キルギス語の文字による日本語表記
9月23日はキルギスでキルギス語の日です。
今回はキルギス語の各種文字体系による日本語表記について取り上げます。
注意点
キルギス語キリル文字による日本語表記は、シャ行はシュ《Ш》, ザ行はズ《З》, チャ行はチュ《Ч》という風にマケドニア式に近い表記となっていますが、シャ・シュ・ショは〈ШЯ, ШЮ, ШЁ〉, チャ・チュ・チョは〈ЧЯ, ЧЮ, ЧЁ〉と拗音を常に“軟母音字《Я, И, Ю, Е, Ё》”で表記するルールに合わせた綴りが目立ってきています。
本来のキルギス語アラビア文字表記でカ行《К》は、ア段《ا》・ウ段《ۇ\ى》・オ段《و》など後舌母音グループの場合はクヮーフ《ق》[q], イ段《ئ》・エ段《ە》など前舌母音グループの場合はカーフ《ك》[k]で示し、ガ行《Г》もア段・ウ段・オ段の場合はガイン《ع》[ɣ], イ段・エ段の場合はガーフ《گ》[ɡ]で区別しますが、固有名詞・外来語の場合はカ・ク・コでもカーフ《ك》[k], ガ・グ・ゴでもガーフ《گ》[ɡ]で示す場合があります。
新ラテン文字正書法でもカ行はア段《A》・ウ段《U/Y》・オ段《O》ではク《Q》[q], イ段《I》・エ段《E》ではキ《K》[k]で示し、ガ行はア段・ウ段・オ段ではグ《Ğ》[ɣ], イ段・エ段ではギ《G》[ɡ]で示しますが、固有名詞・外来語の場合はカ・ク・コでもキ《K》[k], ガ・グ・ゴでもギ《G》[ɡ]で示す場合があります。
キルギス語は日本語と同じく母音の長短の区別が存在し、長音はキリル文字・アラビア文字共に母音字を2つ並べる方式で、イ段の場合は半母音字イュ《Й・й》をイ《И・и》の後に配置します。但し日本語からの借用語・固有名詞の場合は長音表記が省略される傾向が多いです。
キルギス語の促音表記は、北海道は〈Хоккайдо〉という風になり、アラビア文字表記でも〈حوققايدو ⬅ حوككايدو〉という風に示します。
キルギス語による日本語表記
キルギス語ラテン文字は新ラテン文字正書法に基づくものになっています。
アラビア文字表記はカ行は全てカーフ《ك》, ガ行は全てガーフ《گ》に置き換えられる場合があります。
・A【А・а / A・a《ا》】ア
・Ā【АА・Аа・аа / AA・Aa・aa《اا》】アア・アー
・AI【АЙ・Ай・ай / AJ・Aj・aj《اي》】アイ
・I【И・и / I・i《ئ ؛ ئـ ، ـئـ ، ـئ》】イ - アラビア文字のハムザ付きイェー《ئ》は2つ目の音節以降では省略され、アリフ・マクスーラ《ى》で置き換えられる表記があるが、単語によってはハムザ付きイェーは使用されない。
・II【ИИ・Ии・ии / II・Ii・ii《ئئ ؛ ئى ؛ ىئ ؛ ىى》】イイ - 新潟の〈Ниигата〉に見られる表記で、アラビア文字表記では4通りの表記があるが、恐らく〈نئىعاتا〉と表記されると思われる。
・Ī【ИЙ・Ий・ий / IJ・Ij・ij《ئي ؛ ىي》】イー
・U【У・у / U・u《ۇ》】ウ[u] - 関西弁のウ音。日本語のウ段は原則的にこの表記を用いる。
・Ū【УУ・Уу・уу / UU・Uu・uu《ۇۇ》】ウウ・ウー[uː]
・U【Ы・ы / Y・y《ى ؛ ىـ ، ـىـ ، ـى》】ウ[ɯ] - 日本語標準語本来のウ音。アラビア文字表記で《ى》はイ段[i]で発音される場合があり、この場合はキリル文字で《И》と表記される。
・Ū【ЫЙ・Ый・ый / YJ・yj・yj《ىي》】ウウ・ウー[ɯː]
・E【Э・э , Е・е / E・e《ە ؛ ـە》】エ - 本来は語頭及び日本語からの借用語では《Э》となるが、近年は固有名詞で《Е》と表記される傾向がある。
