【カタカナ大文字+小文字】方言音カタカナとそれに対応する世界の文字
10月22日は日本全国の方言の日で、2月18日の奄美大島の奄美語における方言の日とは別に存在する記念日です。
日本語方言学では、方言表記用に小書き仮名文字を使用した母音の派生音を示しています。
近年では英語学習のために生まれたフォニックスで採用され、ヒンディー語などいろいろな外国語のカタカナ表記で取り入れています。
英語における発音ガナ表記はカタカナ小文字を省略すれば、日本語の外来語表記になることが多いです。
【アェ】[æ]と【エァ】[ɛ]
主に東北地方の諸方言に見られる表記で、《エァ》は主に広いエ[ɛ]を示す表記で、標準語の“アイ”及び“アエ”が変化した音の表記として方言学表記に取り入れられています。
《アェ》は英語《A》の短母音であるア[æ]のフォニックス表記で知られるようになり、日本語方言学でも採用されています。
インド系文字ではインド諸言語ローマ字翻字で〈AI〉に対応する字母の翻字に用いられ、そり舌音のṬ《ट》[ʈ]あるいはḌ《ड》[ɖ]との組み合わせは英語からの借用語である確率が高いものになっています。
アェとエァにおける国際音声記号表記では《æ》と《ɛ》は両方に対応することが多く、混同される傾向が多いようです。
🔷アェ[æ]/キャ→カェ[kæ]/ギャ→ガェ[ɡæ]/サェ[sæ]/ザェ[zæ, ʣæ]/シャェ[ʃæ]/ジャェ[ʒæ]/タェ[tæ]/ダェ[dæ]/チャェ[ʧæ]/ヂャェ[ʤæ]/ツァェ[ʦæ]/ナェ[næ]/ニャェ[ɲæ]/ハェ[hæ]/バェ[bæ]/パェ[pæ]/ヒャェ[çæ]/ファェ[fæ]/マェ[mæ]/ヤェ[jæ]/ラェ[ræ, ɾæ; læ]/ワェ[wæ]/ヴァェ[væ]。
🔶エァ[ɛ]/ケァ[kɛ]/ゲァ[ɡɛ]/シェァ[ʃɛ]/ジェァ[ʒɛ]/セァ[sɛ]/ゼァ[zɛ, ʣɛ]/チェァ[ʧɛ]/ヂェァ[ʤɛ]/ツェァ[ʦɛ]/テァ[tɛ]/デァ[dɛ]/ニェァ[ɲɛ]/ネァ[nɛ]/ヒェァ[çɛ]/フェァ[fɛ]/ヘァ[hɛ]/ベァ[bɛ]/ペァ[pɛ]/メァ[mɛ]/イェァ[jæ]/レァ[rɛ, ɾɛ; lɛ]/ウェァ[wɛ]/ヴェァ[vɛ]。
【Æ・æ】ラテン[æ アェ]……《CÆ》[カェ]/《GÆ》[ガェ]他。
【Ӕ・ӕ】オセット:キリル[æ アェ]……《КӔ》[カェ]/《ГӔ》[ガェ]他。
【𐑨】イギリス英:シェイヴィアン[æ アェ]……《𐑒𐑨》[キャ→カェ]/《𐑜𐑨》[ギャ→ガェ]他。
【𐐈・𐐰】アメリカ英:デセレット[æ アェ]……《𐐗𐐈》[キャ→カェ]/《𐐘𐐈》[ギャ→ガェ]他。
【ئە】ウイグル:アラビア[æ アェ]……《كە》[キャェ]/《گە》[ギャェ]/《ھە》[ハェ]。
