日本語キリル文字と各言語での相違点

5/24はキリル文字の日、6/6はロシア語の日です。ブルガリアでは5/24は聖キリルと聖メトディウスの日或いはキリル文字と教育文化の日という祝日になっています。

キリル文字による日本語表記はポリヴァノフ式が定着しています。
しかし、他のキリル文字を使用する言語ではロシア語のポリヴァノフ式と大幅に異なる日本語翻字が使用されます。

ここでは、ロシア語をベースにした日本語キリル文字表記と他の言語による表記と大幅に異なるものを取り上げます。

ロシア式日本語キリル文字

長音表記は〈ИИ・ии〉[イー]を除いて原則的に使用されないのですが、ロシア語版ウィキペディアによる方式では国際音声記号の長音記号《ː》に由来するコロン:》を使用しています。稀にヘボン式ローマ字に合わせてマクロンˉ》を使用する場合がありますが、ユニコードでは《Ӣ・ӣ》[イー]と《Ӯ・ӯ》[ウー]以外はマクロンを合成する形式となっていて、1942年に刊行された橘書房・刊『露語神髄』にこの方式が見られます。
字母名の隣は日本語音です。

А・а】アー[a ア]
Б・б】ベー[b ブ/bʲ ビ] : БА[バ], БИ[ビ], БУ[ブ], БЭ[ベ], БО[ボ]; БЯ[ビャ], БЮ[ビュ], БЁ[ビョ]。
В・в】ヴェー[ɰ~w ゥ/β ヴ] : ВА[ワ/ヴァ], ВИ[ヰ=ウィ/ヴィ], ВУ[ウゥ/ヴ], ВЭ[ヱ=ウェ/ヴェ], ВО[ヲ=ウォ/ヴォ]; ВЯ[ヴィヤ], ВЮ[ヴュ], ВЁ[ヴィヨ]。
Г・г】ゲー[ɡ グ/ɡʲ ギ] : ГА[ガ], ГИ[ギ], ГУ[グ], ГЭ[ゲ], ГО[ゴ]; ГЯ[ギャ], ГЮ[ギュ], ГЁ[ギョ]。
Д・д】デー[d ド/dʲ ディ] : ДА[ダ], ДИ[ディ], ДУ[ドゥ], ДЭ[デ], ДО[ド]; ДЯ[ディヤ], ДЮ[デュ], ДЁ[ディヨ]。
ДЗ・дз〗[ʣ ヅ/-z- ズ/ʥ ヂ/-ʑ- ジ] : ДЗА[ザ], ДЗИ[ジ/ヂ], ДЗУ[ズ/ヅ], ДЗЭ[ゼ], ДЗО[ゾ]; ДЗЯ[ジャ/ヂャ], ДЗЮ[ジュ/ヂュ], ДЗЕ[ジェ/ヂェ], ДЗЁ[ジョ/ヂョ]; ДДЗА[ッザ]; ДДЗЯ[ッジャ]。
Е・е】イェー[je イェ/ʲe ェ] - ロシア語音では力点付きの場合は《Е́・е́》[ˈje~ˈjɛ イェー], 力点無しの場合は《Е・е》[jɪ イィ/-je イエ], 外来語の場合は[e~ɛ エ]。パスポート式ではヨーЁ・ё》[jo ヨ]の代用として用いられる。19世紀までエ段[e エ]を示す字母とされていたが、キリル文字表記のチュルク諸語ではイェーがエ段の字母として使用されることがある。
