見出し画像

ミャオ諸語の文字体系による日本語表記と声調表記について

今回はミャオ諸語の文字体系による日本語表記や借用語における声調表記を取り上げます。

ミャオ諸語の文字体系についての注意点

パハウ・フモン文字は母音字が全てカ行音[k]を含む音節文字となっていて、母音字は“Bグループ”と“Vグループ”の2つのグループに分かれ、子音字の左側に置かれることで1音節となります。旧正書法であるステージ3では声調記号が統一された表記―
高平=◌B𖬖◌/◌𞄤𞄰/𖽃𖽔𖾐➡𖽃𖽔
低声門化[きしみ声]=◌M𖬖𖬰◌/◌𞄤𞄱/𖽃𖽔𖾐・𖽃𖽔➡𖽃𖽔𖾙
低昇=◌D𖬖𖬱◌/◌𞄤𞄶/𖽃𖽔𖾐・𖽃𖽔➡𖽃𖽔𖾕
高降=◌J𖬖𖬲◌/◌𞄤𞄲/𖽃𖽔𖾏➡𖽃𖽔𖾓
中昇=◌V𖬗◌/◌𞄤𞄳/𖽃𖽔𖾑➡𖽃𖽔𖾔
中平=ラテン文字表記は母音字のみ𖬗𖬰◌/◌𞄤/𖽃𖽔𖾐➡𖽃𖽔𖾖
低平=◌S𖬗𖬲◌/◌𞄤𞄴/𖽃𖽔➡𖽃𖽔𖾘
下降気息=◌G𖬗𖬶◌/◌𞄤𞄵/𖽃𖽔𖾐・𖽃𖽔➡𖽃𖽔𖾗
(※声調表記は各字母の《A》を土台にしています)
―となっていたのですが、ステージ3以前に制定されたステージ2に基づく現行正書法では低昇調が廃止され、声調を示す母音字やダイアクリティカルマークが一致しない表記になっていますが、アオ段中平調𖬭》[au˦]では子音字のみの表記となるのは共通です。
ア段は旧正書法では母音のみを示すアオ𖬭》と声門閉鎖音[ʔ]を含むッアオ𖬮𖬰》―ラテン文字表記ではアポストロフィー'》―の2種類がありますが、現行正書法では〈𖬗𖬲𖬮𖬰 𖬉𖬲𖬦 𖬃𖬲𖬞 𖬗𖬲〉[ア⑦メ⑦リ⑦カ⑦]「アメリカ」のように母音のみを示す場合も《𖬮𖬰》で表記されます。
子音字はダイアクリティカルマークで発音が変化します。

ニヤケン・プアチュエ・フモン文字は、ラテン文字同様の単音文字表記システムとなっていて、母音字にダイアクリティカルマークを付加して声調を示します。
子音字の一部はヘブライ文字由来となっています。
末尾にエジプト文字のように限定符が付くシステムとなっています。

ミャオ語ポラード文字は声調配置によって濁音になる文字システムとなっています。
ユニコードでは子音字と母音記号の後に声調記号を組み合わせる方式となっていて、通常の配置では右下𖽃𖽔》, U+16F91では𖽃𖽔𖾑》, U+16F8Fでは𖽃𖽔𖾏》, U+16F90では右上𖽃𖽔𖾐》, U+16F92では𖽃𖽔𖾒》となります。
新正書法では、合成式ではなく母音記号は常に右下の配置《𖽃𖽔》でその後に声調記号を配置するタイ・ナ文字やタイ・ロ文字のようなシステムになっています。

日本語表記に用いられるミャオ諸語の文字体系の一覧

見出しのラテン文字はRPA=ポピュラーローマ字と呼ばれるラオスやアメリカなどで使用されるフモン語ラテン文字表記です。
中平調AU》/au/[au˧], ➊高平調AUB》/áu/[au˥], ➐低平調AUS》/àu/[au˨], ➎中昇調AUV》/ǎu/[au˥˧]の順の表記です。
日本の〈Nyiv Pooj / 𖬂𖬶𖬮𖬵 𖬌𖬲𖬪𖬵 /𞄐𞄦𞄳𞄚𞄩𞄲𞄹〉[ニ⑤ポン④]のように促音《》の翻字を示す場合は中昇調V》が使用されます。

無声無気音子音字はポラード文字では声調によって有声音あるいは有声有気音に変化する場合があることから、濁点付きカタカナで示しています。
日本語の清音及び半濁点付きカタカナは語頭では無声有気音子音字, 語中では無声無気音子音字で翻字しますが、語頭・語中におけるパ行とバ行との区別のために有気音子音字でパ行を示す場合があります。

KH以降はニヤケン・プアチュエ・フモン文字とポラード文字は子音字のみを挙げています。

母音

前述の旧正書法のアオ𖬭》は母音のみの音節, ッアオ𖬮𖬰》は声門閉鎖音[ʔ]を含む音節です。方言によってはアオ𖬭》はドラオ[dl]に発音が変化しているため、アオ𖬮𖬰》が常に母音字を示します。
パハウ・フモン文字の母音表記は、㊧側に母音字, ㊨側に子音字を配置します。

  1. A・ABAS・AV【𖬗𖬰𖬭―𖬗𖬰𖬮𖬰・𖬖𖬭―𖬖𖬮𖬰・𖬗𖬲𖬭―𖬗𖬲𖬮𖬰・𖬗𖬭―𖬗𖬮𖬰 ➡ 𖬗𖬰𖬮𖬰・𖬖𖬲𖬮𖬰・𖬗𖬲𖬮𖬰・𖬗𖬮𖬰 / 𞄤・𞄤𞄰・𞄤𞄴・𞄤𞄳 / 𖽃𖽔𖾐・𖽃𖽔𖾐・𖽃𖽔・𖽃𖽔𖾑 ➡ 𖽃𖽔𖾖・𖽃𖽔・𖽃𖽔𖾘・𖽃𖽔𖾔[a]

  2. AI・AIBAIS・AIV【𖬋𖬰𖬭―𖬋𖬰𖬮𖬰・𖬊𖬭―𖬊𖬮𖬰・𖬋𖬲𖬭―𖬋𖬲𖬮𖬰・𖬋𖬭―𖬋𖬮𖬰 ➡ 𖬋𖬮𖬰・𖬊𖬰𖬮𖬰・𖬋𖬰𖬮𖬰・𖬊𖬲𖬮𖬰 / 𞄤𞄦・𞄤𞄰𞄦・𞄤𞄴𞄦・𞄤𞄳𞄦 / 𖽃𖽹𖾐・𖽃𖽹𖾐・𖽃𖽹・𖽃𖽹𖾑 ➡ 𖽃𖽹𖾖・𖽃𖽹・𖽃𖽹𖾘・𖽃𖽹𖾔アイまたはアエ[ai]