【ऍ/ॲ】デーヴァナーガリー[ɛ アェ]……《कॅ》[カェ]/《गॅ》[ガェ]/《टॅ》[タェ]/《डॅ》[ダェ]他 - 母音字は《ऍ》がヒンディー語で《ॲ》がマラーティー語。
【ऐ】ヒンディー:デーヴァナーガリー[ɛː アェー]……《कै》[カェー]/《गै》[ガェー]/《टै》[タェー]/《डै》[ダェー]他。
【অ্যা/এ্যা】ベンガル[æ アェ]……《ভ্যা》[ヴァェ→バェ]/《ক্যা》[カェ]/《গ্যা》[ガェ]/《য্যা》[ザェ]/《জ্যা》[ジャェ]/《ট্যা》[タェ]/《ড্যা》[ダェ]/《ফ্যা》[ファェ]/《র্যা》[ラェ]他。
【ඇ】シンハラ[æ アェ]……《කැ》[カェ]/《ගැ》[ガェ]/《ටැ》[タェ]/《ඩැ》[ダェ]/《රැ》[ラェ](※《රු》は[ル])。
【ඈ】シンハラ[æː アェー]……《කෑ》[カェー]/《ගෑ》[ガェー]/《ටෑ》[タェー]/《ඩෑ》[ダェー]/《රෑ》[ラェー](※《රූ》は[ルー])他。
【애・ㅐ】韓国:ハングル[ɛ アェ]……《캐》[カェ]/《개》[カェ, ガェ]/《새》[サェ]/《섀》[シャェ]/《재》[チャェ, ジャェ]/《채》[チャェ]/《태》[タェ]/《대》[タェ, ダェ]/《내》[ナェ]/《해》[ハェ]/《배》[パェ, バェ]/《패》[パェ]/《매》[マェ]/《얘》[ヤェ]/《래》[ラェ]/《왜》[ワェ]。
【ꗡ】ヴァイ[ɛ エァ]……《ꘃ》[ケァ]/《ꘆ》[ゲァ]/《ꗼ》[シェァ]/《ꗾ》[ジェァ]《ꗻ》[セァ]/《ꗽ》[ゼァ]/《ꗿ》[チェァ]/《ꘀ》[ヂェァ]/《ꗳ》[テァ]/《ꗵ》[デァ]/《ꘊ》[ニェァ]/《ꘉ》[ネァ]/《ꗱ》[フェァ]/《ꗤ》[ヘァ]/《ꗩ》[ベァ]/《ꗨ》[ペァ]/《ꘈ》[メァ]/《ꘂ》[イェァ]/《ꗸ》[rɛ レァ]/《ꗷ》[lɛ レァ]/《ꗦ》[ウェァ]/《ꗲ》[ヴェァ]/《ꘄ》[ンゲァ]他。
【オァ】[ɔ/ɒ]と【アォ】[ɔ]
日本語の方言学では《オァ》は主に広いオ[ɔ]音を示すために北陸弁表記に用いられ、標準語の“アウ”及び旧かなづかいでアウと表記されていた“オウ”が変化した音の表記に用いられます。
英語の発音表記ではイギリス英語の[ɒ]音でも見られるようになっています。
インド語学では《アォ》が広いオ音を示す表記としてインド諸言語ローマ字翻字で〈AU〉に対応する字母の翻字に用いられます。
🔷オァ[ɔ/ɒ]/コァ[kɔ]/ゴァ[ɡɔ]/ショァ[ʃɔ]/ジョァ[ʒɔ]/ソァ[sɔ]/ゾァ[zɔ, ʣɔ]/チョァ[ʧɔ]/ヂョァ[ʤɔ]/ツォァ[ʦɔ]/トァ[tɔ]/ドァ[dɔ]/ニョァ[ɲɔ]/ノァ[nɔ]/ヒョァ[çɔ]/フォァ[fɔ]/ホァ[hɔ]/ボァ[bɔ]/ポァ[pɔ]/モァ[mɔ]/ヨァ[jɔ]/ロァ[rɔ, ɾɔ; lɔ]/ウォァ[wɔ]/ヴォァ[vɔ]。
