シノドンティスじいさん(742字)

君もなんか書け、と言われたので仕方なしに書くが、わしは魚じゃから、今まで文章なんて書いたことがないんじゃ。
言葉がおかしいかもしれんが、大目に見てほしい。

覚えている範囲で言うと、23才なのじゃが、それ以前のことは覚えておらん。
わしらの仲間がいったいいくつまで生きられるかもわからん。
わしが23年生きておるのだから、もっと長生きしているやつもおるのじゃろう。

わしな、頭にこぶがあるんじゃ。
若い頃水槽の壁にぶつけてできちまった。
傷は治ったが、こぶは残ってしまってのう。
男前がだいなしじゃが、どうせ1人ぽっちやから気にはしてない。
近頃では白内障になって、目も見にくくなった。
まあ鼻があるから見えんでもそんなに困りはせん。 

それがどうだ!
いまさら仲間が来た!
仲間といっても同じ魚という括りでしかないが、これがなかなかのべっぴんさんなんじゃ。
名をイエローピンクテールカラシンという。
尻尾がピンクで、体が黄色っぽくなるそうじゃ。
いやあびっくりした!
わしとは全然違う。
こんな奴らが仲間にいるとは。
いい年をして少しときめいとる。
だってかわいいんじゃもの。
相手は孫どころかひ孫でも足りないくらいの年齢差じゃが、やっぱり男なんじゃな。
若者言葉で、ドキがムネムネっていうんか。
それだ。
彼女は、上の方や真ん中へんにおる。
わしも餌を食う時は泳ぐが、普段はそこの方にじっとしておる。
餌をもらった時は彼女が食べてから食べるようにしてる。
若い子はたくさん食べてはよう大きならんとな!

かわいいカラシンちゃんを下から見ておる。
愛とか恋とかいうじゃなく、愛らしいんじゃの。
ちょっとした生きがいかな。

まあ名乗るほどのものでないが、わしはシノドンティス・アンジェリクスっていうんじゃ。
女の子みたいなきれいな名前じゃろ?
ふふーん🎵

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