・Ē・EI【ЭЙ・Эй・эй , ЕЙ・Ей・ей / EJ・Ej・ej《ەي ؛ ەيـ ، ـەيـ ، ـەي》】エイ・エー
・Ē【ЭЭ・Ээ・ээ , ЕЭ・Еэ・еэ / EE・Ee・ee《ەە ، ـەە》】エエ・エー
・O【О・о / O・o《و》】オ
・OI【ОЙ・ой・ой / OJ・Oj・oj《وي》】オイ
・Ō【ОО・Оо・оо / OO・Oo・oo《وو》】オウ・オオ・オー
・ŌI【ОИ・Ои・ои / OI・Oi・oi《وئ》】オオイ・オーイ
・KA【КА・Ка・ка / QA・Qa・qa《قا》】カ
・KĀ【КАА・Каа・каа / QAA・Qaa・qaa《قاا》】カー
・KI【КИ・Ки・ки / KI・Ki・ki《كئ ؛ كى》】キ
・KĪ・KII【КИЙ・Кий・кий / KIJ・Kij・kij《كئي ؛ كىي》】キー
・KYA【КЯ・Кя・кя / KÄ・Kä・kä , KJA・Kja・kja《كيا》】キャ
・KYU【КЮ・Кю・кю / KÜ・Kü・kü , KJU・Kju・kju《كيۇ》】キュ
・KYU【КЬЫ・Кьы・кьы / KJY・Kjy・kjy《كيى》】キュ
・KYE【КЬЕ・Кье・кье / KJE・Kje・kje《كيە》】キェ
・KYO【КЁ・Кё・кё / KÖ・Kö・kö , KJO・Kjo・kjo《كيو》】キョ
・KYŌ【КИО・Кио・кио / KIO・Kio・kio《كئو ؛ كىو》】キョウ - 京都の〈Киото〉など地名に見られる例外表記で、アラビア文字表記で京都は〈كئوتو〉。
・KU【КУ・Ку・ку / QU・Qu・qu《قۇ》】ク
・KŪ【КУУ・Куу・куу / QUU・Quu・quu《قۇۇ》】クー
・KU【КЫ・Кы・кы / QY・Qy・qy《قى》】ク
・KWA【КВА・Ква・ква / QVA・Qva・qva《قۋا》】クァ・クヮ
・KWI【КВИ・Кви・кви / QVI・Qvi・qvi《قۋئ ؛ قۋى》】クィ
・KWE【КВЕ・Кве・кве / QVE・Qve・qve《قۋە》】クェ
・KWO【КВО・Квo・квo / QVO・Qvo・qvo《قۋو》】クォ
・KE【КЕ・Ке・ке , КЭ・Кэ・кэ / KE・Ke・ke《كە》】ケ
・KĒ・KEI【КЕЙ・Кей・кей , КЭЙ・Кэй・кэй / KEJ・Kej・kej《كەي》】ケイ・ケー
・KĒ【КЕЭ・Кеэ・кеэ , КЭЭ・Кээ・кээ / KEE・Kee・kee《كەە》】ケー
・KO【КО・Кo・кo / QO・Qo・qo《قو》】コ
・KŌ【КОО・Кoо・кoо / QOO・Qoo・qoo《قوو》】コウ・コオ・コー
・GA【ГА・Га・га / ĞA・Ğa・ğa《عا》】ガ
・GĀ【ГАА・Гаа・гаа / ĞAA・Ğaa・ğaa《عاا》】ガー
・GI【ГИ・Ги・ги / GI・Gi・gi《گئ ؛ گى》】ギ
・GĪ・GII【ГИЙ・Гий・гий / GIJ・Gij・gij《گئي ؛ گىي》】ギー
・GYA【ГЯ・Гя・гя / GÄ・Gä・gä , GJA・Gja・gja《گيا》】ギャ
・GYU【ГЮ・Гю・гю / GÜ・Gü・gü , GJU・Gju・gju《گيۇ》】ギュ
・GYU【ГЬЫ・Гьы・гьы / GJY・Gjy・gjy《گيى》】ギュ
・GYE【ГЬЕ・Гье・гье / GJE・Gje・gje《گيە》】ギェ
・GYO【ГЁ・Гё・гё / GÖ・Gö・gö , GJO・Gjo・gjo《گيو》】ギョ
・GU【ГУ・Гу・гу / ĞU・Ğu・ğu《عۇ》】グ
・GŪ【ГУУ・Гуу・гуу / ĞUU・Ğuu・ğuu《عۇۇ》】グー
