボトル・バイバイ」と合わせて彼らのスタイルを象徴する曲だなと思った。

10 MIDNIGHT JUNGLE
 原曲より速めの「Drink up?Tune up!」の掛け声の後にド派手な掻き回しとスモーク。この流れでまだアップテンポな曲が続くということへの喜びか、9曲目から曲間0で入ってしまったため9曲目への賛辞なのか、声出しが解禁されたことで大きな歓声と拍手で次の曲を迎える。溜めに溜めて「MIDNIGHT JUNGLE」の曲名がロングトーンで告られるのもライブならではだ。やはり「もったいない!」や「MIDNIGHT JUNGLE JUNGLE」の部分は声出ししている人が多かったがこういう曲のこの部分なら気にならない人が大半じゃないだろうか。

 ライブで声を出せない期間が長かったからこそ、みんなで歌いたい気持ちもわかるし、田淵もブログで言っていたように声出し反対派の人も何から何までダメってことはないだろうから、こういった曲で合唱が起こるのは純粋に久々でいい光景だなと思った。逆にコロナ前はそういう楽しみ方をしてなかった人も流石にこれだけ禁止されていると歌いたくなるような、そういう魅力もユニゾンの曲にはあると思う。

11 Phantom Joke
 10曲目をドラムで〆→斎藤が「Phanton Joke」と曲名を言う→ハイハット1発で曲に入る、というまさに職人芸のような繋ぎ。この緊張感はライブでしか味わえない。2020年のライブから散々擦られた後、2021年のアルバムツアーでは「オーケストラを観にいこう」の余韻を同じくハイハット1発でいきなり曲に入ってぶち壊すという役割を持たされていた。思わず笑ってしまうような、一瞬置いてかれてしまって何が起こったかわからないような繋ぎ。これこそユニゾンのライブだ。

 バンドをやったことがある人ならわかると思うが、普通は曲に入る時のカウントは4発かせいぜい2発だ。それを1発でしかもややこしいイントロなのに完璧に揃えられるところが彼らがライブバンドたる所以だろう。またこの曲がライブで育ってきたという証左でもあり、同じくマイナー曲・タイアップ有の「カオスが極まる」がリリースされた故に最近のセトリからは外されていたが、久々に演奏されると観客からの待ち望んでいたという人気度合いを実感する。曲が終わると同時に暗転しガーデンシアターは割れんばかりの拍手に包まれた。

12 Numbness like a genger
 ギターから始まり、空間系のエフェクターが効いたベース、リムショットの入ったドラムが加わった短いセッションの後、アニメ「ブルーロック」の第2クールEDテーマのこの曲が演奏された。「City peel」と同様、原曲ではピアノを取り入れているが、ライブでは同期音源なしで3人のみの演奏となった。「命はある」の田淵の高音コーラスは原曲にはないような?そんな工夫を多々取り入れ、ピアノの音なしでも全く聴きごたえが音源に劣らないアレンジだった。

13 お人好しカメレオン
 拍手をしようとした観客の手を斎藤の「ああ、」の一言が止める。1曲目と同じくアルバム「CIDER ROAD」ツアーでは披露されず、その後長い間封印されてきた曲だ。この曲の初披露は結成15周年記念ライブ「プログラム15th」の1曲目。斎藤によるアカペラから始まったその時とは違い、今回は原曲に近い弾き語りによるスタート。この曲が普通にワンマンツアーのセトリ入りするようになったのは感慨深いし、20周年を目前にして「もう特別な曲じゃないよ」というユニゾンからのアピールな気がする。

 「正義の仲間入りして」→アンチ・トレンディ・クラブ、「君だけのために君はいるんだよ」→スペースシャトル・ララバイと、1曲目と同じく今回のアルバム曲と歌詞がリンクする部分がある。また直前の「Numbness〜」とは、バラードというほどではないがミドルテンポの曲ながら人気が高く、原曲ではある同期音源をライブでは流さず3人のバンドサウンドのみで演奏されるという共通点がある。曲終わりはリタルダントし、ギターのキュッというミュート音の後に堰を切ったように観客の拍手が起こった。

14 スペースシャトル・ララバイ
 「君は君のためにいるんだから、甘やかすことはしないから君が選ぶんだ」というメッセージ性の13曲目の後に「君じゃなくちゃ君にはなれないんだよ どうしたいかはちゃんと決めてくれよ」と歌うこの曲が来るのは確信犯。ドラムソロからのスラップベースが目立つかっこいいセッションの後、スペースシャトルを思わせるような、斎藤によるカウントダウンから始まったのはアルバムの1曲目。曲が始まると同時に今回のツアーロゴを模したネオンが上から吊り下げられ降りてくる。インタビューで言ってたように、下北沢のライブハウスでライブしていた頃のような初期衝動を思わせる歌詞と演奏でライブのクライマックスへと連れていってくれる。

