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楽曲雑記 - 「君の花の庭」という曲を作った話
数日晴れ模様が続き、雪の気配もなかったので、もう今年降らないんかな…
と思いつつ目覚めた翌朝、めちゃくちゃ吹雪いていて…そうだよな…まだ1月だもんな…と安堵しつつも、まだ続く寒さにしんどさを感じます。
こんばんは、私です。
今回は、自分が主催しているサークル[image sketch Studio]の大型コンピレーションアルバム
Compilation Collection "Prism Sketch Vol.2"
のために制作した
君の花の庭(feat. Ryo & 宮舞モカ)
について触れていきたいと思います。
アルバムについてはこちらから
https://big-up.style/MX9ewaebPO
サークルについてはこちらから
それでは本題です。
まずこの曲の制作自体は11月から始まります。
今回は、制作する楽曲にお題が設けられており
メインテーマ:花(花の名前)
サブテーマ:主題歌 / あなたのフルパワーを見せてくれ!
というものでした。
このアルバムに関するミーティング、各自の楽曲制作開始自体は
9月からスタートしていたのですが
同時に進行していた「ボツ曲リサイクルコンピ」と並行して作業していた方は、それの完成後に着手という形だったため、だいたいの方は10月から制作を開始していたものになります。
締め切りは12月頭
自分も10月制作で進めていく予定だったのですが
先のボツ曲リサイクルコンピの公開に向けての作業やそのあとの反動が大きく、8小節すらも思い浮かばない日々が続きます。
また、間に東京遠征でM3見学、サークルのメンバーとのオフがあったりもしました。
11月になり、サークルで行っている、デモ音源の試聴会の日程が迫り、何も思い浮かばない日々に焦りを感じながらも、なにかは作らないといけないので、今まで作った曲の作り方で、なにかしらテーマに沿ったものを途中でも制作。たしかこの時作った曲の花のイメージが「彼岸花」だった気がします。
デモ試聴会を前日に控えた休日。
試聴会用音源が各参加者から届き、それを、DAWに入れてチェックする作業を行いつつ、半数以上の届いた音源をチェックしていたところで
ふと、6月に作った
「メロディだけ作ったけどコードがわからなかったものをアドバイスしてもらおうとしたら大喜利が始まった曲」
のことを思い出し、そこで教えていただいた
「コンファメーション進行」というのをなんとなく調べ直していました。
その時参考にしたサイトはこちらです↓
この中の紹介にあった曲の
| Ⅰ | Ⅶm7-5 Ⅲ7 | Ⅵm7 | Ⅴm7 Ⅰ7 |
| Ⅳ | Ⅲm7 Ⅵm7 | bⅢ | Ⅴ |
これを Genkhord というコード支援ソフトにリストアップされているコード表から、ソフトのパッドに書き込み、照らし合わせていくと
「これ聴いたことあるやつだー!!」
っていう発見があり楽しくなって、じゃあこれをこのキーにしたらどうなるのかというのを試していったところ
キー:C
| C | Bm7-5 E7 | Am7 | Gm7 C7|
| F | Em7 Am7 | Eb | G |
が自分の中でピンときたので、それをDAWに写し、
BPMも、このくらいがいいのではないかと93に設定し
いつも使ってるサンプルパックでリズムを充てていきます
ここからこの楽曲制作がスタートします。
コードとハイハットチキチキ感の強いサンプルを聴きながら
ここでもう一つ急に閃きが起きます。
環境音を自前のスマホにアプリ経由で録音して、転送したもので自動でビートを作ってくれる
XLN AudioのLifeというプラグイン
これを使ってあるものを叩いた音を録音し、Lifeのプラグインで自動でビートを生成してもらいました。
使ったのはこの2つです。
実はこの音
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172165759/picture_pc_2679540769de85afde9b8a768e52597d.jpg?width=1200)
ステンレス保冷缶ホルダー(タンブラー)の飲み口をプラスドライバーで叩いた音
です。1つ目と2つ目はホルダーを置いて叩いたか、持って叩いたかの違いです。
そんな遊びもいれながらリズム部分を組み立てていきます。
サンプルを組み合わせたり、生ドラム音源(Addictive Drums2)とリズムマシン系の一部の音(loopcloud Drum)をレイヤーしてみたり
ここまで作ったところでさらに閃きます。
「ラップ入れたら合いそうじゃない?」
「男性ボーカルDB誰も使ってないな…使うぞー」
一定の8小節のビートに合わせて何かをするというなら…というと、通ってきた時代が時代だったのもあり、ラップ→メロディ→ラップの掛け合い的なものがいいのではないかと。