・GU【ГЫ・Гы・гы / ĞY・Ğy・ğy《عى》】グ
・GWA【ГВА・Гва・гва / ĞVA・Ğva・ğva《عۋا》】グァ・グヮ
・GWI【ГВИ・Гви・гви / ĞVI・Ğvi・ğvi《عۋئ ؛ عۋى》】グィ
・GWE【ГВЕ・Гве・гве , ГВЭ・Гвэ・гвэ / ĞVE・Ğve・ğve《عۋە 》】グェ
・GWO【ГВО・Гвo・гвo / ĞVO・Ğvo・ğvo《عۋو》】グォ
・GE【ГЕ・Ге・ге , ГЭ・Гэ・гэ / GE・Ge・ge《گە》】ゲ
・GĒ・GEI【ГЕЙ・Гей・гей , ГЭЙ・Гэй・гэй / GEJ・Gej・gej《گەي 》】ゲイ・ゲー
・GO【ГО・Гo・гo / ĞO・Ğo・ğo《عو》】ゴ
・GŌ【ГОО・Гoо・гoо / ĞOO・Ğoo・ğoo《عوو》】ゴウ・ゴー
・S【С・с / S・s《س》】サ行
・SI【СИ・Си・си / SI・Si・si《سئ ؛ سى》】スィ
・SH【Ш・ш / ި・ş¨ , ŞJ・Şj・şj《شي》】シャ行 - 現行キリル文字正書法では日本語のシュは〈ШЮ〉と表記される傾向がある。
・SHI【ШИ・Ши・ши / ŞI・Şi・şi《شئ ؛ شى》】シ
・SSHI【ШШИ・шши / ŞŞI・şşi《ششئ ؛ ششى》】ッシ
・Z【З・з / Z・z《ز》】(語中の)ザ行[z] - 現行キリル文字正書法では日本語のズは〈ЗУ〉と表記される傾向がある。但し、'22年4月以降はキルギス国内でラテン文字ズを民族間対立をあおる目的など不適切な目的で使用することが禁止されている ( 参考 : https://www.afpbb.com/articles/-/3401617 )。
・ZI【ЗИ・Зи・зи / ZI・Zi・zi《زئ ؛ زى》】ズィ
・J【Ж・ж , ДЖ・Дж・дж / C¨・c¨ , CJ・Cj・cj , C・c《ج ، دج》】ジャ行[ʤ] - 現行キリル文字正書法では日本語のジュは〈ЖЮ〉と〈ДЖУ〉とで2種類の表記がある(キルギス語版ウィキペディアの【Бэнто】の項目では“塾弁”が〈Жюкубэн〉と表記)。新ラテン文字正書法では《Ж》の発音が摩擦音ジュ[ʒ]の場合はジュ《Ž・ž》と示す案があり、それに合わせたアラビア文字新字母追加案で《ژ》も設定されている。
・JI【ЖИ・Жи・жи , ДЖИ・Джи・джи / CI・Ci・ci《جئ ، دجئ ؛ جى ، دجى》】ジ・ヂ
・JJI【ЖЖИ・жжи , ДДЖИ・дджи / CCI・cci《ججئ ، ددجئ ؛ ججى ، ددجى》】ッジ・ッヂ
・T【Т・т / T・t《ت》】タ行
・TI【ТИ・Ти・ти / TI・Ti・ti《تئ ؛ تى》】ティ
・TYU【ТЮ・Тю・тю / TÜ・Tü・tü , TJU・Tju・tju《تيۇ》】テュ
・TU【ТУ・Ту・ту / TU・Tu・tu《تۇ》】トゥ
・CH【Ч・ч / Ǩ・ç¨ , ÇJ・Çj・çj《چي》】チャ行[ʧ] - 現行キリル文字正書法では日本語のチャは〈ЧЯ〉と表記される傾向がある。
・CHI【ЧИ・Чи・чи / ÇI・Çi・çi《چئ ؛ چى》】チ
・TCHI【ЧЧИ・ччи / ÇÇI・ççi《چچئ ؛ چچى》】チ
・TS【Ц・ц / TS・Ts・ts《تس》】ツァ行[ʦ]
・TTSU【ЦЦУ・ццу / TTSU・ttsu《تتسۇ》】ッツ
・D【Д・д / D・d《د》】ダ行
・DI【ДИ・Ди・ди / DI・Di・di《دئ ؛ دى》】ディ
・DU【ДУ・Ду・ду / DU・Du・du《دۇ》】ドゥ
・DYU【ДЮ・Дю・дю / DÜ・Dü・dü , DJU・Dju・dju《ديۇ》】デュ
