
「札幌白石神社と竜宮城伝説のつながり」
北海道札幌市白石区にある白石神社は、初代天皇である神武天皇を祀る神社です。神武天皇は九州から東征を行い、多くの神々をまとめていった人物とされています。白石神社の境内には、神武天皇を祀る場所のほかに、さまざまな神々をお祀りする神秘的な空間「神寄谷」があります。
白石神社には、4つの主要な神社があります。
白石竜宮神社
白石伏見稲荷社
白石天神社
白石辨天神社
今回は、特に白石竜宮神社について詳しくご紹介します。
白石竜宮神社とは?
白石竜宮神社は、日本書紀にも登場する豊玉姫(とよたまひめ)を祭神とする神社です。豊玉姫は、浦島太郎の伝説のもとになった神話に登場する神であり、海に深い関わりがあります。
神武天皇と豊玉姫の関係
日本書紀によると、神武天皇は豊玉姫の妹の子供にあたります。そのため、神武天皇と豊玉姫には密接な関係があるのです。
豊玉姫の伝説(日本書紀より)
ある時、兄と弟の神がいました。兄は海の幸を、弟は山の幸を得るのが得意でした。ある日、2人はそれぞれの道具を交換してみることにしましたが、うまくいかず、弟は兄の大切な釣り針を失くしてしまいます。兄は「釣り針を探してこなければ許さない」と言い、困っていた弟を翁が助け、竜宮城へと案内します。そこで豊玉姫と出会い、やがて子供を授かるのですが、約束を破ったために豊玉姫と一緒になることができなかった、という物語です。
神寄谷についての二つの考察
白石神社の神寄谷には、「白石辨天神社」と「白石竜宮神社」が存在し、それぞれ異なる解釈が考えられます。
考察1:白石辨天神社には市杵島姫神が祀られている説
この説では、白石竜宮神社には豊玉姫、白石辨天神社には市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)が祀られているそうです。市杵島姫神は、宗像三女神の一柱であり、水や芸能の神として信仰されています。特に、広島県の厳島神社と関わりが深い神であり、筆者も厳島神社に縁があったことがあり、このような遠くの土地で厳島神社と関りがあることに驚きを感じました
考察2:白石辨天神社のモデルは竜宮城説
白石辨天神社の祭神は市杵島姫神ですが、この神社は池の中央にあり、橋を渡って参拝する形になっています。まるで竜宮城に向かうような感覚を味わえることから、白石辨天神社自体が竜宮城のモデルとなった可能性も考えられます。さらに、ご利益の一つとして縁結びがある点も、浦島太郎と竜宮城伝説の関係を彷彿とさせます。
まとめ
白石神社には、神武天皇を祀る本殿のほか、豊玉姫を祀る白石竜宮神社や、市杵島姫神を祀るとされる白石辨天神社があります。神寄谷という神秘的な空間を含め、白石神社には海の神々との深い関わりが見られます。
また、白石辨天神社は池の中央に位置し、竜宮城伝説と結びつくような造りになっているため、「白石辨天神社のモデルは竜宮城」という考え方も非常に興味深いものです。
白石神社を訪れる際は、こうした神話や伝説を思い浮かべながら参拝してみると、より深く楽しめるかもしれません。