インド映画『花嫁はどこへ?』のすばらしさを伝えたい
2024年に秋に日本で公開が始まり、ミニシアター系の映画館を中心に公開されている『花嫁はどこへ?』。元々『きっと、うまくいく』『マダム・イン・ニューヨーク』などのヒューマンドラマ系のインド映画が好きな私としては見逃せず、気になって観に行ってみたらドはまり。大好きになって2週連続観に行きました。2回目には好きすぎてパンフレットを購入しました。
そんな私の熱量とは反対に、上映館数は少なく(東京都内でも2か所程度、しかも期間限定でランダムに変わりアクセスしにくい上映館もある)、こんなにいい作品なのにたくさんの人に観てもらえないのはもったいない!! ととにかくいい映画だと伝えたくnoteに筆を(?)とりました!
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「花嫁を取り違えてしまう」というあり得ない状況から始まるこの映画。このあらすじを見て「取り違えなんて、そんなばかな…」と思っていたけど、映画を観た後は「取り違えないわけないよな…」と考えが180度変わりましたw
この映画はなにがそんなにすばらしいのか?
個人的に選ぶこの映画の好きなところベスト3を勝手に発表します。
1,ストーリーがわかりやすい
物語の最初から最後まで、ストーリーがわかりやすい!! それはストーリーが単調すぎるということではなくて、観客を置き去りにしない構成だったり登場人物のキャラクター付けだったりが工夫されているからなんだろうなあと思います。これは『きっと、うまくいく』にも通ずる部分かなと。
「これはいったいどういうことなの?」みたいなモヤモヤがほぼありません。もちろんストーリーとしてのミステリーがあったり、インドの文化と日本の文化にギャップがあるのでそのズレを感じることはあるものの、映画のあらすじをずっと追えるし飽きることがありません。
2,社会問題の話とコメディを両立してる
インドでの男尊女卑、女性蔑視が日本とは比にならないくらいすさまじいことは日本でも知られていて、劇中そうした描写がたくさん描かれます(物語の設定は2001年となっていて、今はある程度改善されているのか、あまり変わらないのかは気になるところ)。
格差、差別、男尊女卑というヘビーなテーマにもかかわらず、物語が暗くなることはなくてコメディ要素も多く明るく観られるし、前を向けるメッセージが織り込まれているので観賞した後は温かい気持ち、すがすがしい気持ちで劇場を出られるところもこの作品の良いところ。
本作は、インドの国民的俳優であり映画プロデューサーとしても活躍するアーミル・カーンが設立した「アーミル・カーン・プロダクション」の作品で、よくよく考えたらアーミル・カーン作品ってこういう社会問題をコメディで描く作品得意だよね…! とも思いました。
本作の関連インタビューで、アーミル・カーンは「子どもの頃から不公平な出来事が起きていることを目の当たりにしてきたことが、私に影響を与えてきた」「一人の人間として不平等や不公平な構造に気付いた以上はそれについて語り、表現したいと思うのです」(映画.com「花嫁はどこへ?インタビュー」より抜粋)と語っていて。不公平な出来事を目の当たりにしてきて、「じゃあ自分も男尊女卑していいんだ」じゃなくて、きちんと問題意識をもって問題提起をして、俳優としてもプロデューサーとしても体現しているところがアーミル・カーンの尊敬できるところ…。
映画.comのインタビュー、全文も最高なのでお時間ある方は読んでみてほしい…!
3,タイプの違うヒロインそれぞれが魅力的
花嫁取り違えの渦中にいるのが、2人の花嫁、プールとジャヤ。プールは保守的で、花嫁としてのふるまいを教え込まれ、夫のことを純粋に愛していて夫の何歩も後ろも下がっていること自体に何の疑問も持たずに生きてきたタイプ。ジャヤは学力があって思考する力もあり、自らの能力を信じて行動することの大切さを体現するタイプ。
まったくタイプの違う二人だけど、どちらも魅力があってチャーミング。周りの人とのコミュニケーションの中で、成長したり、逆に周りの人に影響を与えたり。嫌味がなくて応援したくなる2人のキャラクターもこの物語の良さだと思います!!
劇中登場する、駅の屋台で働いているマンジュもいいキャラクターしてるのよ!! 記憶に残る大事なメッセージを言ってくれるのです。『花嫁はどこへ?』は原案となる脚本があって、キラン・ラオ監督の手によって映画化にいたったという経緯があるのですが、マンジュは映画化にあたって参加した脚本家・スネーハー・デサイによって追加されたキャラクターらしい(映画.com『花嫁はどこへ?』インタビューより)。マンジュがいるのといないのとではまったく物語の厚みが違うので、脚本家さんってすごいお仕事なのね、と改めて思いました。
番外編:登場する食べ物がおいしそう
物語のところどころに登場するインドのごはんがおいしそうなのです!!
お菓子のカラカンドとか、レンコンのサブジとか…。パンフレットにレシピが載っていたのでそのうち作ってみたいな~。
もう終了してしまったけど、映画とのコラボイベントもあったのね! もっと早く知りたかったし盛り上がりたかった~! ヒューマンドラマ系のインド映画情報ってどう収集したらいいのかな~。上映中の映画チェックしたりFilmarks見たりしてるけど、こういうピンポイントな情報って見落としてしまいがち。
そんなこんなで色んな面で満喫できる最高の映画なのです!!!
本日1月26日時点で、東京近辺で上映中の映画館はなし。上映予定は CINEMA chupki TABATA(2月1日公開予定)、Morc阿佐ヶ谷(2月7日公開予定)(『花嫁はどこへ?』公式サイト参照)の2館のみ。公開されたら観に行きたい!!
どうか1館でも多く上映してほしいし、1日でも多く上映されてほしいな~!!