・DZ【ДЗ・Дз・дз / DZ・Dz・dz , DZ・Dz・dz《دز》】ヅァ行・(語頭の)ザ行[ʣ]
・DZI【ДЗИ・Дзи・дзи / DZI・Dzi・dzi《دزئ ؛ دزى》】ヅィ・ジ - 建築物の“~寺”は常に〈-дзи〉で示す。
・N【Н・н / N・n《ن》】ナ行・ン
・NYA【НЯ・Ня・ня / NÄ・Nä・nä , NJA・Nja・nja《نيا》】ニャ - ユニコードではラテン文字ニャ行連字《NJ・Nj・nj》が存在。
・NYU【НЮ・Ню・ню / NÜ・Nü・nü , NJU・Nju・nju《نيۇ》】ニュ
・NYE【НЬЕ・Нье・нье / NJE・Nje・nje《نيە》】ニェ
・NYO【НЁ・Нё・нё / NÖ・Nö・nö , NJO・Njo・njo《نيو》】ニョ
・NE【НЕ・Не・не , НЭ・Нэ・нэ / NE・Ne・ne《نە》】ネ
・H【Х・х / H・h《ح》】ハ行[x]
・HY【ХЬ・Хь・хь / H¨・h¨ , HJ・Hj・hj《حي》】ヒャ行
・HYO【ХЁ・Хё・хё / HÖ・Hö・hö , HJO・Hjo・hjo《حيو》】ヒョ
・HYŌ【ХИО・Хио・хио / HIO・Hio・hio《حئو ؛ حىو》】ヒョウ - 兵庫の〈Хиого〉に見られる例外表記で、アラビア文字表記では〈حئوعو ، حئوگو〉。
・F【Ф・ф / F・f《ف》】ファ行 - アラビア文字表記では、新ウイグル文字に由来する異体字《ڧ ؛ ڧـ ، ـڧـ ، ـڧ》も存在。
・FU【ФУ・Фу・фу / FU・Fu・fu《فۇ》】フ
・FYU【ФЮ・Фю・фю / FJU・Fju・fju《فيۇ》】フュ
・B【Б・б / B・b《ب》】バ行
・BY【БЬ・Бь・бь / B¨・b¨ , BJ・Bj・bj《بي》】ビャ行
・P【П・п / P・p《پ》】パ行
・PY【ПЬ・Пь・пь / P¨・p¨ , PJ・Pj・pj《پي》】ピャ行
・M【М・м / M・m《م》】マ行
・MY【МЬ・Мь・мь / M¨・m¨ , MJ・Mj・mj《مي》】ミャ行
・MM【ММ・мм / MM・mm《مم》】ンマ行
・MB【МБ・мб / MB・mb《مب》】ンバ行
・MP【МП・мп / MP・mp《مپ》】ンパ行
・Y【Й・й / J・j《ي》】ヤ行・(二重母音の)イ[j]・ー[ː] - 軟母音字が存在しない硬母音字の前でヤ行音を示す。イ段・標準語ウ段・エ段の後で長母音を表す。
・-Y-【Ь・ь / ¨ , -J-・-j-《يـ ، ـيـ》】拗音[ʲ] - ヤ行《Й》と拗音《Ь》は、標準語ウ段《Ы・ы / Y・y / ى》[ɯ]とエ段《Е・е / E・e / ە》[e]の他に、日本語に本来存在しない発音のユ《Ү・ү / Ü・ü / ۉ》[y]とヨ《Ө・ө / Ö・ö / ۅ》[ø]の前に付加。新ラテン文字正書法では、拗音は硬母音字の上部にウムラウト《¨》で表記される。キルギス語アラビア文字では語末の《-Ь》を示す表記が存在しないことから、新ラテン文字正書法でも省略される可能性が高い。
・YA【Я・я / JA・Ja・ja , Ä・ä《يا》】ヤ・ャ
・YĀ【ЯА・Яа・яа / JAA・Jaa・jaa , ÄA・äa《ياا》】ヤー・ャー
・YI【ЙИ・Йи・йи / JI・Ji・ji《يئ ؛ يى》】イィ
・-YI【ЬИ・ьи / -JI・-ji《ـيئ ؛ ـيى》】ィ - イ段拗音。
・YĪ【ЙИЙ・Йий・йий , ЬИЙ・ьий / JIJ・Jij・jij《يئي ؛ يىي》】イィー・ィー
・YU【Ю・ю / JU・Ju・ju , Ü・ü《يۇ》】ユ・ュ
