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イングランド🏴 #1
はじめに、もともとは6月にドイツで行われたEURO2024に行く予定だったが、学生の自分に倍率15〜20倍でチケットが取れるはずもなかった。一時は現地に行き、直接ダフ屋からチケットをもぎ取ろうという甘い考えがよぎったが、思いとどまった。そうして、2.3ヶ月先延ばしにして夏休みに行くという計画に変更したわけだが、リーグを観るならやっぱりプレミアだろうと、イングランドだろうと、あの熱気だろうと。そうして9月にイングランドに行くことに決めた。
9月6日、23時25分に関西国際空港発のボーイング787に乗り込む。荷物預けの際にレンタルしたスーツケースの鍵を閉め忘れたことは乗り込んだ後に気付いたが、今悩んでもしょうがないと思い考えないことにした。シンガポール経由で行くためかなりの時間を要するが、旅の初めは高揚感のせいかなかなか寝付けない。夜中発のため軽食が出たが、日本食なので不味いわけもなく、Nations Leagueのノルウェー対カザフスタンを観ながら食べる。普段なら観ないカードだが、これしか無いので仕方ない。見始めたらそれはそれで面白い。勿論ノルウェーが優勢、数少ないカザフスタンのカウンターの途中で、電波が悪いのかプツッという音とともに画面が消える。
先は長いのだから寝ろ、ということなのか。
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機内食を食べてすぐ眠りにつくと、時刻は4時半。もう4時間も経ったのかと思ったが、iphoneが時差を自動で調整していたらしく、日本より1時間遅くなっていた。飛行機に乗ってからは特に感じなかったが、この瞬間にようやく国外に出たという実感をデジタルで感じることになる。
持ってきた深夜特急を読み始めようとするも、今回の旅とチグハグになるのは嫌だと感じたのか、開きかけて読まないことにした。深夜特急がただの荷物と化する。もう一度眠りにつくと、起きた時の空はもうマレーシアである。窓からみえる田園風景、日本とは違い区画がばらばらで、一つひとつの畑が歪な形だった。それが良いとか悪いとかではなく、異なる文化を感じる。そうしているうちに、飛行機は滑走路に向かっていた。シンガポール国際空港に着き、ここからは4時間のトランジット。正直長いが、このフライト以外だと4万円近く高くなっていたので我慢。掲示板を確認しヒースロー行きの荷物検査所を確認し、シャワーでも浴びようと思ったがなんと30シンガポールドルもする(日本円にすると三千円以上)、ここも我慢。やることもないので喫煙所の前のベンチに座って、イングランドでの軽い計画が書かれている小さいノートに目を通しながら想像し、眠る。バーガーキングで軽く食事を済ませ、荷物チェックを終えた後、13時間の"主"のフライトに備える。13時間は意外とあっという間に過ぎた。というのもシンガポール航空のCAの対応が素晴らしいし、なんといってもユニフォームというか衣装とも言える服が、人が綺麗。フリーソロやボーンシリーズを観て、寝て、ビールでも飲んでまた寝る。カスピ海を通った時に窓側のアジア系のカップルが見せてくれたが、あいにくとカスピ海と言われなければ分からない一面の蒼。ただ、10分程度ではあるがそのカップルと話せたのは一人で長旅をしている自分にとって楽しく思えた。ヒースロー空港に着くと、時刻は14時40分。西側に動いてるため時差は感じない、眠さもないがなんせシャワーを浴びたい。とりあえず地下鉄の駅に向かってオイスターカードを発行し、Westminsterまで向かう。駅の放送で「Mind the gap」を聞いて十数駅進んでいく。
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Westminster駅を出て、地上に待ち構えていたのはビックベン。しかし、ビックベンの近くにあるウェストミンスター寺院の彫刻のほうに目を奪われ、2分ほど圧倒される。
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ウェストミンスター橋を渡りながら鴨川の何倍も幅のあるテムズ川を眺めると真っ茶色。橋の上でギターを弾いていたり、途中にはぼったくりのキラキラタクシーが並んでいる。イギリスは屋外タバコ吸い放題なので通りが特有の匂いで溢れているが、誰も気に留めない様子である。ウォータールー駅の近くにあるバー兼ホステルにチェックインすると、安宿なのでもちろんエレベーターなどないが、セキュリティはかなりしっかりしている。とりあえずシャワーを浴び、街中を散策する。レストランやパブを見ると、とにかくテラス席が多い。花、石畳の道、橙色の光、特に感じたのは街の活気が日本とは違うもの。その場と人の雰囲気が華やかに思えた。
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ロンドンアイとビックベン
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ホステルの下のバーでビールを一杯飲むと、疲れと安堵で6人部屋の二段ベッドですぐ眠りについてしまった。