Ё・ё】ヨー[jo ヨ/ʲo ョ] - 伝統的な固有名詞では〈ЙО-・йо- / -ИО・-ио〉で表記される。パスポート式ではロシア語では辞書・教科書・重要文書以外で省略されることに合わせて《Е・е》で表記される。
З・з】ゼー[-z- ズ/-ʑ- ジ] - 連字〈ДЗ・дз〉の構成要素としてのみ用いられるが、固有名詞では例外が見られる。
И・и】イー[i イ/ʲi ィ] : ИИ[イイ], ИУ[イウ], ИЭ[イエ], ИО[イオ/ョウ]; УИ[ウイ]。
И・и】イー・クラートコエ[j ィ/-i イ/-i̥ イ] : ЙО[ヨ]; АЙ[アイ], ИЙ[イイ], УЙ[ウイ], ЭЙ[エイ], ОЙ[オイ]; СЙ[シ] - 主に二重母音表記に用いるが、伝統的な固有名詞におけるヤ行音も表す。稀に無声化したイ段音を示す。
К・к】カー[k ク/kʲ キ] : КА[カ], КИ[キ], КУ[ク], КЭ[ケ], КО[コ]; КЯ[キャ], КЮ[キュ], КЁ[キョ]。
М・м】エム[m ム/mʲ ミ] : МА[マ], МИ[ミ], МУ[ム], МЭ[メ], МО[モ]; МЯ[ミャ], МЮ[ミュ], МЁ[ミョ]; МП[-mp- ンプ], МБ[-mb- ンブ], ММ[-mm- ンム]。
Н・н】エヌ[n ヌ/ɲ ニ/-ɴ ン] : НА[ナ], НИ[ニ], НУ[ヌ], НЭ[ネ], НО[ノ]; НЯ[ニャ], НЮ[ニュ], НЕ[ニェ], НЁ[ニョ]; НК[-ŋk- ンク], НГ[-ŋɡ- ング], НТЯ[-ɲʨa ンチャ], НДЗЯ[-ɲʥa ンジャ], ННЯ[-ɲɲa ンニャ], ННА[-nna ンナ]。
НЪ・нъ〗[-ɴ.ⓥ- ン㋒/-ɴ.j- ンイ] : НЪА[-ɴ.a- ンア], НЪИ[-ɴ.i- ンイ], НЪУ[-ɴ.ɯ- ンウ], НЪЭ[-ɴ.e- ンエ], НЪО[-ɴ.o- ンオ]; НЪЯ[-ɴ.ja- ンヤ], НЪЮ[-ɴ.jɯ- ンユ], НЪЕ[-ɴ.je- ンイェ], НЪЁ[-ɴ.jo- ンヨ] - 訓令式におけるアポストロフʼ》の役割で、撥音のンと母音又はヤ行を分割する。
О・о】オー[o オ] - ロシア語音では力点付きの場合は《О́・о́》[ˈo オー], 力点無しの場合は《О・о》[ɐ ア/-ə ア], 力点無しの外来音は[o~ɔ オ]と著しく発音が異なるが、力点《ˊ》は辞書・教科書以外では表記しないのがルール。 助詞の《~》はこの字で表記される。