・YŪ【ЮУ・Юу・юу / JUU・Juu・juu , ÜU・üu《يۇۇ》】ユー・ュー[juː]
・YU【ЙЫ・Йы・йы / JY・Jy・jy《يى》】ユ[jɯ] - 日本語標準語本来の発音に基づく綴り。
・-YU【ЬЫ・ьы / -JY・-jy《ـيى》】ュ[-jɯ] - ウ段拗音。日本語標準語本来の発音に基づく綴り。
・YŪ【ЙЫЙ・Йый・йый , ЬЫЙ・ьый / JYJ・Jyj・jyj《يىي》】ユー・ュー[jɯː]
・YE【ЙЕ・Йe・йe , Е・е / JE・Je・je《يە》】イェ - キリル文字表記で固有名詞の語頭で《ЙЕ》と表記される。
・-YE【ЬЕ・ьe / JE・Je・je《ـيە》】ェ - 拗音。
・YĒ・YEI【ЙЕЙ・Йeй・йeй , ЬЕЙ・ьей / JEJ・Ej・jej《يەي》】イェー・ェー・イェイ・ェイ
・YO【Ё・ё , ЙО・Йо・йо / JO・Jo・jo , Ö・ö《يو》】ヨ・ョ - キリル文字表記では連字〈ЙО〉が固有名詞に多用される。拗音は《Ё》で示す。
・YŌ【ЁО・Ёо・ёо / JOO・Joo・joo , ÖO・öo《يوو》】ヨー・ヨウ・ョー・ョウ - キリル文字表記で〈ЙО〉あるいは〈ИО〉で表記される固有名詞の場合、長音は表記されない。
・YŌ【ИО・Ио・ио / IO・Io・io《ئو ؛ ىو》】ヨー・ヨウ・ョー・ョウ - 東京の〈Токио〉など日本の地名における例外表記。アラビア文字表記で東京は〈توكىو〉となる。
・R【Р・р / R・r《ر》】ラ行
・RRA【РРА・рра / RRA・rra《ررا》】ッラ
・RY【РЬ・Рь・рь / R¨・r¨ , RJ・Rj・rj《ري》】リャ行
・L【Л・л / L・l《ل》】ラ行 - 固有名詞に用いる。
・LA【ЛА・Ла・ла / LA・La・la《لا》】ラ
・LLA【ЛЛА・лла / LLA・lla《للا》】ッラ
・LY【ЛЬ・Ль・ль / L¨・l¨ , LJ・Lj・lj《لي》】リャ行 - 固有名詞に用いる。
・W・V【В・в / V・v《ۋ》】ワ行・ヴァ行・合拗音 - 新ラテン文字正書法の案ではワ行音[w]を《W・w》, ヴァ行音[v]を《V・v》で区別する場合もある。
・WA【ВА・Ва・ва / VA・Va・va《ۋا》】ワ・ヴァ・ァ
・WO【ВО・Во・во / VO・Vo・vo《ۋو》】ウォ・ヲ・ヴォ・ォ - 日本語の助詞の“~を”は《О》。
・NG【Ң・ң / Ñ・ñ《ڭ》】鼻濁音ガ行・ン[ŋ]
・NKA【ҢКА・ңка , НКА・нка / ÑQA・ñqa , NQA・nqa《ڭقا》】ンカ[ŋqa]
・NKI【ҢКИ・ңки , НКИ・нки / ÑKI・ñki , NKI・nki《ڭكئ ؛ ڭكى》】ンキ[ŋki]
・NGA【ҢГА・ңга , НГА・нга / ÑĞA・ñğa , NĞA・nğa《ڭعا》】ンガ[ŋɣa]
・NGI【ҢГИ・ңги , НГИ・нги / ÑGI・ñgi , NGI・ngi《ڭگئ ؛ ڭگى》】ンギ[ŋɡi]
・NʼA【НЪА・нъа / NʼA・nʼa《نءا》】ンア[-n.a]
・NʼY【НЪЯ・нъя / NʼJA・nʼja《نءيا》】ンヤ[-n.ja]
キルギス語の新ラテン文字正書法について
https://www.qyrgyz.com/alphabet
キルギス語のラテン文字新正書法の案では、1920年代後半からキリル文字正書法制定まで使用されていたヤナリフという汎チュルク諸語ラテン文字の字母を一部変更したものとなっています。
ヤ行音の表記では、硬母音字における拗音は《Ä, Ü, Ö》という風にウムラウト付き母音字で表記されます。