O・ヘンリー「振子」の分析

オー・ヘンリーの短編集が手元にあるので、オー・ヘンリーを翻訳で20000字だとどれくらいの分量の作品になるのか、考えます。

おおよそ、この時の新潮版は1ページに800字くらい詰まっていて、それだと25ページくらいのものが20000字です。おっと、オー・ヘンリー短編集の1巻の中に、そのボリュームの作品はない。二万字よりどれも短い。それでいて、名手、さすがオー・ヘンリー。

ひとまず「振子」という8000字弱の作品を読んでみました。

私のnote一つのエントリが2000字くらいだとすれば、それ四つ分の分量です。

ストーリーラインは

①平凡な生活を平凡にしている男がいる。
②平凡な男の帰宅後のルーティンがある。
③妻が緊急で家を空けることが発覚
④男はいつものルーティンをする気になれず、妻の重要性に気づき、後悔し、反省する
⑤妻が思ったよりも早く帰ってくる
⑥男はケロッとして、いつものルーティンを始める

①、②が導入部、③〜⑤が「転」、⑥が結となります。

①、②の主調低音は、今の生活への退屈、妻へのかすかな不満、やるせなさ、そんなものです。

③があって、④で逆に、①、②の強い反転がある。妻をないがしろにしていた生活習慣への後悔と反省がある。

⑤でまた安心して、生活習慣がもとに戻る。

まさに「振子」です。

日常 → 非日常 → 日常。

これを、倦怠期の妻と夫の場合で実現したのが「振子」で、タイトルもその関係の運動を隠喩で表現している。

ただ、それだけじゃなく、この倦怠期のペーソスもあります。

この「振子」的構造、これを別のキャラでやってみようと思います。

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