ΨとΞ~プシーとクシー~
3/15はサイコの日です。
超能力の略語で【PSI】, 心理学の略語で【PSY】が使用され、超能力のシンボルでギリシャ文字プシー《Ψ》が見られます。
そのためギリシャ文字プシーが含まれ、ラテン文字翻字〈PS〉が含まれるギリシャ語由来の借用語は、ヨーロッパの諸言語で重要なもののひとつとなっています。
ギリシャ文字では二重子音を含む単独字ではプシー《Ψ・ψ》の他にクシー《Ξ・ξ》があります。
古代ギリシャのギリシャ西部諸言語では、プシーは有気音〈KH〉[kʰ ク]を示す字母として用いられていました。
ΨとΞの字母名と発音
英語ではプシー《Ψ・ψ》の字母名はサイ[saɪ]あるいはプサイ[psaɪ]と呼ばれ、語頭で〈PS〉はサ行音[s]となります。
クシー《Ξ・ξ》の字母名はザイ[zaɪ], サイ[saɪ], クサイ[ksaɪ]と呼ばれ、語頭でギリシャ語・ラテン語由来の〈X〉は原則的にザ行音[z]となります。
フランス語では二重子音クス[ks]あるいはグズ[ɡz]となります。
日本語における《Ψ・ψ》の字母名はプシーが主流だったのですが、近年は学術用語で〈プサイ〉が目立ってきて、漫画『斉木楠雄のΨ難』などで超能力の名称としての〈サイ〉も見られます。
同じく《Ξ・ξ》は日本語ではクシーが主流だったのですが、近年は〈クサイ〉や〈グザイ〉の表記も目立つようになりました。アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズのΞガンダムにおける《Ξ》は〈クスィー〉と読ませるものとなっています。
プシーとクシーに対応する各文字体系の字母
【𐌙 / 𐌎】古代東ギリシャ、古エトルリア - 古代ギリシャ文字はユニコードでは古イタリア文字と統合。ユニコードの字母名は前者がKHE[ケー], 後者がESH[エシュ]。
【𐌙 / 𐌗】古代西ギリシャ、エトルリア、古イタリア - ユニコードの字母名は前者がKHE[ケー], 後者がEKS[エクス]。
【Ψ・ψ / Ξ・ξ】ギリシャ:東ギリシャ文字 - イオニアやコリントスなどではプシーは〈PS〉[プス], クシーは〈KS〉[クス]を示していた。
【Ψ・ψ / Χ・χ】ギリシャ:西ギリシャ文字 - ギリシャやイタリアなどではプシーは〈KH〉[kʰ ク]を示し、クシーの代わりにカイが〈KS〉[クス]を示していた。エウボイア文字がエトルリア文字やラテン文字のルーツ
【Ⲯ・ⲯ / Ⲝ・ⲝ】コプト
【Ѱ・ѱ / Ѯ・ѯ】古代教会スラブ:キリル文字
【Ↄ・ↄ / X・x】ラテン - 前者はアンティシグマで、クラウディウス文字の一種として考案された。後者はギリシャ文字CHI《Χ・χ》由来で、。
【Y・y / C・c】ラテン:ノタエ・ベータ - ギリシャ語では《ψ》は未知数の《y》を示す。
【𐤎 / 𐤊】フェニキア - 前者のKAF《𐤊》は三省堂『言語学大辞典(別巻)世界文字辞典』に記載されているプシーの由来の一説。後者のSAMEKH《𐤎》はクシーの直接のルーツ。
各言語におけるプシーとクシーの字母名
《Ξ》は言語によっては〈Xi〉に置き換えられる場合があります。
【Ψεῖ / Ξεῖ】古代ギリシャ[プセイ/クセイ]
【Ψι / Ξι】ギリシャ[プシ/クシ]
【Ψῖ / Ξῖ】古典ギリシャ[プシー/クシー]
【Psi / Xi】英[サイ/ザイ]、フランス[プシー/クシー]、ドイツ[プシー/クシー]、スペイン、マレー[プシ/クシ]
【Psi / Csi】イタリア[プシ/クシ]、ポルトガル、ルーマニア
【Psi / Ksi】カタロニア[プシ/クシ]、ノルウェー、アフリカーンス、ポーランド、セルビア・クロアチア、スロベニア、トルコ、アゼルバイジャン、インドネシア、スワヒリ
【Psii / Ksii】フィンランド[プシー/クシー]、エストニア
【Psio / Ksio】エスペラント[プシーオ/クシーオ]
【Psí / Ksí】チェコ[プシー/クシー]、スロバキア
【Psî / Ksî】クルド[プシー/クシー]
【Psī / Xī】ラテン[プシー/クシー]
【Psī / Ksī】ラトビア[プシー/クシー]
【Pszí / Kszí】ハンガリー[プシー/クシー]
【Sí / Xí】アイルランド[シー/キシー]
【ⲉⲯⲓ / ⲉⲝⲓ】コプト[エプシ/エクシ] - コプト文字の字母名。大小の別が存在するが、本来の表記では常に小文字。
【Пси / Кси】ブルガリア[プシ/クシ]、ロシア[プシー/クシー]、セルビア、マケドニア、カザフ[プシー/クシー]、キルギス
【Псі / Ксі】ウクライナ[プシー/クシー]、ベラルーシ
【Ѱи / Ѯи】古代教会スラブ[プシ/クシ]
【Փսի / Քսի】アルメニア[プシ/クシ]