  3. AW・AWBAWS・AWV【𖬏𖬰𖬭―𖬏𖬰𖬮𖬰・𖬎𖬭―𖬎𖬮𖬰・𖬏𖬲𖬭―𖬏𖬲𖬮𖬰・𖬏𖬭―𖬏𖬮𖬰 ➡ 𖬏𖬮𖬰・𖬎𖬮𖬰・𖬏𖬰𖬮𖬰・𖬏𖬮𖬰 / 𞄤𞄬・𞄤𞄰𞄬・𞄤𞄴𞄬・𞄤𞄳𞄬 / 𖽃𖽘𖾐・𖽃𖽘𖾐・𖽃𖽘・𖽃𖽘𖾑 ➡ 𖽃𖽘𖾖・𖽃𖽘・𖽃𖽘𖾘・𖽃𖽘𖾔アウ[aɨ]

  4. AU・AUBAUS・AUV【𖬭―𖬮𖬰・𖬄𖬭―𖬄𖬮𖬰・𖬅𖬲𖬭―𖬅𖬲𖬮𖬰・𖬅𖬭―𖬅𖬮𖬰 ➡ 𖬮𖬰・𖬄𖬰𖬮𖬰・𖬅𖬰𖬮𖬰・𖬄𖬲𖬮𖬰 / 𞄤𞄧・𞄤𞄰𞄧・𞄤𞄴𞄧・𞄤𞄳𞄧 / 𖽃𖽻𖾐・𖽃𖽻𖾐・𖽃𖽻・𖽃𖽻𖾑 ➡ 𖽃𖽻𖾖・𖽃𖽻・𖽃𖽻𖾘・𖽃𖽻𖾔アオまたはアウ[au~ao] - ポラード文字で中平調の場合、子音字のみの表記となる。

  5. AA・AABAAS・AAV【𖬗𖬰𖬭―𖬗𖬰𖬮𖬰・𖬖𖬭―𖬖𖬮𖬰・𖬗𖬲𖬭―𖬗𖬲𖬮𖬰・𖬗𖬭―𖬗𖬮𖬰 ➡ 𖬛𖬰𖬮𖬰・𖬚𖬲𖬮𖬰・𖬛𖬲𖬮𖬰・𖬛𖬮𖬰 / 𞄥・𞄥𞄰・𞄥𞄴・𞄥𞄳 / 𖽃𖽗𖾐・𖽃𖽗𖾐・𖽃𖽗・𖽃𖽗𖾑 ➡ 𖽃𖽗𖾖・𖽃𖽗・𖽃𖽗𖾘・𖽃𖽗𖾔アン[ã~aŋ]: - パハウ・フモン文字旧正書法及び現行正書法におけるフモン・ダウ語表記ではア段と区別されない。ポラード文字では本来《𖽃𖽘》[aɯ アウ]が鼻母音アンに対応する字だった。

  6. I・IBIS・IV【𖬃𖬰𖬭―𖬃𖬰𖬮𖬰・𖬂𖬭―𖬂𖬮𖬰・𖬃𖬲𖬭―𖬃𖬲𖬮𖬰・𖬃𖬭―𖬃𖬮𖬰 ➡ 𖬃𖬮𖬰・𖬂𖬲𖬮𖬰・𖬃𖬰𖬮𖬰・𖬂𖬶𖬮𖬰 / 𞄦・𞄦𞄰・𞄦𞄴・𞄦𞄳 / 𖽃𖽡𖾐・𖽃𖽡𖾐・𖽃𖽡・𖽃𖽡𖾑 ➡ 𖽃𖽡𖾖・𖽃𖽡・𖽃𖽡𖾘・𖽃𖽡𖾔[i]

  7. IA・IABIAS・IAV【𖬕𖬰𖬭―𖬕𖬰𖬮𖬰・𖬔𖬭―𖬔𖬮𖬰・𖬕𖬲𖬭―𖬕𖬲𖬮𖬰・𖬕𖬭―𖬕𖬮𖬰 ➡ 𖬕𖬮𖬰・𖬔𖬮𖬰・𖬕𖬰𖬮𖬰・𖬔𖬲𖬮𖬰 / 𞄦𞄤・𞄦𞄰𞄤・𞄦𞄴𞄤・𞄦𞄳𞄤 / 𖽃𖽢𖾐・𖽃𖽢𖾐・𖽃𖽢・𖽃𖽢𖾑 ➡ 𖽃𖽢𖾖・𖽃𖽢・𖽃𖽢𖾘・𖽃𖽢𖾔イア[ia]

  8. W・WBWS・WV【𖬙𖬰𖬭―𖬙𖬰𖬮𖬰・𖬘𖬭―𖬘𖬮𖬰・𖬙𖬲𖬭―𖬙𖬲𖬮𖬰・𖬙𖬭―𖬙𖬮𖬰 ➡ 𖬙𖬰𖬮𖬰・𖬘𖬰𖬮𖬰・𖬙𖬲𖬮𖬰・𖬙𖬮𖬰 / 𞄬・𞄬𞄰・𞄬𞄴・𞄬𞄳 / 𖽃𖽜𖾐・𖽃𖽜𖾐・𖽃𖽜・𖽃𖽜𖾑 ➡ 𖽃𖽜𖾖・𖽃𖽜・𖽃𖽜𖾘・𖽃𖽜𖾔[ɨ ゥイ] - 標準語のウ[ɯ]に近い発音。

  9. U・UBUS・UV【𖬇𖬰𖬭―𖬇𖬰𖬮𖬰・𖬆𖬭―𖬆𖬮𖬰・𖬇𖬲𖬭―𖬇𖬲𖬮𖬰・𖬇𖬭―𖬇𖬮𖬰 ➡ 𖬇𖬮𖬰・𖬆𖬰𖬮𖬰・𖬇𖬰𖬮𖬰・𖬆𖬲𖬮𖬰 / 𞄧・𞄧𞄰・𞄧𞄴・𞄧𞄳 / 𖽃𖽪𖾐・𖽃𖽪𖾐・𖽃𖽪・𖽃𖽪𖾑 ➡ 𖽃𖽪𖾖・𖽃𖽪・𖽃𖽪𖾘・𖽃𖽪𖾔[u] - 関西弁など西日本の方言音及びアイヌ語・沖縄語のウ段の発音。