П・п】ペー[p プ/pʲ ピ] : ПА[パ], ПИ[ピ], ПУ[プ], ПЭ[ペ], ПО[ポ]; ПЯ[ピャ], ПЮ[ピュ], ПЁ[ピョ]。
Р・р】エル[ɺ-~-ɾ- ル/ɺʲ-~-ɾʲ- リ] : РА[ラ], РИ[リ], РУ[ル], РЭ[レ], РО[ロ]; РЯ[リャ], РЮ[リュ], РЕ[リェ], РЁ[リョ]。
С・с】エス[s ス/ɕ シ] : СА[サ], СИ[シ], СУ[ス], СЭ[セ], СО[ソ]; СЯ[シャ], СЮ[シュ], СЕ[シェ], СЁ[ショ] - 例外的に人名接尾語の〈-СКЭ〉[スケ]のように母音字が省略される場合がある。
Т・т】テー[t ト/ʨ チ/tʲ ティ] : ТА[タ], ТИ[チ/ティ], ТУ[トゥ], ТЭ[テ], ТО[ト]; ТЯ[チャ/ティヤ], ТЮ[チュ/テュ], ТЕ[チェ/ティエ], ТЁ[チョ/ティヨ] - 表記上では/chi/[ʨi]とティ/ti/[tʲi]は区別されない。
У・у】ウー[ɯ ウ] : УИ[ウイ], УО[ウオ] - 関西弁など西日本の方言ではロシア語と同じ[u]音となる。
Ф・ф】エフ[ɸ フ/ɸʲ フィ] : ФА[ファ], ФИ[フィ], ФУ[フ], ФЭ[フェ], ФО[フォ]; ФЯ[フィヤ], ФЮ[フュ], ФЁ[フョ]。
Х・х】ハー[h ハ/ç ヒ] : ХА[ハ], ХИ[ヒ], ХЭ[ヘ], ХО[ホ]; ХЯ[ヒャ], ХЮ[ヒュ], ХЁ[ヒョ]。まれに〈ХУ〉[フ]も見られる。
Ц・ц】ツェー[ʦ ツ/ʦʲ ツィ] : ЦА[ツァ], ЦИ[ツィ], ЦУ[ツ], ЦЭ[ツェ], ЦО[ツォ]; ЦЯ[ツィヤ], ЦЮ[ツュ], ЦЁ[ツィヨ] - 促音は〈ТЦУ〉[ッツ]とテー《Т》を付加する。
Ъ・ъ】トビョールドゥイ・ズナーク, 硬音符[ʔ ッ] : АЪ[アッ], ИЪ[イッ], УЪ[ウッ], ЭЪ[エッ], ОЪ[オッ], НЪ[ン] - 主に分割記号として用いる。1917年の文字改革後に廃字となり、一時期アポストロフʼ》が使用されていたが復活した。
Э・э】エー[e エ] - 助詞の《~》はこの字で表記される。19世紀までイェー《Е・е》で示されていた名残で、固有名詞ではイェーに置き換えられる場合がある。
Ю・ю】ユー[jɯ ユ/ʲɯ ュ]
Я・я】ヤー[ja ヤ/ʲa ャ] - ロシア語音では力点付きの場合は《Я́・я́》[ˈja ヤー], 力点無しの場合は《Я・я》[jɪ イィ/-jə ヤ]。
Ў・ў】ウー・クラートコエ[ɯ̈ ウ] : СЎ[ス], ДЗЎ[ズ], ЦЎ[ツ] - 東北弁などのイとウの中間音又は無声化した母音を示すために稀に用いられる。

