夢と幻想❅
あははっあはははっあははっ
ここはどこなんだろうか。
天使達と手を繋ぎ合い輪の中で舞い踊る、
真っ白い服を着た少女。
夢、か。
確かに脳内再生がリピートされ続けているのに、これを現実にすることはおそらく出来ない。
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「おはよう、あずさ」
「よっす」
「今日の放課後に何あるか知ってる?」
「えっと…。あれだろあれ」
「いや絶対知らないでしょ笑」
彼とはこうして毎朝一緒に登校している。彼の名前はあずさ、私の隣の家に住んでる。彼1人でいたら平然とどぶにはまっていそうなものだが、私がいつもどうにか食い止めている次第だ。
「覚えててって言ってたじゃん自分が」
「まじか、ガチでわからん」
「吹奏楽部のコンサート、私フルート担当だよ。しかも1列目で吹くの」
「あ、言ってたような気がする。俺行きたいから覚えといてって言ったのに、ほんと馬鹿だ」
「ははっ。そういうとこが魅力なんだよー、あずさは」
普通ならここでキレてもいいところだが、私達は一味違う。というか私が単に変なだけなのかもしれない。彼が忘れることを楽しみにしているのだ。
「おはよぉー!あずさ君☆」
「お、おはよー」
語尾にいつも星マークをつけて私には目もくれない彼女のことが、私は相変わらず苦手だ。そんな私の気も知らない彼は、大きくあくびを一つ。
「あっあずさ君、今日の吹奏楽部のコンサート行く??もし行くなら私と一緒に…」
「もっちろん行くよ〜まあさっきまだ忘れてて梨紅に教えてもらったんだけどね笑早めに行って梨紅の最前列にいる姿おさめないとだなぁ」
「やめてよ、私写真取られるの嫌いなんだって何回言ったらわかるの」
すかさず彼女が私の耳元で囁く。
「は?あんたあずさ君に撮ってもらうだけでありがたいのに何言ってんの??調子乗りすぎ」
「いや、ただ私は写真が嫌いなだけ」
「梨紅〜‼︎こっち向いて」
ぱしゃっ。ぱしゃしししゃしゃ。
「ちょっと、今すぐ消して」
「やだよ。見て、綺麗でしょ」
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寒い。
ここはどこなんだろうか。
真っ白い雪とその影が、私を掴んで離さない。
こんなに苦しいなら
いっそのこと消えてしまいたい。
夢、ならいいな。
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