かれこれ20~25年前に自分たちがよく聴いていたDragon AshやRIP SLYME、mihimaru GTといった、聴きやすさがポップスに寄ったヒップホップ、ラップを用いた曲だったりがこの曲のイメージに嵌まり、このスタイルで作ってみようと。
なのでリファレンスというか参考元としてはその時代のJ-POP+HIP HOPって感じです。
具体的に上げるなら
Grateful Days / Dragon Ash feat. ACO,ZEEBRA
Dandelion / RIP SLYME
静かな日々の階段を / Dragon Ash
とかこの辺りになります。
早速SynthesizerVに男性ボーカルDBで持っているRyoを使ってラップを打ち込もうとしますが
その前に、ラップのメロディを音階であてるとどの音からスタートするんだ…?というところが引っかかり、これも調べます。
ある程度理解したところで降ってきた歌詞と一緒にその音に合わせながらぺちぺちと打ち込んでいきます。
部分的に無声音が必要なところは調整。
初手の歌詞のラフ自体は今回は早かったんじゃないかと思います。
ラップのリズム打ち込みについてはなんとなくでやってきますが
自分が聴いていた曲の符割りで 「ー(伸ばし)」も含めた
3 5 (7) 11などの奇数終わりになるものを起点として
中間にいれる偶数終わりの言葉で止めを入れて~
みたいな感じで単語のパズルをしていきました。
合ってるかはわかりません。フィーリングです。
たぶん、Verseと言われるところであろうラップを打ち込み終わったら今度はサビのメロディです。
Cメジャーなので使うのは白鍵のみというのもあって、それなりに打ち込んでいったものをなんとなく自分の中でいい感じにします。
この「なんとなく自分の中でいい感じにします」というのが技量だったり、影響だったりというのが大きいのかなと打ち込みながら考えていました。
8小節メロディを打ち込んだところで、続きが浮かばない…
「2回しにするか!」
と開きなおって2回しに。
そしてサビは誰に歌ってもらおう…。
と、手持ちのボカロ、SynVのボーカルDBを眺めつつ
ソフトにらららの状態であてて聴いてみつつ試行錯誤した結果
宮舞モカを使うことにしました。
あまりバラードやスローテンポ系向きではないのでは思いつつも、淡々としすぎずちょうどいい歌い方のパラメータを見つけたので、それを調整。
歌詞も入れながらいい感じに。
ここまでやって入れてみようとスクラッチ音やチューブラーベルを入れたり打楽器系を整える。
と、コードから作り始めて5時間
ここまでを作り、デモ試聴会提出音源とする。
が、ここで引っかかる点というのがあって
実は他のメンバーにお願いしたデモ音源の提出の締め切りは
試聴会の3日前
この曲を作ったのは試聴会の1日前且つ、皆のデモ音源を聴き終わった後だった。
これはズルなのではないか
と思い、試聴会でこの曲の公開は控えようと思ったですが、
その前に作った間に合わせの曲はコードとリズムだけ打ち込んでちょっとボーカルが入ってるくらいで、この先が絶対浮かばないとわかっているものだったこともあり、それを公開してもしょうがないということで
試聴会当日に、ちゃんと説明して両方公開しよう
という結論に至ります。
言わなきゃよかったんじゃないってあとから思ったものの、そういうのが出来ない性分でして。
試聴会自体は自分の番で正直に話してフォローもらいながら曲自体にいい感想もいただけたので、無事終わったということにする。
続きを作りながら、サビメロディは2番目も同じフレーズを2回しして、ラップの歌詞を変えていくというような構成にし
ラスサビで転調する
といったとこまでは考えて土台が出来上がるわけですが
ここから先が大変だった。
完成した曲でいう2サビのあとの間奏8小節のアイデアが全然浮かばない、そのあとの転調に持っていくための8小節のアイデアが全然浮かばいなど、毎日DAWを開きながら浮かばない日はそのまま閉じて終わるなど
そんなことをしてたら締め切りあと10日
ミックスの段階に入ってないとまずいのになんにも出てこない。
しょうがないので、とりあえず出来たところだけミックス作業してボーカルもレンダリングして浮かばない部分はあとからどうにかしよう
みたいな考えでミックスを進めていきます。
その間に2回目の試聴会(完成前)もあったため、それに間に合わせるように。
サークルのDiscordでも「なんかいいアイデアないですか…」と日々ぼやきつつ、紆余曲折を経て、
最終的にこんな形になりました
ボーカルカット難しいなあ…。
なんとか形に出来てよかったといちばんホッとした瞬間でした。
そして最後まで悩みになやんだこの間奏のあとの転調にもっていく8小節が急に閃いて
「モカにもラップさせよう掛け合いさせてみようよしそうしよう」
みたいになったので、後ろのボーカルをわざと曇らせて少し小さくしてモカとRyoでラップさせています。
転調前のモカとRyoでラップの歌詞を違うものした
というのも最後の最後で思いついたアイデアです。
あとは転調後のボーカル、コーラスを調整し、最後だけ歌い方変えさせたりとかして、全体のバランスを見直してマスタリングツールにかけて
完成!!!
