すべてがFにならなかった場合の対処法14
手紙を書きはじめて今日で2週間になる
どうして手紙を書こうと思ったかについて話そう
病気になったわけではない
何か思うところがあったわけでもない
突然何かのアクシデントで死ぬかもしれないけど、
今のところ向こう20年は最低でも生きるつもりで生きている
ただこのままだと、
君に、君たちに何も遺せないのではないか、
とふと心配になった
お金や土地、
形があるものは遺せないだろうと思った
でも心配したところで、遺産は増えないし、
今以上に仕事も増えないし、増やさないだろう
だから、せめて言葉くらいは
遺してもいいんじゃないか、と思いはじめて、
こうやって手紙を書くことにした
もし、これが君に届く前に
うっかり死んでしまったら
元も子もないから、
これから気をつけて生きようと思う
こうやって気をつけて生きることが、
長生きする秘訣だとも思う
ところで、「先生」と呼ばれる立場にいる人は長生きをするって話がある
何かの記事で流し読みをした
『先生、元気でね』と声をかけられること、
皆に必要とされることが、
「気をつけて生きなければならない」という気持ちを発起させ、
病気にならないように気をつけて生きるようになるからだ、
といった内容だったと思う
一応「先生」と呼ばれる職場にいるけれど、
『元気でね』と声をかけられることもなければ、
本当に必要とされているわけでもない
何か適当な理由を見つけて、
気をつけて生きようと固く決意をしなければならない
自分自身に甘いので、
よく夜更かしをするし、
甘いものを食べ過ぎるし、
風邪もひきやすい
月に2回はクリニックにお世話になっている
でも、もしある日突然、
運悪く死んでしまったとしても、
君は無事に生きていくだろう
そのくらいの、育児というか、教育はできたと思う
ただ生きていくうえで、
ほんの少しだけユニークな何かを遺せたらいいな、と思った
生きる術でも、お金を稼ぐ術でもない、
鼻歌のような何か
そんな軽い気持ちで書いている
いつか届いたらいい
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