  10. UA・UABUAS・UAV【𖬑𖬰𖬭―𖬑𖬰𖬮𖬰・𖬐𖬭―𖬐𖬮𖬰・𖬑𖬲𖬭―𖬑𖬲𖬮𖬰・𖬑𖬭―𖬑𖬮𖬰 ➡ 𖬑𖬮𖬰・𖬐𖬶𖬮𖬰・𖬑𖬲𖬮𖬰・𖬐𖬲𖬮𖬰 / 𞄧𞄤・𞄧𞄰𞄤・𞄧𞄴𞄤・𞄧𞄳𞄤 / 𖽃𖽫𖾐・𖽃𖽫𖾐・𖽃𖽫・𖽃𖽫𖾑 ➡ 𖽃𖽫𖾖・𖽃𖽫・𖽃𖽫𖾘・𖽃𖽫𖾔ウア[ua]

  11. E・EBES・EV【𖬉𖬰𖬭―𖬉𖬰𖬮𖬰・𖬆𖬭―𖬆𖬮𖬰・𖬉𖬲𖬭―𖬉𖬲𖬮𖬰・𖬉𖬭―𖬉𖬮𖬰 ➡ 𖬉𖬰𖬮𖬰・𖬈𖬰𖬮𖬰・𖬉𖬲𖬮𖬰・𖬉𖬮𖬰 / 𞄪・𞄪𞄰・𞄪𞄴・𞄪𞄳 / 𖽃𖽝𖾐・𖽃𖽝𖾐・𖽃𖽝・𖽃𖽝𖾑 ➡ 𖽃𖽝𖾖・𖽃𖽝・𖽃𖽝𖾘・𖽃𖽝𖾔[e] - ポラード文字は本来曖昧母音[ə アまたはウ]を示す。

  12. EE・EEBEES・EEV【𖬁𖬰𖬭―𖬁𖬰𖬮𖬰・𖬀𖬭―𖬀𖬮𖬰・𖬁𖬲𖬭―𖬁𖬲𖬮𖬰・𖬁𖬭―𖬁𖬮𖬰 ➡ 𖬁𖬮𖬰・𖬀𖬶𖬮𖬰・𖬁𖬰𖬮𖬰・𖬀𖬲𖬮𖬰 / 𞄫・𞄫𞄰・𞄫𞄴・𞄫𞄳 / 𖽃𖽞𖾐・𖽃𖽞𖾐・𖽃𖽞・𖽃𖽞𖾑 ➡ 𖽃𖽞𖾖・𖽃𖽞・𖽃𖽞𖾘・𖽃𖽞𖾔エンまたはイン[ẽ, eŋ]

  13. O・OBOS・OV【𖬓𖬰𖬭―𖬓𖬰𖬮𖬰・𖬒𖬭―𖬒𖬮𖬰・𖬓𖬲𖬭―𖬓𖬲𖬮𖬰・𖬓𖬭―𖬓𖬮𖬰 ➡ 𖬓𖬰𖬮𖬰・𖬒𖬰𖬮𖬰・𖬓𖬲𖬮𖬰・𖬒𖬶𖬮𖬰 / 𞄨・𞄨𞄰・𞄨𞄴・𞄨𞄳 / 𖽃𖽙𖾐・𖽃𖽙𖾐・𖽃𖽙・𖽃𖽙𖾑 ➡ 𖽃𖽙𖾖・𖽃𖽙・𖽃𖽙𖾘・𖽃𖽙𖾔[ɔ]

  14. OO・OOBOOS・OOV【𖬍𖬰𖬭―𖬍𖬰𖬮𖬰・𖬌𖬭―𖬌𖬮𖬰・𖬍𖬲𖬭―𖬍𖬲𖬮𖬰・𖬍𖬭―𖬍𖬮𖬰 ➡ 𖬍𖬮𖬰・𖬌𖬮𖬰・𖬍𖬲𖬮𖬰・𖬍𖬰𖬮𖬰 / 𞄩・𞄩𞄰・𞄩𞄴・𞄩𞄳 / 𖽃𖽙𖽾𖾐・𖽃𖽙𖽾𖾐・𖽃𖽙𖽾・𖽃𖽙𖾑𖽾𖾑 ➡ 𖽃𖽙𖽾𖾖・𖽃𖽙𖽾・𖽃𖽙𖽾𖾘・𖽃𖽙𖽾𖾔オンまたはウン[ɔ̃, ɔŋ]

カ行音翻字

パハウ・フモン文字の基本字はカ行音[k]を含む音節文字で、フモン語ではガ行音の翻字に用いられます。厳密的に濁点》付きカタカナは中国語普通話のカタカナ翻字のように無声音を示します。
なお、ポラード文字で表記するフマオ語では、第1・3・5・7声調記号では無声音, 第6声調記号で有声音=濁音, 第2・4・8声調記号で有声有気音に変化します。

