モウモウと煙が立ち込める漆黒のグルーヴ
自分にとって第一次ブラックミュージックショックは、高校生の時に聴いたファンカデリック&電化マイルス、第二次が20歳ぐらいの時に聴いたディアンジェロの『VOODOO』だった。
ディアンジェロは90年代中頃から流行っていたニュークラシックソウルというムーブメントのトップランナーの一人だった。
マーヴィンゲイやカーティスメイフィールドのサウンドをヒップホップを通過した現代的なセンスで継承しているのが特徴だと思う。
当時、音楽雑誌をよく読んでいて、色んなミュージシャンがこのアルバムを絶賛していて、その面子の幅の広さから興味をもちCDを買ったのがキッカケだ。
しかし、ファンカデリックなんかは聴いてすぐそのカッコよさに気付いたのに対して、VOODOOは時間がかかった。初めて聴いた時の印象としては、期待に反して地味だなとさえ思った。
ファンカデリックの派手なアンサンブル、明快なグルーブ感とは違い、最小の音数で重たく地を這うようなグルーヴ、これの気持ち良さが最初は分からなかった。
しかしそれから、自分自身色んな音楽を通過した後、このアルバムを再度聴きなおすようになってこのアルバムにかけられたマジックに気が付くことになった。
まず、このアルバムを支配する異様なグルーヴだ。
究極までタメの効いたスネアがこのグルーヴをつくっている。ここまで極端にタメの効いたグルーヴはそれまでなかった。
ザ・ルーツのドラマーでもあるクエストラブによるこの特徴的なグルーヴは後のブラックミュージック、ヒップホップにかなりの影響を与えたと思う。
そして、モウモウと煙が立ち込めるかのような強烈な黒さ、アフリカ感、も特筆すべきだろう。
ルーツであるアフリカに対する強烈な自意識と70年代ソウルミュージック、そして同時代の最先端ヒップホップの融合したことで生まれたニューソウルミュージック、それがこのアルバムだ。
このアルバムが及ぼした影響は絶大で、その後同じようなグルーヴやサウンドのアルバムが大量発生した。
その後、このアルバムから影響を受けた多くのフォロワーが生まれたが、このアルバムがやはりブッチギリでカッコ良く、この究極まで研ぎ澄まされたグルーヴ感に満たされたこのセカンドが僕にとっては最高傑作で今でも愛聴盤の一つだ。
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