英語経由での日本語借用語表記の場合、例外的にチャ行音・シャ行音本来の子音字が使われます。

Ч・ч】チェー[ʨ チ] : ЧА[チャ], ЧИ[チ], ЧУ[チュ], ЧЭ[チェ], ЧО[チョ] - 促音は〈ТЧИ〉[ッチ]とテー《Т》を付加する。
Ш・ш】シャー[ɕ シ] : ША[シャ], ШИ[シ], ШУ[シュ], ШЭ[シェ], ШО[ショ]。

ウクライナ語式キリル文字

ガ行は原則的にゲーҐ・ґ》を使用しますが、20世紀中頃に廃字となっていた名残りから本来はハ行音のヘーГ・г》でガ行音を示すケースがあります。ハ行音はロシア語と共通のハー《Х・х》で表記されます。
シャ行・ジャ行・チャ行は拗音に軟母音字を使用します。
二重母音は、母音に切れ目があることを示す場合は、ア段・イ段・エ段の場合はイィー《Ї・ї》[-.i-]を用います。
ウクライナ語には硬音符は存在しないため、訓令式ローマ字同様、アポストロフʼ》を用います。

АЙ・ай ; АЇ・аї〗アイ/【І・і】イ/〖ІЇ・ії〗イー/〖ІЄ・іє〗イエ/
УІ・уі〗ウイ/【Ӯ・ӯ】ウー/【Е・е】エ/〖ЕЙ・ей〗エー/
ЕЇ・еї〗エイ/〖ОІ・оі〗オイ/【О̄・о̄】オー.
Ґ・ґ】ガ行/【Ш・ш】シャ行/〖ДЖ・дж〗ジャ行・ヂャ行/
Ч・ч】チャ行/〖ЧЧ・чч〗ッチ/〖ЦЦ・цц〗ッツ/〖ТІ・Ті〗ティ/
ДІ・ді〗ディ/【Ї・ї】イィ/【Ю̄・ю̄】ユー/【Є・є】イェ・ェ/
ЄЙ・єй】イェー・ェー/〖ЙО・йо〗ヨ/〖ЬО・ьо〗ョ/
НʼА・нʼа〗ンア/〖НʼІ・нʼі〗ンイ/〖НʼЄ・нʼє〗ンエ/
НʼЯ・нʼя〗ンヤ/〖НЙО・нйо〗ンヨ/〖НҐ・нґ〗ング.

ルシン式日本語キリル文字

ルシン語キリル文字はウクライナ語キリル文字が基盤となっているのですが、方言によってはウクライナ語に存在しないヨー《Ё・ё》や硬音符《Ъ・ъ》が使用され、拗音表記は英語経由の借用語を除き、ロシア語準拠となっています。
ガ行音はウクライナ語ゲーҐ・ґ》、ハ行音はヘーГ・г》で示すのがルールです。

АЙ・ай ; АЇ・аї〗アイ/【І・і】イ/【И・и】(パンノニア語の)イ/
ІЇ・ії〗イー/〖ИЇ・иї〗(パンノニア語の)イー/【Е・е】エ.
Ґ・ґ】ガ行/〖ҐЁ・ґё〗ギョ/【Ш・ш】シャ行/〖ШЮ・шю〗シュ/
СЁ・сё〗ショ/〖ДЖ・дж〗ジャ行・ヂャ行/【Ч・ч】チャ行/
Г・г】ハ行/〖ГЁ・гё〗ヒョ/【Є・є】イェ・ェ/【Ё・ё】ヨ・ョ/
ЙО・йо〗(パンノニア方言の)ヨ/〖ЬО・ьо〗(パンノニア方言の)ョ/
НЪІ・нъі〗ンイ/〖НʼИ・нʼи〗(パンノニア方言の)ンイ/
НЪЄ・нъє〗ンエ/〖НЪЁ・нъё ; НЙО・нйо〗ンヨ/
НҐ・нґ〗ング/〖НГ・нг〗ンハ/〖ГГ・гг〗ッハ/.

ベラルーシ式日本語キリル文字

ベラルーシ語キリル文字では現行正書法タラシケヴィッツァ式の2種類の表記法があり、ウィキペディアも2つの表記法によるバージョンがあります。
ガ行はロシア語同様ゲー《Г・г》を用い、かつては外来語表記用にウクライナ語ゲー《Ґ・ґ》が使用されていました。
ベラルーシ語現行正書法ではオー《О・о》はアクセントの無い場合は発音通りのアー《А・а》に置き換わります。
ワ行は固有の字母である短いウー《Ў・ў》があるのですが、地名などではロシア語と共通のヴェー《В・в》が用いられます。
長音表記はコロン:》を用いますが、省略される場合があります。

І・і】イ/【Ы・ы】イ/〖ІІ・іі〗イイ/〖ІЭ・ііэ〗イエ/
Э・э】エ/〖ШЫ・шы〗シ/〖ДЗІ・дзі〗ジ/〖ТЫ・ты〗チ/
ЦІ・ці〗チ/〖ЦЯ・ця〗チャ/〖ЦЮ・цю〗チュ/〖ЦЁ・цё〗チョ/
РЫ・ры〗リ.