 ここ最近のユニゾンのアルバムの1曲目は、最初から1曲目として作られた3分以下のショートチューンが多かった。この曲自体は実は結構前からあったらしいが、アルバムの1曲目として使いたい、しかしそうするとガチガチに構想を練ったアルバムにはそぐわないということで収録が見送られてきたという過去がある。ここにきて肩の力の抜けたユニゾンが、普通のロックバンドによる普通のアルバムとして制作しようと思った時に満を辞して1曲目を務め上げることになったのである。この曲を聴いた時、セトリ上の使い方としてBLFYツアーのBUMP OF CHICKENのGOのように、ライブの落ち着いた曲ゾーンの次に再び盛り上げるような置き方もできそうだなと思った記憶があるが正にその通りになった。

15 放課後マリアージュ
 ここでまさかすぎる選曲。「Numbness〜」が世に出てブルーロック関連の曲を聴きたいという層がライブに来ることを見越したが故の「カオスが極まる」カップリングのこの曲なんだろうか。はたまたカップリングだが人気が高すぎた故にセトリ入りすることになったのだろうか。一応「MODE MOOD MODE」での「サンタクロースは渋滞中」のように近いタイミングでリリースされたシングルのB面曲がアルバムツアーのセトリ入りすることはある。背景のNinth Peelネオンが光っていたことも鑑みるともうほぼアルバム曲と言っていいんじゃないだろうか。ラストサビ前のクラップは体感5割くらいの人がやっていて、その塩梅もユニゾンらしい。

16 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
 フェスやイベントでは披露されず、昨年の対バンツアーではセトリ入りしていたもののワンマンツアーだと2020年の「LIVE (on the) SEAT」まで遡る、言わずと知れた人気曲。「MIDNIGHT JUNGLE」と同じくこの曲でも大合唱(というほどでもないかもしれないが)が起きる。赤と青の照明は10周年あたりでこの曲がライブで披露された時に定番だったパトランプが回る演出を思い出させる。間奏では田淵がマイクスタンドを引きずり回し、鈴木は原曲にもまして手数を増やしまくるというカオスな展開。

17 カオスが極まる
 曲間0で聴き馴染みのある同期音源が流れ始め、徹頭徹尾への拍手と次の曲を確信した歓声が上がる。MIDNIGHT JUNGLEの時もそうだったが、ユニゾンのライブは曲間が詰まっているので拍手するタイミングが難しく、結果的にこういったような現象が起こる。田淵も「18年目にしてまたヒット曲が生まれるとは」というようなことを言っていたが、今の若い世代にもユニゾンの名を身近にしたアニメ「ブルーロック」第1クールOP曲。夜な夜なからのノータイム繋ぎでよく体力が保つな本当。

 先日鈴木貴雄YouTubeチャンネルで本人によるこの曲の叩いてみた解説動画が上がっていたが、その中で「きつい曲こそ『こいつヤバい』と思われるくらい楽しんで叩く」と言っていた。まさにその通りで17曲目とは思えないほど楽しそうに叩く彼の姿には感服する。サビの前と終わりに同期音源のみの、バンドによる演奏がない部分があるがその部分も3人がそれぞれに暴れていたのが印象的だ。彼らからは音はなっていないのにライブになっている、ユニゾンの3人自体がユニゾンの音楽と一体化しているような不思議な感覚に陥る。

18 恋する惑星
 「どうもありがとうございました、UNISON SQUARE GARDENでした。ラスト!」というMCというにはあまりに短すぎる一言を経て今アルバムのリード曲が披露される。曲が始まると同時に上からは剥かれた皮が9の形になっているリンゴ、19、音符、猫、13時を表す時計等をモチーフにしたネオン、左右からはバンド名とバンドのロゴのネオンがステージ上に現れる。ユニゾンの曲の中でもそのポップネスが1、2を争うぐらい爆発している曲にこれだけ派手なセットが注ぎ込まれ、虹色のネオンに包まれるのは納得である。

