ドラマ感想 - おっさんのパンツが何だっていいじゃないか!

「変わった題名で気になる」
「原田泰造の主役、久しぶり」
それだけで観る気になったドラマ、「おっさんのパンツが何だっていいじゃないか!」略して「おっパン」。

本作は、下着会社が舞台になっているわけではない。また、コメディではあるが社会問題に真剣に向き合う、挑戦的なドラマである。

原田泰造が演じる主人公の沖田誠は、古い価値観に囚われた、所謂「昭和男」の典型である。それゆえ会社では部長職に就いているが部下からの信頼は薄く、家族からも白けられており、息子は長いこと引きこもってしまっている。

ところがある日、息子の友人であるゲイの若者と出会い友達になったことで、少しずつ古い価値観や考え方を見直す、自らを「アップデート」することを決意する。

初めは
「〇〇くん、お茶淹れてくれるか」
「お茶は女性が淹れた方が美味いだろ」
が口癖だった誠だが、価値観のアップデートによって考え方や行動も変わり、しだいに部下や家族の信頼を得ていく。

本作は昭和男が令和に対応する様を見せながら、視聴者にも課題を突きつけ、理解を求める作りになっている。SDGs や LGBTQ はもちろん、推し活、二次元崇拝、メンズブラなども取り扱い、果敢に挑んでいく。

新しいものが常に良いとは限らないように、古いものが必ず悪いわけではない。新旧を比較する際に、
「ここがこうだから悪い」
「今後はこうあるべきだ」
などを丁寧に表現しているのも、本作の良心的な点である。

物語の展開はもちろん、世界観の構築、お題の取り上げ方と解決や結論への導き方、登場人物の心情の見せ方なども申し分ない。そんな挑戦的で完成度もなかなかのドラマだが、やはり昨今の時流に乗って、別撮り CG 合成を多用しているのはいただけない。

日曜劇場のように潤沢な予算があるのに多用するドラマよりはマシだが、やはり視聴者として作品に入り込めないし、醒めてしまう。

別撮り CG 合成は新しい価値観などではなく、廃止すべき悪しき慣習である。


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