  1. KA・KABKAS・KAV【𖬗𖬰・𖬖・𖬗𖬲・𖬗 ➡ 𖬗𖬰・𖬖𖬲・𖬗𖬲・𖬗 / 𞄎𞄤・𞄎𞄤𞄰・𞄎𞄤𞄴・𞄎𞄤𞄳 / 𖼞𖽔𖾐・𖼞𖽔𖾐・𖼞𖽔・𖼞𖽔𖾑 ➡ 𖼞𖽔𖾖・𖼞𖽔・𖼞𖽔𖾘・𖼞𖽔𖾔ガ/カ[ka]

  2. KAI・KAIBKAIS・KAIV【𖬋𖬰・𖬊・𖬋𖬲・𖬋 ➡ 𖬋・𖬊𖬰・𖬋𖬰・𖬊𖬲 / 𞄎𞄤𞄦・𞄎𞄤𞄰𞄦・𞄎𞄤𞄴𞄦・𞄎𞄤𞄳𞄦 / 𖼞𖽹𖾐・𖼞𖽹𖾐・𖼞𖽹・𖼞𖽹𖾑 ➡ 𖼞𖽹𖾖・𖼞𖽹・𖼞𖽹𖾘・𖼞𖽹𖾔ガイ/カイまたはガエ/カエ[kai]

  3. KAW・KAWBKAWS・KAWV【𖬏𖬰・𖬎・𖬏𖬲・𖬏 ➡ 𖬏・𖬎・𖬏𖬰・𖬎𖬶 / 𞄎𞄤𞄬・𞄎𞄤𞄰𞄬・𞄎𞄤𞄴𞄬・𞄎𞄤𞄳𞄬 / 𖼞𖽘𖾐・𖼞𖽘𖾐・𖼞𖽘・𖼞𖽘𖾑 ➡𖼞𖽘𖾖・𖼞𖽘・𖼞𖽘𖾘・𖼞𖽘𖾔ガウ/カウ[kaɨ]

  4. KAU・KAUBKAUS・KAUV【𖬅𖬰・𖬄・𖬅𖬲・𖬅 ➡ 𖬅・𖬄𖬰・𖬅𖬰・𖬄𖬲 / 𞄎𞄤𞄧・𞄎𞄤𞄰𞄧・𞄎𞄤𞄴𞄧・𞄎𞄤𞄳𞄧 / 𖼞𖽻𖾐・𖼞𖽻𖾐・𖼞𖽻・𖼞𖽻𖾑 ➡ 𖼞𖽻𖾖・𖼞𖽻・𖼞𖽻𖾘・𖼞𖽻𖾔ガオ/カオまたはガウ/カウ[kau]

  5. KAA・KAABKAAS・KAAV【𖬛𖬰・𖬚・𖬛𖬲・𖬛 ➡ 𖬛𖬰・𖬚𖬲・𖬛𖬲・𖬛 / 𞄎𞄥・𞄎𞄥𞄰・𞄎𞄥𞄴・𞄎𞄥𞄳 / 𖼞𖽗𖾐・𖼞𖽗𖾐・𖼞𖽗・𖼞𖽗𖾑 ➡ 𖼞𖽗𖾖・𖼞𖽗・𖼞𖽗𖾘・𖼞𖽗𖾔ガン/カン[kã~kaŋ] - フモン・ダウ語ではア段鼻母音が本来存在しないため、KA・KAB・KAS・KAV𖬗𖬰・𖬖・𖬗𖬲・𖬗 ➡ 𖬗𖬰・𖬖𖬲・𖬗𖬲・𖬗》[ka ガ]に置き換えられる。

  6. KI・KIBKIS・KIV【𖬃𖬰・𖬂・𖬃𖬲・𖬃 ➡ 𖬃・𖬂𖬲・𖬃𖬰・𖬂𖬶 / 𞄎𞄦・𞄎𞄦𞄰・𞄎𞄦𞄴・𞄎𞄦𞄳 / 𖼞𖽡𖾐・𖼞𖽡𖾐・𖼞𖽡・𖼞𖽡𖾑 ➡ 𖼞𖽡𖾖・𖼞𖽡・𖼞𖽡𖾘・𖼞𖽡𖾔】ギ/キ[ki]

  7. KIA・KIABKIAS・KIAV【𖬕𖬰・𖬔・𖬕𖬲・𖬕 ➡ 𖬕・𖬔・𖬕𖬰・𖬔𖬲 / 𞄎𞄦𞄤・𞄎𞄦𞄰𞄤・𞄎𞄦𞄴𞄤・𞄎𞄦𞄳𞄤 / 𖼞𖽢𖾐・𖼞𖽢𖾐・𖼞𖽢・𖼞𖽢𖾑 ➡ 𖼞𖽢𖾖・𖼞𖽢・𖼞𖽢𖾘・𖼞𖽢𖾔ギア/キア[kia]

  8. KW・KWBKWS・KWV【𖬙𖬰・𖬘・𖬙𖬲・𖬙 ➡ 𖬙𖬰・𖬘𖬰・𖬙𖬲・𖬙 / 𞄎𞄬・𞄎𞄬𞄰・𞄎𞄬𞄴・𞄎𞄬𞄳 / 𖼞𖽜𖾐・𖼞𖽜𖾐・𖼞𖽜・𖼞𖽜𖾑 ➡ 𖼞𖽜𖾖・𖼞𖽜・𖼞𖽜𖾘・𖼞𖽜𖾔グ/ク[kɨ]

  9. KU・KUBKUS・KUV【𖬇𖬰・𖬆・𖬇𖬲・𖬇 ➡ 𖬇・𖬆𖬰・𖬇𖬰・𖬆𖬲 / 𞄎𞄧・𞄎𞄧𞄰・𞄎𞄧𞄴・𞄎𞄧𞄳 / 𖼞𖽪𖾐・𖼞𖽪𖾐・𖼞𖽪・𖼞𖽪𖾑 ➡ 𖼞𖽪𖾖・𖼞𖽪・𖼞𖽪𖾘・𖼞𖽪𖾔グ/ク[ku]

  10. KE・KEBKES・KEV【𖬉𖬰・𖬈・𖬉𖬲・𖬉 ➡ 𖬉𖬰・𖬈𖬰・𖬉𖬲・𖬉 / 𞄎𞄪・𞄎𞄪𞄰・𞄎𞄪𞄴・𞄎𞄪𞄳 / 𖼞𖽝𖾐・𖼞𖽝𖾐・𖼞𖽝・𖼞𖽝𖾑 ➡ 𖼞𖽝𖾖・𖼞𖽝・𖼞𖽝𖾘・𖼞𖽝𖾔ゲ/ケ[ke]

  11. KEE・KEEBKEES・KEEV【𖬁𖬰・𖬀・𖬁𖬲・𖬁 ➡ 𖬁・𖬀𖬶・𖬁𖬰・𖬀𖬲 / 𞄎𞄫・𞄎𞄫𞄰・𞄎𞄫𞄴・𞄎𞄫𞄳 / 𖼞𖽞𖾐・𖼞𖽞𖾐・𖼞𖽞・𖼞𖽞𖾑 ➡ 𖼞𖽞𖾖・𖼞𖽞・𖼞𖽞𖾘・𖼞𖽞𖾔ゲン/ケンまたはギン/キン[kẽ, keŋ]

  12. KO・KOBKOS・KOV【𖬓𖬰・𖬒・𖬓𖬲・𖬓 ➡ 𖬓𖬰・𖬒𖬰・𖬓𖬲・𖬒𖬶 / 𞄎𞄨・𞄎𞄨𞄰・𞄎𞄨𞄴・𞄎𞄨𞄳 / 𖼞𖽙𖾐・𖼞𖽙𖾐・𖼞𖽙・𖼞𖽙𖾑 ➡ 𖼞𖽙𖾖・𖼞𖽙・𖼞𖽙𖾘・𖼞𖽙𖾔ゴ/コ[kɔ]

  13. KOO・KOOBKOOS・KOOV【𖬍𖬰・𖬌・𖬍𖬲・𖬍 ➡ 𖬍・𖬌・𖬍𖬲・𖬍𖬰 / 𞄎𞄩・𞄎𞄩𞄰・𞄎𞄩𞄴・𞄎𞄩𞄳 / 𖼞𖽙𖽾𖾐・𖼞𖽙𖽾𖾐・𖼞𖽙𖽾・𖼞𖽙𖾑𖽾𖾑 ➡ 𖼞𖽙𖽾𖾖・𖼞𖽙𖽾・𖼞𖽙𖽾𖾘・𖼞𖽙𖽾𖾔ゴン/コンまたはグン/クン[kɔ̃, kɔŋ]