という流れでした。
実はこの曲製作期間が1ヶ月なかったんです。2~3週間かな。
よくやった、自分。という達成感が強かったです。
もちろんそのあとはアルバムのパッケージ化作業があるのでまだ終わりではなかったし、そのあとの反動も大きかったです。
でも、この1年で、自分の中でイメージしたものが、だんだんと作り切れるようになってきたのも感じ、成長した…のかな…?と。
閃きのパワーってすごい。
ここからはこの曲の構成やイメージについてです。
キー:C
| C | Bm7-5 E7 | Am7 | Gm7 C7|
| F | Em7 Am7 | Eb | G |
転調後キー:D
| D | C#m7-5 F#7 | Bm7 | Am7 D7|
| G | F#m7 Bm7 | F | A |
| Ⅰ | Ⅶm7-5 Ⅲ7 | Ⅵm7 | Ⅴm7 Ⅰ7 |
| Ⅳ | Ⅲm7 Ⅵm7 | bⅢ | Ⅴ |
基本的にはこの8小節のコードがずっと繰り返されています。
構成:
イントロ→1A→サビ→2A→サビ→間奏→小サビ→転調サビ→アウトロ
BPM:
93~60
モチーフの花、テーマ:
アイリス、庭園、エンドロール
アイリスの花言葉は色ごとに異なりますが
ここでは、「大きな志」「信念」「純粋」「思いやり」「良い便り」といったもので捉えていただければと思います。
この中で言えば、曲や歌詞の初手イメージで「信念」「純粋」「良い便り」の辺りを使ったかなと思います。
庭園は、物語の始点と終着点、このアルバムの〆というかアンカーをイメージしました。実際あれこれ審議して最終的にアンカーにしてもらえたのですが、わがままもあったかもしれません、お許しください。
エンドロールも同じ理由です。
サブテーマでもあった「主題歌」は達成できたかもしれませんが
「フルパワー」はどこに…?
1日でこのアイデアを形にしたこととか土壇場でめちゃくちゃ出てきたアイデアを猛スピードで形にしたとかその辺り…?
イメージ文章
夢の中の遠い記憶っていうのは
断片的で、自由で、残酷で。
花を描くのが好きだったのは何十年前の話だろうか。
気がつけばそんな記憶とは縁のない日常が繰り返されている現実。
ある日見た夢は色のある夢。
無数の花が咲いている。
歌声。どこかで聴いたことがある声。
道はどこまでも続いてく。ミュージアムのよう。
夢というのは途切れるものだ。
夢というのは誰かと繋がってることがあるのかもしれない。それが、都合の良い解釈のパラレルのようなものでも。
歌い語りかけてきた声がどんな存在だったのか、それは聴き手の皆の想像で。
この物語に続きはないと思っていただくのがいい。
これは、断片的な夢の一部。
スマホ雑記メモでこの曲に関する簡易的な記事を書いたときに記した文章ですが、だいたい頭の中でこんな感じのイメージをパズルで浮かべながら作ってました。この文章は歌詞の8割くらいが出来上がってからイメージとしての一つの文章に記せたものです。
アイリスの花言葉と照らし合わせて考えるとあまり合致しない箇所が多いですね。曲のバッキングのイメージと、歌詞をしっかり照らすっていうのは難しい作業です。はい。
今回も曲の長さが6分だったね
どうしても短く出来なかったんですよ…。
今まで作った曲が4分半か6分のどちらかの構成で作りやすいということもあるので、最近の短い曲のトレンドとは反対の方向を向いてますね…。
歌詞ワンポイントメモ
2Aにて4つの花が歌詞に登場しますが
桜、ハイビスカス、金木犀、椿
これは、春夏秋冬に沿う花を並べ、歌詞のパズルに嵌まるものを充てたものになります。
元々この曲には別の構想があり、このパートだけ、違う4人のボーカルDBに歌っていただこうというものがありました。諸事情でそれはボツになったのですが…。
「溢れるほどの想像(イメージ)が それを音に嵌め素描(スケッチ)していく」
ほら、うちのソロプロジェクト名、image sketch(イメージスケッチ)じゃん…?