🔶アォ[ɔ]/カォ[kɔ]/ガォ[ɡɔ]/サォ[sɔ]/ザォ[zɔ, ʣɔ]/シャォ[ʃɔ]/ジャォ[ʒɔ]/タォ[tɔ]/ダォ[dɔ]/チャォ[ʧɔ]/ヂャォ[ʤɔ]/ツァォ[ʦɔ]/ナォ[nɔ]/ニャォ[ɲɔ]/ハォ[hɔ]/バォ[bɔ]/パォ[pɔ]/ヒャォ[çɔ]/ファォ[fɔ]/マォ[mɔ]/ヤォ[jɔ]/ラォ[rɔ, ɾɔ; lɔ]/ワォ[wɔ]/ヴァォ[vɔ]。
【𐑪】イギリス英:シェイヴィアン[ɔ オァ]……《𐑒𐑪》[コァ]/《𐑜𐑪》[ゴァ]他。
【𐐃・𐐫】アメリカ英:デセレット[ɔː オァー]……《𐐗𐐃》[コァー]/《𐐘𐐃》[ゴァー]他。
【ऑ】ヒンディー:デーヴァナーガリー[ɔ アォ]……《कॉ》[カォ]/《गॉ》[ガォ]/《टॉ》[タォ]/《डॉ》[ダォ]他。
【औ】ヒンディー:デーヴァナーガリー[ɔː アォー]……《कौ》[カォー]/《गौ》[ガォー]/《टौ》[タォー]/《डौ》[ダォー]他。
【ꖺ】ヴァイ[ɔ オァ]……《ꗛ》[コァ]/《ꗝ》[ゴァ]/《ꗔ》[ショァ]/《ꗖ》[ジョァ]《ꗓ》[ソァ]/《ꗕ》[ゾァ]/《ꗗ》[チョァ]/《ꗘ》[ヂョァ]/《ꗳ》[トァ]/《ꗍ》[ドァ]/《ꗠ》[ニョァ]/《ꗟ》[ノァ]/《ꗉ》[フォァ]/《ꖽ》[ホァ]/《ꗂ》[ボァ]/《ꗁ》[ポァ]/《ꗞ》[モァ]/《ꗚ》[ヨァ]/《ꗐ》[rɔ ロァ]/《ꗏ》[lɔ ロァ]/《ꖿ》[ウォァ]/《ꗊ》[ヴォァ]/《ꗜ》[ンゴァ]他。
【オェ】[ø/œ]
日本の方言学では《ø》あるいは《œ》に対応するカタカナ表記で、標準語の“オイ”及び“オエ”が変化した音の表記として方言学表記に取り入れられています。
ドイツ語では《エ》, フランス語では《ウ》, トルコ語では《オ》又は《ョ》と異なる発音ガナで表記されています。
韓国語の《외》は日本語表記では《ウェ》ですが、カ行・ハ行の合拗音以外は《エ》段が翻字に用いられます。
🔷オェ[ø, œ]/コェ[kø, kœ]/ゴェ[ɡø, ɡœ]/ショェ[ʃø, ʃœ]/ジョェ[ʒø,ʒœ]/ソェ[sø, sœ]/ゾェ[zø, zœ; ʣø, ʣœ]/チョェ[ʧø, ʧœ]/ヂョェ[ʤø, ʤœ]/ツォェ[ʦø, ʦœ]/トェ[tø, tœ]/ドェ[dø, dœ]/ニョェ[ɲø, ɲœ]/ノェ[nø, nœ]/ヒョェ[çø, çœ]/フォェ[fø, fœ]/ホェ[hø, hœ]/ボェ[bø, bœ]/ポェ[pø, pœ]/モェ[mø, mœ]/ヨェ[jø, jœ]/ロェ[rø, rœ; ɾø, ɾœ; lø, lœ]/ウォェ[wø, wœ]/ヴォェ[vø, vœ]。
【Œ・œ】フランス:ラテン[œ ウ→オェ]……《RŒU》[ʁœ ル→ロェ]他。