子音字

パハウ・フモン文字ではカ行音の音節文字の右側に子音字を配置して音節を示す方式です。

  1. KHAU・KHAUBKHAUS・KHAUV【𖬩𖬰・𖬄𖬩𖬰・𖬅𖬲𖬩𖬰・𖬅𖬩𖬰 ➡ 𖬩𖬰・𖬄𖬰𖬩𖬰・𖬅𖬰𖬩𖬰・𖬄𖬲𖬩𖬰 / 𞄎𞄄‎ / 𖼞𖽑カオまたはカウ[kʰau]

  2. ・XAU・XAUBXAUS・XAUV【𖬮・𖬄𖬮・𖬅𖬲𖬮・𖬅𖬮 ➡ 𖬮・𖬄𖬰𖬮・𖬅𖬰𖬮・𖬄𖬲𖬮 / 𞄆 / 𖼺サオまたはサウ[sau]

  3. SAU・SAUBSAUS・SAUV【𖬤𖬵・𖬄𖬤𖬵・𖬅𖬲𖬤𖬵・𖬅𖬤𖬵 ➡ 𖬤𖬵・𖬄𖬰𖬤𖬵・𖬅𖬰𖬤𖬵・𖬄𖬲𖬤𖬵 / 𞄊 / 𖼳シャオまたはシャウ[ʂau~ʃau]

  4. TXAU・TXAUBTXAUS・TXAUV【𖬯𖬵・𖬄𖬯𖬵・𖬅𖬲𖬯𖬵・𖬅𖬯𖬵 ➡ 𖬯𖬵・𖬄𖬰𖬯𖬵・𖬅𖬰𖬯𖬵・𖬄𖬲𖬯𖬵 / 𞄔 / 𖼷ザオ/ツァオまたはザウ/ツァウ[ʦau]

  5. TAU・TAUBTAUS・TAUV【𖬧𖬵・𖬄𖬧𖬵・𖬅𖬲𖬧𖬵・𖬅𖬧𖬵 ➡ 𖬧𖬵・𖬄𖬰𖬧𖬵・𖬅𖬰𖬧𖬵・𖬄𖬲𖬧𖬵 / 𞄃 / 𖼊 ダオ/タオまたはダウ/タウ[tau] - インド諸言語で英語《T》由来の借用語に用いられるそり舌音T[ʈ ド/ト]を示すRAU𖬡・𖬄𖬡・𖬅𖬲𖬡・𖬅𖬡 ➡ 𖬡・𖬄𖬰𖬡・𖬅𖬰𖬡・𖬄𖬲𖬡 / 𞄖‎‎‎ / 𖼎》[ʈau ダオ/タオ]はフモン語では英語由来の借用語に用いられない。

  6. ・THAU・THAUBTHAUS・THAUS【𖬟𖬰・𖬄𖬟𖬰・𖬅𖬲𖬟𖬰・𖬅𖬟𖬰 ➡ 𖬟𖬰・𖬄𖬰𖬟𖬰・𖬅𖬰𖬟𖬰・𖬄𖬲𖬟𖬰 / 𞄃𞄄‎‎ / 𖼊𖽑タオまたはタウ[tʰau] - そり舌音はRHAU𖬢𖬵・𖬄𖬢𖬵・𖬅𖬲𖬢𖬵・𖬅𖬢𖬵 ➡ 𖬢𖬵・𖬄𖬰𖬢𖬵・𖬅𖬰𖬢𖬵・𖬄𖬲𖬢𖬵 / 𞄖𞄄‎‎‎ / 𖼎𖽑》[ʈʰau タオ]。

  7. ・DAU・DAUBDAUS・DAUV【𖬞𖬰・𖬄𖬞𖬰・𖬅𖬲𖬞𖬰・𖬅𖬞𖬰 ➡ 𖬞𖬰・𖬄𖬰𖬞𖬰・𖬅𖬰𖬞𖬰・𖬄𖬲𖬞𖬰 / 𞄏‎ / 𖼊ダオまたはダウ[ʔdau] - フモン・ダウ語のみ使用。なお、フマオ語でタ行音[t]は第6声調記号でダ行音[d], 第2・4・8声調記号でダ行有気音を表す。

  8. CHAU・CHAUBCHAUS・CHAUV【𖬧・𖬄𖬧・𖬅𖬲𖬧・𖬅𖬧 ➡ 𖬧・𖬄𖬰𖬧・𖬅𖬰𖬧・𖬄𖬲𖬧 / 𞄈𞄄‎‎‎ / 𖼮𖽑チャオ/キャオまたはチャウ/キャウ[cʰau]

  9. TSHAU・TSHAUBTSHAUS・TSHAUV【𖬪𖬰・𖬄𖬪𖬰・𖬅𖬲𖬪𖬰・𖬅𖬪𖬰 ➡ 𖬪𖬰・𖬄𖬰𖬪𖬰・𖬅𖬰𖬪𖬰・𖬄𖬲𖬪𖬰 / 𞄁𞄄‎‎‎ / 𖼮𖽑チャオまたはチャウ[ʈʂʰau~ʧʰau]

  10. CAU・CAUBCAUS・CAUV【𖬯・𖬄𖬯・𖬅𖬲𖬯・𖬅𖬯 ➡ 𖬯・𖬄𖬰𖬯・𖬅𖬰𖬯・𖬄𖬲𖬯 / 𞄈‎ / 𖼮ヂャオ/チャオ/ギャオ/キャオまたはヂャウ/チャウ/ギャウ/キャウ[cau] - 本来はハンガリー語《TY》, アルバニア語《Q》の音。

