見出し画像

何も解決していないけど、前を向こうと思えた出会い

共依存を自認した翌日、私は地域の保健所(健康福祉センター)に相談の予約を取りました。
「どうしていいかわからないことだらけなのだから、わかる人の力を借りよう」そう思っていました。
とはいえ、対面で相談するのは初めてです。予約のための電話をするだけでもドキドキしました。

予約から2日後、逃げたいような思いを抱えつつ私は保健所に向かいました。
担当してくれた二人の女性はとても穏やかな方でした。
一人はベテランらしい風格があり、初対面でも「信頼できそうだな」と感じました。

相談員の女性は、私のこともケイトさんのことも否定しませんでした。
時折、優しい笑顔を向けながら私の話を傾聴してくれる様子に、私は安心感を覚え「全て話していいのだ」と自分に許可を出せた気がします。

そこからは、これまでの苦しかった思いや怖かったこと、逃げたくても逃げられずにいたこと、でもケイトさんのことが大好きなこと、これからの生活をどうしていいのかわからないこと......すべてを一気に吐き出しました。

泣きながら、嗚咽しながら、感情のままに話していたので、相談員の方に内容が伝わっていたかどうかはわかりません。意味不明な点も多かったと思います。
蓋をしていた心の水が一気に溢れ出して止まらない、そんな感じでした。彼女達は根気強く傾聴してくれました。

気づけば2時間も話していました。
泣きすぎで目が痛くて、瞼も腫れて半分くらいしか開かないほどでした。
結局、結論には至らなかったのですが、「とても難しい問題ですね」と共感してくれたことがとても嬉しかった・・・

一通り話し終えたとき、相談員の方に聞かれたことはたった一つでした。

「今、何に一番困っていらっしゃいますか? 何が一番不安ですか?」

言われて初めて「えーっと・・・困っていることは?何かな?」と自分に問いかけました。

少し考えてから、ケイトさんがアルコール外来を受診したのかどうか、いつから休職になったのか、その後仕事に復帰しているのかどうかーーそれが気になっている、と答えました。

相談員からは、こんなアドバイスをもらいました。
「もしご主人が治療を受けたかどうか心配なら病院に確認してみて、診察代は私が届けることを伝える。それだけでいいです。入院準備などはしなくていいので、放っておきましょう。」
「会社の進退が気掛かりなら、人事にお礼の電話を入れてみるといいと思います。『この間はありがとうございました』くらいの簡単な挨拶で大丈夫。もし辞めたのなら人事の人が会話を続けてくれます。」

「あ〜、そうなんだ。そんな簡単なことなんだ。」ーーそう思った途端、スーッと心が軽くなった気がしました。

相談の最後に、相談員の方はこう付け加えました。
「ケイトさんは元々DVの要素を持っていて、今までは自分でコントロールできていたけれど、アルコールと共にできなくなった、ということだと思います。」

相談を終えて泣き腫らした目のまま保健所を後にするとき、一緒に話を聞いてくれたもう一人の方がそっと声をかけてくれました。
「とてもお辛かったですね・・・。頑張ってください」
人の優しさに触れて、とてもあたたかく清々しい気持ちに包まれた私は、新しい力が湧いてくるのを感じていました。

いいなと思ったら応援しよう!