【ფსი, ᲤᲡᲘ / ქსი, ᲥᲡᲘ】ジョージア[プシ/クシ]
【Ⴔⴑⴈ / Ⴕⴑⴈ】ジョージア:フツリ体[プシ/クシ]
【קסי / פסי】ヘブライ[プシ/クシ]
【קסי / פּסי】イディッシュ[プシー/クシー]
【ساي / بسي】アラビア[ブシー/サーイ]
【كسى / پسى】ウイグル[プシ/クシ]
【کسی / پسی】ペルシア[プシー/クシー]、ソラニー、西パンジャブ
【کسی / سای】ペルシア[サーイ/クシー] - ウィキデータではプシーは〈سای〉とされている。
【کسي / ڤسي】ジャウィ[プシ/クシ] - マレー語ラテン文字表記が《X》の場合〈کس〉[クス]は連結されない場合がある。
【ܟܣܝ / ܦܣܝ】アッシリア現代アラム[プシー/クシー]
【साइ / ज़ाइ】ヒンディー[サーイ/ザーイ] - 英語由来。プシーは〈सी〉[スィー]とも。
【साई / जाई】ヒンディー[サーイー/ジャーイー] - ヒンディー語版ウィキペディアにおける見出しとなっている。ヌクタ記号は付加されない。
【साय / झी】マラーティー[サーエ/ヅィー] - マラーティー語版ウィキペディアの見出しとなっている。
【ছাই / জাই】アッサム[サイ/ザイ]
【সাই / জাই】ベンガル[サイ/ジャイ] - 英語由来。
【প্সি / ক্সি】ベンガル[プシ/クシ] - ギリシャ語由来。
【ਸਾਈ / ਕਸੀ】パンジャブ[サーイー/カシー]
【པི་སའེ་ , པི་སའེ། / ཀི་སའེ་ , ཀི་སའེ།】ゾンカ[ピサイ/キサイ]
【ཕི་སའེ་ , ཕི་སའེ། / ཁི་སའེ་ , ཁི་སའེ།】チベット[ピサイ/キサイ]
【પીએસઆઇ / એકસઆઇ】グジャラート[ピーエーサーイ/エークサーイ] - グジャラート語版ウィキペディアでの文字表では一部ギリシャ字母名は英語の字母名に置き換えた表記となるため、クシーは推測表記。
【ᱥᱟᱭᱤ / ᱡᱟᱭᱤ】サンタル[サイィ/ジャイィ]
【இப்சை / இக்சய்】タミル[イプサイ/イクサイ]
【ప్సి / క్సి】テルグ[プシ/クシ]
【ಪ್ಸೈ / ಗ್ಸೈ】カンナダ[プサイ/グサイ]
【പ്സൈ / ക്സൈ】マラヤラム[プサイ/クサイ]
【ප්සි / ක්සි】シンハラ[プシ/クシ]
【សៃ / ស៊ី】クメール[サイ/シー]
【พไซ / ไซ】タイ[パサイ/サイ] - タイ語版ウィキペディアにおける字母名見出し。クシーの〈ไซ〉は超能力の意としてのプシーを示す場合がある。プシーは天文学では〈ซาย〉[サーイ]と表記される場合がある。
【พไซ / คไซ】タイ[パサイ/カサイ] - 英語由来。
【ปซี / กซี】タイ[パシー/カシー] - ギリシャ語由来。
【ซี / ซี】タイ[シー/シー] - タイ語版ウィキペディア内の文字表に、それぞれプシーとクシーの字母名に見られる。
【ປຊີ / ຄຊີ】ラオ[パシー/カシー]
【普西 ; Pǔxī / 克西 ; Kèxī】中国[プーシー/コヲシー]
【프시 / 크시】韓国[プシ/クシ]
【ፕሲ / ክሲ】アムハラ[プシ/クシ]
【ⴱⵙⵉ / ⴽⵙⵉ】アマジグ[ブシ/クシ]
【ⵒⵙⵉ / ⴽⵙⵉ】カビリ[プシ/クシ]
【ⵀⵙⵉ / ⴾⵙⵉ】トゥアレグ[ブシ/クシ]
英語PSI及びPSYの借用語表記
英語で超能力の意の〈PSI〉及び〈PSY〉の翻字表記です。
ギリシャ字母名と異なる表記になっているものもあります。
東ヨーロッパの諸言語では《Ψ》の字母名と共通の表記になる傾向が多いです。
【Say】ウズベク[サイ]
【Псај】マケドニア[プサイ]
【Псі】ウクライナ[プシー] - ウクライナ語では〈PSI〉表記に対応。
【Пси】ブルガリア[プスィ]、ウクライナ[プスィー] - ウクライナ語では〈PSY〉表記に対応。
【Сай】ブルガリア[サイ]、ウクライナ[サーイ]
【Сај】セルビア[サイ]
【Պսի】アルメニア[プシ]
【Փսայ】アルメニア[プサイ]
【סיי】ヘブライ[サイ]
【ساي】アラビア[サーイ]、
【سای】エジプト・アラビア[サーイ]、ペルシア、南アゼルバイジャン
【سائی】ウルドゥー[サーイー]
【साइ】ヒンディー[サーイ]
【साई】ネパール[サイ]、マイティリー[サーイー]
【ছাই】アッサム[サイ]
【সাই】ベンガル[サイ]
【ਸਾਈ】パンジャブ[サーイー]
【சை】タミル[サイ]
【സൈ】マラヤラム[サイ]
【ไซ】タイ[サイ]
【ໄຊ】ラオ[サイ]
【사이】韓国[サイ] - 超能力のPSIのハングル表記。
【싸이】韓国[サイ] - 韓国の歌手・PSYさんのハングル表記。映画『サイコ』の韓国語名は『싸이코』。
【サイ】日本[サイ]