【Ö・ö】ドイツ:ラテン[œ エ→オェ/øː エー→オェー]……《RÖ》[ʀœ レ→ロェ]他。
【Ö・ö】トルコ:ラテン[œ オ→オェ]……《KÖ》[cœ キョ→キョェ]/《GÖ》[ɟœ ギョ→ギョェ]他。
【Ø・ø】デンマーク:ラテン[œ オェ/øː オェー]。
【Ө・ө】タタール:キリル[ø オェ]……《КӨ》[キョ→キョェ]/《ГӨ》[ギョ→ギョェ]他。
【ئۆ】ウイグル:アラビア[ø オェ]……《كۆ》[キョェ]/《گۆ》[ギョェ]/《ھۆ》[ホェ]他。
【외・ㅚ】韓国:ハングル[ø オェ→we ウェ]……《쾨》[コェ→クェ]/《괴》[コェ→クェ, ゴェ→グェ]/《쇠》[ソェ]/《죄》[チョェ, ジョェ]/《최》[チョェ]/《퇴》[トェ]/《되》[トェ, ドェ]/《뇌》[ノェ]/《회》[ホェ→フェ]/《뵈》[ポェ, ボェ]/《푀》[ポェ]/《뫼》[モェ]/《뢰》[ロェ]。
【イュ/ユィ/ウィ】[y]
フランス語では[y]音は《ユ》音で表記され基本的にイ段と小文字《ュ》の組み合わせで表記されます。
中国語では単独では《ユィ》、子音との組み合わせではイ段と《ュイ》になる傾向があります。
例外的に名古屋弁では[y]音は《ウィ》で表記され、ハングル《위》[wi]が[y]音由来の外来語表記に用いられる影響もあるようです。
🔷ユィ[y]/キュ[ky]/ギュ[ɡy]/スュ[sy]/ズュ[zy, ʣy]/チュ[ʧy]/ヂュ[ʤy]/ツュ[ʦy]/テュ[ty]/デュ[dy]/ニュ[ɲy]/ヌュ[ny]/ヒュ[hy; çy]/ビュ[by]/ピュ[py]/フュ[fy]/ミュ[my]/イュ[jy]/リュ[ry, ɾy; ly]/ウュ[wy]/ヴュ[vy]。
【U・u】フランス:ラテン[y ユ→イュ]……《CU》[キュ]/《GU》[ギュ]/《SU》[スュ]/《ZU》[ズュ]/《TU》[テュ]/《DU》[デュ]/《FU》[フュ]/《VU》[ヴュ]。
【Ü・ü】ドイツ:ラテン[ʏ ユ→イュ/yː ユー→イュー]……《TÜ》[テュ]/《DÜ》[デュ]/《FÜ》[フュ]/《WÜ》[ヴュ]。
【Ү・ү】タタール:キリル……《КҮ》[キュ]/《ГҮ》[ギュ]。
【ئۈ】ウイグル:アラビア[y ユィ]……《كۈ》[キュ]/《گۈ》[ギュ]/《ھۈ》[ヒュ]。
【ㄩ】台湾華:注音符号[y ユィ]……《ㄒㄩ》[シュィ]/《ㄐㄩ》[ジュィ]/《ㄑㄩ》[チュィ]。
【위・ㅟ】韓国:ハングル[y ユィ→wi ウィ]……《퀴》[クィ]/《귀》[クィ, グィ]/《쉬》[シュィ, スィ]/《쥐》[チュィ, ジュィ]/《취》[チュィ]/《튀》[トゥィ]/《뒤》[トゥィ, ドゥィ]/《뉘》[ヌィ]/《휘》[フィ]/《뷔》[プィ, ブィ]/《퓌》[プィ]/《뮈》[ムィ]/《뤼》[ルィ]。