  11. TSAU・TSAUBTSAUS・TSAUV【𖬝𖬰・𖬄𖬝𖬰・𖬅𖬲𖬝𖬰・𖬅𖬝𖬰 ➡ 𖬝𖬰・𖬄𖬰𖬝𖬰・𖬅𖬰𖬝𖬰・𖬄𖬲𖬝𖬰 / 𞄁‎ / 𖼮ヂャオ/チャオまたはヂャウ/チャウ[ʈʂau~ʧau]

  12. TXHAU・TXHAUBTXHAUS・TXHAUV【𖬦𖬰・𖬄𖬦𖬰・𖬅𖬲𖬦𖬰・𖬅𖬦𖬰 ➡ 𖬅𖬦𖬰・𖬄𖬰𖬦𖬰・𖬅𖬰𖬦𖬰・𖬄𖬲𖬦𖬰 / 𞄔𞄄 / 𖼷𖽑ツァオまたはツァウ[ʦʰau]

  13. NAU・NAUBNAUS・NAUV【𖬬・𖬄𖬬・𖬅𖬲𖬬・𖬅𖬬 ➡ 𖬅𖬬・𖬄𖬰𖬬・𖬅𖬰𖬬・𖬄𖬲𖬬 / 𞄅 / 𖼐ナオまたはナウ[nau]

  14. NYAU・NYAUBNYAUS・NYAUV【𖬮𖬵・𖬄𖬮𖬵・𖬅𖬲𖬮𖬵・𖬅𖬮𖬵 ➡ 𖬮𖬵・𖬄𖬰𖬮𖬵・𖬅𖬰𖬮𖬵・𖬄𖬲𖬮𖬵 / 𞄐 / 𖽐𖼽ニャオまたはニャウ[ɲau]

  15. HAU・HAUBHAUS・HAUV【𖬟・𖬄𖬟・𖬅𖬲𖬟・𖬅𖬟 ➡ 𖬟・𖬄𖬰𖬟・𖬅𖬰𖬟・𖬄𖬲𖬟 / 𞄄 / 𖼦ハオまたはハウ[hau] - ポラード文字では中国語普通話のハ行音[x]を示すHHA𖼦𖽑》が存在するが、フモン語諸文字には対応字母が存在しない。

  16. XYAU・XYAUBXYAUS・XYAUV【𖬧𖬰・𖬄𖬧𖬰・𖬅𖬲𖬧𖬰・𖬅𖬧𖬰 ➡ 𖬧𖬰・𖬄𖬰𖬧𖬰・𖬅𖬰𖬧𖬰・𖬄𖬲𖬧𖬰 / 𞄛‎ / 𖼳ヒャオ/シャオまたはヒャウ/シャウ[çau/ɕau] - フマオ語ではシャ行音[ɕ]で発音される。

  17. FAU・FAUBFAUS・FAUV【𖬜𖬵・𖬄𖬜𖬵・𖬅𖬲𖬜𖬵・𖬅𖬜𖬵 ➡ 𖬜𖬵・𖬄𖬰𖬜𖬵・𖬅𖬰𖬜𖬵・𖬄𖬲𖬜𖬵 / 𞄕‎ / 𖼇ファオまたはファウ[fau]

  18. PAU・PAUBPAUS・PAUS【𖬪𖬵・𖬄𖬪𖬵・𖬅𖬲𖬪𖬵・𖬅𖬪𖬵 ➡ 𖬪𖬵・𖬄𖬰𖬪𖬵・𖬅𖬰𖬪𖬵・𖬄𖬲𖬪𖬵 / 𞄚‎‎ / 𖼀バオ/パオまたはバウ/パウ[pau]

  19. ・PHAU・PHAUBPHAUS・PHAUS【𖬝𖬵・𖬄𖬝𖬵・𖬅𖬲𖬝𖬵・𖬅𖬝𖬵 ➡ 𖬝𖬵・𖬄𖬰𖬝𖬵・𖬅𖬰𖬝𖬵・𖬄𖬲𖬝𖬵 / 𞄚𞄄‎‎ / 𖼀𖽑パオまたはパウ[pʰau]

  20. ・MAU・MAUBMAUS・MAUV【𖬦・𖬄𖬦・𖬅𖬲𖬦・𖬅𖬦 ➡ 𖬦・𖬄𖬰𖬦・𖬅𖬰𖬦・𖬄𖬲𖬦 / 𞄀‎ / 𖼄マオまたはマウ[mau]

  21. YAU・YAUBYAUS・YAUV【𖬤・𖬄𖬤・𖬅𖬲𖬤・𖬅𖬤 ➡ 𖬤・𖬄𖬰𖬤・𖬅𖬰𖬤・𖬄𖬲𖬤 / 𞄘‎ / 𖼽ヤオまたはヤウ[ʝau/ʑau] - フマオ語では語中のジャ行音[ʑ]で発音される。

  22. LAU・LAUBLAUS・LAUV【𖬞・𖬄𖬞・𖬅𖬲𖬞・𖬅𖬞 ➡ 𖬞・𖬄𖬰𖬞・𖬅𖬰𖬞・𖬄𖬲𖬞 / 𞄉‎‎ / 𖼖ラオまたはラウ[lau]

  23. VAU・VAUBVAUS・VAUV【𖬜・𖬄𖬜・𖬅𖬲𖬜・𖬅𖬜 ➡ 𖬜・𖬄𖬰𖬜・𖬅𖬰𖬜・𖬄𖬲𖬜 / 𞄒‎‎‎ / 𖽂, 𖼈ワオ/ヴァオまたはワウ/ヴァウ[vau] - ポラード文字では《𖽂》がワ行音[w]で《𖼈》がヴァ行音[v]。

ンを含む子音字

ニヤケン・プアチュエ・フモン文字では、日本語の[ɴ]の音を示す字母ではGA𞄢‎》がありますが、フモン・ダウ語では存在しない発音のため、対応する字母が存在しないことから鼻母音字で示します。
外来語表記では有声音に由来する発音を示しますが、フモン語ではダ行音専用の字母が存在するため、ダ行の場合は撥音の後で用います。

