2人から強いチームを作るために〜 quodの働き方#04
quodの働き方01〜03では、quodのprincipleをベースに、それぞれの価値観や働くスタイルをひも解いてきました。
quodの働き方04では、少しさかのぼって、今のチームの基盤となるquod設立時について、会社の立ち上げやチーム作りの考え方、報酬の設計にいたるまで、共同代表の飯塚と中川に話を聞いてみました。
POWERS OF TWO 『ペア』で立ち上げる意味
-AppleやGoogleをはじめとする企業や、書籍『POWERS OF TWO』でも企業に限らず偉大な功績の背景には、クリエイティブ・ペアの存在があったことが知られています。いずれもキーワードは『ペア』。quodも飯塚さんと中川さんの2人でスタートした会社ですよね。なぜ2人という選択をしたのでしょうか。
飯塚:2人という選択をしたのは、いくつか理由があります。一つ目は、思い描くquodを実現するためにお互いの強みを補完できること。もう一つは、経営的な観点での補完関係があります。経営面で大事なのは、フロービジネスとストックビジネスの組み合わせができること、そして、ファイナンスを使って資金繰りをコントロールすることです。立ち上げ当時、中川がすでに稼げる体制(フロービジネス)ができていて、僕自身も潜在顧客(ストックビジネス)がいた。「目先の利益を上げながら、長期的にはストックとなる仕組みも作る」という理想形が、2人のバランスならできると思っていました。最短で自分たちの目指す未来のスタート地点に立つためには、これらの要素が必要不可欠だと思っています。
中川:個人で起業すると、経営的な観点での補完が得られないし、ファイナンスも知識がないとなかなか対応ができません。独立直後は、目先の利益に直結する仕事を得るために売り込みに必死になってしまい、自分たちの事業構想がなかなか形にできないことがあります。quodは補完関係のバランスがとれていたので比較的安定した立ち上がりができたし、早い段階で自分たちの構想に着手できたんじゃないかな。
-お互いに役割が違うからこそ補いあえる関係は理想ですが、前提には信頼関係が必要不可欠ですよね。信頼関係を築く上で大切にしていることはありますか。
飯塚:そもそも中川とは、NPO法人plususの立ち上げをはじめ10年来のパートナーでした。会社設立以前から信頼関係はできていたと思うけど、その中でも、お互いに考えや哲学を理解しているのは大きいかな。
中川:お互いの前職をはじめとするバックグラウンドが両極端からスタートしているから、誠実さと攻めのバランスが取れているよね。だから変な衝突はなく、事業を創ることにおいては、飯塚さんや他のメンバーがアイデアを出し形にしていくし、PRだと僕が出したアイデアに対して飯塚さんの信用や信頼の目線が入って、うまく落とし所が作れる。お互いのこれまでの経験を尊重し、意見を言い合いながらアイデアを形にすることを繰り返し行なっているから、その積み重ねも信頼関係を作り上げていると思う。
飯塚:会社を設立してから着手した事は、決算資料を全社員に公開したことかな。情報をオープンかつフラットにすることで、全員で意思決定ができる、このような環境整備もお互いを尊重するためには重要だと思っています。
報酬=お金だけではない考え方
飯塚:quodでは、今現在は、報酬を自己申告制にしています。案件で利益を上げる場合と、コーポレートセクションで中長期的な戦略や財務、バックオフィス業務の場合と、報酬をどれぐらいの比率で配分するかベースを作り、その上で自己申告と会社の利益に応じて配分を行なっています。
中川:算出式のベースに関しては飯塚さんが中心に作ってくれているんだけど、年に一度会社の状況も踏まえて見直しも行うし、社員の意見もヒアリングして反映しています。この透明性があるからこそ、ネガティブの要素が減ってるんじゃないかな。とはいえ、まだまだ少人数だから成立している。人数が増えた時に今の報酬の考え方でどうワークするのかは検討していく必要があります。
-報酬(給与)が自己申告だと、透明性が高くても一定の不満は出てくるように感じます。
飯塚:一般的な会社では『報酬=給与』という考えですが、qoudでは『報酬=その人にとってのプライオリティの高いモノ』という考えをしています。ライフステージの変化などによって、それぞれの時点で大事にしているモノは人によって違う。お金が必要だから稼ぎたい時期もあれば、家族と過ごす時間に比重をおきたい時期もあると思うんです。お金は報酬の一部にしか過ぎないし、お金=満足度が高いとも限らない。その人が何を大事にしているのか、定期的にすり合わせた上で全体の報酬を決定していく、そのプロセスを丁寧にやっていくことが大事だと思っています。
中川:報酬を考える根底には「お互いの人生を応援している姿勢」があるよね。立ち上げ当初も、完全に立ち上がるまでは、飯塚さんが給与を下げて、僕が生活をキープできる給与を保つというバランスをとってくれていた。そうすると、心理的にも安定するから、早く会社を軌道に乗せるためのパフォーマンスも十分に発揮できるし、結果、組織に対してのリターンも大きくなるよね。
飯塚:一人では限界があるから、足りない部分を補いあって一つのチームや組織として力を発揮している。そういう感覚が持てるチームにしていきたいよね。
チーム作りもquodらしく
-2人が考える“quodらしいチーム”とは?
・お互いを信頼していること
・リスペクトがあって、応援していること
・違う能力やバックグラウンドを持っていて補完し合うこと
・お互いの魅力などを自分ごととして捉えること
・その人を前提に考えること
飯塚:大学時代にラクロスをやっていた時、強い個人も大事だけどそれだけでは高いレベルの試合では勝てなかった。強いペアでも不十分で、強い3人のユニットが何組もできた時に、一気にそのチームは強くなる。チーム内でユニットをどう組み合わせるか設計する役割も重要になってくるけど。仕事も同じで、2人だけではもう一歩の時があるけど、3人だと選択肢が無限に広がると思っていて。そういうチームは理想。
中川:そうだね。あとは、循環できるチームかな。野球で言うと福岡ソフトバンクホークスのような。経営が変わってから金銭的な投資面もあるけど、引退した選手が、監督やサポートの立場でチームに貢献しているんだよね。そうすることでイズムも継承されてくし、活躍していた選手が引退しても次のエースが出てくる。レベルを落とさずに、個性を変えながら強さを継承できると組織として強いよね。
飯塚:強いチームはイズムを継承する設計がしっかりできているのも特徴だよね。土壌を整えないと育つものも育たなくなってしまう。一見効率が悪いけど、そこを疎かにしてしまうと長くは勝てない。quodでもそういうところと向き合いながら『自分たちらしい組織』を、期間と目線感も考えながら形にしていきたいよね。
中川:quodは、他の会社の人達が組織やチームを作る上で参考になる存在でありたいし、働き方やワークライフバランスや、そういうのも含めて“素敵だよね”と言われるチームを目指していきます。