 今回のアルバムは曲順を決めてからそこを埋めていくように曲を足していくという前作2枚との作り方とは異なり、できた曲を並べてみてから少し手直しするという作り方がされているというのは多くの人が知っていることだと思うが、恋する惑星もその流れで2曲目に置かれてリード曲となったという経緯があり、そのような流れがなければMVも作られず、ツアー本編の最後の1曲に置かれることもなかったんだろうなと思うとなんとも奇妙な縁を感じる。「アーイヤイヤー」という田淵曰く「アホっぽくていい」コーラスが各地で巻き起こるのも面白い。今後フェス等で披露されもっと大きくなっていってほしい曲。

アンコール

1 ガリレオのショーケース
 観客の拍手に応じて、体感1分未満でステージ上に戻ってくるメンバー達。ドラムセットの前にヤンキー座りのように居座りながら鈴木の方を見やるフロント2人。そこから鈴木の爆音ドラムによるライブ限定のイントロが始まり、斎藤の「おまけ」の一声で最高のアンコールが幕を開ける。各所のツアーで話題になっていたこの曲での斎藤・田淵の絡みだが、最初の間奏ではギターソロを弾く斎藤の前に田淵が跪き頭を押し付けるような態勢でベースを弾いていた。(文字に起こすとマジで意味わかんねえなこれ)

 そして「なぁ?おい」後のキメが続く部分ではいつも通りステージを走り回る田淵、の後をまさかの斎藤が追いかけ始めるという初めて見る光景が繰り広げられる。ドラムのライザー(ドラムセットが乗っている台)の上にジャンプして軽々と乗っていた田淵に比べて、いつもはそんなことやってないから慣れていないのか斎藤が乗る時は少し慎重に乗っていたのが面白かった。「(毎日)が、そう、」の部分を久々に声出しできたファンも多かったんじゃないだろうか。

2 kaleido proud fiesta
 カポタストを1フレットに付け替えた斎藤の「またね」の一言で、万華鏡のようにカラフルなネオンの照明に包まれて始まった正真正銘最後の曲。「なぞっていこう」の部分で向かって左から右に向かってネオンが光っていたのも印象的。同期の荘厳なストリングスにユニゾンの3人の緻密なバンドサウンドが合わさり、祝祭のムードを演出する。ツアー初日に聴いた時は「かくして快進撃は始まる」の歌詞でこれからのツアーの門出を祝うような気持ちになったが、追加公演でツアーの最終盤に聴いても、これからのユニゾンは変わらず快進撃を続けるんだろうなという確信的な安心感に包まれた。

おわりに

 「アルバムツアーは別に最新曲のためだけのツアーじゃないしアルバム全曲やらなくてもいいのでは?」という試みのもと、11月からは2周目のツアー"Ninth Peel" nextの開催が予告されている中での今回のツアー。結果的にはセトリ落ちしたのは「もう君に会えない」と「フレーズボトル・バイバイ」のみとなり、前述の通りアルバム曲以外の曲でも歌詞がリンクするような部分があったりと、アルバムの思想を色濃く反映するようなセットリストになった。演出の面でも、アルバム曲を中心にメンバーの背後の「Ninth Peel」のネオンが光っていたのが象徴的だった。また、マスク着用の上とはいえコロナ禍以降初の「声出し」が解禁された初のツアーとなった。
 ユニゾンは声出しを煽るようなライブはしないが、それでも曲を聴いてると思わず声を出して歌いたくなるようなコーラスや掛け声の部分がある。例を挙げるのも野暮かもしれないがNihil Pip Viper、MIDNIGHT JUNGLE、徹頭徹尾夜な夜なドライブ、ガリレオのショーケース等である。今回そういった曲が久々にツアーのセトリ入りしたのはそういう意図があったようにも思える。決してバンドとしては明言しないだろうけど。自由に楽しんでくれが信条のユニゾンのライブにおいて、自由に声出しができなかった3年間を経たからこそのご褒美といったところだろうか。勿論声出しなしのライブの方が快適な人もいるだろうが、そういった人もまあ許容範囲なんじゃないか?といういい塩梅に収まっていたのがよかった。
 予想外の1曲目から始まり、アルバムの流れを踏襲しつつも久しぶりにオンラインではないワンマンライブでやった曲も取り入れ、最後まで駆け抜けていくようなライブ。特に11曲目の「Phantom Joke」まではメンバーも客も水を飲むタイミングが全くないほどのストイックさ。畳み掛けるように演奏したかと思いきや12・13曲目はしっかり聴かせたり、と緩急がいつにも増して鋭かった。いい演奏といいセトリのみがあるライブ、それがユニゾンのワンマンだ。2周目のツアーも心して待つ。


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