  1. NKHAU・NKHAUBNKHAUS・NKHAUV【𖬫𖬵・𖬄𖬫𖬵・𖬅𖬲𖬫𖬵・𖬅𖬫𖬵 ➡ 𖬫𖬵・𖬄𖬰𖬫𖬵・𖬅𖬰𖬫𖬵・𖬄𖬲𖬫𖬵 / 𞄇𞄄‎‎ / 𖽐𖼞𖽑ンカオまたはンカウ[ŋkʰau]

  2. NKAU・NKAUBNKAUS・NKAUV【𖬫𖬵・𖬄𖬫𖬵・𖬅𖬲𖬫𖬵・𖬅𖬫𖬵 ➡ 𖬫𖬵・𖬄𖬰𖬫𖬵・𖬅𖬰𖬫𖬵・𖬄𖬲𖬫𖬵 / 𞄇‎‎ / 𖽐𖼞ンガオまたはンガウ[ŋɡau] - 外来語表記ではガオまたはガウ

  3. NTXAU・NTXAUBNTXAUS・TXAUV【𖬢𖬰・𖬄𖬢𖬰・𖬅𖬲𖬢𖬰・𖬅𖬢𖬰 ➡ 𖬢𖬰・𖬄𖬰𖬢𖬰・𖬅𖬰𖬢𖬰・𖬄𖬲𖬢𖬰 / 𞄓‎ / 𖽐𖼷ンザオたはンザウ[nʣau] - 外来語表記ではザオまたはザウ

  4. NTHAU・NTHAUBNTHAUS・NTHAUV【𖬫・𖬄𖬫・𖬅𖬲𖬫・𖬅𖬫 ➡ 𖬫・𖬄𖬰𖬫・𖬅𖬰𖬫・𖬄𖬲𖬫 / 𞄂𞄄‎ / 𖽐𖼊𖽑ンタオたはンタウ[ntʰau] - そり舌音はNRHAU𖬨𖬰・𖬄𖬨𖬰・𖬅𖬲𖬨𖬰・𖬅𖬨𖬰 ➡ 𖬨𖬰・𖬄𖬰𖬨𖬰・𖬅𖬰𖬨𖬰・𖬄𖬲𖬨𖬰 / 𞄑𞄄‎‎‎ / 𖽐𖼎𖽑》[ɳʈʰau ンタオ]。

  5. NTAU・NTAUBNTAUS・NTAUV【𖬩𖬵・𖬄𖬩𖬵・𖬅𖬲𖬩𖬵・𖬅𖬩𖬵 ➡ 𖬩𖬵・𖬄𖬰𖬩𖬵・𖬅𖬰𖬩𖬵・𖬄𖬲𖬩𖬵 / 𞄂 / 𖽐𖼊ンダオたはンダウ[ndau] - そり舌音はNRAU𖬜𖬰・𖬄𖬜𖬰・𖬅𖬲𖬜𖬰・𖬅𖬜𖬰 ➡ 𖬜𖬰・𖬄𖬰𖬜𖬰・𖬅𖬰𖬜𖬰・𖬄𖬲𖬜𖬰 / 𞄑‎‎ / 𖽐𖼎》[ɳɖau ンダオ]。

  6. NTSHAU・NTSHAUBNTSHAUS・NTSHAUV【𖬯𖬰・𖬄𖬯𖬰・𖬅𖬲𖬯𖬰・𖬅𖬯𖬰 ➡ 𖬯𖬰・𖬄𖬰𖬯𖬰・𖬅𖬰𖬯𖬰・𖬄𖬲𖬯𖬰 / 𞄍𞄄‎‎‎ / 𖽐𖼮𖽑ンチャオまたはンチャウ[ɳʈʂʰau~ɲʧʰau]

  7. NCHAU・NCHAUBNCHAUS・NCHAUV【𖬨・𖬄𖬨・𖬅𖬲𖬨・𖬅𖬨 ➡ 𖬨・𖬄𖬰𖬨・𖬅𖬰𖬨・𖬄𖬲𖬨 / 𞄌𞄄‎‎‎ / 𖽐𖼮𖽑ンチャオ/ンキャオまたはンチャウ/ンキャウ[ɲcʰau]

  8. NTSAU・NTSAUBNTSAUS・NTSAUV【𖬝・𖬄𖬝・𖬅𖬲𖬝・𖬅𖬝 ➡ 𖬝・𖬄𖬰𖬝・𖬅𖬰𖬝・𖬄𖬲𖬝 / 𞄍‎‎‎ / 𖽐𖼮ンヂャオ/ンジャオまたはンヂャウ/ンジャウ[ɳɖʐau~ɲʤau] - 外来語表記ではジャオあたはジャウ

  9. NCAU・NCAUBNCAUS・NCAUV【𖬤𖬰・𖬄𖬤𖬰・𖬅𖬲𖬤𖬰・𖬅𖬤𖬰 ➡ 𖬤𖬰・𖬄𖬰𖬤𖬰・𖬅𖬰𖬤𖬰・𖬄𖬲𖬤𖬰 / 𞄌‎‎‎ / 𖽐𖼮ンヂャオ/ンギャオまたはンヂャウ/ンギャウ[ɲɟau]

  10. NTXHAU・NTXHAUBNTXHAUS・NTXHAUV【𖬥𖬵・𖬄𖬥𖬵・𖬅𖬲𖬥𖬵・𖬅𖬥𖬵 ➡ 𖬥𖬵・𖬄𖬰𖬥𖬵・𖬅𖬰𖬥𖬵・𖬄𖬲𖬥𖬵 / 𞄓𞄄‎ / 𖽐𖼷𖽑】ンツァオたはンツァウ[nʦʰau]

  11. NPAU・NPAUBNPAUS・NPAUV【𖬨𖬵・𖬄𖬨𖬵・𖬅𖬲𖬨𖬵・𖬅𖬨𖬵 ➡ 𖬨𖬵・𖬄𖬰𖬨𖬵・𖬅𖬰𖬨𖬵・𖬄𖬲𖬨𖬵 / 𞄜‎‎ / 𖽐𖼀ンバオたはンバウ[mbau] - 外来語表記ではバオまたはバウ。外来語における[b]音を表す字母として用いられる (例:〈𖬗𖬰𖬨𖬵 𖬁𖬨𖬵 / 𞄜𞄤𞄜𞄫 / Npanpee〉[ンバ⑥ンベン⑥]「バベル」)。

  12. NPHAU・NPHAUBNPHAUS・NPHAUV【𖬡𖬰・𖬄𖬡𖬰・𖬅𖬲𖬡𖬰・𖬅𖬡𖬰 ➡ 𖬡𖬰・𖬄𖬰𖬡𖬰・𖬅𖬰𖬡𖬰・𖬄𖬲𖬡𖬰 / 𞄜𞄄‎‎ / 𖽐𖼀𖽑ンパオたはンパウ[mpʰau]

声調のヒント

フモン語では声調を持つ言語からの借用語では声調表記のルールがあり、中国語・タイ語・ベトナム語など声調言語からの借用語は各言語における表記のルールに従う傾向があるようです。

中国語からの借用語の場合の声調パターン

中国のフモン語では共通ラテン文字であるRPA式と異なり、
高平◌B / ➀◌𖽻
低声門化◌M➡◌F / ➇◌𖽻𖾙
低昇◌D➡◌K / ➃◌𖽻𖾕
高降◌J➡◌X / ➁◌𖽻𖾓
中昇◌V➡◌D / ➂◌𖽻𖾔
中平母音字のみ➡◌T / ➄◌𖽻𖾖
低平◌S➡◌L / ➆◌𖽻𖾘
下降気息◌G➡◌S / ➅◌𖽻𖾗
―と表記されます(ポラード文字母音記号AUの前の丸囲み数字は、ユニコードにおける声調記号分類)。