まだまだ書けるかなと思うことはありますが
だいたい書きたいこと書いたかもしれないのでこの辺りで終わりたいと思います。
最後にこの楽曲、コンピレーションアルバムをストリーミング経由、もしくはDL販売でご購入いただいたみなさん本当にありがとうございます。
また、アルバムの各楽曲について超長文で感想をnote記事で書いていただいたS.KTさんにもこの場を借りて感謝申し上げます。
ミュージックビデオについてはまだ制作予定も立っていないため、いつ作るか、公開するかはわかりませんが、出来上がった時には改めてお知らせさせていただきます。
それでは、長文最後までご覧いただきありがとうございました。
ここから先はおまけとして、この楽曲で使用したプラグインなど書いていきます。
君の花の庭 / :quilik: as image sketch feat. Ryo & 宮舞モカ
BPM 93~60
All Lyrics&Music,Arrangement: :quilik:
![](https://assets.st-note.com/img/1738148560-ftMh1qLWFYHBkPzEglGsXIT0.png?width=1200)
・Idea
Plugin Boutique - Scaler2
nyk2 - Genkhord
loopcloud
・Vocal
Dreamtonics - SynthesizerV Studio Pro
Dreamtonics - SynthesizerV AI Ryo
AHS,Dreamtonics - SynthesizerV AI 宮舞モカ
・Piano,Keys,Pluck
XLN Audio - Addictive Keys Studio Grand
UJAM - Virtual Pianist VOGUE
Klevgrand - Speldosa
Xfer Records - Serum
・Rhythm.Percussion
XLN Audio - XO
XLN Audio - Life
XLN Audio - Addictive Drums 2
loopcloud - loopcloud Drum
Robotic Beans - Hand Clap Studio
Native Instruments - KONTAKT7 - Symphony Series Percussion Tubular Bells
more sample pack
・Guitar
UJAM - Virtual Guitarist AMBER2
UJAM - Virtual Guitarist IRON2
・Bass
IK Multimedia - MODO BASS 2
UJAM - SUBCRAFT
Future Audio Workshop - SubLab
・Strings
Native Instruments - KONTAKT7 - Session Strings Pro 2
_______________________________________________________________________
・EQ,FX,Mixing
Three-Body Tech - Kilchhoff EQ
Three-Body Tech - Cenozoix Compressor
Techivation - M-Clarity2
Techivation - M-De-Esser
Baby Audio. - Crystalline
VoosteQ - Material Comp
Baby Audio. - Smooth Operator
Wavesfactory - Trackspacer
Cableguys - ShaperBox3
Native Insruments - Raum
sonnox - Oxford Inflator
Adam Szabo - Solaris
Universal Audio - UAD Empirical Labs Distressor
Universal Audio - UAD Pultec EQP-1A EQ
Plugin Alliance - Shadow Hills Mastering Compressror
Steinverg - BitCrusher
W.A.Production - KSHMR Essentials
Cableguys - Snapback
iZotope - Neutron 4
iZotope - Nectar 4
Plugin Alliance - bx_aura
Native Instruments - Replika XT
Universal Audio - UAD 1176 Rev A Compressor
・Mastering
iZotope - Ozone 11 Advanced
Softube - Tape
Mastering The Mix - RESO
Plugin Alliance - bx_limiter true peak
WAVES - VU Meter Stereo
iZotope - insight2