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その闇の輝きに惹かれるワケ

個人的に、ポストパンク〜NEW WAVEに流れていく中で生まれた音楽群には特別な思い入れがある。

恐らく世界的にも変化のスピード感のある過度期だったのだろう。
ジムフィータス、ディーヴォ、ポップグループ、レジデンツ、スロッピンググリスル、まだまだあるが、あの辺の音楽には不安定で代替不可能で、あの時代にしか生まれえなかった作品がたくさん残されている。

音楽史的に見ると、ロックがハードロックやプログレなど高尚化していく流れを、パンクムーブメントが一旦打破して、それからその破壊的、革新的な精神性を引き継ぎつつも、音楽的な進化、テクノロジーの進化を取り込み、今から見るともの凄く歪な、それでいて、初期衝動の輝きを放つ、アート性の高いバンドや作品がたくさん生まれている。

あの時代は世界の経済的に大きく盛り上がりをみせた一方で、各地で戦争も大規模に展開していて、その反動で退廃的だったり陰鬱な心情を表現するアーティストや作品が多く生まれていた。

中でも、ジョイディビジョン、特にラストアルバムとなった"CLOSER"には特別な思い入れがある。

最近はたまにしか聴かない(重くて毎日は聴けない)が、大学生の時、狂ったように聴いていた時期がある。

ボーカルのイアンカーティスが作品の完成後、23歳の若さで自殺してしまうので、どうしてもそのフィルターを通して聴いてしまい、イアンカーティスの陰鬱なボーカルに耳がいきがちだが、そのバンドサウンドも改めて聴くと実に先鋭的だった。

ギターのノイジーな響き、一定のパターンを叩き続けるジャーマンビートにも通じるドラム、不安を煽るシンセ、サウンドプロダクション、それでありながら根底にあるPOPセンス。
そして、絶望を感じさせるボーカルの響き、明らかにその先に光がみえない、暗闇の方へ向かっていく刹那の暗い輝きがあり、それがこの作品を形作っている。

この作品が今でも名盤として語られるのは、その闇の普遍性からくるのだろう。誰の心にも大小の闇はあるが、行ってはならない一線、見てはいけないゾーンがあり、生きるために誰もがそこから本能的に目を背ける。

この作品は、その誰もが心の奥底に隠し持つ闇を表現していて、そこに自覚、無自覚問わず共感してしまうのだろう。

イアン・カーティスが亡くなり、残されたメンバーでニューオーダーとして活動し続け成功を収めているが、僕としては苦味を完全に抜いたふやけたゴーヤを食べてるようで魅力を感じない。(好きな人はごめんなさい🙏)

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