➀中国語陰平GĀO》……➊高平【KAUB / 𖬄➡𖬄𖬰 / 𞄎𞄤𞄰𞄧 / 𖼞𖽻】/káu/。
➁中国語陽平GÁO》……➍高降【KAUJ⬅KAUX / 𖬄𖬲➡𖬄𖬶 / 𞄎𞄤𞄲𞄧 / 𖼞𖽻𖾓】/kâu/。
➂中国語上声NǍO》……➊高平【NAUB / 𖬄𖬬➡𖬄𖬰𖬬 / 𞄅𞄤𞄰𞄧 / 𖼐𖽻】/náu/ - 鼻音・流音・有声摩擦音の場合。
➂中国語上声GǍO》……➎中昇【KAUV⬅KAUD / 𖬅➡𖬄𖬲 / 𞄎𞄤𞄳𞄧 / 𖼞𖽻𖾖】/kǎu/ - 破裂音・破擦音・無声摩擦音の場合。
➃中国語去声GÀO》……➋低声門化【KAUM⬅KAUF / 𖬄𖬰➡𖬄 / 𞄎𞄤𞄱𞄧 / 𖼞𖽻𖾙】/ka̰u/。

タイ語からの借用語の場合の声調パターン

➀タイ語平声เกา》/kau/……➐低平【KAUS / 𖬅𖬲➡𖬅𖬰 / 𞄎𞄤𞄴𞄧 / 𖼞𖽻𖾘】/kàu/。
➁タイ語第1声調:低声เก่า》/kàu/……➋低声門化【KAUM / 𖬄𖬰➡𖬄 / 𞄎𞄤𞄱𞄧 / 𖼞𖽻𖾙】/ka̰u/。
➂タイ語第2声調:下声เก้า》/kâu/……➍高降【KAUJ / 𖬄𖬲➡𖬄𖬶 / 𞄎𞄤𞄲𞄧 / 𖼞𖽻𖾓】/kâu/。
➃タイ語第3声調:高声เก๊า》/káu/……➊高平【KAUB / 𖬄➡𖬄𖬰 / 𞄎𞄤𞄰𞄧 / 𖼞𖽻】/káu/。
➄タイ語第4声調:上声เก๋า》/kǎu/……➌低昇【KAUD / 𖬄𖬱➡𖬄 / 𞄎𞄤𞄶𞄧 / 𖼞𖽻𖾕】/ka̰u/ - 現行パハウ・フモン文字での表記は第2声調のもので代用され、ベトナム料理の“フォー”のタイ語表記〈เฝอ〉/fə̌ə/[フー⑤]に対応する表記は〈Faud➡Fawm / 𖬄𖬜𖬵 / 𞄕𞄤𞄶𞄬𞄸➡𞄕𞄤𞄱𞄬𞄸 / 𖼇𖽘𖾕➡𖼇𖽘𖾙〉/fa̰w/[ファウ②]となる。

英語など西洋の言語からの借用語における声調表記

英語など西洋の言語からの借用語では、ラテンの意の〈Las Tees / 𖬗𖬲𖬞 𖬁𖬰𖬧𖬵 / 𞄉𞄤𞄴𞄃𞄫𞄴〉[ラ⑦テン⑦]のように低平調となり、英語の意の〈Aas Kiv➡As Kiv / 𖬛𖬲𖬮𖬰 𖬂𖬶➡𖬗𖬲𖬮𖬰 𖬂𖬶 / 𞄥𞄴𞄎𞄦𞄳➡𞄤𞄴𞄎𞄦𞄳〉[アン⑦キ⑤➡ア⑦キ⑤]のように元の言語の綴りで鼻子音以外の末子音由来の音節の場合は中昇調となる傾向があるのですが、例外的な発音も目立っています。
フモン語ラテン文字では英語そのままの綴りで固有名詞・外来語を示すことが多いため、正しい声調がわからないとフモン系文字に翻字ができない状況です。

日本語のアクセントに対応すると推測される声調

日本語の高低アクセントに対応すると推測される声調長期は……
⚫高平調55B》[˥]〈㋕KAB[𖬖𖬲・𞄎𞄤𞄰・𖼞𖽔𖾐]㋖KIB[𖬂𖬲・𞄎𞄦𞄰・𖼞𖽡𖾐]㋗KUB[𖬆𖬰・𞄎𞄧𞄰・𖼞𖽪𖾐]㋘KEB[𖬈𖬰・𞄎𞄪𞄰・𖼞𖽝𖾐]㋙KOB[𖬒𖬰・𞄎𞄨𞄰・𖼞𖽙𖾐]〉
⚪低平調22または11S》[˨~˩]〈㋕KAS[𖬗𖬲・𞄎𞄤𞄴・𖼞𖽔]㋖KIS[𖬃𖬰・𞄎𞄦𞄴・𖼞𖽡]㋗KUS[𖬇𖬰・𞄎𞄧𞄴・𖼞𖽪]㋘KES[𖬉𖬲・𞄎𞄪𞄴・𖼞𖽝]㋙KOS[𖬓𖬲・𞄎𞄨𞄴・𖼞𖽙]〉
――という風に日本語のアクセントに近いトーンを表します。

限定符

ニヤケン・プアチュエ・フモン文字では、同音異義語の区別のために“限定符”が使用され、エジプト文字のように単語の意味のカテゴリを示します。

◌𞄷オン OOV - 人名を示す限定符。例:〈𞄃𞄤𞄴𞄉𞄨𞄰𞄷 / Tas Lob / 𖬗𖬲𖬧𖬵 𖬒𖬰𖬞 / 𖼊𖽔𖾘-𖼞𖽙〉「太郎 /tarō/」。
◌𞄸ペ PES - モノを示す限定符。例:〈𞄨𞄴𞄂𞄫𞄴𞄸 / Os dees / 𖬓𖬲𖬮𖬰 𖬁𖬰𖬞𖬰 / 𖽃𖽙𖾘 𖼊𖽞𖾂〉「おでん /oden/《🍢》」。
◌𞄹カーテーン KHAB THEEB - 地名を示す限定符。例:〈𞄆𞄤𞄳𞄚𞄨𞄰𞄉𞄨𞄴𞄹 / Xav Pob Los / 𖬖𖬲𖬮 𖬒𖬰𖬪𖬵 𖬓𖬲𖬞 / 𖼺𖽔𖾔-𖼀𖽙-𖼖𖽙𖾗〉「札幌 /sapporo/」。
◌𞄺クアルア KHUAM LUAS - 生物を示す限定符。