ブルガリア式日本語キリル文字

シャ行・チャ行はロシア語正書法における日本語表記と異なり、キリル文字本来の字母で表記されます。
硬音符《Ъ・ъ》は曖昧母音のア[ə]やエストニア語の《Õ・õ》や中国語普通話の《E・e》の音であるヲゥ[ɤ]を示し、英語由来の固有名詞などで語頭に来るため、ウクライナ語やベラルーシ語と同様、硬音符の代わりにアポストロフ《ʼ》を用います。字母名も《Б・б》のベーがバー[bə]になるようにロシア字母の呼び名と異なります。
▽ブルガリア語キリル文字における異体字は、ヴァーが《в➡ϐ》, ガーが《г➡ꙅ》, ダーが《д➡ɡ》, イーが《и➡u》, イ・クラートコが《й➡ŭ》, カーが《к➡k》, ラーが《Л・л➡Λ・ʌ》, パーが《п➡n》, ターが《т➡m》, ファーが《ф➡ɸ》, パーが《п➡n》, シャーが《ш➡ɯ》になるなどイタリック体が直立になったり、ジャー《ж》やユー《ю》の縦棒が“b, d, k”のように伸びたりと変化しています。

ИЙЕ・ийе〗イエ/【Е・е】エ/〖ЕЙ・ей〗エイ/〖ОУ・оу〗オウ/
Ш・ш】シャ行/〖ШИ・ши〗シ/〖ША・ши〗シャ/〖ДЖ・дж〗ジャ行/
ДЗЕ・дзе〗ゼ/【Ч・ч】チャ行/〖ЧИ・чи〗チ/〖ЧА・ча〗チャ/
ХЬО・хьо〗ヒョ/〖ЙЕ・йе〗イェ/〖ЬЕ・ье〗ェ/〖ЙО・йо〗ヨ/
ЬО・ьо〗ョ/〖НʼЕ・нʼе〗ンエ/〖НЙО・нйо〗ンヨ.

セルビア・ボスニア式日本語キリル文字

セルビア語・ボスニア語・モンテネグロ語キリル文字は原則的に共通の表記となっていて、セルビア・クロアチア語ラテン文字と互換性があります。
ザ行音はロシア式の〈ДЗ・дз〉ではなくラテン文字ゼー《Z・z》に合わせてズ《З・з》のみで表します。
ニャ行音はニュ《Њ・њ》よりもヌとユの連字〈НЈ・нј〉の使用が好まれます。
ヤ行音はラテン文字と共通のユ《Ј・ј》を使用し、キリル文字本来のヤ行音節文字を使用しない方式となっています。この方式はマケドニア語やアゼルバイジャン語、ウィルタ語も採用しています。
硬音符が存在しないためアポストロフʼ》を用います。
▽近年のクロアチア語における固有名詞表記用のラテン文字に有ってキリル文字に無いものは、本来クルド語表記用に追加されたキリル文字であるクヴԚ・ԛ》やウゥԜ・ԝ》などを使用して表記し、更にはボスニア語ではラテン文字ツェー《C・c》に対応するЦ・ц》をカ行音[k]で読ませる方式も見られます。クヴとウゥはキリル文字の代わりにラテン文字の《Q・q》と《W・w》をそのまま使用する傾向が多いです。
セルビア語キリル文字における異体字は、ブが《б➡ẟ》, グのイタリック体が《г➡ī》, ドゥのイタリック体が《д➡ɡ》, プのイタリック体が《п➡ū》などがあり、イタリック体は横線の位置で発音が変化するものが目立っています。

