おたるたび日記(完)
最終日の朝。
雪が降っている。
二度目の雪だ。
10時半頃の出発なので、飯を食うタイミングを無くすと考え、早めにすき家で朝食を取りました。
南樽、ほんと便利だなー。
まだ2時間ほどあるので、目視で有幌の海抜調査をしてみる。
というのも近くに海抜表示があったので、逆算すれば元々の海面がおおよそわかるのではないかと言う素人考えです。
海抜表示を設置した人たちもまさかそんなことに使われるとは思いもしないだろうけど。
正確なことはわからないけれど、古地図などと合わせて考察すると、往時の海岸線がなんとなく見えてくるのです。
「痛くないぞ」と自己暗示をかけながら赤坂を登るが、やっぱり多少痛いんだよなぁ。右足に力を入れると時々脱力感がある。
「やべーなー、明日仕事なのになー。大丈夫かなあ」
それでもまだ小樽にこだわる。
菓子を買って列車内で食おうとしている。
ふと思い出したのが雷除志ん古。
すぐ近くなんだれど、日曜休みだった。
なんとうかつな!
そうなればもうアンデリコしか思いつかない。
プリン大福よ。
店は10時開店なので、チェックアウトだけ済ませて荷物を預かってもらい、その間に買いに行く。
2個買って荷物を受け取り、ホームに出る。
快速エアポートが来た。
北海道に来た時は、新千歳から北海道だけれど、帰りは南小樽からが愛知である。
「やっぱり家がいちばん」
旅行から帰るとよく聞く話だけれど、本当にそうか?
愛知に帰りたくない。
家に帰れば緊張感が切れて一息つくけれど、家が一番だなんて思ったことはない。何泊しようが、1日中歩き回って足が棒になっても小樽が良い。
そう、一般の観光客には「旅先は非日常」なのだ。
けれど自分は「旅先での日常」を求めている。
そこが大きな違いなのだと気づいた。
だから高級ホテルに泊まる気にならないし、ホテルでフランス料理を食べる気にもならない。
そういうことなんだ。
帰りの本州は快晴だった。
スカイマークのパイロットはいつも親切。
「本日は大変に天気が良いので、木曽あたりの美しい風景が見られると思います」
と教えてくれる。
たかだかと連なる真っ白な山脈、その隙間に広がる猫の額のような狭い土地に人工物が見える。
そこから平地まではいくらもかからない。
あっという間に伊勢湾に出る。
長いため息をひとつつく。