АИ・аи〗アイ/【Е・е】エ/〖ЕИ・еи〗エイ/〖КЈ・кј〗キャ行/
ГЈ・гј〗ギャ行/【Ш・ш】シャ行/【Ш・ш】シャ行/【З・з】ザ行/
Ђ・ђ ; Џ・џ】ジャ行・ヂャ行/〖ЗУ・зу〗ズ・ヅ/〖ТИ・ти〗ティ/
Ћ・ћ ; Ч・ч】チャ行/〖ДИ・ди〗ディ/〖ДЈУ・дју〗デュ/【НЈ・нј】ニャ行/
ХЈ・хј〗ヒャ行/〖ФЈУ・фју〗フュ/〖БЈ・бј〗ビャ行/
ПЈ・пј〗ピャ行/〖МЈ・мј〗ミャ行/〖ЈА・ја〗ヤ・ャ/〖ЈИ・ји〗イィ/
ЈУ・ју〗ユ・ュ/〖ЈЕ・је〗イェ・ェ/〖ЈО・јо〗ヨ・ョ/
РЈ・рј〗リャ行/【В・в】ヴァ行/〖УА・уа ; ԜА・ԝа〗ワ・ァ/
УИ・уи ; ԜИ・ԝи〗ヰ=ウィ・ィ/〖УЕ・уе ; ԜЕ・ԝе〗ヱ=ウェ・ェ/
УО・уо ; ԜО・ԝо〗ウォ・ォ/〖НʼЈО・нʼјо〗ンヨ.

マケドニア式日本語キリル文字

原則的にセルビア語キリル文字と同じ構成ですが、ジャ行・チャ行が1つだけになっています。イタリック体はセルビア語・ボスニア語と共通です。
ザ行音はロシア語の〈ДЗ・дз〉と同じ[ʣ]音のヅ《Ѕ・ѕ》ではなく、セルビア語と同じくズ《З・з》が用いられます。
アポストロフʼ》は曖昧母音の[ə]を示す字母として使われ、音節の区切りが示されない固有名詞が多く、区切りはハイフン-》で示します。

АЈ・ај〗アイ/【Е・е】エ/〖ЕЈ・еј〗エイ/〖КЈ・кј〗キャ行/
ГЈ・гј〗ギャ行/【Ш・ш】シャ行/【Ш・ш】シャ行/【З・з】ザ行/
Џ・џ】ジャ行・ヂャ行/〖ЗУ・зу〗ズ/【Ч・ч】チャ行/
Ѕ・ѕ】ヅァ行/【Њ・њ】ニャ行/〖ХЈ・хј〗ヒャ行/〖ФЈУ・фју〗フュ/
БЈ・бј〗ビャ行/〖ПЈ・пј〗ピャ行/〖МЈ・мј〗ミャ行/【Ј・ј】ヤ行/
РЈ・рј〗リャ行/【В・в】ワ行・ヴァ行/〖Н-Е・н-е〗ンエ/
НЈО・нјо〗ンヨ.

モルドバ式日本語キリル文字

モルドバでは現在はラテン文字が公式文字となっていますが、一部地域ではキリル文字が使用されています。
ルーマニア語ラテン文字イー《I・i》に対応するモルドバ語キリル文字表記で語末は子音の後では軟音符《Ь・ь》で表記するのがルールになっていますが、日本語翻字では恐らく無声化したイ段を示すと思われます。

АЙ・ай〗アイ/【И・и ; Ь・ь】イ/〖ИЙ・ий〗イイ/【Е・е】エ・イェ/
ЕЙ・ей〗エイ・エー/【Ш・ш】シャ行/【Ӂ・ӂ】ジャ行・ヂャ行/
ӁИА・ӂиа ; ӁЯ・ӂя〗ジャ/【Ч・ч】チャ行/〖ЧИА・чиа ; ЧЯ・чя〗チャ/
ЬЕ・ье〗ェ/〖ЙО・йо〗ヨ/〖ИО・ио〗ョ/〖УА・уа ; ОА・оа〗ワ・ァ/
УИ・уи〗ウィ・ィ/〖УЕ・уе〗ウェ・ェ/〖УО・уо〗ウォ・ォ/
В・в】ヴァ行/〖Н-Е・н-е〗ンエ/〖НЙО・нйо〗ンヨ.